これまで、210回を数える調査を報告、記してきているから、お台場の水中、海底については、何度となくせつめいしている。「お台場物語」のタイトルで、詳しく、何回かにわたって、説明、述べたこともある。
が、しばらく間をおいたので、簡略②説明しておこう。
お台場海浜公園の区画は、北岸が大型の置き石、お台場を江戸時代に造成した石垣の崩れたような置き石、大小の石の磯場になっている。ここが生き物の住処になっている。東岸、厳密に東西南北になっているわけではない。かなり傾いていて、来たと言いながら、北東であるが、わかりやすくするために、石積みの壊れた磯場を北岸とする。あるいは、磯場と呼ぶ。ここは、遊びに来た人が、お台場(第三台場 公園に向かう通路の岸になっている。東岸(実は北東であるが)は、人工の砂場であり、ここでは、夏には水遊びのプラージュがおこなわれたり、お台場学園のこどもたちを対象にし海苔ヒビが建てられたりしている。
この角、コーナーの岸から、僕らはエントリーし、エキジットする。そして、この角の部分に、お台場に落ちたゴミが、吹き寄せられる。ここに、ゴミがたまるので、クリーンアップゾーンであり、今では、ここのゴミだけ拾っていれば、お台場の海底はきれいになっている、はずである。
今度の6月10日に、港区ふれあい財団主催のクリーンアップ大作戦があるが、この部分にラインを引いて、ゴミ拾いを試用と計画している。
お台場は、海浜公園になる前、木場の貯木場出会ったのだが、その当時は、海底は全面的にヘドロだった。砂浜の公園にするべく、大量の砂を、入れて人工の砂浜を作った。それが東岸であり、南岸の半分ぐらいまでが、人工砂浜になっている。中心部がヘドロで、北岸と北西岸が磯場になっている。
北岸の磯場は、干潮汀線から10mほど離れて、帯状にマガキがかたまって、カキ礁のようになっている。カキが死んでその上に新しいカキが育ち、100年もすれば、カキ礁になるかもしれない。カキはお台場の水を浄化していると言う説と、カキの排泄もあるので、プラスマイナスゼロだという説もあるが、いくぶん浄化のほうが勝っているのではないかとおもっている。そして、この牡蠣殻の隙間が、ハゼの類、チチブ、アカオビシマハゼ、アゴハゼ、総称してダボハゼの住処になっている。かわいい、とさかギンポも牡蠣殻の中に産卵するという。
2020年、オリンピック競技も行われるということもあり、また、生物の住処環境をよくするために、お台場中心のヘドロ部分を、伊豆の神津島から持ってきた砂で、覆砂する工事がおこなわれた。この覆砂も意見続出で、砂は沈んで、すぐにヘドロが表面に出てくるから、無効だという説、いやいや、砂は持ちこたえるという説もある。
なお、この覆砂が、磯場や、カキ場を被ってしまわないように、岸から、10-20m離したところまで、覆砂された。すなわち、ヘドロの帯が岸から15-25mあたりに残されている。
Cラインは、この覆砂とヘドロの状況を調査するべく、エントリーの砂浜コーナーから、およそ、80mあたりから、中心に向けて、伸ばした巻き尺ラインである。
またエントリーラインから、西側のお台場公園石垣に向かって、カキ礁のうえを通過するように、これも巻き尺ラインど岸と併行に引いたラインがDラインである。
そのDラインの100mではとどかない、あたりに、石垣に沿うように、多分、昔、木製の桟橋があったと思われ、その桟橋の杭の跡が残っていて、これを杭の列とよんでいて、魚を集める人工魚礁のような効果をもたらしている。
ライン調査
★ ラインC 撮影 山本徹
今回も、100mまで、巻き尺のスケールが読み取れる撮影距離で、ゆっくりと、安定して移動撮影を行っている。
例年、5月になると硫化水素を同化している硫黄バクテリアのマットが散見されるようになるのだが、今年は皆無に近い状態だった。カキ礁から、覆砂の間のヘドロ域が、バクテリアマットが多く見られるのだが、このゾーンでもバクテリアマットは見られなかった、
6月、7月には出てくると思うが、覆砂がされてから、バクテリアマットはすくなくなっているので。効果があったと言うことができる
★ ラインD (ゴミライン) 撮影小林正昭
ラインDは、今回も、6月10日のクリーンアップに備えて、ゴミのたまるくいきにラインをひいた。海が荒れて、ゴミが寄せられたのか、かなりゴミが多く、クリーンアップの効果が期待?さじょうたいだった。
★ 長時間設置カメラ
① 設置担当 三ツ橋知沙
エントリーポイントから、およそ10mの範囲で、マハゼが現れるあたりをねらってもらった。
このあたりは、ボラが餌をとりに来る場所なのか、大きな個体が、岩の表面をさかんに突いていた。そして、期待していた通りに、マハゼが現れ、かなりの数がみられた。まだ、大きくない稚魚と成魚の中間の個体と、稚魚も一緒だった。なお、Cラインの上でも、稚魚はみられた。
そして、マハゼが退場し、少なくなると、ドロメの小さな個体が群れて来た。
興味深いのは、これらが交代で出現することであった。これはヒラタエビの群れが現れた時もそのようだったのだが、ボラが出ているときにはマハゼはでていない。マハゼが居なくなると、交代するようにドロメが出て来た。
② 設置担当、海洋大学 西沢、田中
岩の下をねらってくれるようリクエストしたので、そのように、良い構図でおいてくれたが、このゾーンは、カニの類が潜んでいない限り、岩の下は、チチブ、アゴハゼ、アカオビシマハゼの住処になっている。
★尾島雅子 遊軍的に、全域での魚類ねらい。
今回は北岸、であったが、マハゼの状況を期待したのだが、今回も撮れていなかった。
カットとしては、チチブが2尾絡み合って格闘しているシーン、丸太の端の隙間に、イシガニがうずくまっているシーンが良かった。
牡蠣のほとんどの個体が生きている場所も撮影している。2021年、生きている牡蠣を見つけることがむずかしいような状況から、完全に復活した。