Quantcast
Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1388

年の終わりに、2022年のダイビング活動、学生部活とのつきあい。

$
0
0
_b0075059_17172831.jpg
        東京海洋大学潜水部辰巳での練習
_b0075059_17184497.jpg

2022年、
 4月に病に倒れ、入院2ヶ月、幸運に恵まれて退院し、通院、闘病の生活に入った。その中で、海に潜れない中でも、出来る活動を続け、日本水中科学協会のメンバー、応援してくださる皆様のおかげで、引退せずに、ある程度の成果を上げることができた。年度の終わりにあたって、心からお礼を申し上げるとともに、やってきた活動の報告をして年を締めくくりたい。


 いくつかの事例をやってきたが、映像関連については、2月5日のシンポジウムでも20分の時間をもらい発表するので、そちらにまわすことにして、学生ダイビングの指導について書こう。
 
 学生のダイビングとは、どういことなのかというところから述べないといけない。これがなかなか難儀で、多くのスペースをとってしまいそうだが、この機会に自分の考えをまとめておこう。


 2022年現在、学生のダイビングは、ダイビング業界にとって、大きな存在になっている。一般社会人と一緒に潜る、遊ぶことについて、これは一般とかわらない。この人口も大きいと思われるが、学校、大学内で学生としての活動も大きい。これは大別してサークル活動、部活である。この分け方の定義、ここでは、学校が認め顧問の教師を任命し、幾ばくかの予算を補助金として付けてくれているものを部活としよう。学生がグループを作り、任意に活動しているものをサークルとしよう。これは、任意だから何をやってもかまわないと言い切るようなサークルもある。事故が起これば解散すれば良いと謡っているクラブも耳にしたことがある。
 これらの区別は境界がはっきりしない場合も多い。任意にスタートして、やがて学校が認めるようなものもあれば、学校が認めてはいないが、部と名乗って活動をしているものもあるだろう。


 そして、グループが、単独の大学にとどまっているものもあれば、複数の大学が参加しているインカレ、インターカレッジとに分けられる。顧問の先生がいる部活は、単独の学校に限られるかといえば、そうでもなくて、インカレの部活もある。
 ダイビング業界、ダイビングショップとか個人インストラクターとの関わりも、ショップ、インストラクターが主催するものもあれば、部が、ショップに、インストラクターに、顧問的な指導を依頼する場合もある。部のOBが、プロのインストラクターになり、あるいはショップを経営するようになり、指導を継続する場合もある。
 形態はそれぞれであり、優劣をいうことはできない。業界、ダイビングショップが関わるような場合には、その店の信用にかけても安全をキープして成功させなければならないから、これが一番信用ができるシステムということもできる。一方で、ビジネス対応と学生の活動ははっきりと分けるべきだという考えもある。どちらでも良いのだが、先にのべたような、学校も関わらない、ショップも業界もかかわらない。本当に任意で、なにかがあれば解散、あるいは、名前を変えて継続するというのは、危ない。小遣い銭稼ぎのかなり阿漕なクラブもある。これらが、意外にも多い。これは、野放し状態である。


 自分が今年、直接に指導に関わっているのは、東京海洋大学潜水部と、東京大学海洋調査探検部である。どちらも部活動である。日本水中科学協会としてシンポジウムでの活動成果の発表などをお願いしているのは、この二つの他、学習院、法政大学、中央大学、芝浦工業大学で、これらも一つずつ、親しい理由がある。例えば法政大学アクアクラブは、娘夫婦の出身クラブである。学習院も中央も名誉顧問扱いをしてくれている。関東学生潜水連盟とのお付き合いもある。これらはすべて部活動であるが、コロナによる活動制限があり、気の毒な状況が続いた。


 さて、ここまでが前置きであり、この一年、自分が密接に関わったのは、東京海洋大学潜水部と、東京大学海洋調査探検部である。
 海洋大学潜水部は、1957年、日本で初めての学生ダイビングクラブとして、自分が大学の講習以外にも潜りたいという理由で、先輩とも語らい、自分が中心になって作った。以来、68年の歴史、年月が流れている。
_b0075059_17203573.jpg
        東大海洋調査探検部 ドローンの運用練習


