2017年2月の時点現役のカメラ、何時も使っているカメラは、オリンパスTG4 ニコンAW130 そしてGoPro2 3台、SJ2台などのウエアラブルカメラだ。潜水する福島で予想しているポイントの水深は、最大で38m、ニコンは耐圧が30m。ある程度余裕は見ているだろうから、38mでもニコンで行けるかもしれないが、30mのアラームがでて、操作を中止させてしまうかもしれない。TG2は、15mでそうなった。TG4のカプセルを買っておけばよかったと、ここでも思う。しかし、これも38mでは危ない。撮影している番組の都合上、どうしても、僕が水深35m以上で、黄金の(黄色の婚姻色だが)アイナメをスチルで撮らなければならない。手に持って潜る小道具としてもスチルカメラが必要である。使えるであろうOBカメラは、DX-1G とキャノンイオスデジタルだ。キャノンは、高い船縁から、カメラを持って頭から飛び込まなければならない可能性がある、事実そうした、ので危ない。1Gにバッテリーを入れてテストしたら 問題なく使える。 そこで、1Gを使うことにした。ステイに乗せて、フィッシュアイのFIX2500DXライトを点けた。恰好は悪くないが、テレビのカメラマンがこのセットを見つめるように撮影するので、10年前のカメラなので、若干恥ずかしいと思った。しかし、今どきのダイバーがこのクラシックカメラは知らないだろうから、スル―することにした。 ここで、この日、2月22日の潜水について、カメラのことと並行して述べて置こう。なお、この潜水で潜る4人は全部カメラを持ち、撮影している。まず、テレビ番組のために撮影している中川は、そのための画質の良い、やや大きいカメラを持っている。僕、久保さん山本さんは、ウエアラブルカメラをマスクに着けている。ここから先の記述は、すべてウエアラブルカメラでの撮影記録に基づいている。水中でのダイバーの目線は、すべて記録されている。 2010年に発売された安価で小さい、GOPROが水中でのこのような撮影、そして調査を可能にした。 このウエアラブルカメラでの調査は、考えられるだけの手法を試みてきた。しかい、今度のこの福島沖の調査で、この撮影調査手法の芯が見えてきたような気がする。 GPSでとらえている位置で、魚探で人工魚礁を探す。高さが10mもある五角形の大型単体魚礁ペンタリーフ(人工魚礁の商品名)だから、たちまち見つかるだろうと思っていた。意外に時間がかかった。20分ぐらい探した。魚探に高さ10mの大きな影が映り、その直上にブイを入れる。ゴムボートを発進して、ブイと繋がる。直上のつもりでも、船は動いているので10mや20mは、離れていることも考えておかなくてはいけない。ブイのロープをたどっていって、その下を見て見えれば良いが、見えなければ探さなくてはならない。探しているうちに潜水時間が尽きてしまって、何もしないで浮上することになる可能線が大きい。ブイを基点にしてサークルサーチで探す。このところ久保君が仕事(販売と使い方の指導)にしているDPV(高性能の水中スクーター)を使うことにした。 この日、福島いわきの海としては幸運といえる透視度だった。10mは見えただろう。しかし、20m離れていれば見えない。 久保君のマスクマウントのカメラで撮った映像を後で見ると、捜索の様子がわかる。僕、中川、山本さんは、久保君が魚礁を探し出すまで、船上で待機する。 DPVを手にして、潜降して、ブイのアンカー近くまで下りて行き、手にしたガイドロープをブイの太いロープに縛り付けて、ガイドロープを延ばしながら、魚礁を探して進んでいく。この時に進んでいった方向で魚礁が見つかれば、それで良いが、見つからないことが多い。なぜか、魚礁のある反対側にロープを延ばして行くことが多い。大学4年生の時、だが、東京湾の出口浦賀沖で、このサークルサーチをやり、反対方向を探して、エア切れになり、九死に一生の思いをした。これが僕の人工魚礁調査の原点だった。後の潜水の原点だったかもしれない。GPSと魚探で確認してブイを入れているのだから、悪くても、ブイから20mぐらいの範囲にあるはずだ。30mのロープを延ばして、コンパスで円を書く様に捜索する。久保君のマスクマウントの映像を見ると、DPVで速度も速い、潜水は時間との勝負だ。円を描いたロープに魚礁が引っかかったのだろう。ロープを手繰って魚礁のたどり着き、魚礁にロープを結び付けて、ブイと直線で結び、ブイに戻る。浮上して、ブイのアンカーと魚礁の距離が15mであることを、知らせてくれる。ここから僕たち3人の出番になる。30mを越える水深は浅くは無い。減圧症の可能性が十分にある。本来ならば、ここで久保君はご用終わりになり、バトンタッチになるのだが、再び一緒に潜っている。大丈夫なのかと心配するが、これについては、久保君の判断をみんな絶対的なものとして信頼しているのだから、彼の決定に従う。 いよいよ、僕が潜る番だ。まず、中川、山本さんが飛び込む。本船とゴムボートの間は出来るだけ近い方がいい。泳ぐ距離も少なくなるし、流れがあると、困る。僕が一番最後に飛び込んだ。もちろん頭からこの1G カメラを持ったまま飛び込む。それが出来るカメラ、乱暴な扱いでも大丈夫という事で、このカメラを持ち出している。