まず、下がり綱について。 潜水士テキスト平成27年版によれば、関係法令の章で「 第33条、事業者は、潜水業務をおこなうときは、潜水作業者が潜降し、及び浮上するための下がり綱を備え、これを潜水作業者に使用させなければならない。②事業者は、前項の下がり綱には、3メートルごとに水深を表示する木札又は布を取り付けておかなければならない。」 これは、多分違反になる。
補遺として、「本条では、潜水業務でのさがり綱(潜降索ともよばれる)の使用を義務づけている。さがり綱は、潜水方式に関係なく、送気式潜水ならびにスクーバ潜水のいずれの場合にも必要である。さがり綱には、3mごとに水深表示の印を設け、減圧浮上時にはこれを停止深度の目安とする・これにくわえて、さらに細かい間隔で表示を付けることは差し支えないが、3mごとの表示と混同しない表示にすること。」 ここには、原則として、とか望ましい、とかいう語句は見あたらない。つまり絶対なのだ。 ところで今、スクーバでも、また最近の工事で主流となっている送気式のフルフェースマスクでも、この潜降索を使用して潜水しているのを見たことがない。港湾土木などでは、多分、大部分の現場で用意はしているだろう。このごろあまり現場にでたことが無いので、確認していないが、スガ・マリン・メカニックでは、このような潜降索を現場に用意していたことはほとんど無かった。冗談的に、事故が起こったら、すぐに現場に用意しろ、泥棒を捕まえてから縄を綯う、事故が起こってから潜降索をつくる。などとうそぶいていた。 水中レポートでも、通話ケーブルと潜降索が絡み合うので使わなかった。釜石のシステム潜水ではステージで潜降したから、潜降索は使った覚えがない。27歳の時の100m潜水では使ったが水深80mで命綱と潜降索が絡み合って動けなくなり、潜降索ごと上げてくださいと水面に連絡したが、水深60mまで浮上したとき、スタンバイダイバーの安森が潜って来て、なんとか水面まで絡んだロープを引き上げてきて、減圧中にはずしたりした。潮流とか、状況によっては、ホースと潜降索が絡むのはあぶないのだ。 言うまでもなく、一般のスクーバでは、規則通りのさがり綱など見たことなどない。アンカーロープにつかまってとか、ポイントのブイロープにつかまって下りるのは違反なのだ。3mごとの印がついていない。 高気圧作業安全衛生規則の説明をながながとしてきたのは、これが本物の規則であり、例外は認められず、違反していて事故が起これば、アウトなのだ。しつこく言うが、レジャーダイビングでは、お客は潜降索など必要としない。ガイドダイバーとインストラクターで、業務潜水を行っている場合に必須なのだ。もしかしたら、これは須賀がオーバーに誇張していると思うかも知れない。しかし、これは規則なのだ。オーバーもへちまもない。日本の海で業務潜水を行う限り絶対なのだ。ただし、死ななければ問題ない。どんな弁護士を連れてきても、規則違反は許されない。まだ、聞いたことはないが、事故の賠償責任を追及するとき、ガイドダイバーが、潜降索を使っていなかったことが、事故の原因だと、僕が原告、つまり亡くなったレジャーダイバー側の弁護士であったとすれば、この規則を持ち出す。あとでも述べるが、2013年の日本水中科学協会シンポジウムでのTさんの事故例は、潜降索があったら起きなかった。多くの事故で因果関係は見いだすことができる。 それでは、どうすれば良いのか、100人中99人までが遵守できない規則は、改正してもらう他ないのだ。ご存じのようにレジャーダイビング業界は、PADIとかNAUIでインストラクターの大半を占めている。そのインストラクターの多くは業務に従事している。だれもさがり綱は使用していない。ここまでの論理展開がまちがっていると思われたならば、議論に応じる。規則だから、遵守については議論の余地はない。今後どうするかについての議論だけになるはずだ。 続く
補遺として、「本条では、潜水業務でのさがり綱(潜降索ともよばれる)の使用を義務づけている。さがり綱は、潜水方式に関係なく、送気式潜水ならびにスクーバ潜水のいずれの場合にも必要である。さがり綱には、3mごとに水深表示の印を設け、減圧浮上時にはこれを停止深度の目安とする・これにくわえて、さらに細かい間隔で表示を付けることは差し支えないが、3mごとの表示と混同しない表示にすること。」 ここには、原則として、とか望ましい、とかいう語句は見あたらない。つまり絶対なのだ。 ところで今、スクーバでも、また最近の工事で主流となっている送気式のフルフェースマスクでも、この潜降索を使用して潜水しているのを見たことがない。港湾土木などでは、多分、大部分の現場で用意はしているだろう。このごろあまり現場にでたことが無いので、確認していないが、スガ・マリン・メカニックでは、このような潜降索を現場に用意していたことはほとんど無かった。冗談的に、事故が起こったら、すぐに現場に用意しろ、泥棒を捕まえてから縄を綯う、事故が起こってから潜降索をつくる。などとうそぶいていた。 水中レポートでも、通話ケーブルと潜降索が絡み合うので使わなかった。釜石のシステム潜水ではステージで潜降したから、潜降索は使った覚えがない。27歳の時の100m潜水では使ったが水深80mで命綱と潜降索が絡み合って動けなくなり、潜降索ごと上げてくださいと水面に連絡したが、水深60mまで浮上したとき、スタンバイダイバーの安森が潜って来て、なんとか水面まで絡んだロープを引き上げてきて、減圧中にはずしたりした。潮流とか、状況によっては、ホースと潜降索が絡むのはあぶないのだ。 言うまでもなく、一般のスクーバでは、規則通りのさがり綱など見たことなどない。アンカーロープにつかまってとか、ポイントのブイロープにつかまって下りるのは違反なのだ。3mごとの印がついていない。 高気圧作業安全衛生規則の説明をながながとしてきたのは、これが本物の規則であり、例外は認められず、違反していて事故が起これば、アウトなのだ。しつこく言うが、レジャーダイビングでは、お客は潜降索など必要としない。ガイドダイバーとインストラクターで、業務潜水を行っている場合に必須なのだ。もしかしたら、これは須賀がオーバーに誇張していると思うかも知れない。しかし、これは規則なのだ。オーバーもへちまもない。日本の海で業務潜水を行う限り絶対なのだ。ただし、死ななければ問題ない。どんな弁護士を連れてきても、規則違反は許されない。まだ、聞いたことはないが、事故の賠償責任を追及するとき、ガイドダイバーが、潜降索を使っていなかったことが、事故の原因だと、僕が原告、つまり亡くなったレジャーダイバー側の弁護士であったとすれば、この規則を持ち出す。あとでも述べるが、2013年の日本水中科学協会シンポジウムでのTさんの事故例は、潜降索があったら起きなかった。多くの事故で因果関係は見いだすことができる。 それでは、どうすれば良いのか、100人中99人までが遵守できない規則は、改正してもらう他ないのだ。ご存じのようにレジャーダイビング業界は、PADIとかNAUIでインストラクターの大半を占めている。そのインストラクターの多くは業務に従事している。だれもさがり綱は使用していない。ここまでの論理展開がまちがっていると思われたならば、議論に応じる。規則だから、遵守については議論の余地はない。今後どうするかについての議論だけになるはずだ。 続く