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Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
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福島 ワークショップ

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 8月28日のワークショップ、ダイビングの安全とか、ダイビング機材とか、ダイビングそのものに関わることではなく、ダイビングでする事、対象についてのワークショップだった。そして、その対象も、自分たちの活動に関することで、一般的な事ではない。自分たちの活動計画のPDCAの部分を公開する。
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守屋さん
  なるべく他所の仲良くしている団体とは企画がダブらないようにしようと、枠を狭めると、テーマが尽きてしまう。

 沖縄の大学院で事故があった。PDCAのサイクルを廻していれば事故は起こらなかった。と思う。それが公開されたものであったとすれば、そのサイクルで起こった事故の社会的な責任も小さくなる。そして、その事故もPDCAに組み込んで公開で議論できれば、、事故防止に大きな力になる。そんなことできないとわかっているけれど、もしできれば、と思う。 自分たちの活動の底まで公表してしまう。もちろん機密に類することもあるだろう。また、その反面として、PRができるという利点もある。プランに客観的な評価をしてもらえるメリットもある。 そんなことで、今回のワークショップを調査研究ワークショップとして、これまでのワークショップとコンセプトがちがうと言う意味で第一回とし、通算で第17回となった。 自分たちのPDCAだから、計画に参加、応援してくれている会員だけが来てくれたと言う結果になるかもしれないが、誰でも参加できるよう公開と銘打ったが、20人来てくれれば良い。それでも、10人が良いところかなと予想した。  選んだテーマは、2011年12月から2012年2月にかけて、理研の守屋さんと組んで、福島県いわき市久ノ浜で行った放射性物質調査と、現在、そしてこれからも中心機材として使っていくスペクトル分析機についての二つである。一回に二つのテーマをやるのも初めてだ。 いずれにせよ、一般のテーマではない。 にも関わらず、30人、ちょうど借りた研修室の定員だった。JAUSワークショップ初めての満員であった。この前の満員はJCUEとの共催、DPVの話だった。今回のテーマは、マニアックを通り越して、自分たちだけ、個のテーマなのに、である。 守屋さんのテーマは、僕たちの調査の出発点であったから、PDCAのC,チェックにあたる。  原発から放射性物質が吹き上がり、危険な放射性物質が飛び出した。水中にも溶け込んだ。その水中に魚を入れても、魚に放射性物質は入って行かないという実験結果がある。なのに魚の体内には放射性物質が蓄えられて行く。それは食物連鎖、フードウエブを通しての吸収である。その食物連鎖の底辺、入り口が微生物、プランクトンとバイオフィルムである。
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 プランクトンはおなじみである。僕はプランクトンが食物連鎖の底辺だと思っていた。しかし、バイオフィルムは、食物連鎖のさらに底辺であるとともに、プランクトンと双璧をなす。 バイオフィルムとは、身近では流しのぬるぬるであり、海底では岩の表面に付く薄い膜のようなものである。 バイオフィルム、そして、マクロベントス、小さい底棲生物を採集して、実験室内でガンマ線のスペクトル分析、 をする。水も採水して分析する。 これが、研究の組立である。
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 水中では、守屋さんと鈴木が組になって採集、採水を行う。須賀は、俯瞰撮影記録とカウンターを持って放射線量を測定する。 調査の基本であるライン調査を考えて鉛ロープを引いて採泥、採集を行おうと考えた。 しかし、水中は濁りと波浪、そして寒さとの戦いだった。水温は1月には5度まで下がった。海が荒れるので、堤防の内側での潜水が多かった。港内は表より冷たいのだ。守屋さんは、6.5のウエットで通した。研究者はマッチョな人が多く、守屋さんもその典型の一人である。僕はドライである。
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 今、振り返ると、2011年にもこの講演、発表程度の打ち合わせがまずあり、研究内容についての組立、知識の共有があれば、よりスムース、効果的な潜水作業ができただろうと考える。このワークショップの今後の必要性を強く感じた。 ※放射性物質とは、神経を尖らせる問題であり、実際にはプランの段階で公表できないことが多いが、メンバーの内で公表しないワークショップも考えられる。  学術的な、研究の成果に付いても発表説明されたが、これは、わからない。 わかるのは、調査が行われた2011年当時、水には放射性物質は無く、バイオフィルムには、マクロベントス(カイメンとかヤギの類など)よりも多くがのこっていた。  高野さんの講演は、放射性物質とは何か、放射線とは何、放射線のうちのガンマ線を測定するのだが、その測定の方法についての発表だった。 守屋さんの講演と重ねれば、放射線と放射性物質、生き物とのかかわりを頭のなかで、組み立てることができる。 ここまできて振り返ると、2011年当時、いかに僕たちが、いや、僕が、無知のまま放射線と取り組んでいたかが、わかる。そして、このようなワークショップで計画を検討し、実際にやってみて、その結果をフィードバックすることの有意性がわかり、また、おのようなチェックでワークショップをやることで 実際的な知識になることを感じた。 冒頭に書いたように、これは潜水の安全確保についても言えることだと思う。  高野さんの講演で、強調されていたことは、光電管(ガラス)を使用する繊細な測定装置の脆弱性であり、この前、2月の調査では、よくも無事だった(分析機が)と思う。 そして水中では10数センチ離れると測定に意味がなくなってしまう。僕らは、身体に着けている線量計のイメージで測定をとらえていた感じがする。汚染された海中に入れば、数値が高くなると思っていた。事故直後の水中の状態はわからないが、とにかく、陸上と水中は違う。 水中での測定のマニュアルが必要である。  今回の発表、一般のダイバーには、ほぼ無縁であり、このテーマの選択の是非について、心配したが、1時間半の講演を熱心に聴いてくれ、質問も多くでた。ダイバーとの知的好奇心、知的レベルの高さを感じた。 次回は、いわき市江名の人工魚礁調査について、とりあげたい。4人が潜水して、三人がウエアラブルカメラを着けている。その3人の動き、動線を解析して、(解析できるのか?)この調査方法の有効性、そしてスペクトル分析器との関連を見て、今後の調査の方法を論じたい。  守屋さんの発表のまとめの一つは、「特定の資源に注目するのではなく、復活していく沿岸生態系をつぶさに観察していくチャンスでもあるのではないか?」僕たちの考えと少し違うところもあるが、沿岸生態系を、放射性物質の行方とともに、つぶさに継続して観察して行くことは、僕たちのなすべきこととして重要だと考えている。  今回は成功、次回は失敗かもしれないが、失敗したとしても、その失敗から得るもの、自分が得るものは大きいはずだから、この方向で良い。 そして、このワークショップシリーズの最後は、2月の調査で何をどのようにやれば良いかの提案、計画の検討をやりたい。  守屋さんとは、もう一度一緒に仕事をしたい。高野さんは現在進行形で一緒にやれている。お二人とも本当に魅力的な人だ。 もう一人2011年の調査で、守屋さんのアシスタント役をしていた木原さん(女性)当時東京工業大学の研究生?、タフで港の猫に好かれていた。なぜか、彼女が行くと、猫が寄ってくるのだ。今は熊本の高専の先生で、生物物理学の研究室を持っているとか。生物物理学って何だ?もと水泳選手だったとかで辰巳にもきてくれた。東京にいれば、だけど、 

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