27日、今年最後のお台場の海、毎月、最終日曜日が定例の調査撮影会だ。
お台場の海、の意味。東京っ子にとって、唯一の自分の地先の海だ。僕というダイバーにとって、自分の地先の海があり、そして、調べたり、遊んだりの海がある。
調べたりする海も、何回も通うホームグラウンドといえる海があり、これは過去を振り返ると、ずいぶん変転している。八丈島であったこともあれば、三宅島であったこともある。今、この10年来は、房総半島、そして、最近では東京外湾、内房の海がホームグラウンドだ。遊びに行く海では慶良間が大好きだ。
しかし、お台場が地先の海だ、地先とは、自分の住んでいる地のすぐ先、泳いでも行かれる海のことだ。漁師でいえば、共同漁業権区域、自分たちだけが、漁をする権利がある海のことだ。
このお台場の海に潜って、136回目になる。ようやく、ダイバーが潜っている姿が、違和感を持たないで眺められるようになったのかもしれない。
このところ、気管支カタルで、咳がとまらず、打ち伏している。でもとにかく、拘束衣(ドライスーツ)を身に着け、体全体、肩、腰、足に、合計13キロの鉛を貼り付けて、さらに10リットル、15キロの重荷を背負って立ち上がった。波打ち際まで歩いていく。心臓の鼓動が聞こえる。定期的に安定しているようで、特に不整脈ではない。が、音が聞こえる。
ドライスーツでタンクとウエイトと背負って、体をこごめて、フィンを履くことができないので、鈴木君に手伝ってもらう。フィンが一人で履けなくなるようなことになるとは、思っても見ないで、これまで過ごしてきた。
水に入り体を浮かせると、リラックスできる。お台場は波も流れもないから、水に入った瞬間に、体をらくにさせることができる。
透視度は1-2m程度ある。ところによっては3m見えるかもしれない。水温は14度で、僕は手袋をしていない。手の触感を大事にするので、8度ぐらいまでは手袋なしで我慢してしまう。手袋をすると、人間の能力は50%減になると僕は思っている。
このところの僕のテーマは、90mのラインを引いて、ラインに沿って、動画を撮る。その年度、例えば2015年、冬のお台場の海底は、どうだったのか、その様相を記録しておくためには、この方法が良いとおもいついて、この秋からこの方法で撮影している。
言葉で表現すれば、動く、ハゼ一尾、見つからない。カニが動くこともない。何も動かない。牡蠣殻が広がっている。牡蠣殻に付着生物は付いていないが、生きている牡蠣も少ないようだ。
このごろ、メキシコのセノーテで、繊細な鍾乳石に身体を触れないようにサイドマウントの水平姿勢でフロッグキックを緩やかに使って、滑るように泳ぐ映像を三保先生などがよく見せてくれる。そのイメージで、水深50cmを滑るように泳いでみようとやってみる。なんとか、できているみたいだが、体が前後に揺れて、滑るようには行かない。まあ、どうでもいい。
戻り道は、生き物を探しながら戻ったが、めぼしい生き物は見えなかった。
この潜水は、研究調査が主目的に申請している。僕の調査は記録研究だが、メンバーそれぞれは、自分のテーマを持っている。持たなければ、いけない。
元東邦大学教授で、東京湾の生物環境では第一人者の風呂田さんは、二枚貝をターゲットにしている。金枠を人口砂浜の水底に置いて、枠内の砂を全部取ってきて、篩にかけて、二枚貝の稚貝を探し数える。もちろん成体も採取して測定するが、米粒のようなアサリの稚貝を数えて測定する。
ゴカイ、(多毛類)をテーマにしているメンバーは、尾島さん、自見くん、多留さんで、牡蠣殻などを採集してくる。これはパレットに開けてピンセットで丁寧に見ていく、他の採集方法もあるのだろうが、海底を掬ってきて、細かく見ていく。
多毛類は、春夏秋冬、何時でも居るし、種類も多様でお台場にだけしかいない種類もある。これを双眼顕微鏡でのぞいてみると、美しい龍のようなのも居れば、かわいいと思えるのも居る。多毛類の分類は、趣味としても悪くはない。
