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Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
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0610 ロゴシーズ 1

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 朝発表したものに間違いがあったので書き直したものです。

ロゴシーズ 0607 まえおき 江東文化会館でのワークショップ、講師は山形カシオの鈴木克美さん。プレゼンテーション慣れしているのだろう。僕の耳でも聴きやすい。
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 第九回の今回、これまでで最高のワークショップだったと思う。にもかかわらっず、身内プラスアルファで、講師には申し訳ない結果になったが、元来ワークショップとは、みんなでなにかを作り上げていくという建前だから、これからも、時々は、大きなイベントにはなるが、会員仲間内での研究会に一般の方も参加できるということで良く、質的には高いところを目指しているので、是非来てください。参集していただき、ディベートができることを願っている。  さて、今回の講演、三つに分けて紹介しよう。一つはロゴシーズの開発エピソード、一つはロゴシーズを使う方法、三つ目が、なんでロゴシーズなのか、何のために使うのか、まだまだ、ロゴシーズとの付き合いは途上である。道具には全然なっていない。道具にするには、どうしたら良いのか。三つに分けよう。今回はその一回目。  まず、カシオという大きな組織が、ダイビングという超マイナーな業界に参入しようとする。しかも、全く新しい、実はあたらしくはなく、様々な失敗を重ねてきた超音波通話機をもって参入してくる。そのために調査会社によって市場調査をおこなっている。ダイビング業界のことを、おそらく一流であろう調査会社がどのように見ているのだろう。ぼくにとっても初めての知見であり、とてもおもしろく、勉強になった。その勉強から述べて行こう。
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 ダイビングの市場環境 ★ダイビング機材の市場規模: 700ー1000億円 ※0が一つ多いのではないかとまでは言わないが、所詮はムード的な数字である。僕のムードでは、300億だろう。この数字は機材だけの規模であり、講習とか、作業とかは含まないとしてだが。 ★ダイビング全体の市場規模 8千億円 ※これも港湾建設業、水産業を含めないレジャーだけの環境と考えれば、どうだろう。そもそも、千億などというムードにはない自分なのだ。 ★総ダイバー数 2000万人 ※これはもう多すぎる。 ★アクティブなダイバー数 400ー500万人 ※これは40万前後で推移している。事故死者数が毎年20人前後でずっと横ばいでいる。僕のムード的統計?では、死亡事故は2万人に一人だから、400ー500万ならば、年間200人から250人の死亡事故数になる。 ★あらたなダイバー数(初心者)毎年100万人 ※Cカード発行数がこれまでの最高で10万人ていど、最近は5万を切っているらしい。 ★市場の成長率 0% ※マイナス成長率になっているのではないか? ★現在の水中通話機の市場 なし。  これをブログで発表したら、鈴木さんから、これは国内のことではなくて、世界のことですとメッセージが来た。ええつ!と驚く。業界といったら、国内のことしか考えていないからこういうことになる。世界にも業界があるなんて知らなかった。削除して全部書き直そうとしたが、まてよ、これはこれでおもしろい。 数字を見ていると、0を一つ減らすと国内になるみたい。 ★ダイビング機材の市場規模: 700ー1000億円 ★ダイビング全体の市場規模 800億円 ★総ダイバー数 200万人 ★アクティブなダイバー数 40ー50万人 どうだ。ぴったりではないか。日本は世界の十分の一。  これがずっと同じ状態で続いていて、「時が止まっている世界」 
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 ★保守的な村社会を決まったプレイヤーで分け合っている。1980年代のビジネスモデルのまま現在に至る。 ※なるほど、1980年の始めにPADIが引っ提げてきたアメリカのビジネスモデルが、僕たちの1970年代のモデルを打ち破り、そのまま維持されて今日にいたっている。  スクーバの始まりから、ビジネスモデルという視点で考えて見て行こう。 1960年代、10ー50人ぐらいのダイビング倶楽部ができ、少し目端の利く人がダイビングの小売り業を始める。倶楽部がショップに成長していく時代だ。僕などは、ビジネスと考えたことも無かった。当然、ビジネスモデルはない。  そして、1970年代、1973年に僕が雑誌「海の世界」に書いた。