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Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
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0606 別表第二 -2

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別表第二、その二 僕がこの規則、別表2と本式に対面したのは、196  年、第一回の潜水士の試験の折りだった。試験問題としてお目にかかったのだ。大部分の人は、この別表第二に試験でおめにかかっている。今は別表第二は消滅したので、出会うこともないが、前は、必ず別表第二についてのワンパターンの問題がでた。これさえできれば減圧表については無罪放免だから、やりやすくはあった。 問題、答案用紙には別表第二の必要部分が掲げられていた上で、「一日2回の潜水で第一回目の潜水では、水深25mに130分潜水する。第2回の潜水深度は18mである。2回目の潜水で許される最大の潜水時間を求めよ。」として、52分、70分、108分、126分、135分、五つの数字が示されている。五択である。別表第二には、1日あたりの潜水労働時間の規制がしめされていて、25mの欄での最右端、1日についての潜水時間の表を見ると200分になっている。
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潜水時間の制限は二つの制限がある。一つは、上記の一日についての潜水時間であって、200分であり、もう一つは一回あたりの最大潜水時間である。これは、修正時間を求めて、決めなくてはならない。長くなりすぎるからここでは省略するが、この問題でこの別表第二のすべてが解る良い問題である。しかし、普通には、減圧表はその水深に何分潜ったら減圧停止は何分であるかという使い方しかしないから、面食らう。前もって求め方の参考書を読んでいれば、誰でも解けるが、でなければ、数学が得意でなければ解けない。僕はその第一回の受験だから参考書とてなく、間違ったと思っている。それまで付き合ったどの減圧表には、一日についての潜水時間という概念はない。これは労働時間を制限する為であるが、1日について200分という長さはスクーバダイバーには考えられない。ホースからの送気で、耐寒にも優れているヘルメット潜水の時間である。その点で、この表は世界にもない。優れたものとも言えるが、修正時間はこれも、計算尺を図表化した別表第三で求めなくてはならず、現場では、計算尺が必要である。当時、一般には米国海軍の減圧表が使われることが多く、米国海軍の表と、別表第二とは、上記の一日あたりの潜水時間などは別として、減圧停止時環などは、酷似している。つまり、現場的には米国海軍の表を使っていればよいわけなのだが、この表は規則であるから、これを使って潜水時間を求めているという証拠を残しておかなくてはならない。この証拠を残しておかなければならないということが業務の潜水の肝である。ガイドダイバーのつけるログは、ダイブコンピューターを使っているから、原則的には、規則違反になった。このようにして、別表第二は、規則として50年間日本の作業潜水の世界に君臨、支配してきた。支配の結果、減圧症の罹患率は米国海軍の表とほぼ同じか、表を遵守している限りは、むしろ低かったのであろう。もちろんダイブコンピューターのマルチレベル頼りで無減圧限界範囲では、一日あたりの潜水時間制限のないレクリエーショナルダイビングよりも低くて当然だろう。すなわち、別表第二は、50年間その役割を立派に果たしてきたわけだ。現場的には、別に改正の必要もなく、国家試験の問題も例にあげた問題が定番ででるから予想もしやすく、準備講習の山場をつくることもできた。それらのこともあって、一つの減圧表が改正されることなく50年間も作業ダイバーを護り続けて来たのだ。一般社会通念ならば、表彰ものだ。しかし、自分もそうなのだが、減圧症を研究する学者や、最先端の知識を求めるダイバーたちからは、目の敵にされた。研究の成果が反映されることもなく、時が止まっている。一方で、元来、作業ダイバーは職人であるから、自分の業の世界に生きている。変革は好まない。保守的である。自分も規則が改正されてしまうまでは、規則の改正を望んでいた。しかし、テキスト、すなわち運用の面では、実勢にそぐわない部分も出てきて困惑することがあっても減圧表については、実務的に大過はなかったのだ。 しかし、時代は移る。深い潜水は混合ガスの潜水になり、別表第二は混合ガスに対応していない。また、規則では純酸素の使用を禁じているが、純酸素使用での減圧は、世界では当たり前のことになっている。表は改正せざるをえなくなった。表は規則から全廃され、表を作っている計算式を規則に取り入れた。そして、例示された計算式を安全性の下限として、それ以上安全ならば可ということで、学術的な対応もできるようにした。こうする他は無かったのだと思うが、現場の実務としては、前の方が良かったと思える部分もある。その一つは、40m以深での空気潜水の禁止であった。 続く

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