読書ノート午前2時まで上橋菜穂子をよんでしまった。この人の長編は全部読んでいる。新しくでた短編の「炎路を行く者」を新本で買って良かったので、続いて「流れ行く者」を読んだ。結果午前2時である。長編の守り人シリーズを読んで居るので、だから、とも言えるけれど、ひきこまれてしまう。
上橋菜穂子のどこが良いかといえば、主人公が活躍する世界、これも作者が作る世界なのだが、この世界が好きなのだ。民俗学者であるという作者が作る世界が好きだ。今度読んだ短編では、そのことを強く感じて、その視点から守り人シリーズをもう一度読み直そうと思って探したら無い。売り払ってしまった覚えが無いのだが、それでも無い。あるのは鹿の王だけだ。
無い!
まだ途中だけど、「報道戦争 大下英治」1995年に初出、2004年に 新風舎文庫とは 知らない文庫レーベル、2017年ブックオフ 100円の棚に並んでいて、100円だと思って買ったら、610円だった。1990年代、水中撮影だけにこだわってテレビ界に足をつっこんでいた時代の終りのころの話だ。水中でなければカメラを持たなかった。一度だけ、伊豆大島の噴火の時にカメラを担いだ。
1990年代、テレビの時代が終わり、インターネットの時代に入る。その頂点、これから坂を下るときにテレビにすべてを賭けて走り抜けた人たちのドキュメンタリーだ。大下英治という人好きになれない。政治家のよいしょ伝記ばかりかいている。この本のように政治家のことが中心になっていなければ、いいなと思って読める。桜井洋子が本田宗一郎について、井深さんに取材した項、日本の登り坂をリードし登っていった本田と井深の話をテレビ番組を作る視点から書いている。これに引き込まれて、いまこのノートを書いている。まだ、桜井洋子の章も半ばだけれど、書いておきたかった。 読了した。ここで取り上げている1990年代前半のキャスターたち。筑紫哲也、亡くなってしまった。 木村太郎は、そのころにすでに半ば引退で、神奈川県のビーチFMの代表だった。今も、変わっていないみたいだ。桜井洋子は、まだNHKだ。 鳥越俊太郎は、この本では輝いていたのだが、なぜ都知事選なんかに出たのだ?無惨だったけれど、心情は、わからないことはない。彼は癌になった。そのことと、選挙とを重ねて居たように見える。自分も同じだけど自分の命の有限であることと、その間に何かを仕上げなければならないと思うことで、どうしても自分が見えなくなる。 小宮悦子は、ニュースステーションでお世話になった。久米さんとともに、スタジオでも話をしたし、でも、小宮さんの章は、ぜんぜんおもしろくなかった。 田丸美鈴は、ああ、そういう人だったのかという知識にはなった。この人がキャスターだった番組とは縁がある。潮美が大学2年の時、VTRだけど彼女の番組に出た。組になっていた蟹瀬さんの撮影もした。日本を一緒に一回りした三浦洋一さんの撮影も、田丸さんがキャスターだったはずだ。だから、何だということだが、一緒の時代に生きた。 この本、全体として、キャスターその人についての事柄よりも、彼ら、彼女らが取材した対象の人物事物におもしろさがあった。 もう少し、しっかりと書きたいけれど、僕は今、書いている時間はない。冒険小説を読む読書に勇気づけられることはある。自分とはベクトルもちがう、量も問題にならないが、同じ点、同じ時代にテレビの仕事をしたキャスターたちの冒険小説だった。