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Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
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0729 豊潮丸航海 2019

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  80歳以降、毎年、今年で終わりかなと思い続けている。今年も迷ったが、いろいろ迷うけれど、道が尽きるまで、行くのが旅の心だ。行けるところまで、ベストを尽くして行くしかない。
 それに今年は、日本水中科学協会の理事をお願いしている久保さんの扱っているDPV(水中スクータ)を使ってみるということになり、久保さんが行くならば、僕のフィジカルが役に立たなくても、大丈夫、本当に辞めるときの引継ぎも考えて、行くことに決めた。

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  今年の航海 行程、呉を出港して、関門海峡を抜けて、対馬に、そして、五島に下り、長崎、佐世保を経由して帰ってくる。

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 今年のメンバーは、広島大学の平山先生のスノーケリンググループと僕たち、早稲田大学の中尾研究室、北海道大学の酒井先生のグループは、不参加、で、二つの大学になった。 僕たちのメンバーは、須賀、久保彰良が、スーパバイザーで、中尾先生、それに、町田君がドクターになり、研究員になって中尾先生の助手、彼が全部をまとめてくれる。
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    DPVを走らせる、町田君、つかまっているバディが西岡君

 学生は、新たに西岡君がダイビングに参加することになった。辰巳で一日だけだが、スキンダイビングのテストをして、6月4日に潜水士の試験をうけ、久保君の紹介で、PADIのショップで、Cカードを取得した。研究者、学生のダイビング作業は、潜水士の資格とCカードが必要である。あとは、経験を積んで行けば良い。

 西岡君は体力抜群で、身体も大きく、ウエットス
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ーツはXLサイズ、僕の潜水機材の整理収納もやってくれる。特には頼んでいないのだが、やってくれる。
 
 今年の新たな展開は、久保君のDPVの試用、そして、町田君、西岡君が、僕のスタイルのウエアラブルカメラでの撮影をするようになったことだ。僕のスタイルとは、画面にタイム表示が出来るウエアラブルカメラを各自が持ち、動画を全潜水時間継続記録しておくことだ。これによって、安全管理の面でも、研究資料としても、大きな効用がある。この場合大事なことは、画面に日時表示がでることである。2011年、go-proがでて以来、研究、追求してきた手法なのだが、go-proは、なぜか、タイム表示が画面にでないので使えない。なぜかわからない。変なポリシーがあるのかもしれない。
 もっとも、タイム表示がでても、go-proは高価(4万円以上?)なので、使わない、使えないだろうが。カメラは、AKASO brave(僕が使っているものと同じ。9000円)で、消耗品的に使って、画質も満足できる。
 これまで、撮影記録も僕の仕事だったのだが、全員がカメラを持ったので、その意味では失業?いや、撮影記録の指導という意味では、仕事を果たしたことになる。
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  中尾先生のカメラシステム、前から使っているキャノンの上に、LCDライトを載せ、その上にウエアラブルで動画を撮る。
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  町田君の使う棒の先カメラシステム、


 0714日 
 0700 羽田発 ANA  
  広島空港からバス 1300円 広島駅 
  駅で学生たちと合流 
  学生は 
  中村 田中 西岡 中込、そして 町田君 それに女子2名、山崎瑞穂 滝口ありさ さん 美人さんでダイビングはしない。標本の記録とか整理を担当する。  13時豊潮丸出港 
  痛恨の忘れ物、 ウォーターボトル 
  PCは、古い、まだ中国製にならない前のIBM シンクパッッドをもってきた。キーボードが打ちやすい。2007年以来この航海で使っている。壊れたら捨てるつもりだが、壊れない
  
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  僕は教授個室を占領していて、心苦しい。
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  出港
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 学生の緊急避難訓練

 7月15日 ログ  date 2019 0715
 ①目的:(タイトル) 豊潮丸
 ③場所 対馬
 ④スポット 仁田湾 杓子灘 
 ⑤天候  晴れ  
 ⑥風   なし、
 ⑦水温  25℃
 ⑧透視度 20ー30 m
 ⑨潜水開始 1335
   潜水時間  42 分 ターンプレッシャー 50
 ⑩最大水深   10,7m アベレージ 7m
 ⑪潜水終了 14時18分
 ⑫インターバル プラン
 ⑬チーム 須賀 中尾 久保 町田 西岡
  ユニット
 ⑭バディ 久保・中尾 でDPVを 須賀 町田 西岡はいつも通りの採集と考えた。
 ⑮残圧 20 ⑯適要  巻き尺ラインを引いたので、バディといより、全員チームで動いて久保さんの DPV をテストした。



