魚礁の上に乗せた360度カメラ
12月26日
今の季節だから、当然ともいえるが、風邪が流行っている。 今年最後の波左間, 潜り納め。出席は、須賀、山本徹 佐藤允昭、鶴町雅子の4名。 天候は薄曇り、波はなくて、凪。今頃の季節として、この凪はラッキーだ。 ダイブコンピューターの電池が切れてしまっていた。毎度わかっている潜水で、全員一緒の潜降、浮上だから、問題はないが。 ベルトのウエイトを1キロ減らして、5キロ、ジャケットが7キロだ。 出港して4mFPに行くが、ブイが切れてしまっていて、わからない。しばらく探したが見つけられない。午前中の潜水では、ここはあきらめることにして、どうしよう。ドリームとラインでつながっているきょりにある3mのFPに行こうと提案した。
図の中心の右側左から右へ、ドリーム タイヤ FP3mと、20m線を横に並んでいる。右のFPから入って、タイヤを通り過ぎで、ドリームに向かうコース。
持って入るカメラは、Olympus TG4とSJ4000blackの連結、マスクにはSJ4000のホワイトを着けた。鶴町に、360度カメラ、1キロのウエイトに、ビニール紐で繋いで、30cmほど上に浮かしたものを持たせた。 10時03分 一回目 潜水開始 今日からグローブを着けることにした。 飛び込むと、マスクからどんどん水が入ってくる。自分の顔には絶対に合っているラクーンなのに、どうしたことだ。一応、マスクの縁を確認するけれど、漏れはとまらない。仕方がない。とにかく底まで行くことにした。 透視度は20m以上ある。ラッキーだ。 魚礁の下の段に降りてしまったが、上の段に上って、魚礁の上に、360カメラを置く。なんとか我慢できる状態にマスクをなおして、カメラを作動させる。 海底に降りて、魚礁の中に入ろうと、浮力を調節する。えっ! BCに空気が入らない。ホースは接続されている。愛用している、身体にフィットしたアポロのBC.なのだが、もう20年以上使っている。とうとう、寿命が来たか。仕方がないので、ドライスーツに空気を入れて、浮力バランスをとる。。
20ー30cmクラスのイシガキダイが5尾、出迎えるようにして通過する。 ウミトサカ・ソフトコーラルは、何時もの、4mFPよりも、こちらのほうが多く生えているようだ。
2m角のドリームが、ソフトコーラルが多いことで美しく、ドリームと名付けられているのだが、どうもこの付近のほうがソフトコーラルが生えやすい環境なのだろうか。 ソフトコーラルにイシガキダイが絡んだスチルは使えるかもしれないと狙ったが、思うように撮れない。どうもタイミングが合わない。 イサキの群が、ソフトコーラルの下の段を通り過ぎた。良い形、40cmほどの成魚の群だ。この群は魚礁の中心に入っていたものが、ダイバーが接近したので、外に逃げでて行くものだろう。ダイバーとイサキの群の関係は、魚礁の近くの外に群れているイサキに接近すると、魚礁の中に逃げ込むが、ダイバーが魚礁の中に入ると外に逃げ出して、そのまま去っていく。
いくつかのソフトコーラルを撮影していると、荒川さんから移動のサインがでて、魚礁を離れて、泳ぎだした。海底にはラインが設置されている。 そうか、タイヤ魚礁を通過してドリームに向かうのだ。 ※タイヤ魚礁 1980年代の前半、廃タイヤを連結して魚礁にしようというアイデアが実現して、全国処々で実施された、波佐間のこのタイヤは昭和58年1983年の沈設である。しかし、タイヤの成分が長い年月で分解され、海水中に溶融していくと、害が出る可能性があるとして、中止になった。中止にならなければ、日本の沿岸全域が廃タイヤで埋め尽くされるところだった。景観は、美しくないから,やめてよかった。しかし、魚を集める効果は、コンクリートに比べて劣るものではない。 耳が聞こえないし、舟の上でのコース変更だったから、打ち合わせを聞いていない。残圧を確認すると120だ。ドリームを回るとギリギリだろう。 BC.に空気が入らないのでドライでバランスをとっているが、なんとか、うまく泳げている。ダイブコンピューターがバッテリー切れで付けていないので水深がわからない。多分、海底から8mか10m上、水深15m辺を泳いでいる。透視度20mと良いので、タイヤ魚礁に集まっている魚が俯瞰で見える。 メバルの群が見える。100尾ぐらいの群だ。降下して撮影したい。しかし、降りるわけには行かない。もしも透視度が悪ければ、もっと下を通るので、魚の撮影ができた。まあ、俯瞰の撮影はなかなかできないので、これはこれで、良いけれど。 俯瞰でみると、タイヤ魚礁の広がりはずいぶん大きく見える。
タイヤ礁からドリームへの間隔は70mぐらいか?今度巻き尺で測ってみよう。 その中間くらいのところで、ドリームからタイヤへ向かうような、イシガキダイ3ー4尾の群とすれちがった、
このあたりに多いイシガキダイは、20ー30cm前後、黒い点の紋様もはっきりしている。成魚になると口の周囲が白くなるのでクチジロと呼ばれる。さらに大きく、釣り師が釣り上げると魚拓にするサイズになると、口の周囲は黒くなり、紋様も消えて、イシダイとの区別が難しくなる。 イシダイ科の魚であるから、親類縁者のようなものであるが、このあたりではイシガキダイ4に対して、イシダイ1ぐらいで、圧倒的にイシガキダイの方が多い。しかし、イシダイも少なくない。
