次が29日のお台場の定期観察だ。
これは、その日その時に台風が東京に上陸しない限り決行と決めていたが、東京上陸も予想されていた。僕は静岡に上がると思っていたので、28日に決行を決めた。
三重に上陸したのだが、小田原から熱海の沿岸、初島のダイビングサービスなどがやられた。僕がほとんど行かないポイントだが、仲間意識はある。
自然と触れる形で自然と対峙するとき自然が人間の生きることに加えるストレスを免れることはできない。受け入れ対処する他ない。ぼくたちダイバーは、ナイーブに自然の力を受け入れつつ自然の中で、目的、目標を達成するべく、そのための努力を惜しまず、自然の中で生きようとしている。
2020年、東京でオリンピックが開催される。その競技のうちのいくつかを東京の海で開催しようとしている。そのうちのトライアスロンをお台場で開催しようとしている。それが決まった経緯を知らない。何も考えない人が自然条件を考えないで、東京都内にこだわってエイッ! とばかりに決めた?。後はテクノロジーで何とかなるだろう。その考え方、姿勢を否定するものではない。これを機会に東京の海を浄化してしまおう。僕ら、JAUSも委員会を作ったりしてその道を探った。
できない。東京湾、東京港という自然の中でやろうとするならば、その自然を受け入れるべきだろう。生物化学的な方向も考えたが、恐ろしい。東京港、江戸前はそれなりに漁業を継続している。マハゼ、アナゴ、二枚貝の類、薬品の散布、バイオ的な改造は、そのバランスを崩してしまう可能性がある。
僕たちが、自分の意志、自分の責任で泳いだり潜ったりするのは、どうということはない。制約があれば、お願いして制約を解除してもらう。そのパターンでなんと22年も潜り続けている。ダイビングが大丈夫なのだからトライアスロンも大丈夫、と考えるならば、即解決。しかし、トライアスロンには、そしてオリンピックには、クリアーしなければならない水質基準がある。これは、スポーツのルールの範疇だから、変えられない。特例も認められない?。
薬品、生化学的な対処が危険とするならば、物理的な対処しかない。すなわち、人工的なプールを作る、使う。または、フェンスで海を仕切り大雨のあとの下水の氾濫による汚染をシャットする。
プールとしては、船の科学館に大きな流れるプールがある。これを拡大してやったら、その後の都民のレク施設としても大いに役立つ。日本財団だから、できないこともないだろう。このプールでスノーケリング講習会もやった経験のある僕としては、これが一番と思ったが、それは、考えられもしなかったのだろうか?その理由など、知る由もない。
そんな災害が、オリンピック期間中に来れば、お台場トライアスロンは残念だが延期、中止しかないだろう。その時、海辺では、ダイバーの陸上施設、ボートなどが、壊滅的な被害を受けることもあるのだ。被害があれば再建して、リニューアル、損害を挽回する。できなければ消滅、廃業、命を落とす人も多いのだから、生きてさえいれば何とかなる。期限を切られているオリンピックでは、時間的な挽回はできない。
ダイビングもそうだが、トライアスロンも自然の中でやるのであれば、バランス感覚が必要、ルール(水質基準)の拡大解釈はできないものだろうか?。
そんな、フェンスの状況を自分の眼で見たいというのも、29日のダイビングの目標の一つだった。 お台場は、周年ドライで潜ると決めていた。くそ重いウエイトになれておきたいからだ。僕の一番の問題はタンクを背負いウエイトを着けて立ち上がり歩くことだ。岸からのエントリー、エキジットは、一人では事実上、残念ながらドライでは難しくなっている。だからこそ、ドライにこだわっているのだが、それにしても、今年の猛暑だ。7月、8月くらいはウエットになっても良いではないか。そうしよう。
一回目の潜水、しばらくぶりの海での潜水だ。ウエットでの、肌に触れる水の感触が楽しみだ。
バッグを開けたら、ウエットが入っていない。忘れたのだ。バッグから出して確認して、バッグに入れることを確認していない。ドライのバッグは車に積んである。
熱射病を覚悟してドライで行こう。裸で、もちろん水泳パンツで、ドライに入った。思ったよりも暑くはない。尾島さんのアシストでエントリーする。
カメラは、Olympus TG-4とSJの組み合わせを選択した。
水面をスノーケルで泳いでフェンスに向かった。泳げない。進まないのだ。そんな馬鹿な、泳ぎはスキンで練習は続けているのに。まあ、進まないと言っても自分の気持ちとのギャップだが。
フェンスは、この前の6月のお台場調査のあとに入れた。一ヶ月強だが、付着生物がびっしり付いている。深さは3mで、下部はスカートのように海底から浮いていて下の水は流通している。大腸菌の多い水は水面なのか、トライアスロンは水面を泳ぐから、海底近くは無関係?水が変わらないと海底の硫化水素がたまる?腐る。今度聞いてみよう。
海底はヘドロだが、硫黄細菌は例年よりは少ない。
海底を這うようにして岸へ向かう。中性浮力がとれない。体が忘れているのか。思い出さなくては。
牡蠣も全部、茶色い付着生物に覆われている。透視度は50cmくらい。その50cmの距離もどんよりしている。マハゼも少なく、それも、シャープに写せない。濁っても、寄ればくっきりするのにクッキリしない。
岸沿いに進路を変えて、杭の列に向かう。
杭の下のマハゼも少ない。これまでの最低か?メバルも居ないし、トサカギンポもいない。
アナゴらしい頭を見つけた。写した魚はこれだけ、それも、Olympus TG-4の距離では濁ってシャープではない。撮影可能透視度は10cm以下か。
エキジット、尾島ママの肩を借りても立ち上がれない。歩けない。仕方ない。タンクを脱いで、運んでもらった。
どんなにつらくても、二回潜水する。そのつもりでタンクに100残している。なお、お台場は、水深1m未満の場所で、大部分の移動をする。
午後1350二回目のエントリー、多留さんにアシストしてもらった。
今度のカメラはOlympus TG-4にAKASO、AKASOがお台場でのエースカメラだ。
二回目になると身体が動くようになる。本当は一回目の前に体操とかするといいのかも。ドライスーツを着て、ウエイトを着けて歩くのが体操の代わりになると思うのでやらないけれど、なお、ドライはサウナスーツとなり、かなり水を飲んだのだがトイレには行かないで済み、熱射病にもならなかった。
二回目の潜水は、エントリー砂浜から離れずに、湧水の在りそうなところを探った。6月9日のクリーンアップの時、数日前に赤潮が入り、水が臭いような状況、透視度としても悪かったのに、この一角だけ透視度がやや良く、水温も冷たいところがあった。同じところを見つけたいと動き回った。6月の時よりも状況が悪く、はっきりとは探せなかったが、感覚的に、ここかなと思える場所があり、それは6月の時とほぼ同じ、公衆トイレの前あたりだった。まさか、トイレの排水がしみ込んで湧出しているわけでもないだろうが、ポイントとしてこのあたりである。
これまで見たことが無かった、やや大型のアナゴが、杭の場所で見つけられたが、それだけだった。