9月5日
イスキアでのダイビング
昨日のキャッスルの前の小さな港にダイビングショップがある。狭い。シャワーはあるが、脱衣の場所がない。ここでレンタルのBC.とレギュレータを借りて、タンクに取り付けて、チェックをする。
真ん中のお姉さんがアシスタント
使う船はゴムボート、インフラタブルボートで、ガイドは白人ではない若い人だ。もう一人、小柄でおっぱいの大きいアシスタントがつく。
さて、僕のダイビングのスタイルだが、自分がガイドできるような海はべつとして、よく知らない海に潜る場合。ガイドが居なければ、ゴムボート、あるいは漁船から、潜降索をおろす。錘とロープ、そしてブイだ。久保さんのスタイルでは、自分が上げることができるブイと、小さいリール、そしてラインを持っていて、潜水した海底から水面に揚げる。僕の場合には、ウエイトベルトにトワイン(5mmほどの索)もしくは漁船にある10mmほどのロープを結んで、ブイを付けて海底に放り込む。これに沿って潜降する。上からロープを下ろすか、下から揚げるかのちがい。両方できることが望ましいが、ぼくは上から放り込む流儀で50年やってきたので、これに固執する。下から揚げる方法もトライしたが、ロープに絡まって危ない思いをした。なお、今ヒヤリ・ハットのことを書こうとしているが、危ない思い、すなわちヒヤリである。相当練習を積まないとこの方法はできない。僕は多分練習しても、もはや上達しないだろう。生兵法は怪我の元だ。
この潜降索からガイドロープをのばして、このロープをランドマークにして潜る。このロープに戻れば潜降索に戻れて、浮上できる。これも僕は50-80mの巻き尺であり、久保さんはリールだ。これも、技術であり、久保さんはでき、僕は出来なくて50年リサーチの仕事をしてきた。もちろんできることが望ましい。
この準備をして、潮を読み(流れの確認)地形の確認、魚探、もしくは陸上の地形、から想定する。大体の場合は適当だ。
ガイドが居る場合には、できる限りガイドを使う。日本国内の場合には意志を通し、確認することができるが、外国の場合は出来にくい。僕の場合、ブロークン、筆談、地図などでなんとかするが、今回のように久保さんがいれば、彼はフィリピンでガイドとインストラクタービジネスをしている。彼に任せる。ただ、もしかしたら彼に僕への遠慮があるのではないかと思う。
ガイドには、困ることがある。サイエンティフィックな潜水では、こちらの望むところ、に最短距離で連れて行ってもらいたいのだが、敵はいろいろなプロセスをたどって、最後に目的地にたどり着いて感動させようとおもっていたりする。良い迷惑だ。そんなパターンにならないといいね、と久保さんと話し合った。
ついでに付け加えておくと、僕のダイビングパターンはすべて直線である。北へ行けば、南に帰ってくる。東に行けば西に帰る。ビーチエントリーならば、岸の方向はいつも意識する。ラインを引いてあればラインに沿って動く。そしてたとえば南北のラインでラインから東に向かえば、西に戻ってくればラインがある。ラインをまたいで西に行くときには別にバディが居れば必ずそのことを告げておく。常に行って戻ってくると基点に戻るというパターンが習慣になっている。
昔、UWN アンダーウォーターナビゲーションという競技をやった。やらせたことがある。コンパスをたよりに3点を周回してくる。浮上したら失格という競技だ。これは、方位と距離に集中している競技だからできる。別のこと、たとえば撮影などをしたら、方向も距離もわからなくなってしまう。水中では常に一つのことしかできないのだ。
ガイドは地形を見てコースをとっている。これは間違いだと思っている。地形はガイドだけしか知らない。一緒に潜るゲストは地形を知らない。だからはぐれる。はぐれれば、「ヒヤリ」である。
