月例 お台場の調査潜水 第178回
途中 オリンピック工事のために中断、何とか港湾局の覆砂工事モニタリングで復活した。途中の回数を記載していなかった。
2019年の9月29日が173回、12月29日が174回、2020年になり、復活第1回5月31日が通算の175回、6月7日が176回、7月26日が177回、そして、今回8月30日が178回になった。178回の調査記録がすべて、ファイルになって並んでいると、格好がいいのだが、そういうことのできる性格ではない。2007年以降、ブログを書くようになってからは、ブログイコールログと考えて、かなりつらい日々であっても、書き続けてきている。
参加メンバーは、須賀、多留、尾島、山本徹、三ツ橋、山田、臼島である。
尾島雅子ママは、骨折のために参加できない。先のお台場潜水で転んだことが、原因で、ヒビが入り、さらにもう一度転んで完全骨折になってしまった。
生き物の撮影エキスパートとして、お願いしているので、痛い。彼女は敏捷で足腰も強い。それが、過信になっているのだろう。転ぶな!
朝の挨拶で二点お話しした。
一つは保険のことで、お台場は限定水域であり安全度が高い。そして、東邦大学と一緒にはじめた。責任の所在が不明確になっていて、保険にカバーされていない。
同じような活動で、お台場と共通メンバーも多い「海をつくる会」は、スポーツ安全保険で対応している。日本水中科学協会もとりあえず、スポーツ安全保険で対応することにしよう、とお話した。
もう一つは、港湾局との関わりについてで、この調査も港湾局が行った覆砂工事の追跡モニタリングということで、工事現場に車を入れさせてもらっている。須賀と山本徹、そして尾島雅子の撮影調査は、これに関わっている。ようやく作り上げた繋がりなので、精一杯大事にしていきたい。
透視度測定
8月は、マハゼが大きく育っていて、例年生物が多く撮影される月である。期待したが、これまで長い調査の中でも最悪とも言える、透視度25cmだった。
折から、尾島さんが透視度計をつくって持参した。この前、7月の調査でも濁りがひどかったことから用意したのだろう。濁りが植物プランクトンに起因するので、植物プランクトンの同化作用で、酸素濃度が高い水深の水を、ボートから吊り降ろす転倒採水器で汲み上げる。それを径30mmほどのアクリル管に入れる。管の底の部分には黒字、二重十字ターゲットがあり、これを上からのぞき込み、水を減らしていってターゲットが見えた水柱の高さを読んで透視度とする。
ネットで調べると「透視度計を作ろう」などと出てくる。立派な製品もある。
今後はこれがスタンダードになる。僕は、カメラでターゲットをねらって写して、はっきり見えた距離などやってみたが、実用にはならなかった。
それで、透視度20ー25cm、15cmになると、潜水不能になる。
赤潮について
透視度25cmでも、お台場だから潜れる。水深は最大で4mだ。それでも、海底に身体のどこかが触れていないと空間失調症になりそうだ。
お台場では、6月の動物プランクトンによる赤潮が強烈だが、イサザアミの赤潮は嫌いではない。この単なる前が見えなくなる潮も赤潮なのだろうか、赤くない、白潮か?と思ってしまった。しかし、プランクトンによる変色、濁りはすべて赤潮と呼ぶ。赤潮とは、赤くなくてもプランクトン濁りの総称なのだ。
植物プランクトンの赤潮のことを復習しよう。風呂田さんも編著者になっている「東京湾の生物誌」を引っ張り出してきた。ちゃんと赤潮のところには
マーカーで印がつけられている。植物プランクトンによる赤潮の方が多いと書かれている。
僕が、この植物プランクトンによる赤くない赤潮のことを記憶していないということは、ここしばらく、お台場ではこの赤くない赤潮の強烈な状態は発生していなかったことになる。通常の濁りとしてとらえてきた。ならば、単なる濁りと、赤潮の線引きはどのあたりだろうか、やはり、透視度で決めるのか、今度、多留さんにきいてみよう。どうも、研究に関する部分でわからないことは、すべて多留さん(東邦大学、東京湾生態リサーチセンター)に聞けば良いと、自分で調べなくなっている。
植物プランクトンによる赤潮は、盛んに光合成をするので、酸素が飽和様態になる。マスクのガラスやカメラのレンズに気泡になって付く。
この植物プランクトンが死滅して底に沈むと、今度は酸素を消費して分解し、無酸素状態をひどくするという経過が想定されるのだが、お台場の生き物は、どうなるのだろう。次の調査は9月末、そしてその次の10月。
※多留さんに質問したところ答えが返ってきた。
「須賀さま
溶存酸素が高かったので、光合成をするプランクトンが大増殖した
もしかしたら、覆砂のために溶存酸素が高くなり、赤潮が発生した?そんなことはないでしょうが。
植物プランクトンでも赤潮のプランクトンとそうでない種類もあるようで、調べなければ赤潮にならない?
ちなみに、東京湾の生物誌では
「赤潮は、一般に海水中で微小なプランクトンが異常に増殖して海水が変色する現象の総称である。たいていは植物プランクトンの増殖によって生じ、原因となる種によって、海水は様々な色を呈する。」 山口征矢
ライン調査
僕のこのところの調査ターゲットは、覆砂の状況、変化の状況をラインを設定して行う撮影調査である。
今回は、磯場の岸から中心にむかって曳いた、ラインCと、磯場に平行に、最干潮線から10mほどのところに曳いたラインDをみる。この2本がこれからも、定番、繰り返し調査にするつもりだ。山本徹さんにラインを引いてもらって、時間差を付けて僕もエントリーする。うまくタイミングが合えば良いのだが、前回は遅すぎ、今回は、やや早かった。港湾局の課長代理の萬年さんが、お見えになるので、撮った映像を自分のPCに落として、SDを渡すので、若干急いでいた。
透視度25cm、これまでの赤潮は海底ぴったりの底は、透視度がよくなって、1mぐらいは見えた。今回は、底ぴったりでも、30cm、よくても60cmだ。ラインを手から放してしまったら、見つけることが、難儀。
山本さんの浮かした目印ブイをたどって潜降してラインをたどる。ラインDだった。覆砂と磯の間のヘドロ域を進む。きれいなヘドロで、硫黄バクテリアの膜はほとんどない。自分の曳航しているブイがラインCに絡んで引き戻される。ごちゃごちゃになりわからなくなったので、浮上して、山本さんをさがす。
ラインCを確認してたどって行く。巻き尺ラインの数字を写すのだが、10cm離すとシャープに数字を写し取れない。それでも、少しでも見通せるところで、ラインの数字と海底の状況を撮る。砂地はだいたいきれいに砂地が出ていて、ヘドロが覆っている部分はわずかである。100m地点あたりは、きれいな砂地が出ている。
覆砂はすぐに沈み込んでしまうという意見もあったが、まずまず、そんなことはなくて、安定しているようだ。
覆砂とその表面の変化を追い続けることには、意味がある。
二回目の潜水で、生き物、とくにマハゼを見たかったのだが、これでは無理だと一回の潜水でやめた。
なお、ライン曳きとスチル撮影は山本徹さんにお願いした。