ダイビングを仕事(ビジネス)にするには、ツアーとか講習に力を入れてはだめだ。とにかく機材を売る。機材を小売り価格で売るためのサービスとして、講習がありツアーがある。そのお店で機材を買わない人は遊んでもらえない。これが1970年台のビジネスモデルであろう。 アメリカのビジネスモデル、講習のマニュアル化、システム化で、講習もお金儲けになる。プラス、機材販売。二つがオーバーラップした1980年代の前半が一番良き時代だったのだ。たいていのショップはここでお金を残した。このビジネスモデルが死守できれば良いが、時の流れには勝てない。量販店、ネット販売が中心となり、ダイビングショップとしては、必勝のビジネスモデルはもはや見つからない。つまり、ビジネスモデルは崩れ、業界は危機感を持っている。 現地のサービスもピークは越えていると思う。 実は、こういう視点でダイビング業界を見たことは、2000年まで、なかった。この要諦を知っていて動いた人は成功した。アメリカのPADIは、1970年代から知っていて戦略を持っていたのだろう。  そして、次のビジネスモデルはどうなるのだろう。自分なりの考えはあるが、まだよくわからない。国際的なビジネスとしては、もうマーケットは日本を離れて、アジア諸国に移っている。テックダイビングにしても、レジャーダイビングにしてもそうだ。そこで、国際的なビジネスモデルと、日本の時代遅れのビジネスモデルとの競合、これも、苦もなく押しつぶされる。とか、いろいろおもしろいので、それぞれ、考えてみると良い。自分も考える。  ダイビング業界のビジネスモデルに変化がないと言うよりも、古いビジネスモデルを死守しつつ、時代に流されているという表現をぼくはしたい。  ★価格 ブランド化し、高級商品の価格を維持して売る。 ※それができれば、苦労はない。  ★流通 系列店を作り上げ強力に支配する・ ※これはCカードという商品についてはその通りだが、機材については、夢だろう。成功者、強者の論理だ。  これこそは国内のことだと思った。 聞いてみるとこれも世界のことだという。 固有名詞は違っても、日本と世界は同じ村社会か。  アメリカのことを考えてみよう。僕はアメリカ人ではないから、海のこちら側からの推測だ。たぶんあたっているだろう。 1950年代日本でも進駐軍がダイビングをはじめたように、アメリカでも退役した軍人、特に海軍のUDT,水中破壊部隊や、パラレスキュー部隊の出身者がダイビング倶楽部をつくり、ショップになっていったのだろう。日本では残念ながら伏竜特攻隊だから、歩く潜水だ。海の国日本では水産の潜水が盛んだったが、それはレジャーには結びつかなかった。その辺がすこしちがう。 アメリカでは最初にNAUIができて、日本からアメリカに留学していた、日本アクアラングの浅見さんが第一号のインストラクターだ。浅見と一緒に僕は日本潜水会を始めたから、NAUIとルーツが合っている。 PADIは、USダイバーが始めたから、最初からビジネス指向が強い。日本のPADIがアメリカのPADIに代わったのが1980年だ。それはアメリカとほぼ同時進行のCカード改革だったのだろう。 重ね合わせて不自然ではない。PADIを中心として考えれば、アメリカと日本が同じであってなにも不思議ではなく、このビジネスモデル変革は、イギリスでもフランスでも起こったのだろう。日本で僕たちの1970年までのビジネスモデルが敗退したのと同じく、イギリスでもヨーロッパでも起こったのだろう。 そして、いまや舞台はアジアに移る。 しかし、これは別のストーリーだ。元に戻ろう。  ※総じて言うと、日本では、2010年代は、1980年モデルが維持できなくなり、といって、新しいビジネスモデルも生まれていない。そのため、さらに貧乏人の村社会化が進行する 。世界ではどうなのだろう。  カシオとしては、時計=ダイブコンピューターであるから、悪くない市場であるが、ロゴシーズについては、 調査会社は、「手間、時間、コストが非常にかかる!」と結んでいる。  有線通話による水中レポートでご飯を食べていた自分のこれまでの経験から見ると、これまでいくつかの水中超音波通話機が失敗している。 そして、水中で話すということが一仕事だと知っている。これは市場調査会社にはわからない視点だが、これとてもポジティブではない。これを知っていて、あえてカシオは参入しただろうか。おそらくしたと思う。 人のやらないクリエーティブなものをつくる。 スケールはまるで違うけれど、僕のコンセプトと同じだ。一頃のソニー、ホンダにあったスピリットだ。そういうの大好きだ。 心配なのは、僕が大好きなような計画の成功確率は低い。失敗の可能性が大きいことが、すなわちチャレンジなのだが。  可能性については、最後の結びで述べよう。多分、誰も気づいていない?ちょっとわかりかけている人もいるだろう。カシオの鈴木さんは、わかっているのかな?形而上ではわかっているとおもう。具体的には、やってみないとわからない。今回の講演では、具体的には話されなかった。

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