もういちど繰り返すけれど、目標地点には最短距離をとって直線で行かなければいけない。前出の潜降索を入れる場合には、目標地点の真上から入れる。これを直上設標と言い、リサーチダイビングの基本である。リクリエーションダイビングでも背中の空気には限りがあるのだから、空気が多いうちに目標地点に達していなければ撮影だってできない。
どこへ行くかわからない散歩、街歩きなどは、陸上だからこそできる。
ダイビング界、体の中の泡がどうなったとか、DECOがでたとか、安全停止がどうのとか、どうでもいいことに議論が集中している。しかし、それよりもなによりも大事なことは、出発点に必ず、しかも空気を残して戻ってくることだ。潜降索のある基点に空気を残してもどってこそ、安全停止もできる。昔、スピアフィッシング時代のスクーバダイビングは、安全停止など無かった。すべてヨーヨーのように潜っては魚をついて、魚をもって水面に浮上する。方向が分からなくなったら浮いて方向を確認する。ついでだからもう少し脱線しよう。このごろお世話になる千葉県波佐間の荒川さんは、その昔、減圧停止などあんまり神経質にしないダイバーだった。僕の方が良く停止した。でも、いまは波佐間のすべてのポイントの潜降索には減圧停止のための掴まりバーがせっちされている。
もう一つ脱線、基点にもどらないドリフトダイビングというのがある。これは基点が一緒に移動する、すなわち船が直上にいて流されるのであれば、安全性の高いダイビングである。ミーティングポイントでボートが待つならば、わかりやすい地形で、ドロップオフに沿って流されてゆけば目印ブイに到達するとか、行く末は浅瀬であるとかいう状況に限る。上にボートもいないで、ミーティングポイントも明確ではないとすれば、危険なダイビングである。つい先日もインドネシアで流されて大事故になった。
僕は流れが読める、始点と終点がはっきりわかるところでなければ、それとも、ブイを曳行してボートがフォローするのでなければ、ドリフトダイビングはしない。
ずいぶん方向違いにながされた。イスキア島にもどらねば。
イスキアでのダイビング
昨日のキャッスルの前の小さな港にダイビングショップがある。狭い。シャワーはあるが、脱衣の場所がない。ここでレンタルのBC.とレギュレータを借りて、タンクに取り付けて、チェックをする。
真ん中のお姉さんがアシスタント
使う船はゴムボート、インフラタブルボートで、ガイドは白人ではない若い人だ。もう一人、小柄でおっぱいの大きいアシスタントがつく。
さて、僕のダイビングのスタイルだが、自分がガイドできるような海はべつとして、よく知らない海に潜る場合。ガイドが居なければ、ゴムボート、あるいは漁船から、潜降索をおろす。錘とロープ、そしてブイだ。久保さんのスタイルでは、自分が上げることができるブイと、小さいリール、そしてラインを持っていて、潜水した海底から水面に揚げる。僕の場合には、ウエイトベルトにトワイン(5mmほどの索)もしくは漁船にある10mmほどのロープを結んで、ブイを付けて海底に放り込む。これに沿って潜降する。上からロープを下ろすか、下から揚げるかのちがい。両方できることが望ましいが、ぼくは上から放り込む流儀で50年やってきたので、これに固執する。下から揚げる方法もトライしたが、ロープに絡まって危ない思いをした。なお、今ヒヤリ・ハットのことを書こうとしているが、危ない思い、すなわちヒヤリである。相当練習を積まないとこの方法はできない。僕は多分練習しても、もはや上達しないだろう。生兵法は怪我の元だ。
この潜降索からガイドロープをのばして、このロープをランドマークにして潜る。このロープに戻れば潜降索に戻れて、浮上できる。これも僕は50-80mの巻き尺であり、久保さんはリールだ。これも、技術であり、久保さんはでき、僕は出来なくて50年リサーチの仕事をしてきた。もちろんできることが望ましい。
この準備をして、潮を読み(流れの確認)地形の確認、魚探、もしくは陸上の地形、から想定する。大体の場合は適当だ。