イシガキダイは人が接近しても逃げ方がのんびりしている。時に、接近してくることもある。イシダイも20ー30cmサイズは、敏感に逃げるというほどでもないが、イシガキダイよりは、すばやく逃げる。 ドリームに到着したときの残圧は80、常ならば浮上する残圧だ。上面には、何時になく、イシガキダイ、イシダイが群れていて、良いサイズのオオモンハタも1尾、逃げないでいる。いつものように中段と上段に入ってみたいが、もう、残圧は50になった。 佐藤君は、長時間継続撮影カメラをここに固定しているので、山本徹さんに手伝ってもらってとりはずしている。 僕は、浮上にかかったが、鶴町がそれに気づかず探している。なかなか上を向かない。降りていって浮上のサインをしたいが、原則として、浮上にかかったら降りない。浮上にかかる前に、サインをするべきだったと少し反省する。やがて上を見て気づき、全員浮上にかかる。 BC.の故障で、ドライスーツで浮力の調整をしている。ドライスーツ左腕、肩の近くの排気弁を自動排気にしているか確認したいが、右手にはOlympus TG4と、360度カメラを持ち、その360度カメラは、1キロのウエイトと結んでいる。左手は潜降索をつかんでいる。左手の潜降索を手放し、右手のカメラを左手に持ち直して、右手で排気弁を確認することになるが、それはちょっと、厭だ。 ドライスーツが膨れ上がる感じはないので、自動排気になっているものとして浮上した。 ダイブコンピューターが無いので、停止時間がわからない。荒川さんが先に浮上して、ボートの上に上がり終えてから浮上すれば良いだろう。浮上して、ハシゴに膝をついて、鶴町にフィンを外してもらう。 フィンさえ外せば、タンク、ウエイトを付けたまま、ハシゴを上がることができた。 10時40分 浮上 潜水終了 潜水時間は37分 浮上してから、BC.のインフレーターを確認したら、故障ではなくて、接続不十分だった。組み立てる時のテストが不十分だったのだ。60年を越してダイビングをしていても、こういう間違いをする。 愛用のラクーンマスクが浸水がひどかったので、予備に持ってきていたキヌガワのアビームに変える。そして、手袋をしてからマスクを付けるのではなくて、マスクを付けて、縁を手の指で触って確認してから手袋を付けることにする。 二回目の潜水 凪ではあっても 波が出てきていて、沖に向けて走ると、しぶきが顔にかかる。 佐藤君がFP 4mに長時間カメラを取り付けて居るので、どうしても、この魚礁に潜水しなければならない。山立てで当てた位置にブイを入れて、荒川さんが水中スクーターで走って探して、ロープを付ける。 10分もかからないで、見つけだした。 12時27分 潜水開始 毎度なのだが、1回目の潜水よりも2回目がなれていて調子がいい。 360度カメラも、AKASO brave付きのOlympus TG4二つを自分で持って潜降する。潜降の姿勢制御もまずまずだった。BCは、働くし、アビームは浸水しない。 魚礁の上に、360度カメラを置いて、シャッターを押して作動させる。 いつものように下段に降りる。 イシガキダイの4尾の群が出迎えるように顔を見せて、反転して行く。これは、午前中の魚礁と同じふるまいだ。好奇心の強い魚なのだと思う。1960年代スピアフィッシング時代、イシダイもイシガキダイも好奇心が強いために虐殺された。しかし、イシダイもイシガキダイも学習するので、そのうちに、ダイバーを見ると石の下に隠れるようになるのだが、悲しいかな行き止まりの石の下に逃げ込み、討ち取られてしまう。このことを「穴射ち」と呼んでバカにしたものだったが、1967年にスピアフィッシングはやめた。こんなものは、スポーツでもなんでもない。漁業、なのだ。漁業は漁業者に任せなくては行けない。そのことに気づいたのが1967年だ。ちなみに、大きなハタ、クエは、行き止まりの穴には入らない、向こう側に抜けられる岩の下にはいる。 いつものFP4m魚礁である。 オオモンハタを探したが、小型が1尾だけ、メバルは魚礁の外にでている潮回りらしく、魚礁の中には、散在で群は作っていない。
ブロックの隙間にイセエビが居るかと探したが、見えなかった。 佐藤君は、据え付けていたタイマーカメラを回収した。水産工学研究所は伝統的に、長期間(2週間以上)インターバル撮影するタイマーカメラが好きで、昔は超大型だったが、今はずいぶんと小さい。 無事浮上して 1時0分 浮上 終了 さて、戻ってからの映像整理だが、360カメラ2台のうち一台は、画像の下側が山型に突出した黒い部分があり、おかしい。原因究明の必要がある。 PC上で、切り取って、報告、ブログなどにつかうのだが、やはり短冊横型の切り取りが良いようだ。
下の写真は、下半分が持ち上がっていておかしい。カメラが悪いと思われる。
とにかく、2019年の波左間、は潜り納めた。幸運にも凪がよく、透視度もよく、最高のコンディションだった。