Quantcast
Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1388

0427 お台場 0423

$
0
0

 3月のお台場は、雨で、お台場の場合、尾島さんのテントがあるだけで、基本的に吹きさらし、寒かった。家で風呂に入ってでてからしばらくして悪寒がした。風邪で、以後一ヶ月 風邪が続いている。 4月23日は快晴で、スカイブルーの空だ。透視度も、もしかしたらこれまでの最高ではないだろうか。 もうそろそろ、冬眠?から醒めた魚たちが動き出す時期だ。期待は大きかった。  風邪はともかくとして、天気がよければ、機嫌がよくなり、気合いも入る。気合いが入っても、7キロのベストを着けて6キロのベルトを巻き、10キロのタンクを背負うとずっしりと重い。 前回までは1。4キロのレッグウエイト(足首に巻くウエイト)を着けていたのだが、今回からマンティスドライフィンを使うことにした。これはドライスーツ専用のフィンで、前に愛用していたのだが、フロッグキックで蹴る時にフィンが重いとバランスが悪いのではと使わなくなっていた。 エントリー、エクジットの時に、手伝ってもらわないで一人でフィンの着脱がけっこう苦行なのだが、それもやりやすい。 とにかく、タンクを背負って歩き、フィンを履き、水に入るまでが苦行で、水に全身を浸けるとほっと一息つぐ。しかし、これはお台場という波も流れもなく、背の立つ水深に体を横にしているという独特の場だからで、一般の海では、飛び込んだとたんに波で体がひっくり返されたり、流れで流されたりするところでは、10mぐらいまで潜らないと安定しない。潜水が危険だとか、危ない、同じことか、といわれるのはこういう部分のことで、これは個人のフィジカルと密接に関連する。死亡事故はこのような状況の時に、本人の苦しさだけに関連して起こってしまう。すると、他人のガイドダイバーとかインストラクターから見れば原因不明になる。それぞれの苦しさについては、Cカード講習でも、指導者講習でもどうすることもできない。 よく、病人になるとはっきり見えてくる部分があり、思いやりが深くなると言うが、年取って、フィジカルに不満足にならないと見えてこないダイビングの危険なのだと思う。  ああ、またダイビングそのもののこと、内なる自分のことについて書いている。 これからは外のこと、お台場の水中のこと、生き物のことを中心に書いて行こうと思ったのに。
b0075059_11045300.jpg
頂上に海藻が生えている


 エントリーして腹這いになり体を落ち着けると、驚いたことに、人工砂浜を背にして右手にある転石がはっきりと見える。お台場にしては、すごい透明度だ。 転石を右手に見て、まばらな牡蠣殻の広がり、生きている牡蠣が多くても牡蠣殻と呼ぼう。その上を泳いで行く。 魚もカニも目に入らない。隠れているのだろう。そのまま25mぐらい泳いでいく。終点が90mだからゆっくり泳ぐ。次第に牡蠣殻が密になってくる。生きている牡蠣が多い。 
  
