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Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
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0420 ピピン・フェレーラス 3

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 ニュース・ステーションの撮影は中川にまかせて、僕は三浦洋一さんと一緒に日本の海を巡る撮影をしていた。傍ら、ダイビング指導では社会スポーツセンターでの社会体育指導者をダイビング界に導入することのプロデュースをしていた1988年のことだ。第一回の社会体育指導者研修で300人を集めて、茅ヶ崎にあった地産のホテルで一週間の合宿をやった。300人を二つに分けて150人づつだが、振り返れば、よくもそんなことができたものだとおもう。その合宿中、その日の講習を終了して、宿でくつろぎ、仲間と一緒に夜10時からのニュース・ステーションを見た。その日は潮美が、船橋の三番瀬からの水中中継を行う。
潮美が水中からスタジオの久米宏さんに挨拶して、話を始めようとした時、突然、潮美が画面から消えた。見ているこっちもどうした?と騒いだけれど、スタジオも現場も大混乱になったはずだ。5分後に潮美は水中にもどり、機材のトラブルでしたと、言い訳したが、もう放送は成立していない。
 原因は、潮美の空気が無くなったのだった。その日、リハーサルでもぐり、機材もテストした。そして、本番間際では、潮美は久米さんとの会話をどうするかに集中している。リハーサルでは、まだ充分な空気を残していた。100キロぐらいだろう。水深が3mと浅いから、十分だ。と彼女は思っていた。誰かが気を使って新しいタンクに替えた。そのことを潮美は知らない。替えた人は、タンクにビニールテープで封をしてあるものをつかった。そのタンクは誰かが使ったもので、潜水の事を知らない人が、ボンベの肩に貼ってあったビニールテープを再び巻きつけたらしい。終わったら巻きつけておくものだとおもったのだろう。中継現場には潜水をしらないスタッフが沢山いる。誰かが気を使った。
 潮美は自分が潜水直前にゲージチェックをしなかったからいけなかったと、全員に謝ってあるいた。浅いから命に別状はなかったが、中継の費用、おそらく1000万近くのお金が捨てられたことになる。その後、半年ほど、潮美は謹慎することになった。もしも、この日の中継が水深20mからだったら、どうなっただろう。
 日本の高気圧作業安全衛生規則では、空気のチェックは事業者の責任になっていると、僕は彼女をかばったが、本人の責任だとする潮美が正しい。バディチェックなど二人で確認したりするが、最後の最後は自分で確かめる。

      写真で見てもゲージはついていない。

 ピピンの場合にもオードリーが自分でチェックするべきだった。
 ところで、このサボーラのミニボトルにゲージは付いていたのだろうか。付いていれば彼女はチェックしたはずだ。写真で見ると、ゲージは付いていないようだ。欠陥だった。
 
 その遠因はピピンにあると思う。本で読んだだけだが、思い込みが激しく、自己中心敵でわがままであり、AIDAと争いを起こしたりしている。

 ピピンのことを僕のところに持ってきた、おばさんは、キューバの田舎の若者だけどとてもいい子だと言っていた。その自然児のままで成功し、登りつめて行く。その歪、手作りで、お金をかけられない。この事故を起こしたと思う。誰にでもあることだろう。特にダイビングの関係者では、僕を含めてありえると反省する。
 1970年代、アメリカの海底居住のビッグプロジェクト、「シーラブ」で、リブリーザーの炭酸ガス吸収剤が入っていなかったために死亡事故が起こり、アメリカの海底居住計画はストップした。

 ところで、この「ダイブ」、ジェームス・キャメロンが映画化するという。もしかしたら、すでに映画化して、僕は見過ごしてしまったのでは、と慌てたが、未だのようだ。

 いかにも映画的なストーリーである。グランブルーよりもわかりやすいメロドラマにつくれる。グランブルーのラストシーンはよくわからなかった。海に逝っちゃったのか、自殺なのか。その理由も釈然としない。観た者に考えさせようというのは無責任だ。僕は死んだのだと思っている。しかし、スレッドの綱を引いて、海に消えて、映画の終わった後で、どこかに戻ってきていて、続、グランブルーが作られるのかもしれないとも思った。
 
 映像的にも、サボーラは絵になる。そして、160mで、リフトバックが膨らまない。少しだけの浮力で上がろうとするが、速度がない。息が尽きて、リフトバックを手放して落ちてゆく。サポートダイバーが居るのだが、空気を渡そうとしない。ここで空気を吸ったら、肺のダメージがあると思ったのだろうか。100mを越して潜っているダイバーに冷静な判断を求めることはできない。慌てて抱き上げるがすでに呼吸は停止している。映像的だ。
 ネットで調べると、ジェームスキャメロンは、アバターに続く3D映画として、2008年に次回作として話題にしているが、ようやく、2015年1月、ジェニファー・ローレンスの主演での制作を公表している。来年ぐらいには、観られるのだろう。

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