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Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
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0407 魚礁研究 2 

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        投石にイセエビが集まっている。三重県 安乗

 ダイビングでの海との付き合い方というか、向き合い方、さまざまだ。お金を稼ぐ場、ただひたすら遊ぶ場、何もしないで、身を海にゆだねる場、研究、調べる場、撮影、さまざま、個人差もある。
 そのうちのどれか、なにかを道筋たてて説明できれば良いと思っている。そんな一つの例、として人工魚礁を取り上げている。
 ねらいは、僕たちのスポーツ・レクリエーションダイビングとしてサイエンティフィックダイビングをどのように展開すれば良いのかのスタンダードを作りたい。それには人工魚礁を対象にするのが良い。幸い、自分も長いこと、人工魚礁とつきあってきた。 また、本職の研究者がフィールド調査をするときのダイビングをどのようにすれば良いのかの参考になれば、とも思う。撮影の手法、安全管理の方法などについては、参考になるはずだ。
 ところで、魚を見て、なぜその魚がそこに、その場所にいるのか考えたことがあるだろうか。
 前回は、まとめようとした。ここからは、まとめようとしたことをまたバラして、一つずつみていって、またまとめる、そんなふうにやりたい。
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 いくつかの参考資料、テキストを取り上げるが、まずその一つとして、山下弥三左衛門の「定置漁業と人工魚礁」1966年」がある。山下さんは東京水産大学、の大先輩だ。水産講習所時代に卒業した。日本の調査潜水の先駆者の一人だ。明治27年に生まれた。もう一人の大先輩は三浦定之介先輩で、やはり水産講習所の先輩だ。二人とも本をたくさん書いているので、何度か紹介している。山下先輩には、潜水読本、三浦定之介先輩には「潜水の友」という本があり、どちらも、今、手の届くところにおいてある。
 「潜水の友」は、マスク式潜水の本である。 山下先輩も基本的にはマスク式潜水のダイバーであるが、潜水読本は潜水全般で、僕が東亞潜水機に入社した当時、東亞潜水機がこの本を販促に使ったので、宛名書きなどやった。何度かお目にかかり、眼をかけていただいた。鹿児島の方で、何のついでか鹿児島で食事をともにしたことがある。
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 当然、今はもう、世にいない。  さて、「定置漁場・人工魚礁 昭和41年 東京書房」だが、思いつきをくせのある文で書いている。ただ、その思いつきがおもしろい。 これら思いつきを先輩は、「潜水人、はこう考える」と表現する。マスク式時代は、一般人で潜ってみる人などほとんどないから、潜水人は、見たままを書きたい放題に書いて大丈夫だ。 潜水人 良い言葉だ。これまで、僕は自分が何かと問われるとダイバーだと答えていた。ダイバーは英語だ、日本語だと、潜水夫、潜水士だ。どちらも僕の感性に合わない。潜水人 良いかもしれない。  よく、報告書を書くと、「::::だと思われます」などと逃げるが、山下先輩、潜水人は、自分はこう考えると断定する。潜水人は正しいのだ。 前回のまとめ、で、魚は島に付くと書いたが山下先輩も同じようなことを書いている。。
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 魚は、島に付く。大きな島から小さな島、島といえないような、岩礁、東京都にはこんなのがたくさんある。いつか、テレビ番組「東京無人島紀行」をやった。孀婦岩、ベヨネーズ列岩、スミス島、南へ行くと、奄美にも、徳之島にも、久米島にもトンバラが、トンバラは方々にある。
 山下先輩の「定置漁場・人工魚礁」では、このような、魚礁の著名なものを表にまとめたものを出している。表の出所は新野弘先生、海底地質学の大家だ。新野先生のところまで脱線すると終わらない。でも書きたいな、魅力的な先生だ。先覚列島周辺の油田は新野先生が存在を予言した。 この表をみて、有名な大和碓は、一番浅いところで水深285m、その頂上部の面積は100キロ×25キロ、これが日本海の真ん中へんにある。 同じく有名な武蔵碓は、北海道の日本海側、やや小さく、頂上は水深31mだ。 水面に頭を出しているのは青森の久六島、越前の玄達瀬、太平洋側では銭州、これらは、有名なダイビングポイントであり、僕は、幸せなことに、その三つとも行った事がある。
 回遊魚というのは、このような碓、瀬を巡って、回遊、旅をしているのだ。 この表にでていない礁はたくさんある。神子元島もそうだ、海から頭を出さない碓で、少しスケールダウンすると曽根、慶良間の隣の慶良間曽根、渡名喜曽根。ここは、イトマンのウミンチューが、鮫を釣る場所で、僕は、イッチョー(イタチザメ、タイガーシャーク)を撮りに行った。頂上で水深50mとか70m、こういう礁の例は挙げきれない。
 すべて、魚礁なのだが、魚礁というと、僕たちは、漁礁ではなくて、魚礁だと字を決めていたが、山下先輩は、漁があるのが漁礁、魚は居ても漁にならないのが魚礁だとしている。 しかし、日本の水産業界で、人工魚礁を魚礁とした。その理由は、漁にはならなくても、魚の育成場になれば良いわけで、この方がむしろ大事、という考え方によるものだった。魚礁という字のこのフィロソフィーは、おぼえておいてほしい。
 魚礁もどんどん小さくしていくと、最後は石ころ一つ。空き缶一つに、ミジンベニハゼが棲んでいたり。これも魚礁だ。 魚は、巨大な大和碓から、空き缶一つまで、とにかく魚礁に集まる、魚礁に居るのだ。回遊している魚は、礁から礁へ旅行中なのだ。   石ころの話だが、石も小さな石よりも大きい石の方が集まる魚は多い。一つよりは二つ、二つよりは三つ。三つよりはたくさん。たくさん大きい石を魚を集めるために入れるのを投石と呼び、投石事業で、魚の集まる磯を作る。これを築磯ともいう。 築磯は、地方地方によって、様々な形態をとる。
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       北海道余市の投石、ホッケが産卵行動をしている。
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          北海道函館、昆布の投石 築磯

 ダイバーが投石、投石礁を簡単に見られるところ、それは、土肥の101である。ブリジストンから、最近ではセントラルになった。このごろ全然行っていないのだが、一時、2000年頃、魚礁の写真集を撮影している頃には通った。
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         土肥、八木沢沖 投石礁 真鯛がついている。
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           隣の魚礁に連なっている。

 土肥も、波左間と並んで、人工魚礁を見る、研究するフィールドとしては、最適だ。しかし、波左間までは、2時間、土肥は5時間、勝負にならないが、とにかく土肥は人工魚礁のポイントなのだ。土肥の人工魚礁の話は、機会を改める。書くことがありすぎる。
 その土肥に、このごろ行かないので違っているかもしれないが、ボートに乗って、一番近いのが投石で、投石は1、5m角のブロックが点在している灘の魚礁に連続している。 投石、築磯というと、魚よりも、海藻が生える事をねらうのだが、土肥の投石は海藻は無く、魚を集めている。
 言葉の定義としては、魚を集めるために一応の規格にあてはまる構造物を人工魚礁というと、1954年に定められた。国がお金を出す事業となったので、定義規格が必要となったのだ。
 護岸のテトラにも魚は集まる。魚礁効果はあるが、人工魚礁とは呼ばない。 碓、曽根、磯は魚礁効果があり、魚礁であるが、人工魚礁ではない。
 ところで、僕たちは、魚の集まりすべてを観察調査することにしたい。 だから、人工魚礁研究会ではなくて、魚礁研究会なのではないか、と考えはじめている。


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