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Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
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0928 お台場物語り (6)

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人工浅場再建計画   お台場に置いた人工浅場は、岡山県に本拠がある「海洋建設」という会社が作ったもので、その海洋建設の社長の片山さんは親しくさせていただいていたのに、事前の情報がなく、プロジェクトに内側から参加させてもらうことが、できなかった。海洋建設が日本水中科学協会の会員になっていただけたのは、この人工浅場が撤去された後のことであった。 ということで、このプロジェクトのいきさつは、良く知らないのだが、おそらくは、こういうことなのだろう。東京港は、東京のごみ捨て場として、埋め立て人工島が次々と作られる。その人工島の周辺は都民の釣り堀、釣り場にしたい。そのために魚を集める人工魚礁を設置する。その魚礁として、効果をお台場でテストしたのだろう、と想像する。
 一方、本来の人工浅場、漁港の中、堤防の内側、岸近くに設置されようとする人工浅場はもっと小さい。
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 図のように、50cm立方程度のものもある。 お台場に設置された大きい人工浅場も上の図のような小さいのも鉄枠に円筒、貝殻入りメッシュパイプが組み合わせられている。 この円筒は、鉄で作られていて、筒の中には牡蠣殻が詰められている。この部分が海洋建設の特許、特色である。
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      魚はアカオビシマハゼ 人懐こいかわいいハゼだ。


 言うまでもなく牡蠣は食用として重要である。そして、食用になるのは、これも、言うまでもなく中の身である。殻の部分は牡蠣の産地では捨て場に困る。 その捨て場に困る牡蠣殻を筒に詰めるとこの隙間に小さい甲殻類や多毛類(ゴカイの類)が発生し、それが魚の餌になる。つまり餌付きの住居というわけだ。 この牡蠣殻入り円筒がお台場で効果的であったかどうか、わからない。  つくづく残念なのは、このプロジェクトに最初から参加出来なかったことだ。計画が終息してから、自分なりの計画書をつくって、要所に持ち込んだが、相手にされるわけのものでもない。一度終わったものは、同じような計画はもう、最初の実験がよほどの効果を上げていなければ、二度目の予算は付かないのだし、この計画元来がお台場の魚を増やそうとして立てられたものではない。  でも、その僕たちの計画の概略を書いておこう。
 まず、僕らのダイビング調査地点の様相の概略を言おう。人工魚礁も人工浅場も周囲の環境とあいまって効果が得られるものなのだから、その意味で僕らのお台場調査結果も先に挙げた人工島計画に反映させることができると良いのだけれど。  
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 人工砂浜からエントリーして、膝の深さで腹這いになる。4、5、6、7月、であれば、マハゼの2ー3cmの稚魚、もう少し大きくなったマハゼが群れていることがある。数の多い年であれば、どこに腹這いになろうとも、見られるが、数の少ないときは、魚探しの名人である尾島さん夫妻は見られても、自分は見られず、悔しい思いをする。
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  深さ1,5mー2mのあたりに、ホンビノスの群落がある。群落とは、集まっているということだ。集まっている場所では、一度手を砂に差し込んで撹くと、2個から3個、手に触れる。潜っている深さは、水管が砂の上にでる程度だから、浅い。
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 時に、大きなツバクロエイが居て、これも、尾島さんが見つけて教えてくれる。教えてもらってから、エントリーしても間に合うくらい動かない。
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        ツバクロエイ 大きなエイである。


 砂浜のすぐ右側、転石がまばらにあるが、この部分は侮れない。マハゼ、トサカギンポ、メバルの稚魚、イシガニ、お台場で見られるほとんどの生き物をここで見ることができる。見ることが出来ると言っても、何時でも、簡単に見られるわけのものではない。ここでも名人の尾島さん夫妻は見ることができるが、ぼくは見ることが出来ない場合もある。調査フィールドの全域にわたって、名人と僕は差がある。目視観察というのは、そういうものなのだ。個人差がある。自分をスタンダードとして記録していく。
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 この転石の合間に、50cm、30cmサイズの人工浅場を置いたらどうなるだろう。 人工魚礁、人工浅場、特に小さいものは、波打ち際の浅いところには置けない。波でさらわれる、打ち上げられてしまう。ここ、お台場とか、堤防で囲われた漁港の中ならば置ける。
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 今、このあたりに、設置型カメラを置いて、記録すること、毎月同じ場所において、毎月の連続記録をしようとしている。もっと早く、10年ぐらい前からやっていたとすると、すごい、記録になっていたのに、残念である。 この転石浅場は、岸が転石状態である終点まで続く。岸近くの海は、原則として、陸上地形の延長になっている。 転石地帯の左側(岸を右に見て左)は、斜面になっていて、水深2mほどまで、斜面になっている。この斜面と水深2mになってから、の10mほどの巾、真牡蠣がある部分では密生、ある部分ではまばらに海底を覆っている。1996年前後、このあたりはムラサキイガイの密集だった。ムラサキイガイは外来種で、マガキの殻を覆うようにして付着していた。在来種のマガキと競合していたのだろうが、ここでも在来種のマガキが勝利して、今はマガキの世だ。マガキは密集している部分と点在している部分があって。僕らの調査フィールドの全域を覆っている。
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 公衆トイレの前というと、何か汚らしく感じるが、もちろん、トイレの水が流れ込んでくるようなことはないと思うが、トイレの前あたりに湧水がある。目に見えてわき出して居るようなことはないが。測定(シーページメーター)したら、確かに湧水はある。このような湧水は、じんわりではあるだろうが、この岸全体にあるのではないかと思う。
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 エントリー地点から、およそ80mのあたりに丸太が横たわっている。貯木場時代に沈んだものの名残だろう。 調査フィールドの終点あたりに、その昔、何時のことかわからないが、船着き場があって、その名残と思われる木の杭が残っている。
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 これが魚礁効果があり、イシガニ、タイワンガザミ、マハゼ、ハゼの類、チチブヤアカオビシマハゼ、メバル、シマイサキ、トサカギンポ、アナゴを見たこともある。お台場に生息するすべての生き物が見られる。もちろん時と場合だが。冬の間は何もいないことが多い。
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         横になった杭の下にいたタイワンガザミ


   さて、もしもエントリーした右側の転石に並べて、小型の50cmをさらに低くして、20cmタイプ、30cmタイプを置いたら、どうだろう。終点の杭列と比較して見ることも出来る。小型の磯場を並べたらどうなるか。そして小型だから、移動して、場所との関連効果を見ることもできる。 もしも、人工磯場の実験に先だって、僕らの意見が採用されて、これが出来るようだったら、 このような提案を今したとして、オリンピックが終わったらしてみようと思っているが、公園だから難しいだろう。
 もしも、羊蹄丸の下が、今でも僕らのフィールドであったならば、このような実験も容易に出来る。まだポンツーンがあったときになぜ気付かなかったのだろうと悔やむ。 オリンピックが終わって、船の科学館が再建されたとして、ポンツーンは再建できるだろうか。 もう84歳の僕に残されている時間は僅少である。

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