Quantcast
Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1388

1113 ダイビングの歴史 23 マスク式 3

$
0
0
 
_b0075059_18130907.jpg
             バンドマスクとハードハッと


 マスク式潜水器が一段落した。ここから1930年代にもどり、フィンの話から、第二次大戦のヨーロッパ、地中海のイタリー・フロッグマン、1943年のジャック・イブ・クストーへ、そして、日本の伏竜特攻、1953年の安房小湊でアクアラング実演から第二部に入る。
 しかし、マスク式も、立ち止まって考えてみると、僕のダイビング人生は、マスク式が軸になって廻っている。1963年、東亜潜水機でやらせてもらった大深度潜水実験は、フルフェースマスクにデマンドレギュレーターを組み合わせた送気式のおそらくは、日本初の試みだった。
 その時、90mの海底からのレポートが、世界ではじめての、テレビ放送電波に乗った水中レポートであり、後にテレビの水中撮影に取り組む端緒となり、そのためのフルフェースマスクの製作、現在のダイブウエイズのフルフェースマスクに繋がる。
 そして、現在は、プロのダイビング機材の中心はデマンドバルブを着けたフルフェースになっている。
 だから、このまま追っていきたいのだが、それはまた後にまわして、予定通りにフィンの誕生に行く。
 マスク式には、1963年、自分の大深度潜水実験のところで、戻って来よう。
_b0075059_18141078.jpg
      ジャムステックのプールの脇の倉庫のようなところに、死蔵されているマスクの数々
       ジャムステックが、潜水の研究から離れてしまったので、埃をかぶっている。


 マスク式を一旦はなれるにあたって、沿革をまとめておこう。
 マスク式潜水には二つの流れがある。
 フリーフロー方式とデマンド式である。
 フリーフロー方式が、旭式であり金王式である。潜水士テキストでは、定量送気式、軽便潜水器と言われ(定義され)ていた。過去形で書いている理由は、潜水士の規則が変わり、テキストが改定されたとき、軽便潜水器はカットされてしまった。日本の潜水器として軽便潜水器は、外されてしまったのだ。
 軽便潜水器、定量送気式、フリーフロー型のマスクは、ホースからの送気式をマスクの中に、そのまま流し、自由に流れていく空気をそのまま呼吸するシステムである。現在では、デマンド方式の呼吸抵抗が、フリーフローに近いほど軽くなったので、フリーフローは、日本ではほとんど、製造されなくなってしまい、潜水士テキストからも外されてしまったが、浅海の漁業では、使われており、故障もなく、水深3m程度までならば、練習もほとんど不要である。
 沖縄では、モズクの養殖に使われていて、沖縄の杉浦氏が、旭の名称を継承して、旭面を作り、販売している。


 アメリカでは、デスコ社が、後述するハードハットも作っていてマスクも残している。


 デマンド方式、潜水士テキストの定義では、「全面マスク式」となっているが、スクーバ・レギュレーターのセカンドステージがフルフェースマスクに付けられていて、デマンド、要求したとき、つまり、吸い込んだ時だけ空気が流れてくる。
 スクーバのタンクを背負えば、タンクとホース、二つの給気源を持つことが出来るので、スクーバのエア切れ、送気式のホース切断の危機から逃れることが出来る、もっとも安全度の高い潜水方式であり、プロの作業は、ほとんどこの方式で行われている。


 そのデマンド方式は、日本が実用の元祖であるといえる。
 大串式 山本式は、歯で噛んで弁を開くデマンド方式である。
 歴史時代を見ればフランスのルキヨール Rouquayror 1864が一番古いが、実際に使われて業績を挙げた実例は発表されていない。
 
 デマンド方式のフルフェースは、重装備のものは、バンドマスクと呼ばれ、さらに進化してハードハット(小型ヘルメット)もでき、多種多様であり、作業の内容、状況によって選択される。例えば、汚染された水中で、身体の一部でも露出させたくない時などはハードハットが使われる。なお、ハードハッとは、使う仕事もなかったので、自分が使って見たことがない。使って見たいと思っているうちに、年寄になってしまった。バンドマスクは1980年代に、ずいぶん使った。


 これが、マスク式の現状であるが、その現状を見ることは、ダイビングの歴史の終わりの部分に残して、1920ー1930にもどり、フィンの誕生である。  



Viewing all articles
Browse latest Browse all 1388

Trending Articles