事故についての雑感
このところ、高齢、事故などについてかいたものを並べた。
☆事故レポートについて
しばらく前に、ヨットの落水事故で、セフティラインをつけていなかったのか?と書いたら、内田光則さんが調べてくださった。
「アリランレースに向う対馬沖で亡くなった方は、セーフティラインを付けていたそうです。
スターンレーンがあり得ない程曲ってました。引きずられて亡くなったらしいです。外洋艇では30Knt以上だとセーフティラインを付けていても、亡くなる確立は高いそうです。
アメリカンズカップなどでは、逆にラインは着けない方が安全だと言われています。」
ヨットは、完全な自己責任だと聞いているけれど、上記のように外側から見たり聞いたりしている範囲では本当のことはわからない。危険なスポーツそれぞれの、管理責任のあり方を比べて見ると、ダイビングという活動の在り方が見えてくるのではないかと思う。
そしたら、ヨットについては、国際的な渡真利さんが書いてくれた。彼は宮古島の大ダイビングリゾート「24ノース」のオーナーであり、宮古島に行っての僕のダイビングベースだ。最近、行っていない。
渡真利 将博 須賀さん。正確にはセーフティーラインではなくセイフティー・テーザー(safety tether)といいますが、通常は自分の胸元側にワンタッチでリリースできる(構造)仕様になっております。どんな状況でベテランがなぜこのような形になったか、もうしばらくすると詳しいレポートが出て来るものと思います。
須賀 次郎 渡真利さん ありがとうございます。詳しいレポートが出来る、ということ、ダイビングよりもはるかに進んでいる気がします。ダイビング事故で詳しいレポートなど発表されたのは、東大の事故だけです。
振り返ってみれば、1970年代の末から1980年代にかけて、日本のダイビングでの事故報告、レポート制度の確立に努力を傾けたが、僕の力の及ぶところではなかった。最新ダイビング用語事典に載せた表の一部に生かされただけ、しかし、あきらめてはいない。
形を変えてでもなんとかしたい。JAUSのフォーラム、シンポジウムで提案する。
事故の統計だけでなく、もちろん統計も大事だが、事故の具体的なレポートが、だれでも見られる形で存在していることが、一番大事なこと、そして、そのレポートについて、ディスカッションすることが大事。何とか、JAUSでそれができれば、と願うのだが。
☆ 自己責任について、
終始一貫してダイビング活動での自己責任をとなえているが、実は、レクリエーショナルダイビングでの賠償責任保険って、一番安くてお徳用な保険なのだと思う。何が起ころうが、例えば死のうが生きようが、この保険さえかけておけば、訴えられなければ何の問題もない。訴えられれば保険がカバーしてくれる。社会的な責任とか、倫理上の問題とかは一切関係ない。だから、安易に流れないために、視点のちがいで様々なスタイルになるが、安全に関連するすべての研修は有意義であり、常に続けてゆかなければならないものだと思っている。
高齢者のダイビングについて考えると、どうやっても、僕が78歳でダイビングを続けることについて、ネガティブなことになってしまう。「死んだり、生きたりするのは、自分の自由なのだから、好きにさせてくれ!」というのが本当の自己責任で、これが、目指すところなのだが、うまくまとまらない。
もしも、60歳を過ぎ、70歳を過ぎてダイビングを続けたいならば、信頼でき、死ぬことも認めてくれる主治医を見つけること。そして、レクリエーショナルダイバーならば、賠償責任とか、管理責任の絆ではなく、人間として信頼できるガイドダイバーなり、インストラクターを見つけることだ。そのインストラクター、ガイドダイバーの年齢は関係ない。
☆降圧剤について、山本徹さんのフェイスブックから・
渡真利 将博
私は中高年が服用している薬について、高圧下での臨床結果に興味がある。多分そんな臨床実験はしてないだろうけど。現場側から見て、少なくとも薬の種類によって高圧化の影響があるような気がする。
須賀 次郎 僕は、降圧剤を飲むことに最後まで抵抗して、食事、運動にこだわりましたが、90-140より下に下がらず、70歳の時に、動脈硬化の方が問題になり、主治医の河合先生から、今後は降圧剤を飲まなければ潜水してはいけない。もっと早く、65歳ぐらいで、そうしておけばよかったと言い渡され、その後は薬漬け?毎日降圧剤を飲み、60-130を維持し、ダイビングを続けています。多分、僕の結果について、先生は論文を書くはずで、メッツの測定、は、これまでに4回、潜水中の血圧測定、検査をくりかえしています。降圧剤の高圧についての効果は、80歳の80mで明らかにしたいと思っています。
