航海記をブログにするのって、ちょっと忙しい。しかし、この豊潮丸に乗せてもらうようになってから、毎回全部書いている。僕が何をどんなふうにどんな時に恐ろしがったか、注意したか、にもかかわらず、事故とはちがうけれど、流されて遡るのに辛かったとか、その時その時に海の中で感じたことを書いている。学生がこれを、昔の分も遡って見てくれれば、きっと参考になるだろうと思って頑張っている。もちろん、同行した学生だけではなく、一般のダイバーも、普通のレクリエーショナルダイビングとは、ちょっと違った、スタイルのダイビングについて、何かを感じてもらえるだろう。
7月29日
森田くんの快速艇を豊潮丸に横付けして乗り移り、ダイビングポイント、ブイが打ってあるところに向かう。
森田くんとの付き合いは長い。65歳の時に彼に手伝ってもらった、高知沖の黒潮牧場13号潜水は、僕のダイビングキャリアの中でも、忘れられないダイビングだった。月刊ダイバー連載のグラフィティは、この森田君と一緒に潜って潜水でしめようかと思っている。10月号だ。
一回目の潜水 沖ノ島 赤崎一番
潜水開始 1021 潜水時間 54分 浮上1115 水温25.8度 最大水深15.4M 平均水深 10.8M
到着すると流れがある。豊潮丸での潜水では、流れ恐怖症になっている。森田くんに言わせれば、表面は流れているけれど、下に入ってしまえば、どうともない。という。
中尾先生に、僕は、最後に行来ましょうと、様子を見る。潜降するブイまで25mぐらいだろうか。町田は難なく先頭で到着しているが、里奈が難航している。潜れば流れていないという。透視度が良いから、潜って行っても、良さそうだ。バディの中尾先生に、潜って行きましょうと声をかける。
飛び込んですぐに潜ったが、底でも流れはかなりきつい。
大きな岩の陰に採集対象が多い。キンギョハナダイの群れが見事だ。ニコンAWで撮るが、内蔵フラッシュでは、せいぜい30cmの接写用だから、キンギョの色は出ない。
ニコンAWで撮った(人工光なし)でとった写真よりマスクマウントのGoPro2の方がいい。
中尾先生の採取を手伝う。
ブイから相当に離れたから、流れがあるから、50でターンしようと決めていた。帰る道筋はわからないが、森田くんがガイドして見ていてくれるから大丈夫だろう。
森田の進む方にゆっくりとついていく。50になったので、中尾先生に告げる。彼の残圧は70だ。中尾先生の指差す方をみると、彼のほうが周囲が見えている。ブイのロープが見える。ならばもう少し大丈夫だ。ロープをたどって浮上するのかと思ったら、森田君は、ロープから離れて泳ぎはじめる。もう残圧は40しか無いのにと思いながらついていく。ボートの真下に来たので、浮上してボートに上がる。アルミタンクなのでBC.のポケットに2キロ足してあるので、梯子を上るのがきつい。
上がってしばらくすると、僕達とは別のお客が5人、次々と上がってくる。かなりの年齢の女性と、男性だが、普通の顔をして梯子を上がってくる。それに、この流れだ。レクリエーショナル・ダイビングというのは、しかも高齢なのに、レベルが高いなとおもう。
スキンダイビング・セーフティで、高齢者は、重いタンクを背負わないで済むスキンダイビングがいいなどと書いたけれど、重いタンクを背負えるように、常にトレーニングしていることが大事なのかもしれない。
二回目の潜水 沖ノ島 外頭
潜水開始 1215 潜水時間67分 浮上1312 水温25.8度 最大水深21.2M 平均水深 11M
流れのない穏やかな海面で、少し透明度が悪いようだ。
大きな岩の陰、下、壁面にはヤギがいっぱいだが、ポリプが開いていない。ポリプが開いたならば、見事だろうな、と森田くんにいうと、冬が見事だとか。ヤギのポリプってそんなものなのだろうか、潮時で開くものだと思っていたけど。
毎日のように同じ場所、ダイビングポイントを潜っているのだから、当然といえば当然かも知れないが、森田の後をついていくと、残圧30ぐらいで、船の真下に戻ってくる。ここは、海綿の採取には良いポイントで、学生たちもかなりたくさん採っている。中尾先生の方針としては、学生たちにはなんでも採らせる、自分はセレクトして採っている。
土佐清水に入港、ジョン万次郎の記念館という海の駅がある。閉店してしまっている。此処は、街が遠く、湾の対岸に見える。さすがに徒歩遠足はなく、岸壁でのんびり、つりをしたり、網で魚を掬おうとしたりしてすごす。
そのジョン・マン記念館の前、つまり豊潮丸の前でもあるのだが、「よさこい」の練習が始まった。三々五々、人が集まり、号令をかけた準備体操からはじまり、かなり体育会系の練習だ。体育会系だが、踊りだから自由な雰囲気が感じられて、とても良い市民クラブなんだなあ、と思う。予備軍の子どもたちも、隅のほうで、グループには入らないで、一緒に練習している。
江東区の門前仲町、僕の事務所の前も「よさこい」全国大会の踊り場の一つになっていて、この全国大会は、東京の何箇所かで踊って、最後はお台場での締めになる。遠い土佐清水からも、東京の全国大会に行くのかな、と感慨が深い。
動画も撮ろうとニコンのAWを持ちだした。ところが、AWの動画よりも、スマホの動画の方がきれいなのだ。おどろいた。
気持ちの良い宵だった。今日は徒歩遠足はなかった。