ガイドが居る場合には、できる限りガイドを使う。日本国内の場合には意志を通し、確認することができるが、外国の場合は出来にくい。僕の場合、ブロークン、筆談、地図などでなんとかするが、今回のように久保さんがいれば、彼はフィリピンでガイドとインストラクタービジネスをしている。彼に任せる。ただ、もしかしたら彼に僕への遠慮があるのではないかと思う。
ガイドには、困ることがある。サイエンティフィックな潜水では、こちらの望むところ、に最短距離で連れて行ってもらいたいのだが、敵はいろいろなプロセスをたどって、最後に目的地にたどり着いて感動させようとおもっていたりする。良い迷惑だ。そんなパターンにならないといいね、と久保さんと話し合った。
ついでに付け加えておくと、僕のダイビングパターンはすべて直線である。北へ行けば、南に帰ってくる。東に行けば西に帰る。ビーチエントリーならば、岸の方向はいつも意識する。ラインを引いてあればラインに沿って動く。そしてたとえば南北のラインでラインから東に向かえば、西に戻ってくればラインがある。ラインをまたいで西に行くときには別にバディが居れば必ずそのことを告げておく。常に行って戻ってくると基点に戻るというパターンが習慣になっている。
昔、UWN アンダーウォーターナビゲーションという競技をやった。やらせたことがある。コンパスをたよりに3点を周回してくる。浮上したら失格という競技だ。これは、方位と距離に集中している競技だからできる。別のこと、たとえば撮影などをしたら、方向も距離もわからなくなってしまう。水中では常に一つのことしかできないのだ。
ガイドは地形を見てコースをとっている。これは間違いだと思っている。地形はガイドだけしか知らない。一緒に潜るゲストは地形を知らない。だからはぐれる。はぐれれば、「ヒヤリ」である。
もういちど繰り返すけれど、目標地点には最短距離をとって直線で行かなければいけない。前出の潜降索を入れる場合には、目標地点の真上から入れる。これを直上設標と言い、リサーチダイビングの基本である。リクリエーションダイビングでも背中の空気には限りがあるのだから、空気が多いうちに目標地点に達していなければ撮影だってできない。
どこへ行くかわからない散歩、街歩きなどは、陸上だからこそできる。
ダイビング界、体の中の泡がどうなったとか、DECOがでたとか、安全停止がどうのとか、どうでもいいことに議論が集中している。しかし、それよりもなによりも大事なことは、出発点に必ず、しかも空気を残して戻ってくることだ。潜降索のある基点に空気を残してもどってこそ、安全停止もできる。昔、スピアフィッシング時代のスクーバダイビングは、安全停止など無かった。すべてヨーヨーのように潜っては魚をついて、魚をもって水面に浮上する。方向が分からなくなったら浮いて方向を確認する。ついでだからもう少し脱線しよう。このごろお世話になる千葉県波佐間の荒川さんは、その昔、減圧停止などあんまり神経質にしないダイバーだった。僕の方が良く停止した。でも、いまは波佐間のすべてのポイントの潜降索には減圧停止のための掴まりバーがせっちされている。
もう一つ脱線、基点にもどらないドリフトダイビングというのがある。これは基点が一緒に移動する、すなわち船が直上にいて流されるのであれば、安全性の高いダイビングである。ミーティングポイントでボートが待つならば、わかりやすい地形で、ドロップオフに沿って流されてゆけば目印ブイに到達するとか、行く末は浅瀬であるとかいう状況に限る。上にボートもいないで、ミーティングポイントも明確ではないとすれば、危険なダイビングである。つい先日もインドネシアで流されて大事故になった。
僕は流れが読める、始点と終点がはっきりわかるところでなければ、それとも、ブイを曳行してボートがフォローするのでなければ、ドリフトダイビングはしない。
ずいぶん方向違いにながされた。イスキア島にもどらねば。