11月15日の波左間調査でROVを使った。ダイバーが潜れる深さだから、ROVを使う必要性が合ったわけではない。人工魚礁をバックにしたROVの走りの、きれいな映像を撮影したかった、すなわち、遊びだった。幸いにして、透視度がよく、願っていたような映像が撮れた。季節もあって、魚礁を覆うようなイサキの群とかがとれなかったが、それ以外ではほぼベストの撮影ができた。
メンバーで話し合ったり、機材を提供してくれた沿岸生態系リサーチセンター(JAU S理事が代表)に映像を届けてオペレーターをつとめてくれた高沢くんを交えて、試写を して、いろいろ語り合ったが予期しなかったいくつかのことがわかり、収穫がおおきかっ た。
これまで、ROVとのつきあいは長い。そのことを書くと、ROVグラフィティになってしまうから、これは別の機会として、僕は、ROVはダイバーが潜れない深さの観察をするものであり、ダイバーとの協働を考えたことは無かった。
今回も、ダイバーが手に持って、目標の人工魚礁まで運んだり、人工魚礁の中、外に移動 させたりするのは、「やらせ」という感覚であり、発表する映像からはカットする部分か と思っていた。なるべく、ダイバーの手を使いたくなかったのだが、流れが速く、とうて いROV の自走では目標に到達できないので、ダイバーが運んだ。もしかすれば、このようなオペレーションが他所では普通に行われているのかもしれないが、魚礁調査のテキストでは、目標の直上にブイを立てて、ブイロープをROVカメラで見ながらたどってROVを潜降させるように書かれている。とにかく、潜水とROV 調査は別のもので二者択一であったことの方が多かったと思う。ROVの調査はダイバーがもぐれない60m以上の場合の主たる観察手段となっていた。会社によっては、観察撮影はROVのみで、浅いところでも、ROVでやったりもするが、ダイバーとの協働の運用方法のマニュアルはなかったと思う。
今度の高気圧作業安全衛生規則の改正で、空気を呼吸するダイバーは40m以上潜れな くなった。混合ガス潜水はヘリウムが高価であること、装備に大きなお金が掛かることな どで、人工魚礁調査のような目的に使用することは、コスト的にできなくなった。
たとえば、水深70mから40mまでの高さの高層魚礁などの調査では、今回のように 高層の頂上までダイバーが持ってきて、降下させてダイバーは上にいてリードをするとい い。あるいは40m未満でも、長時間観測などでは、ダイバーとROVの協働が通常の手段として用いれば有効である。
ROVを潜水するダイバーが使う道具としての位置づけとする使い方ができる。