エアバスのオートパイロットのことなど、少し脱線したようだけど、これは、リブリーザにも関連がある。リブリーザは、酸素分圧を自動で電子的に調整しているのだが、それが狂うと、酸素中毒、酸素不足、になる。これは、突然のように起こり、命を落とす。僕が使っていたインスピレーションは、酸素センサーが三つあり、一つが壊れても二つの多数決で決めるようになっていたが、それでも、こわれる可能性がある。酸素センサーは生まものなので、耐用が2-3年だと言われた。耐用が尽きる時は、一緒に尽きる可能性がある。一個3万以上した。一個がだめになるときは、三個一緒に変えた方がいい。早め早めに10万をかけていくのは辛いから、どうしても一個壊れてから変えようと思うだろう。その時は2個同時にこわれているかもしれないのだ。
インスピレーションが、到着した日、2004年1月
酸素分圧の異常に、命を落とすまえに気づけば、ベイルアウトタンクに呼吸を切り替えて、呼吸回路の中のガスを排出して、分圧調整を手動に切り替える。最初から手動にしておけば、間違いないのではないか、と思ったりする。もちろん、手動も間違えがあるが、手動か自動かの議論は成立する。エアバスのように、自動に絶対の自信があれば、この議論は終わる。とにかく、酸素分圧センサーと、炭酸ガス吸収剤がリブリーザーのネックである。炭酸ガス吸収剤も、その効果を残圧計のように測る事はできない。(測ることが出来るものもできたと聞くが、そのゲージも頼りにならないかもしれない。)
セミクローズ(SCR)をまず考えた。CCRのような酸素分圧の電子制御ではなくて、その深度で酸素中毒にならない酸素分圧の混合気体を、ダイバーの酸素消費量だけづつ流すノズルを通して供給する。供給で増えた分だけが、呼吸回路から放出される。だから、気泡は僅かだがでる。普通のスクーバのガス消費量の3分の1ぐらいらしい。3本のタンクが1本で済む。炭酸ガスはやはり吸収材を通して取り除くが、電子制御が無いだけ、ローテクノロジーであり、シンプルである。と思った。
ただし、市販されているSVRは、ナイトロックスを使うように作られていて、水深40mまでしか潜れない。すなわち、この潜水機は、浅い水深を、気泡の放出をわずかにして、長時間潜水できる機械なのだ。
だから40mから80mの潜水には使えないのだが、途中でガスを切り替えれば40mを越すことができる。40mから先のガスを別に持って行き、40mのところで空気のタンクのバルブを閉じ、ボトムガスに切り替える。ボトムガスは、水深80mでも窒素分圧が400 KPa を越えないで、酸素分圧も140を越えないガスのタンクのバルブを開けてやればいい。
カタログをリサーチしたら、SCR はKISS GEMというメーカーのものが良さそうだ。これが日本のメーカーが作っているものならば、直ちに相談に行くけれど、アメリカまで行かなくてはならない。どうしても若干の改造は避けられないだろうから、リブリーザーの権威である田中さんに相談してみた。できそうだ。価格を聞いてみた。およそ70万だという。改造費を入れれば、実際には100万をこえるだろう。60歳の時の100m潜水当時だったら、その後の仕事にも使えるだろうから100万でも問題ないが、現在は事実上、これから先、この潜水機で稼げない。後がないのだから、この潜水機だけで100万は痛い。
更に調べてみると、日本でもこのGEMのトレーニングをしてくれるところがある。見ると、10年前のインスピーレーションのシステムとほとんど同じだ。
僕のセミクローズのイメージは、日本アクアラングでも扱っていたドレーガーだったのだが、ずいぶんと電子自動化が進んでいる。
ネットでは、「この機材は、警告なしにあなたを殺す可能性があります。冗談ではありません」という説明がまずでてきた。読むと、メンテナンスとか部品の交換をきちんとやらないといけないし、操作を間違えると死ぬ。冗談ではないのだ。シンプルなローテクかと思っていたのだが、やはり、電子部分がある。
リブリーザーを使っていたら、僕の生きてきた時代、50年のダイビングライフで、2回か3回は死んでいる。電子と化学的炭酸ガス吸収はやばい、という僕の直感は正しかった。ヒヤリハットとよくいうけれど、ヒヤリもハットもなく、おさらばだ。もっとも、アメリカでは、このくらい脅しておかないと、訴訟で勝てないのだろうから、脅しかもしれない。でも、冗談ではない、と言っている。とにかく、勝手にガスの水中での交換などできそうにない。
今更、安全潜水なんてことはいわないが、80歳、半ば死にかけている後期高齢者でも80mまで潜れる安全な潜水機の開発を目標としている。
とりあえずは、SCRの改造は、やめておこう。ベイルアウトタンクが、命の綱ならば、ベイルアウとタンクだけで潜ってしまおう。