☆メッツの測定について
メッツとは、静かに寝ている、やすんでいる時の状態を基準として、運動がその何倍の強度になっているかの指標です。60歳で100m潜水をしたころの基準では、14メッツをかけて異常がないことが、スポーツダイバーとしての必要条件とされていました。今、ダイビングは8メッツぐらいの運動とされていますが、通常で8メッツならば、緊急事態では12メッツくらいかかる。余裕を見て14メッツとしたのでしょうか。とにかく14メッツをクリアーしなければなりません。
メッツの測定は、大学の病院でスポーツ医学、健康医学を扱っているところならば、たいていその設備があります。
ドレッドミル、(ランニングマシーン)に乗って走ります。体には血圧計、心電図計を着け、医師が監視します。トレッドミルは傾斜で負荷の増減ができるようになっていて、負荷を上げていきます。つまり、メッツとは運動負荷のことなのです。
60歳の時、負荷が増してもあまり苦しくありません。「大丈夫ですか?」「大丈夫です」と答えますが、大丈夫ではなかったらしく、測定を終了して、ベッドによこになります。体を休めたあとから、苦しさが追ってきたようです。しばらく苦しく、その間、心電図が監視されますが、不整脈がだいぶでていたようで、あとで河合先生から話を聞いたところでは、16メッツがかけられたようで、測定した医師にクレームを入れたそうです。測定した医師は、100m潜水について、素潜り、フリーダイビングと誤解していたようで、其れならば、そのくらいかけなければと思ったらしいのです。その時わかったこと、自覚したことは、苦しくなくても限界に達していることがあり、そこで心室細動などがおこれば、すなわち心臓麻痺、この測定をしておかないで、苦しくて耐えられないまでしごいたりすると、死んでしまうかもしれないということです。
70歳の時、再びメッツの測定をしましたが、今度は12メッツでやめ、さらに何年か後にもう一度やりましたが、10メッツでやめました。それ以後は、やっていません。
中高年ダイバーは、この測定をしておく必要があるとおもいます。若くても、ダイバーは、この測定が必要でしょう。
このところ、高齢、事故などについてかいたものを並べた。
☆事故レポートについて
しばらく前に、ヨットの落水事故で、セフティラインをつけていなかったのか?と書いたら、内田光則さんが調べてくださった。
「アリランレースに向う対馬沖で亡くなった方は、セーフティラインを付けていたそうです。
スターンレーンがあり得ない程曲ってました。引きずられて亡くなったらしいです。外洋艇では30Knt以上だとセーフティラインを付けていても、亡くなる確立は高いそうです。
アメリカンズカップなどでは、逆にラインは着けない方が安全だと言われています。」
ヨットは、完全な自己責任だと聞いているけれど、上記のように外側から見たり聞いたりしている範囲では本当のことはわからない。危険なスポーツそれぞれの、管理責任のあり方を比べて見ると、ダイビングという活動の在り方が見えてくるのではないかと思う。
そしたら、ヨットについては、国際的な渡真利さんが書いてくれた。彼は宮古島の大ダイビングリゾート「24ノース」のオーナーであり、宮古島に行っての僕のダイビングベースだ。最近、行っていない。
渡真利 将博 須賀さん。正確にはセーフティーラインではなくセイフティー・テーザー(safety tether)といいますが、通常は自分の胸元側にワンタッチでリリースできる(構造)仕様になっております。どんな状況でベテランがなぜこのような形になったか、もうしばらくすると詳しいレポートが出て来るものと思います。
須賀 次郎 渡真利さん ありがとうございます。詳しいレポートが出来る、ということ、ダイビングよりもはるかに進んでいる気がします。ダイビング事故で詳しいレポートなど発表されたのは、東大の事故だけです。
振り返ってみれば、1970年代の末から1980年代にかけて、日本のダイビングでの事故報告、レポート制度の確立に努力を傾けたが、僕の力の及ぶところではなかった。最新ダイビング用語事典に載せた表の一部に生かされただけ、しかし、あきらめてはいない。
形を変えてでもなんとかしたい。JAUSのフォーラム、シンポジウムで提案する。
事故の統計だけでなく、もちろん統計も大事だが、事故の具体的なレポートが、だれでも見られる形で存在していることが、一番大事なこと、そして、そのレポートについて、ディスカッションすることが大事。何とか、JAUSでそれができれば、と願うのだが。