何の支障も無かった。水深34,3mロープを伝わって降りる。このところ、こういうスタイルの潜水をしていない。その意味ではブランクダイバーのようなものだ。流れもなかったので、ロープを手から離して潜降した方が、テレビ映りの恰好が良いが、ロープを手繰って行く。 着底したら、久保さんのDPVに掴まって連れて行ってもらう段取りになっている。泳ぐトレーニングは積んでいるから、たかが15mを泳げないわけのものでもないが、中川カメラマンの演出で、そういうことになっている。15mだから方向さえ見定めれば、うすぼんやりと見える。山本さんはさっさとラインをたどって行ってしまった。僕もその後を付いて行けば、問題ないのだが、打ち合わせたとおりに動かないと、事前打ち合わせの意味がない。久保さんを待って、二人でDPVに掴まっていく、10秒もかからないで、魚礁に到着してしまう。僕のセフティカバーのために久保さんが、いわゆる、一回目の潜降浮上のあとすぐにまた潜っている。いわゆるヨーヨー潜水という減圧症に一番かかりやすい潜水のパターンだ。久保さんが決めている潜水だから、それで、良いのだ。 僕たちが接近すると魚礁の外にいたミズダコが、魚礁の中に逃げ込んで行く。これを僕は見ていない。僕は見ていないのだが、僕のマスクマウントのカメラがとらえている。ミズダコは魚礁の柱の陰に隠れるようにうずくまって動かなくなる。それでも、僕はミズダコに気づいていない。中川が指差して、カメラのライトを点けると、足元に居る。スチルの撮影だから、2-3枚シャッターを切ればそれだけで十分なのに、かなり長く、ミズダコを見ている。そのわきにカレイが居たのだが、これもカメラが見ている。 山本さんがγ線分析器を持っているので、呼び寄せて、分析器を見ている動作をして、中川のカメラがそれを撮る。 ミズダコと、分析器のシーンで、テレビ番組的には、成立スしている。周辺の雑感をみんなで撮る。 魚礁の中を横断して行く。魚礁の外に、もう一つ小さい、ブロックが見える。このポイントは、1969年に、潜ったことがあり、その時には、この大型単体魚礁は無くて、1.5m角のブロック魚礁だった。そのはずれのあたりに、この大型を入れたのだろう。とその時、僕は思ったが、後で久保さんのサークルサーチの映像を見ると、周辺にはブロックが無くて、砂地だ。魚礁域全体を見るサーチをしたわけではないので、わからないが、孤立して大型があるのかもしれないし、もう一つ、山本さんのカメラを少し上から、魚礁を俯瞰しながら移動している。見下ろした映像を見ると、大きいカレイ、ヒラメかもしれない。おそらくヒラメだろうが3尾ほどカメラがとらえている。僕のカメラの向こうに黄色いアイナメが見えた。この婚姻色、黄色のアイナメを、1969年に撮影して、橙色のホヤの縁取りがある魚礁の中に、黄色いアイナメ、黄金色ではないのだが、黄金のアイナメという事にして、一つのショートストーリーを考えていた。 1969年のアイナメ
追い写してしまったアイナメ
ここで、じっくり落ち着いてアイナメに寄って行けば良いのに、昔の、余裕のある自分だったら、落ち着いて、いいアングルで動かさないようにして撮るのだが、焦って追ってしまった。追い写しになってしまったが、それでもきれいに止まって、テレビ番組で使うことができた。あとで見て、1Gも、これならば30mを越す水深での現役カメラにできるかも知れない。と思った。久保君が浮上を聞いてきたので、戻りはDPVに掴まらないで、斜めに浮上して、ブイロープにつかまった。僕の常日頃の浮上速度は、速く、ダイブコンピューターに警告マークがでる。今日はゆっくり浮上するつもりだが、久保さんは僕の上を浮いて行く、この時も彼の減圧症を心配したのだが、その点に関しては、彼の計画はパーフェクトであるはずである。彼の方が先に水面に出たので、僕も後を追うように水面に出た。 潜水開始10時53分 最大水深34.3m 水温12度 潜水時間17分 しっかり М値の警告マークがでていた。しかし、30%mのナイトロックスを使っているので、問題が無いのだろう。
ここで、じっくり落ち着いてアイナメに寄って行けば良いのに、昔の、余裕のある自分だったら、落ち着いて、いいアングルで動かさないようにして撮るのだが、焦って追ってしまった。追い写しになってしまったが、それでもきれいに止まって、テレビ番組で使うことができた。あとで見て、1Gも、これならば30mを越す水深での現役カメラにできるかも知れない。と思った。久保君が浮上を聞いてきたので、戻りはDPVに掴まらないで、斜めに浮上して、ブイロープにつかまった。僕の常日頃の浮上速度は、速く、ダイブコンピューターに警告マークがでる。今日はゆっくり浮上するつもりだが、久保さんは僕の上を浮いて行く、この時も彼の減圧症を心配したのだが、その点に関しては、彼の計画はパーフェクトであるはずである。彼の方が先に水面に出たので、僕も後を追うように水面に出た。 潜水開始10時53分 最大水深34.3m 水温12度 潜水時間17分 しっかり М値の警告マークがでていた。しかし、30%mのナイトロックスを使っているので、問題が無いのだろう。