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Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
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0421 お台場

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これからお台場のことを書こうとしているのだけれど、これまでは、水の中のこと、水の濁りだとか、水中の光の様子とか、生きている生き物のこと魚とかカニだとか、エビだとか、なんだかわからない生き物だとか、生えている海藻などのことを書いている部分が少なくて、ダイビングのこと、自分という潜水艇のことを書いている比率が大きいのではないかと思う。 ダイビングって、自分という潜水艇の操縦だから、そして、僕はダイビングをそんな風に考えることが好きだから、潜水艇の機関のこと、機関の調子、つまり、苦しいとか、寒いとか、潜水艇の釣り合いだとか、バランス、浮沈、だとか、その他、もろもろの潜水艇運転に気を取られていて、水の中の出来事には、気持ちの50%ぐらいしか向けていないのかもしれない。つまり身体の内側のことや、潜水の技術に気を取られて、外側のこと、外のできごとは、少しだけしか書いていないような気がしている。自分の内側に注意の大部分を向けていないと危ないので、まあ、そのバランス感覚で生きてきたのだけれど、生き物のことを少し真面目に書こうと考え始めている。☆★☆僕の言うお台場はお台場海浜公園のことだ。ここの呼び名はお台場、と。おをつける場合とおをぬいてただの台場と呼ぶ場合がある。良くしならいのだけれど、地名としては台場らしい。お台場は、ニックネーム、きっと江戸の市民たちが、お台場と呼んだのだろう。それがそのまま残っていて、僕はお台場の方が好きだ。 ☆★☆ 日本は、四季がある。海の中にも四季がある。お台場は特に、著しく四季がある。1月から2月は、本当に生き物の影をさがすのも容易ではない。親指の爪ほどのイソガニ、鉛筆の尻についた消しゴムほどのヤドカリを見ただけで、その日一日が終わる時もある。ただ、原則的に冬は水がきれいで、1.5mか場合によっては2mほど先まで見える。透視度 1。5mとしたり、2mとしたりする。しかし、お台場の透視度はまばらなのだ。斑になっている。表層と底層と大きく透視度がちがうし、まるで、霧の中に入ったり出たりするように、濁りの中に入ったりでたりする。だから、記録を着ける時に、今日の透視度は1.5mとか書いてもいい加減なものである。お台場はその濁りの斑が著しいけれど、どこの海の中も同じようなものだろう。だから、例えば、大瀬崎の今日の透視度は、2mから10mと書いたりする。
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 お台場海浜公園の海底を区分けすると、中心部はヘドロである。潮位差は1.5mほどで、中心部の水深は平均して4mぐらいである。このヘドロ部分をドーナッツ状に取り巻いて人口砂浜、石垣の崩れたような岩がごろごろしている磯場がある。磯場の岩地帯は干出してしまう部分の幅が10mぐらいだろうか。満潮になれば、この部分は隠れてしまう。最干潮の線から、さらに10mぐらいの幅には、岩があり、この岩の下が、カニやギンポが隠れている地帯になる。岩と言えば良いのか、石垣の崩れたような石と言えば良いのか、定かに決められないが、ここでは岩としよう。その岩がまばらになり、尽きたあたりから、斜面になっていて、斜面の底は水深2mぐらい。その斜面の底はだいたいが平らで、緩やかにヘドロ地帯に降りる。斜面からヘドロに至る、はばにして10-15mほどの平らな海底はマガキが、今は優先して海底を覆っている。今は、という意味は1990年代はマガキは珍しく、ムラサキイガイが覆っていた。 マガキとムラサキイガイは陣取り合戦をしていて、今はマガキが勝っている。この勝負を分ける要因とか調べたらおもしろいと思うのだが、僕は研究者ではないので、おもしろいと思うだけに終わっている。
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冬の間、水のきれいなとき、水温が低いとき、牡蠣は元気で、まあ元気に見えるだけなのかもしれないけれど元気に見えて、生きている。全部が生きているわけではない。牡蠣はだいたい1年-2年で終わる寿命だ。死んだ牡蠣はそのまま、そこにある。死に殻だ。死に殻がどんどん積み重なって、上にまた新しい牡蠣がのる。水面まで積み重なることもある。牡蠣礁である。行徳の三番瀬などには広大な牡蠣礁がある。ここではまだそんな具合にはすすんでいない。今後どうなるかはわからない。死に殻は、小さなカニやギンポ、主にとさかギンポの隠れ場になっている。 生きている牡蠣と死殻がどのくらいの割合なのか。これは枠を置いて、枠の中で、生きている牡蠣の数をしらべたりすればわかるのだが、まだやったことがない。とても大事なことだと思うのだが。 冬の牡蠣は、すっきりとしていて、きれいなのだが夏になると茶色い付着生物が付いたりして汚らしくなる。汚らしくなることと、牡蠣の元気度とは関係があるのだろうか。  二枚貝は水の浄化をすると言われている。牡蠣も浄化をする。濁りの要因の一つである微生物を食べている。この浄化作用はめざましいもので、水槽の中に牡蠣を入れるとたちまち水がきれいになる。お台場でも牡蠣の上は水がきれいにみえる。みんなが集まる砂浜の方で、水の浄化のために牡蠣の垂下式養殖を三陸のほうから呼んできて砂浜の方で2年ほど続けてやっていたことがある。主催は、下水道局がやったのだろうか、港湾局だろうか。しかし、一方で、牡蠣は排泄物もあるし、死ねばタンパク質になる。死ねばたちまちカニなどに食べられてしまうから、死んだ牡蠣殻の中はきれいなものだが、牡蠣を食べたカニも排泄物を出すし、だから、あんまり浄化作用はなくて、差し引き計算すれば、マイナス効果だと東大の鯉淵先生はいっていた。
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                     牡蠣の上の水はきれい?
 僕はやはり、きれいになっていると思いたい。こころなしか、僕たちのフィールドでも牡蠣の上の水はきれいなようだ。願望だから、科学的に証明しようとはおもわない。  このあたり江戸前は、昔は牡蠣の産地で、僕が子供のころ、1950年代には、数寄屋橋の下あたりに広島であるような牡蠣船がでていた。なお、今広島に牡蠣船があるかどうかしらない。船の上で牡蠣をたべさせる。屋形船よりも大きいダルマ船が当てられていた。 ダルマ船とは、ダルマのような形の幅広の船で、河での運搬船に使われていた。その船の上に家を建てれば、ハウスボートだ。 でも1950年代の東京湾は汚染のまっただ中だから、牡蠣船で食べさせる牡蠣が江戸前の牡蠣だったかどうかしらない。江戸前ではなかったのではとおもうが、このあたりが牡蠣の産地であったことは間違いなさそうだ。☆★☆ 3月26日、先月だが、3月も末になれば、小さいメバルの幼魚がでてくるのではないかと思ったが、魚は本当に影も形もみえなかった。4月になれば、どうだろう。 4月23日が、定例のお台場潜水調査会だ。3月26日には雨が降り、あまりの寒さに風邪を引き、まだ治らない。ちょうど一ヶ月風邪に呻吟していたことになる

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