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Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
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0203 サイエンス・ダイビングからの想いで

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 今書いている「サイエンス・ダイビング」から派生するような思いでをぼつぼつとblogにも書いて行こう
 写真は、1970年か1971年、福島県相馬沖のの人工魚礁です。1.5m角のコンクリートブロックが一段でひろがっている。大きな有線ライトで照らしています。今、サイエンス・ダイビングという本を執筆していて、人工魚礁のことも書いていますが、1970年代、撮影のライトは、船上に発電機を置いて、有線の1キロワットをつかっていました。このライトケーブルが命綱にもなっていたのです。これですくわれたことも幾たびか。


 写っているダイバーは福島県水産試験場の鉄人ダイバー、大和田さんです。首からニコノスⅠ 型をぶら下げています、
 なぜ、鉄人と呼ぶかというと、人工魚礁調査は秋口から冬、水が澄んでからやるのですが、天気のいい日は、遠くに蔵王連山が見えて、蔵王降ろしが吹いてくる。潜水を終えて船に上がると、蔵王降ろしの中、大和田さんは、ウエットスーツに真水をかぶって、ガバッと脱ぐ。裸の身体から湯気が立つのです。
 男として本当にかっこいいので、僕も真似しました。若かったのです。半身ウエットをぬいで、水をかぶったら、身体が凍り付くようで動かなくなり、あわてて船室に飛び込んで、みんなにこすってもらいました。


 2011年の東北大震災の後。これらの人工魚礁がどうなっているか、撮影することになり、小名浜にある福島県水産試験場を訪ねたおり、もう遠の昔に退官されているのですが、大和田さんの消息も聞きました。「残念なことに、まだ消息がわかりません」
 
 洋上から視た蔵王連山、澄み切ったような遠くから吹き降ろしてくる蔵王おろし。一瞬で凍りつく身体の感覚。
 そして、大津波。結びつける言葉が見つかりません。

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