_b0075059_17225267.png
          東大 海洋調査探検部のライン調査


  東大の方は、そろそろ、50年になるが、部が東大探検部から別れて海洋調査探検部になるときに、指導を依頼された。理由は、まだインストラクターという言葉すらも日本にはなくて、そのようなことをやっている数少ない人数のうちで、東京水産大学卒ということが理由だったとおもう。まだ、東大卒のプロのダイバーは居なかった。そして、90m潜水をやったりして、あるていどの名前があったからだろうと思う。その後、東大の方は、気持ち的には自分の息子のようなつもりでいる国立天文台理論天文学の小久保教授が実際のコーチをしている。彼も、自分がダイビングを教えている過程での親密なつきあいだから、どちらの部も、自分があったから今日があると勝手に思っている。すなわち、自分にとってかけがいのない、大事な存在である。学習院、中央、法政、芝浦についても同様に大事な存在であるが、それを全部述べるスペースはない。これらクラブもたのまれれば、出来ることはなんでもする。
 そう、「頼まれれば」というのが学生との付き合いでは、大事なことで、学生は自分たちが頼んだことでない限り、こちらの言うことは聴かない。
 東大も海洋大学も長い、50年、68年の付き合いの間で、こちらの意思と学生の考えがたまたま一致した時、期間が、それぞれ何度か、何年かあった。その瞬間、その期間には、自分の視点では、素晴らしい成果を上げることが出来た。また、1月24日に日本水中科学協会のワークショップで発表してくれる小坂君は、海洋大学(当時は東京水産大学)41代の部長で、長い付き合いである。


 現在、東大海洋調査探検部とは、良い成果をあげつつあり、海洋大学は、今ひと息のところで、代替わりしてしまう状況にある。代替わり、これは、学生のダイビング部活動が、二年間であり、二年が終わり、三年の春になると役員が代替わりしてしまい、三年生は学内にいるOBと言うことになり。直接継続する付き合いができなくなる。生涯の付き合いになるのは、その1年間、2年間になにか別のエピソードがあった代ということになる。
_b0075059_17242297.jpg
        海洋大学潜水部と、1954年の事故の追悼記念碑を見に行った。

_b0075059_17254460.jpg


 短い期間しかない。自分の母校だから、あるいは、50年の付き合いだからと自分を納得させなければ、努力の継続は難しい。その点では、ショップが主催するクラブの方が継続がしやすいかもしれない。また、継続がビジネスにつながるのだから、その維持が重要になる。


 東大も海洋大学も、教える、指導する自分にとっても大きな勉強になる。一緒にフィールドワークをするということが、実践、実験的な役割を果たしていて、どういうふうに教えて行くか考えることが、こちらの成果になっている。大学教育というのは、すべての分野で、同じような効果、成果があることなのだろう。大学生に教えるということは、自分にも大きなプラス、成果になる。


 4月-6月の入院中に、出版を考えている最新水中撮影調査技法の原稿をほとんど書き上げた。しかし、退院してきてから、海洋調査探検部と海洋大学潜水部と一緒に活動し、考えているうちに、大きく書き直しする部分が出てきた。書き直している。


 海洋調査探検部とは、水中ドローンの演習をやっている。12月3日と4日に館山で合宿をした。海洋大学潜水部には、ライン調査とマスクマウントについて、これはつい最近12月28日に懇談、講話の形式で話をした。彼らには、辰巳のプールでの練習を提供していて、会う機会が多いのだが、プール練習については、見ていて、少しばかり映像を撮るだけで、一切練習方法とか、技術について口を出すことはしない。自分たちで考えてスキンダイビングの練習をしている。かなり上達し、歴代の中で、スキンダイビングについては、トップクラスになったと思う。このことについて、2月5日のシンポジウムで発表してもらう。
_b0075059_17271339.jpg
          福島第一原子力発電所沖での調査 ライン

_b0075059_17323703.jpg
        1957年の潜水実習、この年に潜水部が誕生した。


 東京海洋大学、僕が1957年に受けた潜水実習はラインの潜水から始まったのだが、現今の潜水部、ラインとマスクマウントについては、なぜ、ラインを引くのかさえも彼らの理解の外にあった。
 これを理解してもらうために、2017年に福島第一原発の放射能調査をしたときの映像、これは、僕がマスクマウントを付け、久保君がDPVを使用してラインを引いた調査だが、マスクマウントでエントリーから浮上してゴムボートに回収してもらうまでを、僕の視線で撮っている。多分、理解してもらえただろう。
 彼らのホームである館山、坂田の実習ステーションの前の海のライン調査をするように、アドバイスしているが、そこで代替わりだ。が、これは学生との付き合いの宿命である。多分、次の代がやってくれるだろうが。
 指導方法、マニュアル、ローカルルールなどについても書くことがあるが、長くなりすぎ、一冊の本になってしまう。


 とにかく今年(2022)春から夏、海での活動に一番良い時期に入院し、潜れない状況で、年を過ごした中で、学生諸君との付き合いだけができた。まだまだ、書くこと多々だが、自分の覚え書きだから、このあたりで、また続きは来年、明日からだけど、


 みなさま、良いお年をお迎えください。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 1388

Trending Articles