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Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
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1115 波佐間 ROV

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  メッセージで連絡しあっている。便利だ。11月14日波左間は雨で波も高かった。明日はもっと悪くなるかもしれないと、波左間海中公園のオーナー荒川さんは心配している。どうしよう、僕も心配になった。
 明日朝6時に荒川さんからの連絡ではんだんしよう、と
決めた。6時に決めて。6時10分に行動開始すれば、十分に間に合う。
 先週の次に今週と続けた理由は、自走式カメラ、ROVを走らせて見たかったからだった。ROVを借りる沿岸生態系センターの社員高沢君への連絡も0610と決めた。
 4時に目覚めたが、起きあがるのは5時でよいと、思っていたのが二度寝してしまった。ハット目覚めたのが0609、メッセージを見ると、荒川さんが0500に現在凪という通信を入れたために、小俣さんはじめ、みんな0600に行動を開始してしまっている。Fちゃんの車も動き始めている。迷ってなどいられない直ちに「了解」のメッセージを入れて高沢君に電話を入れた。
 メッセージという連絡手段がなければ、遅刻して、みんなに迷惑をかけるところだった。
 館山到着は0900、海岸通りを走りながら見る海は平らだ。天気は雨。
 
 波左間は満員のお客さんで、僕たちのようなダイビングの面倒をかけるのが、申し訳がない思いがある。時間をかけて機材準備をする。
 11時、第一回のダイビングから戻ってきた荒川さんが、ボートは小さい方しか出せないと恐縮したようにいう。凪ならば大丈夫と答えをかえす。
 波左間魚礁群でまだ見ていない13番と14番を見たい。ブイが切れてしまっているが、魚探で探せばすぐに見つかるだろう。位置としては、先週潜ってブイを付けなおした2番の岸側に位置していて、大きい魚礁だから。
 ただし、すかすかの魚礁だから、魚の集まりが悪く、今度、定置網の廃網をかぶせて見ようと思っていると荒川さんはいう。
 魚探に魚の反応があった。安い魚探なので、魚礁の形はくっきりとはでない。仮ブイを入れて、荒川さんがロープを持って飛び込む。潜水時間がながびいている。もしかして見つからないのでは、と不安になる。
 やはり見つけられなかった。GPSを持ってくればよかったと思う。カメラや、スマホのGPSでは、トラッキングができない。その周辺をいくら探しても魚礁の反応がでない。荒川さんはもう一度潜るが、見つからない。時間は過ぎていく。二番と岸の目標を結ぶ線上で水深30m線を探せば出ないわけはないのだが。少し風がでてきたように感じる。12時半をすぎた。タイムリミットだ13ー14をあきらめて、先週潜った2番に再び行くことを決断する。

 調査の絵としては、インターバル撮影カメラとROVが互いに写り合うシーンがほしい。時間が押しているので、インターバルカメラの準備に焦る。二回も確認しているのに次々にカメラバッテリー切れがでる。投入するが流れが強くて流されている感じだそれでも4台入れた。うち、一台は手で動かして魚礁の中に入れるつもりだ。
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 とにかくROVを入れよう。今回は、いつも僕をガードしてくれるFちゃんに撮影に専念してもらって、僕のガードは山本さんにお願いする。
 お願いする絵は魚礁と魚をバックにして、ROVが走る絵だ。インターバルとROVとのコラボレーション撮影はこの流れでは無理だ。

 ROVを魚礁に到達させるためには、魚礁からまっすぐ立つブイを入れて、ロープをカメラで見ながら降下していく、それも、ちょっと目から離れると到着しない。この流れでは無理だ。まっすぐなブイも打てない。小俣さんに手持ちで魚礁に持っていってもらう。
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 ダイバーは空気を呼吸する限り、40mまでしかもぐれなくなった。40mまでダイバーが持ち込み、位置を決めて放して降下させるようなオペレーションも今後は必要になるだろう。

船のうえで、ROVの動きに指示する。
体調はあまりよくない。ドライスーツだ。流れもある。僕が撮影したとて、どのような変化が撮れるか、たいしたことはない。しかし、ダイビングをするために生きているのだから、そして、どうしても自分の目で見たかった。

 山本さんを促して、潜水の準備を始めた。飛び込む、流れは強いけれど、なにほどの流れでもない。しかし、ロープのところまでが思うように進まない。ドライスーツと、付けている10キロのウエイトの質量移動がきついのだ。が、息をはずませるほどのものではない。マスクから水が入ってきた。最近、信頼をしているスーパーワイドなのに、顔に付けるときにしっかりやらなかったためだろう。それとも飛び込みでずれたか。片手にカメラを持ち、片手はロープを掴んでいるから、マスクをなおせない。姿勢が不安定になる。なんとかマスクをなおして、沈み、魚礁の方向に泳ぎだすと、目の前をROVの黄色いケーブルがのびている。するすると走って行ったが、途中で止まったので、追い越していく。

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 赤いキンギョハナダイと、縦縞のキンチャクダイが目にはいる。美しい。山本さんが手持ちでROVを魚礁の中、インターバルカメラのところまでROVをつれてきてくれる。
 魚礁の中でROVを撮る。透視度のよいときに、魚礁とROVを撮る。一つの小さな願いを撮っている。嬉しい。
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 ウマヅラハギがやけにきれいに見えた。
 浮上する。ウエイトベルトがずれている。海底まで降りなかったので、締めなおすことができなかった。
 減圧停止を終了してボートにもどる。8日には自分の力だけで梯子を上れたのに、手助けを受けてタンクをはずして受け取ってもらう。梯子の最後の段で、船縁をまたぐことが難しいのだ。こんなことができなくなるとは、つらい。
続く

 2回目のダイビングはパスした。インターバルカメラをあげるだけ、二つのカメラが絡み合って沈んでいてあげるのに苦労だった。
 帰り道、いつもファミレスのココスで食事しながら、プレビューを見る。Fちゃんの撮ったキヤノン10Dの映像が、美しい。これまでの人工魚礁撮影のなかで最高の美しさだ。
 どのように編集して12月シンポジウムで見せるか、話し合った。僕は5分の映像が作れると思うのだが、撮影したFちゃんは3分だという。
 それはそれとして、僕は3月の魚礁研究会で、この映像をとにかく美しい人工魚礁の映像として発表しよう。会場の映写設備では、このきれいさはでないかもしれないが。

 今度のシンポジウムでの発表と報告書の作成について、大筋が頭の中にかたまった。当初、波左間の魚礁群を比較して見るような考えだった。それと魚の蝟集状況の季節変化を追いたいと思った。
 そして各魚礁について、データを解析しようと考えた。しかし、10回の調査で、これだけ膨大な映像資料とあつめてしまうと、その分析など不可能に近い。時間がかかりすぎる。簡単なコメント付きアーカイブと、報告までしかできない。しかし、それで、研究者ではない僕たちの調査としては、それで十分であり、価値のあることだと思う。
 誰も見たことがない、見ることが無い人工魚礁群が全国にひろがっている。ここ館山でも波佐間と隣の西崎そして塩見、これは僕が潜ったところ、その他のところでは、アーカイブがない。僕の場合にもきちんと整理されては居ない。
 その保存の方法を検討してスタンダードを作ろう。それを発表する。
  

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