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Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
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1105 ダイビングの歴史 3 素潜り②

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読売ランド 水中バレーシアター


息をこらえて潜るという行為は、1万2千年前、縄文時代も今も変わらない。
 変わったのは、たった150年前で、まず第一の革命は水眼鏡だ。
 現代のダイバーは水眼鏡、マスクがなければダイビングできない。マスク、水眼鏡に沿って歴史を眺めてみよう。


 先に紹介した潜水漁業と資源管理から引用する。


 「我が国における潜水用水中眼鏡の使用は、1885年(明治18年)熊本県天草郡二江村の出島久八、出島辰五郎両名製作の両眼鏡(二つ眼鏡)が最初である。その後1886年沖縄糸満の漁夫、1987年壱岐郷ノ浦(小崎)の海士がそれぞれ使用した。このように明治10年代の末に九州で使用され始めた両眼潜水用眼鏡は、その後各地に伝播した。志摩では、1890年神島の海女が使用許可申請をして、翌年から使用した。房州では、1892年頃安房郡長尾村(白浜街)で初めて使用され、それから少し遅れて伊豆半島に伝播し、伊豆ではこれを房州眼鏡と称した。このようにして、明治20年代には、主要潜水漁業地に広まった。しかし、潜水眼鏡の使用が資源の乱獲と考えた志摩地方北部の漁業組合では、1897年(明治30年)「水眼鏡、掛眼鏡は、一切の使用を禁ず」と使用禁止にした。」
 「使用禁止にした」ここがポイントだ。眼鏡を使用しない素眼 裸眼でも生活が成り立つ漁獲があったのだ。12000年も続いたのだから当然とも言えるけれど。
 自分の素眼の経験を言うと196 年 読売ランドに水中バレーシアターが出来、当時東亜潜水機に勤務していて、演技者 水中バレーダンサーが使う手動レギュレーターを設計製作した。ダンサーは片手にホースを持ち、ホースから空気を吸いながら優雅に三次元のバレーを踊るのだが、その時、呼吸がしやすいように、押すと空気が噴出するレギュレーターを作ったのだ。その縁でダイビングの指導。コーチもすることになり、水中舞台監督という称号ももらった。
 バレーシアターは、別名を「竜宮城」と呼んで、乙姫様と浦島太郎のデユエットがある。乙姫様がその美貌をマスクで隠したのでは、洒落にもならない。素眼でなければならない。コーチとして素眼の指導をすることになった。素眼でも水中で見えるが全体がぼけている。水中では人間の眼、レンズでは焦点を結ばないのだ。焦点を合わせるために絞りを絞る。薄目になると、少しはっきりする。バレーは、像がぼけていても踊れる。海女は、薄目になれば、ややはっきり、手探りと薄目で漁はできたのだ。眼の弱い人は、メクサ(眼が腐る)眼病になったが、身体的な条件は身体を使う仕事では、やむ終えない制限条項になる。後述するが、潜水病(減圧症)になりやすい人は、早くにダイバー稼業から脱落した。眼の弱い海女も同様に脱落したのだろう。残念なことに水棲動物ではない人間は水に潜らなくても、海女にならなくても生きて行かれる。


 もちろん、素眼の達人であったとしても水中眼鏡を着けた人には及ばない。資源維持のために禁止になった。しかし、素眼はやはりつらい。禁止は続かなかった。
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   クストータイプのウエットスーツを着る竹下先輩(一学年上 現在も大酒飲みとしてお元気)


 素潜り 素潜り漁労の第二の革命はウエットスーツの出現であった。
 ここでウエットスーツの出現についても書いてしまう。
 アクアラングを企画制作したジャック・イブ・クストーも当然保温、着るものとしてウエットスーツを考えた。これも、スポンジ状のゴム素材であったが、独立気泡ではなく、水圧でつぶされてしまう。スポンジを着るということは、良い断熱材である空気の気泡を着るということだから、気泡がつぶれてしまうのは効果半減である。
 が、とにかく、ジャック・イブ・クストーらは、映画「沈黙の世界」でもこのウエットスーツを着ていた。それと同じデザイン、多分、同じ素材のウエットスーツが小湊実習場に2着あり、一年先輩の竹下さん、橋本さんはそれを着て、小湊で潜水、調査をして、卒業論文を書いた。僕ら、自分と原田進の卒論は、テーマはサザエの棘と日周成長線についてのものだったが、伊豆大島で調査をして、伊豆大島は暖かかったので、古いセーターを着て潜水した。
 このウエットスーツを着て見たくなり、二人で着て潜水してみた。セーターの数倍暖かく、狂喜して潜った。そして、それを脱ごうとしたとき、糊がはがれてバラバラになり、叱られると青くなった。幸い叱られず場長は笑ってすましてくれたが、。

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