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Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
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0829 石巻 鮫浦湾

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8月29日
朝4時に起きて、石巻へ、潜水道具があるので、車で東京駅へ、日帰りだから駐車場へ車を入れる。
 仙台までは新幹線でちょっとの時間で着く、ハヤブサは本当に速い。仙台ー小牛田間が東北本線、昔はこの本線で青森駅まで行ったのか、大変だったと実感、そして小牛田から石巻はワンマンカー、本当にワンマンなのだ。


石巻 鮫浦 この前は濁っていてお台場的潜水だったが、今日は8ー10m見える。大瀬崎的潜水だ。
本日の忘れ物は水中ライト、わざわざ出して目に付くところに置いておいたのに忘れた。現地サービスの福田君に借りた。福田とは彼が学生時代からだが、今日は息子が一緒に来てくれた。彼は東京海洋大学をでて、東大の海洋研のダイビングオフィサー(そんな職種はないけれど、のようなもの)をしている。休みで手伝いに来ていたのだろう。一緒に潜った。もちろん、良いダイバーだ。
 お父さんの福田民治にであったのは、1960年代の終わり頃で、日本アクアラングの浅見国治のところにダイビングをならいに来て、以来のつきあいだ。「おい!民坊」などと呼ばれていた。坊やの坊が付くのだから、20歳前だった。今日来てくれた息子が23歳だと言う。


 この前は水温17度だったのでドライスーツだったが、このあたりは9月の水温が高いはずだからと、ウエットスーツにした。急に決まったので、手で道具を持ってゆかなくてはならないので軽くしたこともある。

 震災前、6年前にここに潜った時よりも、海藻は繁茂している。
 メバルの稚魚の群がのんびり群れている。メバルは、どこでも出くわす。おいしい食用魚だから、いれば撮影する。このところでも、大瀬崎、瀬戸内海、お台場、なんだ、僕の潜るところすべてではないか。
 いつもは中尾先生と僕のバディ、だが、福田息子が中尾先生に付いたので、僕は町田君(博士コース)に付く。

 ウエアラブルカメラのマスクマウントがリサーチダイビングの安全確保に必須だと主張している。福田君も東大で使ってくれるだろう。安全の要はバディシステムであり、一人にしないことだと、くりかえし、くりかえし唱えているし、1960年代からそのように教えられている。どのようにしてバディシステムを維持するかがローカルルールであり、時と場合、人とダイビングのスタイルで変わる。その追求とマニュアル化がJAUSのテーマだと思っている。バディシステムをどのようにして維持するかが、スクーバダイビング技術の各論である。総論としては、昨年、最新ダイビング用語事典を出版した。
 町田君が採集をして、僕がそれを袋に収容する。その状況をマスクマウントで撮っている。水深は2m、上には船が、どうやったって事故など起きない。オーバースぺック(安全対策過剰)だと言われるかもしれないが、中尾先生のグループの場合、このようにすると決めている。絶対事故を起こさないと言うことは、オーバースペックでなければならない。一人が採集、一人が袋に入れるなんて非効率的なことをしないで、それぞれが採集した方が良い、とかんがえるとまちがう。それで事故が起こった。お金がかかっても一人が採集、一人が収納と役割分担をしておけば間違いない。それぞれが採集すると競争になる。競争させると、安全よりも成果を求めるようになる。人よりも多く採集したいとか思うだろう。安全と成果のバランスが崩れる。

 振り返って、レクリエーショナル・ダイビングを見ると、死んで当然、よく事故をおこさないものだ、と思うことが多々ある。収益と安全は二律背反する。その釣り合い、バランスのもとで行われている。オーバースペックは、利益追求のフィールドでは、通用しない。しかし、事故が起こればそのバランスについての責任を追及する訴訟がおこり、負けた部分は賠償責任保険でカバーされる。これも一つのバランスで、仕方がないが 命はもどらない。
僕たちの原点でもある山下君の死亡事故について、東大の報告書で、中田さんが、この収益と安全のバランスが、この業界は悪いと書いている。ただ、バランスは抽象論であり、悪いことはすべて社会が悪いと唱えるようなものだ。具体策、具体的な手順、を論じなければいけない。ローカルルール、各論を追求するのがJAUSの目標だ。
 マスクマウントでの撮影監視は、ハード、すなわち安全のための道具として有効である。その上に、研究に役立つ記録にもなる。今度のフォーラムでそのことを話そうと思ったが、大きなテーマなので詳細は次回のシンポジュウムにまわすかもしれない。今回のフォーラムでは、その予告編のつもりだ。
 今度ものべ、また別の機会に同じころを述べても良い。安全については、同じことを何度も書き、講演して良い。ワンパターンでも良い。

 

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