目的としたラインの撮影も終わったので、咳も出ることだし、一回の潜水でやめようかとも思ったが、でも、月に一回のチャンスだ。
今度は誰の助けも借りないで、一人で両の足のフィンを履くことができた。
今度も魚もカニも見えない。カニを呼び出して見ることにした。岩に付いている牡蠣だが、生きているのもところどころで見える。まだ小さい。もっと小さい牡蠣も付いていてやがては育つだろう。牡蠣はプランクトンを濾しとって食べて育つのだからどんどん大きくなる。ただ、塩分濃度が極端に低く、真水のようになると死んでしまって牡蠣殻になる。育っては死ぬ繰り返しだから、海底は牡蠣殻で覆われる。
小さい生きている牡蠣にナイフを差し込んで、開き、岩と岩の間に置く。カニはどこにも見えない。10秒もしないうちに動くものがある。小さいカニが出てきた。親指の爪くらいの大きさだ。牡蠣の身に取り付く、しかし、すぐに逃げる。次の瞬間、もう少し大きいカニが現れる。岩の下から這い出て来る。
三尾ぐらいが取り付く、と岩の下から少し居大きい、3cm、いや、4cmはあるかなという奴が出てきて小さいカニを追い払う。小さい牡蠣なので、カニが引きずって、岩の下に持ち込もうとする。とさっき追い払われた小さい奴が、大きい奴に体当たりをする。そのまま岩の下で、押し合いをしているみたいだ。表に出てきて闘いの様子を見せてもらいたい。牡蠣殻をつまんで、広場、といっても20cm平方ぐらいの広場だが、広場に持ち出すと。カニは全部引っ込んでしまった。2分ぐらい待ったが出てこない。おそらく、5分待てば出てくるだろうか、何故かその気にならなくて、その場を離れてしまった。
この状況を撮った動画をYUOTUBEに出した。僕は面白いと思うのだが、フェイスブックでもこの動画は地味であまり人気がないようだ。
これで、今年は本当に潜り納め。
お台場の海、の意味。東京っ子にとって、唯一の自分の地先の海だ。僕というダイバーにとって、自分の地先の海があり、そして、調べたり、遊んだりの海がある。
調べたりする海も、何回も通うホームグラウンドといえる海があり、これは過去を振り返ると、ずいぶん変転している。八丈島であったこともあれば、三宅島であったこともある。今、この10年来は、房総半島、そして、最近では東京外湾、内房の海がホームグラウンドだ。遊びに行く海では慶良間が大好きだ。
しかし、お台場が地先の海だ、地先とは、自分の住んでいる地のすぐ先、泳いでも行かれる海のことだ。漁師でいえば、共同漁業権区域、自分たちだけが、漁をする権利がある海のことだ。
このお台場の海に潜って、136回目になる。ようやく、ダイバーが潜っている姿が、違和感を持たないで眺められるようになったのかもしれない。
このところ、気管支カタルで、咳がとまらず、打ち伏している。でもとにかく、拘束衣(ドライスーツ)を身に着け、体全体、肩、腰、足に、合計13キロの鉛を貼り付けて、さらに10リットル、15キロの重荷を背負って立ち上がった。波打ち際まで歩いていく。心臓の鼓動が聞こえる。定期的に安定しているようで、特に不整脈ではない。が、音が聞こえる。
ドライスーツでタンクとウエイトと背負って、体をこごめて、フィンを履くことができないので、鈴木君に手伝ってもらう。フィンが一人で履けなくなるようなことになるとは、思っても見ないで、これまで過ごしてきた。
水に入り体を浮かせると、リラックスできる。お台場は波も流れもないから、水に入った瞬間に、体をらくにさせることができる。
透視度は1-2m程度ある。ところによっては3m見えるかもしれない。水温は14度で、僕は手袋をしていない。手の触感を大事にするので、8度ぐらいまでは手袋なしで我慢してしまう。手袋をすると、人間の能力は50%減になると僕は思っている。
