「青い大陸:フォルコ・クイリチ 近藤等訳 三笠書房 1955」を見ると、冒頭に「青い大陸」とは、紅海のことだと書いてある.紅なのに、青とは、と文句を言いたくなるが、映画の本当の題名は、「第六の大陸」地球には5大陸があるが、海はその6番目の大陸だという意味だ。それを「青い大陸」にしたのだが、これが良かった。公開が7月、夏だ。夏には「青」が似合う。
表紙を見ただけで、この映画の概略がわかる。
翼がついている大きいハウジング、それをかまえているのは、オキシラングのダイバー、4リットルぐらいのタンクにデマンドレギュレーターを着けているのは、カメラマンではなくて撮られる方のモデル。
1954年に紅海水中探検隊を作って、速攻で映画をとった。ブルーノ・バイラティーは、そういうドキュメンタリー映画の職人だ。
売り物は、巨大イトマキエイ、マンタを水中銃で突きすところ。当時のダイバーは、大きな魚と見れば、見境も無く、何でも射殺することを考えていた。
自分がこの映画で鮮烈に覚えているのは、テクニカラーで撮影したタテジマキンチャクダイのアップシーンだった。いつの日か、椰子の木が生えている島に行ってみることを夢見ていた大学一年生だった。
あざとい映画だったが、潜って泳いでいるシーンは、映像的にはわるくはなかった。水中が珍しいので、当たった。
ハンス・ハースのやはり、紅海で撮った映画は、日本で公開されただろうか?見た記憶がない。
ハンス・ハースについて、ちょっと付け加えておきたい。
このことは、クストーの沈黙の世界の項で言おう、書こうとしていたのだが、ダイビングの歴史のなかで、とりわけ重要なことは、この潜水器、圧縮空気を使用して、デマンンドバルブを使用する潜水器、商品名アクアラングの誕生で、職業的な専門家ダイバーではない科学者、芸術家、スポーツマンがダイビングできるようになったことであった。とりわけ、科学研究者が自ら水中に入り研究するということは、これまでには、歴史的な例として散見されたが、普通のことではなかった。それをハンス・ハースは、科学研究者が潜水する探検隊をはじめて試みた。
このこと、科学研究者とダイビングのかかわりが、この「ダイビングの歴史」の主要モチーフの一つである。
そして、もう一つ、ダイビング事故については、でこのダイビングの歴史の主要モチーフであるが、ハンス・ハースのクサリファの研究航海では、3人のエキスパートダイバーの命を失っている。内、2例は酸素中毒であろうと考えられているが、エキスパートが命を落としやすいという教訓がこの初期の段階で起こっている。
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次回にクストーの映画「沈黙の世界」を取り上げるが、その前にもう一度、「沈黙の世界」を見ておきたいと、ビデオテープをリッピングした。正月休みに、じっくりと見て、書くことにする。年末はあわただしい。年賀状を書いて出さなくてはならないし、お台場の報告もまとめなくてはならない。