b0075059_11070421.jpg

70mぐらい進んだ右手の転石の景色がすばらしい。転石が転がっていて、水が澄んでいて、水深が40センチくらい、別に何もいない。それだけですばらしい景色だと思ってしまうのだ。景色というのは周囲の状況と併せて景色になっている。透視度の低い景色の中で、部分的に透明感があれば、良い景色になる。今日は全体に透明だが、やはり透明は良い。 頭を上げて水面に顔を出すと、大きな榎木の木が見える。このごろ腹筋が弱くなって、腹這い姿勢で頭を出すのが難儀になってきている。 水深2mぐらいに降りて、そのまままっすぐ行くと、前方に杭の列が見えてくる。杭の列の右端はさいころのようなコンクリで、一辺がが50cmぐらいの立方体が斜めに置かれている。別に置いたわけではないのだが、そこにある。この立方体になにか布のようなゴミが引っかかっていて、その布の陰、立方体の下の陰、立方体の周囲の石の陰に、4月になれば、つまり、今頃になるとメバルの稚魚が出てくるのだが、見えない。 仔魚:孵化してから、すべての鰭の鰭条が定数に達していないもの、つまり生まれたての魚だ。稚魚;鰭条も定数に達していて鱗も出始めているが、模様が成魚と異なるもの未成魚;模様も完成し、体型も成魚に近いが性的に成熟していないもの成魚:性的に成熟しているもの幼魚:稚魚以上、未成魚未満
 ※「東京湾の魚類」よりこれは定義なのだが、僕は稚魚と言う言葉をよく使う。定義の上では、稚魚よりも幼魚にちかいのだが、つい稚魚と書いてしまう。稚と言う言葉、字が好きなのだと思う。  メバルは表層を引く稚魚ネットで12月から4月に仔魚が出現する。 体長1.5から5cmほどの稚魚は、人工護岸、近くや岩礁域、アマモ場などの中層に群をなしているが、成長するにつれて移出する。  東京湾の魚類 河野博監修は、とても良い本で東京水産大学の魚類学教室出身の人たちが中心になってまとめていて、お台場グループの尾島さん、多留さんなどもちょっと書いている。僕が魚類学教室とかかわっていたのは、遙か遠い昔なので河野さんと直接知己ではないが、魚類図鑑でもあるし、東京湾全体の魚環境をコラムを並べたように書いていて、すべてがわかる。読むことをおすすめする。こういう本を作りたいな、とおもう。  話をもとにもどして 杭の列には、ハゼの類も、メバルも何も見えない。はて、透視度は良いし、水温も17度ー18度と暖かくなったのに、魚もカニも居ない。生き物がすくなくなったのかな。 撮るものがないので、杭の列にカメラを寄せかけて、バック泳ぎで、自分の姿を自撮りする。ドライフィンはなかなか調子が良い。
b0075059_11123525.jpg
 杭の列を詳細に見て、何も居ないことを確認して、来た道を引き返す。 途中、ハゼ、(チチブ)が居たので、その一尾を撮影する。 
b0075059_11130649.jpg
 右手、戻り道だから左手になるのだが、榎木の木の下 あたり、ここは、いつもハゼが見られる。生きている牡蠣を割って開いてみる。これをするために小さいナイフをゲージのホースに取り付けてある。 魚やカニの観察に、牡蠣を割る。牡蠣殻の隙間から小さなカニがでてくる。ここにいるイソガニは、タカノケフサイソガニだから、おそらくそれだろうか。しばらくすると、もう少し大きい、足の親指の爪ほどのカニが姿を現したが、開いてある牡蠣に突進するようなことはない。様子をみている。 突然、横からハゼが現れた。5ー6cmほど、チチブかアゴハゼだ。そいつが、牡蠣の身をちぎって横に飛んだ。あっという間に3尾になり、牡蠣の身は無くなった。 牡蠣を割る。あるいはところによっては別に用意した餌をやるというやり方、あんまり好きではない。それが人為的なものであるからだ。しかし、これはやる価値のある方法手段なのかと思い直した。仔魚を採るためにプランクトンネットのようなネットを曳く方法でしらべる。魚を集めて、何が集まるか、何匹とか見るのは悪くない。このまま通り過ぎたら、ここには魚は居ないということになる。 今後は定点を決めて、来るたびにやろうか。  水深1.5mに潜らないと作動を始めないダイブコンピューターは、記録という意味で正確な役には立たないが水温をみることができる。水温は18度だった。18度ならばウエットにしても良いのだが、シャワーも脱衣施設もないので、最近では年間を通じてほとんどドライスーツだ。  戻り道は少し深く、水深3mあたりを泳いで行こう。水深3mになると、気持ちよく水平で泳げる。ヘドロ域と牡蠣殻域の間ぐらいから浅いヘドロ域にかけて、ユウレイボヤ、もしくはカタユウレイボヤ、この区別が僕にはつかないが、多分カタユウレイボヤがまばらな群生のような状態になっている。
b0075059_11194276.jpg
 この時期、昨年ぐらいまでか、トゲアメフラシが点々と一面に居て、交尾をしてだいだい色のそうめんのような卵を生んでいた。今年はトゲアメフラシの影も姿もない。お台場の一つの特徴は、生物の種類がドラスティックに変化するということだ。ある時には一面に居て、全く居なくなったりする。 それに水温が寒くないので、残圧50までもぐっていた。僕のタンクは、軽い8リットルだが、冬の時期は200充填で100残っていた。50では午後の潜水に足りない。  科学未来館の、といってまだ科学未来館の展示にお台場が加わることもなさそうだが、三ツ橋さんがほとんど毎回来てくれている。「なにかやらなくちゃ」と言うことで、海藻の研究を始めた。彼女は稲の研究が専門とか、とにかく植物が専門だ。海藻の研究と言っても、お台場には、海藻らしい海藻はない。アナアオサとか幅の狭い緑のスジアオノリ?とか、アオサ目 アオサ科が主だ。そのうち、教えてくれるだろう。  
b0075059_11202810.jpg
              採集中
   彼女は一回だけの潜水で、植物を採集して終了だという。彼女の使った10リットルタンクを使うことにした。残圧は100ある。十分だ。  昼食、近くのコンビニで冷やし中華を買ったが、まずかったので半分でやめた。昼食後、のんびり過ごして、14時から潜水することにした。15時に、僕があがって、終了となる予定。  まず、これは左手に広がる人工砂浜の砂の上を波打ち際の砂浜を左手に進む。カレイの稚魚がいないかとさがす。薬指の爪ほどの稚魚がいる?いなかった?わからないほど小さい何かが微小な砂煙をあげた。もちろん撮影はできない。  外来種のことについて調べている。調べていると言って、本を読むだけなのだが。 最近の外来種の右総代のようなものに、ホンビノス貝がある。
b0075059_11214110.jpg

 砂地で、この貝がざくざくと、左手で砂を掻くと手触りがあって一回に3個ぐらいとれる。この貝のことについて別に書こうと思っているのでそのための撮影をしようと考えたのだ。が、思ったようにざくざくとはとれない。とれることはとれるのだが、少なくなったのではないかと疑った。風呂田先生が調べているが、今回はおやすみ。 ターンして、波打ち際に近い転石地帯の、そう、ちょうど公衆便所の前あたりだ。公衆便所、ランドマークとしてはおもしろくないけれど、仕方がない。公衆便所と波打ち際の中間あたりで、適当な大きさの転石の前で、牡蠣を割った。ここは、たちまち、数分もかからないでハゼが出現した。最初の奴がくわえてしまうと後のハゼはあぶれてしまう。それでも、一旦でてくるとうろうろしている。もっと大きい牡蠣を割ればよかったかと思うが、5ー6尾は集まって来た。アゴハゼとチチブ、そしてアカオビシマハゼがお台場のハゼの常連、定番だ。5ー10cmのハゼの類だ。
b0075059_11230763.jpg

 トサカギンポが出たので、熱心にカメラで追う。なんと言うこと無いが、ギンポはアイドルなのだ。
b0075059_11253115.jpg

 気持ちの良いダイビングができた。




Viewing all articles
Browse latest Browse all 1388

Trending Articles