Across the river and into the trees.「河を渡って木立の中へ」ヘミングウエイの1952年、終わりのころの小説、文庫本にはなっていない。日本では全集の中に収録されているだけ、だと思う?古書で、高価だったのを買った?ような記憶がある。ヘミングウエイにはまっていた頃だから、30代の前半だった?。そのもっと前に、三笠書房の全集の普及版をもっていて、それで、ヘミングウエイの作品、全集に収録されているもの全部を読んだのだが、それも、全部どこかになくしてしまった。僕は、愛書家ではないのだ。愛書家だったら、住むスペースが無くなっている。 いろいろ、御託を並べたが、「河を渡って木立の中へ」は、一度目に読んだとき良いと思って、二度目は終わりまで、読まなかった。ヘミングウエイで繰り返し読んだのは、「移動祝祭日」、移動祝祭日って何だ?知らないけど。これは、持っている。そして、僕は「釣りはやらない」と、「酒を飲まない」と同じレベルで、心に誓っているのだが、「ヘミングウエイ釣文学全集下巻 海編」これは、高い古書で買ったのにアマゾンでみたら、500円から1000円になっていた。おすすめです。とにかく、これは、愛読書で、晩年のヘミングウエイがエスクワイヤに連載したいくつか、「キューバ通信」が、載っている。 ※ 調べてみたら、僕の好きなキューバ通信、モロ沖のマーリン 海流に乗って、青い海で、などは、この釣り文学全集には載っていなかった。ヘミングウエイ全集に載っていて、僕はそれを図書館で借りて、コピーして持っている。このコピー+釣り文学全集で僕のヘミングウエイは、完だ。、 アマゾンとブックオフが僕の読書に果たしている役割は、大きい。読む本の30%は図書館、30%がブックオフ、20%がアマゾン、残りの20%が新刊で、これは、良いバランスだと思っている。 そのブックオフで、宮本輝「ひとたびはポプラに伏す」講談社文庫、全6巻を買った。 作家の書いた旅行記、紀行文が僕は好きなのだ。前述のヘミングウエイ「移動祝祭日」もその類で、若い日のヘミングウエイがパリで暮らしていた日々の話だし、村上春樹のこの類、「遠い太鼓」「シドニー」などなど、手に入った全部を読んでいるし、売れている作家のこの類は手にすれば読む。村上春樹の小説は読まない。 その宮本輝の「ひとたびは、ポプラに伏す」は、西安から、トルファン、カシュガルを抜けて、イスラマバードへと、シルクロードをたどる旅だ。宮本輝は、好きな小説家ではないのだが、飛ばさないで、じっくり読んだ。1990年代後半の中国からパキスタンへのシルクロードが、どんな様子、どんな途なのか、感じることができる。その中で「河を渡って木立の中に」という章がある。クチャを抜けるあたりの章だ。 この言葉は、アメリカ、南北戦争の時、南軍のリー将軍が、突撃の前に、つぶやいた言葉だという。ネットで調べたら、リー将軍の片腕だった、ストーンウォール・ジャクソン将軍が死の突撃の前の独白だったとも書いてある。どっちでも良いが、とにかく南北戦争の時の言葉だ。 宮本輝は、人によってそれぞれ、様々な木立があるのだと書いている。 木立、終着点なのだ。今、84歳の僕の木立は、「死」だ。木立というと、やすらぎのように感じる。 たしか、古石場図書館にヘミングウエイ全集があって、その中に「河を渡って木立の中へ」は収録されているはずだから、もういちど目を通してみようかと思っている。
日本の「海流の中の島」はトカラ列島だ。僕はトカラ列島周航を4回やっているけど、4回とも忘れられない旅だった。命を失いかけたことは、一度、サメとも闘った? 今、 毎日、河を渡る日々を送り、木立に近づいている。