このところの僕のテーマは、90mのラインを引いて、ラインに沿って、動画を撮る。その年度、例えば2015年、冬のお台場の海底は、どうだったのか、その様相を記録しておくためには、この方法が良いとおもいついて、この秋からこの方法で撮影している。
言葉で表現すれば、動く、ハゼ一尾、見つからない。カニが動くこともない。何も動かない。牡蠣殻が広がっている。牡蠣殻に付着生物は付いていないが、生きている牡蠣も少ないようだ。
このごろ、メキシコのセノーテで、繊細な鍾乳石に身体を触れないようにサイドマウントの水平姿勢でフロッグキックを緩やかに使って、滑るように泳ぐ映像を三保先生などがよく見せてくれる。そのイメージで、水深50cmを滑るように泳いでみようとやってみる。なんとか、できているみたいだが、体が前後に揺れて、滑るようには行かない。まあ、どうでもいい。
戻り道は、生き物を探しながら戻ったが、めぼしい生き物は見えなかった。
この潜水は、研究調査が主目的に申請している。僕の調査は記録研究だが、メンバーそれぞれは、自分のテーマを持っている。持たなければ、いけない。
元東邦大学教授で、東京湾の生物環境では第一人者の風呂田さんは、二枚貝をターゲットにしている。金枠を人口砂浜の水底に置いて、枠内の砂を全部取ってきて、篩にかけて、二枚貝の稚貝を探し数える。もちろん成体も採取して測定するが、米粒のようなアサリの稚貝を数えて測定する。
ゴカイ、(多毛類)をテーマにしているメンバーは、尾島さん、自見くん、多留さんで、牡蠣殻などを採集してくる。これはパレットに開けてピンセットで丁寧に見ていく、他の採集方法もあるのだろうが、海底を掬ってきて、細かく見ていく。
多毛類は、春夏秋冬、何時でも居るし、種類も多様でお台場にだけしかいない種類もある。これを双眼顕微鏡でのぞいてみると、美しい龍のようなのも居れば、かわいいと思えるのも居る。多毛類の分類は、趣味としても悪くはない。
目的としたラインの撮影も終わったので、咳も出ることだし、一回の潜水でやめようかとも思ったが、でも、月に一回のチャンスだ。
今度は誰の助けも借りないで、一人で両の足のフィンを履くことができた。
今度も魚もカニも見えない。カニを呼び出して見ることにした。岩に付いている牡蠣だが、生きているのもところどころで見える。まだ小さい。もっと小さい牡蠣も付いていてやがては育つだろう。牡蠣はプランクトンを濾しとって食べて育つのだからどんどん大きくなる。ただ、塩分濃度が極端に低く、真水のようになると死んでしまって牡蠣殻になる。育っては死ぬ繰り返しだから、海底は牡蠣殻で覆われる。
小さい生きている牡蠣にナイフを差し込んで、開き、岩と岩の間に置く。カニはどこにも見えない。10秒もしないうちに動くものがある。小さいカニが出てきた。親指の爪くらいの大きさだ。牡蠣の身に取り付く、しかし、すぐに逃げる。次の瞬間、もう少し大きいカニが現れる。岩の下から這い出て来る。
三尾ぐらいが取り付く、と岩の下から少し居大きい、3cm、いや、4cmはあるかなという奴が出てきて小さいカニを追い払う。小さい牡蠣なので、カニが引きずって、岩の下に持ち込もうとする。とさっき追い払われた小さい奴が、大きい奴に体当たりをする。そのまま岩の下で、押し合いをしているみたいだ。表に出てきて闘いの様子を見せてもらいたい。牡蠣殻をつまんで、広場、といっても20cm平方ぐらいの広場だが、広場に持ち出すと。カニは全部引っ込んでしまった。2分ぐらい待ったが出てこない。おそらく、5分待てば出てくるだろうか、何故かその気にならなくて、その場を離れてしまった。
この状況を撮った動画をYUOTUBEに出した。僕は面白いと思うのだが、フェイスブックでもこの動画は地味であまり人気がないようだ。
これで、今年は本当に潜り納め。