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Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
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0417等圧気泡形成

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等圧気泡形成(アイソバリック・バブル・フォーメーション)「混合ガス潜水において、減圧中にヘリオックスから空気やナイトロックスなど、ヘリウムとは異なった媒体の呼吸ガスに変更した場合に、肺内に気泡が生じる可能性があることが指摘されている。呼吸ガスを減圧中に変更するいわゆるガス・スイッチを採用して潜水ショウとする場合は、専門家の指導や助言を得て慎重に対応することが望ましい。」  潜水士テキストからの引用だが、気泡が生じる、つまりAGEのようなことが起こる可能性があるということなのだが、ここで、どのように対応したら良いのか、また予防策があるのならば専門家が書いておいてくれるのが望ましい。  専門家としても、やはり、なにか症状があらわれたら、再圧治療をする他ないのだろう。 20年前、60歳の時の100m潜水でも、このことが指摘されて、やってみなければわからないと、かなり乱暴だが、空気を呼吸して、ヘリオックスのタンクを小脇に抱えて、八幡野で、大西と二人で潜ってやってみた。窒素酔いがどのように消失するかのテストもかねたつもりであった。水深60mまで潜った。僕はあまり酔わなかった。その前に、60mの空気潜水を何度かやって慣らしていたからかもしれない。大西はひどく酔って、ヘリウムに切り替えたら劇的に、瞬間的に窒素酔いが消失したのでおどろいたと言っていた。それから、再び、ヘリオックスから空気にもどした。この時に気泡形成がおこるか、なにか異常があるかと身構えたが、何もなかった。
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60歳の100m潜水では、12%の酸素88%のヘリウムの混合ガスを使った。水深45mまで浮上した時にステージを2分間停止して空気呼吸に切り替えた。さらに33mに浮上して、ステージを停止して、36%OEMに切り替えた。これも別に異常はなかった。だから、僕はガス交換では何事もない人だとも考えるが20年前のことである。それに生体の反応だから、日々の体調でも異なるのだろう。だからやってみる他ない。そして、やはり完全に浮上停止して、切り替えなければならないだろう。潜降索で、あるいは斜面で、40mあたりで停止するつもりでいる。 80歳というのは、異常だし、何のためにやるのか意味がわからない。と言われる。意味と言われても困るが、27歳の時の100m潜水の時、船上からの長い送気ホースでトラブルが起こったので、ガス供給源を海底に下ろすのが、一番安全と考えた。そして、60歳のステージに乗っての潜降は、あまりにもお金が掛かり過ぎた。なんとかもっと手軽に50-60に潜れないのか、とハイブリッドシステムを考えた。ソレが、身障者でも高齢者でも潜れる器材だったとすれば、若いプロダイバーならばさらい安全に潜れるだろうと考えた。  しかし、このガス・スイッチによる気泡形成がそんなに危険なことであるならば、ガススイッチをせず、60-70m程度ならば、終始一貫して空気で潜ったほうが良いということにならないだろうか。ここでまた、窒素酔いは訓練と慣れで軽減することが出来るのか出来ないのかという問題にぶつかる。自分の経験、そして、空気で60mに潜ったほとんどのダイバーの言では、軽減する。古い資料だが、潜水医学入門 スタンリーマイルズ、町田喜久雄訳1971 では、「訓練と経験によって、多くのダイバーは確実に窒素麻酔に対する抵抗性を増強する。」もちろん、自分の潜水では混合ガスを使うが、今回の規則改訂で40m以上は混合ガスでなければ、潜れないことになった。これまで60m-70mまでは慣れによって、作業をして無事に過ごしてきた。混合ガスにすれば、ガス・スイッチの危険が発生するというのでは、潜る作業ができなくなってしまう。定置網の潜水を中心とした、漁業関連の潜水では、60m辺までは、やはり空気での潜水にせざるをえないだろう。
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窒素酔いに限らず、酔いというのは主観的なことで、本人は酔っていないといっても、傍からみていておかしいということは常にある。自分も、60mの潜水で、意識はしっかりしているのに、カメラのピント合わせを忘れたり、浮上するのを忘れたり、幾つかの経験をした。だからといって、潜れないということもなかった。電話線を付けて潜った。  規則というものへの解釈なのだが、潜水の場合は交通事故のように他を傷つけることはない。自分が傷つくだけなのだ。禁止されているのに、自分の責任で、やったのだから、他を恨むことも、責任を追求することもできないというのが、自分の基本的解釈である。ただし、業務命令でやらせる潜水については、本人の責任ではなくて事業者の責任になる。これが業務潜水と、レクリエーショナルダイビングとの大きな違いだ。そして、この部分では、漁業関連の潜水について、大きな問題がある。しかし、潜水士テキストだって、「いろいろあるけれど、がんばって行こう」的なことは書けない。  自分の場合については、60歳のときもそうだったが、高齢になってからの潜水は、身体の内側で起こることへのチャレンジになる。なにもしないで静かに隠居して過ごすのがあるべき姿なのだろう。しかし、それでは生きられない人間にとっては、チャレンジするしかない。自分について言えば、例えば、肺の中で僅かな気泡形成があったとしても、これまでの経験から、それは生命に関わるほどのことではなくて、通常の病気程度であり、悪くても再圧治療で治るものだろうと想定する。若い人で、普通の潜水をしていても、呼吸停止などしないで浮上したのにAGEになったという事をよく聞く、やはり浮上速度が早かったからなのだろうか?意外にも、減圧症よりも、こちらのほうが問題なのかもしれない?お医者さんの回答は常にネガティブである。ポジティブな回答などしたら、事故が起こった時、責任を問われる。潜水士テキストの記述も同じで、大丈夫などとは決して書けない。しかし、それを持って禁止条項であるとしたのでは、潜水などできなくなってしまう。自分の責任で、線を越すしかないのだろう。  ガススイッチについては、混合ガスを使用する場合には、浮上を一旦停止して急激なガス変更をしないようなバルブ操作をするということだろうか。

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