リブリーザについては、権威者になるか、それともやらないか、のどちらかだろう。これから、権威者になる時間はのこされていない。1996年の100m潜水に引き続いて、リブリーザーにダッシュしていれば、権威者になれたかもしれないが、過ぎたことだ。
一番信じられるのは、やはり60年付き合ってきたオープンサーキットだ。
インスピレーションが、到着した日、2004年1月
酸素分圧の異常に、命を落とすまえに気づけば、ベイルアウトタンクに呼吸を切り替えて、呼吸回路の中のガスを排出して、分圧調整を手動に切り替える。最初から手動にしておけば、間違いないのではないか、と思ったりする。もちろん、手動も間違えがあるが、手動か自動かの議論は成立する。エアバスのように、自動に絶対の自信があれば、この議論は終わる。とにかく、酸素分圧センサーと、炭酸ガス吸収剤がリブリーザーのネックである。炭酸ガス吸収剤も、その効果を残圧計のように測る事はできない。(測ることが出来るものもできたと聞くが、そのゲージも頼りにならないかもしれない。)
セミクローズ(SCR)をまず考えた。CCRのような酸素分圧の電子制御ではなくて、その深度で酸素中毒にならない酸素分圧の混合気体を、ダイバーの酸素消費量だけづつ流すノズルを通して供給する。供給で増えた分だけが、呼吸回路から放出される。だから、気泡は僅かだがでる。普通のスクーバのガス消費量の3分の1ぐらいらしい。3本のタンクが1本で済む。炭酸ガスはやはり吸収材を通して取り除くが、電子制御が無いだけ、ローテクノロジーであり、シンプルである。と思った。
ただし、市販されているSVRは、ナイトロックスを使うように作られていて、水深40mまでしか潜れない。すなわち、この潜水機は、浅い水深を、気泡の放出をわずかにして、長時間潜水できる機械なのだ。
だから40mから80mの潜水には使えないのだが、途中でガスを切り替えれば40mを越すことができる。40mから先のガスを別に持って行き、40mのところで空気のタンクのバルブを閉じ、ボトムガスに切り替える。ボトムガスは、水深80mでも窒素分圧が400 KPa を越えないで、酸素分圧も140を越えないガスのタンクのバルブを開けてやればいい。
カタログをリサーチしたら、SCR はKISS GEMというメーカーのものが良さそうだ。これが日本のメーカーが作っているものならば、直ちに相談に行くけれど、アメリカまで行かなくてはならない。どうしても若干の改造は避けられないだろうから、リブリーザーの権威である田中さんに相談してみた。できそうだ。価格を聞いてみた。およそ70万だという。改造費を入れれば、実際には100万をこえるだろう。60歳の時の100m潜水当時だったら、その後の仕事にも使えるだろうから100万でも問題ないが、現在は事実上、これから先、この潜水機で稼げない。後がないのだから、この潜水機だけで100万は痛い。
更に調べてみると、日本でもこのGEMのトレーニングをしてくれるところがある。見ると、10年前のインスピーレーションのシステムとほとんど同じだ。
僕のセミクローズのイメージは、日本アクアラングでも扱っていたドレーガーだったのだが、ずいぶんと電子自動化が進んでいる。
ネットでは、「この機材は、警告なしにあなたを殺す可能性があります。冗談ではありません」という説明がまずでてきた。読むと、メンテナンスとか部品の交換をきちんとやらないといけないし、操作を間違えると死ぬ。冗談ではないのだ。シンプルなローテクかと思っていたのだが、やはり、電子部分がある。
リブリーザーを使っていたら、僕の生きてきた時代、50年のダイビングライフで、2回か3回は死んでいる。電子と化学的炭酸ガス吸収はやばい、という僕の直感は正しかった。ヒヤリハットとよくいうけれど、ヒヤリもハットもなく、おさらばだ。もっとも、アメリカでは、このくらい脅しておかないと、訴訟で勝てないのだろうから、脅しかもしれない。でも、冗談ではない、と言っている。とにかく、勝手にガスの水中での交換などできそうにない。
今更、安全潜水なんてことはいわないが、80歳、半ば死にかけている後期高齢者でも80mまで潜れる安全な潜水機の開発を目標としている。
とりあえずは、SCRの改造は、やめておこう。ベイルアウトタンクが、命の綱ならば、ベイルアウとタンクだけで潜ってしまおう。
リブリーザについては、権威者になるか、それともやらないか、のどちらかだろう。これから、権威者になる時間はのこされていない。1996年の100m潜水に引き続いて、リブリーザーにダッシュしていれば、権威者になれたかもしれないが、過ぎたことだ。
一番信じられるのは、やはり60年付き合ってきたオープンサーキットだ。