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Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
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8月23日 人工魚礁 1 ドリーム

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 人工魚礁について、しばらく続けて、たぶんとびとびにはなるでしょうが、書きます。 人工魚礁は、ダイビングポイントになっているところが多く、人工魚礁に一番多く関わっているのは、レクリエーショナルダイバーだろうとおもいます。そして、そのレクリエーショナルダイバーは、人工魚礁について、ほとんど知りません。ただ、魚があつまるところ、という程度の認識です。 自分について言えば、ダイビングライフのほとんどとはいえないものの、調査潜水のほとんどは、人工魚礁に絡んだものでした。
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 さて、まず最初は実例から、最近、一番足繁く通い詰めている千葉県館山の波左間海中公園、荒川さんのところから、スターとしましょう。ここは、最近、ジンベイザメが現れ、珍しいメガマウスシャークも現れました。このことについても書きたいのですが、今は人工魚礁です。 波左間は人工魚礁ランドと言っても良いくらいで、ここに通えば人工魚礁のすべて、人工魚礁の歴史のすべても目の当たりに見ることができます。それは、おいおい話すとして、ここで一番人気のあるポイントがドリーム魚礁です。名前のドリームは荒川さんの名付けたもので、ドリームという名の魚礁が一般にあるわけではないのです。 荒川さんは、すごいアイデアマンで、高根神社(水中の神社)コブダイの頼子との交情、マンボウランドと次々に話題のヒットを飛ばします。それぞれ、おもしろいことが書けると思うのですが、ここでは人工魚礁の話です。 ドリーム魚礁は本当にドリーム、夢の魚礁です。ソフトコーラルが美しく、おそらく関東太平洋岸では、もっとも美しい魚礁です。他にも美しい魚礁があるので、追々と紹介して行きますが、まず、このドリームが美しさでは一番です。なぜ一番なのか
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。  この魚礁、正式に言うと、2m角型コンクリートブロック165個を三段にきちんと積み上げたもので、平成10年に枕設ですから、人工魚礁の歴史の上からは、比較的新しいものです。この165個をまとめて一つと考えて、これを人工魚礁単体と呼びます。つまり、ドリーム魚礁という一個です。 このきちんと三段に積み上げたというところが、ポイントなのです。長らく人工魚礁調査にかかわって来たのですが、165個という数を3段にきちんと積み上げた魚礁は、これだけしか見たことがありません。  ドリーム魚礁に潜った人、たぶん、こういうことは知らないのだろうなあ、と思いながら書いています。  人工魚礁の大きさを表す単位なのですが、空立方メートル:クウリューベと言います。 で、全体でどのくらいの体積があるかで示します。人工魚礁の枕設は公共事業です。全額を国が出す場合もありますし、市町村が分担する場合もあります。が、とにかく私たちの税金で作られたものなのです。その金額は、どのくらいの体積かで決められます。 2m角が165個とすると、2x2x2x165で1320クウリューべ(立方メートル)になります。 だいたい1000立方メートルぐらいが魚礁の単体、一個になります。 さて、この1000立方メートルのブロックの値段プラス枕設費用、海に沈める費用ですね、が人工魚礁の値段になります。もちろんプラス諸経費、儲けなどがそれにプラスされます。公共事業ですから、入札で業者が決められます。コストを下げれば儲けが大きくなります。どこでコストダウンするか。まずは、枕設費用でしょう。 そこで、場所を決めたら、そこに適当に投入して積あげます。すなわち乱積みです。ほとんどのコンクリートブロック魚礁が適当な乱積みになり、きちんと整列積み上げたドリームが稀少な例、ほとんどない理由がわかったと思います。 ところで人工魚礁の効果なのですが、乱積みと整列とどちらが効果、魚を集めるか?これは、どちらとも言えないということになっています。魚を集める要因は複雑です。そして、推定でしかないのです。常識的には整列の方が効果は高い。この問題についてもおいおい話して行くつもりですが。
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 乱積みの例として、最近行った富戸のボートポイント、ピラミッドを例に取りましょう。何個入っているのか資料が手元にありませんが、5段か6段にピラミッドになっています。ドリームの3倍か4倍は、あるでしょう。これはこれで、雄大なもので、もっとダイビングポイントとして、知られても良いのですが、富戸へ行くダイバーの多くは、ウミウシとか、マクロをねらいます。 マクロをねらうからこそ富戸がおもしろいわけで、それはそれで、たいへん結構なことです。それに、ボート代もかかりますしね。  さて、ブロックをきちんと積み上げる為にはダイバーの誘導が必要です。時間と手間、すなわちコストがかかります。ドリームは荒川さんが誘導して積み上げたのだと思いますが、今度行ったときに確認します。 ドリームがなぜドリームなのか、その秘密は整列して積み上げられていること。 このことは、まだ調べて確認していません。それを調べることが出来るのが、人工魚礁ランドである波左間なのですが、まだです。僕も忙しいので。 ドリームが圧倒的に優れている点が二つあります。一つは、ソフトコーラル、ウミトサカの類が見事なこと、もう一つは、ダイバーが中に入って行かれることです。2m角と言うこともダイバーが入っていくちょうど良い大きさなのですが、とにかくウミトサカの間を縫って、入って行かれます。 だんだん説明して行きますが、魚を集める理由は魚礁の高さと内部構造にあります。1000立方メートルの岩と1000立方メートルのドリームとどちらが魚を集めているか、同じ場所に並べて見ないと証明にはならないでしょうが、ダイバーの常識では人工魚礁です。大きな岩の場合には、魚のたまっている場所があります。均一ではないのです。魚のたまっている場所は、岩の隙間とか、オーバーハング、窪みです。 魚には走触性(魚礁性)という本能があって、体の一部を何かに触れている、あるいは陰になっていることが大事なのです。そして、夜になると、群れて泳いでいた魚も、岩の下、何かの陰に隠れます。 このごろ、猫の研究をしていますが、猫が箱に入りたがるのも同じでしょう。 生き物は、すべて、何かの陰に隠れます。生涯泳ぎ続けるマグロでも、鮫でも同じです。カツオ、マグロの為には浮き魚礁というのがあり、これについてはまたあとで述べます。 少し脱線しました。人工魚礁には複雑な内部構造が必要であり、岩の塊と比べてのアドバンテージであることはわかったと思います。
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 そして、整列したドリームは、その内部構造の中心まで入って行かれます。乱積みでも入って行かれるのですが、出てこられなくなる危険、恐怖心があります。 ドリームは整列していますから、ジャングルジムのようなもので危険が少なく、カメラ写りも良いのです。  続きます。

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