☆ 自己責任について、
終始一貫してダイビング活動での自己責任をとなえているが、実は、レクリエーショナルダイビングでの賠償責任保険って、一番安くてお徳用な保険なのだと思う。何が起ころうが、例えば死のうが生きようが、この保険さえかけておけば、訴えられなければ何の問題もない。訴えられれば保険がカバーしてくれる。社会的な責任とか、倫理上の問題とかは一切関係ない。だから、安易に流れないために、視点のちがいで様々なスタイルになるが、安全に関連するすべての研修は有意義であり、常に続けてゆかなければならないものだと思っている。
高齢者のダイビングについて考えると、どうやっても、僕が78歳でダイビングを続けることについて、ネガティブなことになってしまう。「死んだり、生きたりするのは、自分の自由なのだから、好きにさせてくれ!」というのが本当の自己責任で、これが、目指すところなのだが、うまくまとまらない。
もしも、60歳を過ぎ、70歳を過ぎてダイビングを続けたいならば、信頼でき、死ぬことも認めてくれる主治医を見つけること。そして、レクリエーショナルダイバーならば、賠償責任とか、管理責任の絆ではなく、人間として信頼できるガイドダイバーなり、インストラクターを見つけることだ。そのインストラクター、ガイドダイバーの年齢は関係ない。
☆降圧剤について、山本徹さんのフェイスブックから・
渡真利 将博
私は中高年が服用している薬について、高圧下での臨床結果に興味がある。多分そんな臨床実験はしてないだろうけど。現場側から見て、少なくとも薬の種類によって高圧化の影響があるような気がする。
須賀 次郎 僕は、降圧剤を飲むことに最後まで抵抗して、食事、運動にこだわりましたが、90-140より下に下がらず、70歳の時に、動脈硬化の方が問題になり、主治医の河合先生から、今後は降圧剤を飲まなければ潜水してはいけない。もっと早く、65歳ぐらいで、そうしておけばよかったと言い渡され、その後は薬漬け?毎日降圧剤を飲み、60-130を維持し、ダイビングを続けています。多分、僕の結果について、先生は論文を書くはずで、メッツの測定、は、これまでに4回、潜水中の血圧測定、検査をくりかえしています。降圧剤の高圧についての効果は、80歳の80mで明らかにしたいと思っています。
☆メッツの測定について
メッツとは、静かに寝ている、やすんでいる時の状態を基準として、運動がその何倍の強度になっているかの指標です。60歳で100m潜水をしたころの基準では、14メッツをかけて異常がないことが、スポーツダイバーとしての必要条件とされていました。今、ダイビングは8メッツぐらいの運動とされていますが、通常で8メッツならば、緊急事態では12メッツくらいかかる。余裕を見て14メッツとしたのでしょうか。とにかく14メッツをクリアーしなければなりません。
メッツの測定は、大学の病院でスポーツ医学、健康医学を扱っているところならば、たいていその設備があります。
ドレッドミル、(ランニングマシーン)に乗って走ります。体には血圧計、心電図計を着け、医師が監視します。トレッドミルは傾斜で負荷の増減ができるようになっていて、負荷を上げていきます。つまり、メッツとは運動負荷のことなのです。
60歳の時、負荷が増してもあまり苦しくありません。「大丈夫ですか?」「大丈夫です」と答えますが、大丈夫ではなかったらしく、測定を終了して、ベッドによこになります。体を休めたあとから、苦しさが追ってきたようです。しばらく苦しく、その間、心電図が監視されますが、不整脈がだいぶでていたようで、あとで河合先生から話を聞いたところでは、16メッツがかけられたようで、測定した医師にクレームを入れたそうです。測定した医師は、100m潜水について、素潜り、フリーダイビングと誤解していたようで、其れならば、そのくらいかけなければと思ったらしいのです。その時わかったこと、自覚したことは、苦しくなくても限界に達していることがあり、そこで心室細動などがおこれば、すなわち心臓麻痺、この測定をしておかないで、苦しくて耐えられないまでしごいたりすると、死んでしまうかもしれないということです。
70歳の時、再びメッツの測定をしましたが、今度は12メッツでやめ、さらに何年か後にもう一度やりましたが、10メッツでやめました。それ以後は、やっていません。
中高年ダイバーは、この測定をしておく必要があるとおもいます。若くても、ダイバーは、この測定が必要でしょう。