 
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 別に難しいところではなかった。例年通り、岩礁地帯の岸近く、水深2ー3mにアンカーを入れて、ゴムボートを留める。流れはない。アンカーから、沖、深みに向かって斜面を下るように巻き尺ラインを延ばしていく50mも延ばすと、水深10mになった。これがベースラインで、ここから、右方向、あるいは左方向に、中尾先生が決めた方向に進んでいく。場合によってはラインに沿って、ラインからあまり離れないでも、採集ができてしまうこともある。ラインに沿うのが従来のライン調査なのだが、僕らは、この調査では、ラインを、ボートに戻るマーカーとして使っている。 海に潜り 予定通り?身体は回復したが、ゴムボートの上でのフィジカルがどうにもならないほど動けていない。ゴムボートの上で、12リットルのタンク、8キロのウエイトを着けると、身動きができなくなってしまうのだ。
 それに、ゴムボートの上というのは、どこもかしこもブヨブヨしていて、身体の支えをしっかり出来ない。なんとか、飛び込んでかっこうをつけた。

 7月16日
 
ログ  date 2019 0716 ①目的:タイトル 豊潮丸
 ③場所 対馬
 ④スポット 厳原  川内さんのお世話になる。
 ⑤天候  晴れ  
 ⑥風   
 ⑦水温  24℃
 ⑧透視度 20ー30 m
 ⑨潜水開始 1119
   潜水時間  47 分 ターンプレッシャー 50
 ⑩最大水深   9,7m アベレージ m
 ⑪潜水終了 12時 6分
 ⑫インターバル プラン
 ⑬チーム 須賀 中尾 久保 町田 西岡
  ユニット
 ⑭バディ 
 ⑮残圧 20
 ⑯適要
  
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 日本の海は、津々浦々、どこに行っても、岸近く、地先の海は、漁協の管理下にある。大学の練習船で、学術研究のための採集である。無断でとは言わない。許可を申請すれば採集が許可されるか、というと、そうはいかない。しかるべき、伝をたよってお願いしなければならないのが、日本の海。
 対馬はダイブウエイズの武田社長の故郷なのだ。武田さんの弟にあたる川内さんにお願いして、採集が出来ることになった。 バディの組み合わせを変えて、いつも通りの僕と中尾先生のバディ、町田、西岡の学生バディとして、久保さんは統括的に二つのバディを見張り、必要があれば、手助けする。これが鉄壁の体制。

 各バディにDPV(スクーター)を渡して移動はこれでやる。
 なに、たかだか100mの範囲なのだから、実質的にはDPVは、必要ないし、これまでも無しでやってきた。試用、実験であり、結果を町田君にでも発表してもらえたら、と考えた。 久保さんの扱っているDPV、SUEX は、イタリー製である。手放せば、離した位置で、中性浮力で、静止している。目に見えない棚に載せておくような感じだ。そして、その棚は、任意の位置である。ハーネスで身体と連結しているので、離れていく心配もない。
 中尾先生がDPVを持つ、これに掴まって走り出した時、僕は、その身体のどこかに掴まれば良い。トルクが強いので二人を楽々と運んでいく。もちろん、練習して練度を上げなくてはダメだが、豊潮丸の航海では、危ない思いをした瀬戸内海では、危ない思いをしなくて済んだだろう。そう、流れのあるところで威力を発揮する。もちろん、広範囲の移動、捜索にも。ラインを引く、ラインの撤収には、最高だ。
 対馬のように楽な場所では、不要と思っていたが、楽な場所で使って練度を上げておかなくては、必要な場所で使えない。道具にしておかなくては、道具は使えないのだ。
 ぼくも、嘗て、スクーターをずいぶん使った。たとえば沼沢沼発電所取水トンネル、人工魚礁の捜索 定置網の点検など。そのとき使ったどれよりも、これは、使いやすい。
 このDPVを使って、僕はスクーターというものの認識を新たにした。これまでの、僕の使い方では、一人に一台だった。今回はバディで一台づつ使った。一人がハーネスで、DPVと繋いでいて、走り始まったら、それに掴まれば良いのだ。これによってバディシステムも完全に行われることになる。そして、かなり広範囲に動き回っても、元に戻る為のランドマークとしてラインがある。https://amtec-adv.com/?purpose=leisure
DPVは、上記URL.で詳細がわかる。 アムテック XJ VR
 
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  ハーネスで、腰に付けている。
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 手放して、採集していても、近くに中性浮力で浮いている。
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 16日2回目 通算3回目 ①目的:タイトル 豊潮丸
 ③場所 対馬
 ④スポット 厳原
 ⑤天候  晴れ  
 ⑥風   なし、
 ⑦水温  24℃
 ⑧透視度 20ー30 m
 ⑨潜水開始 1530
   潜水時間 47  分 ターンプレッシャー 50
 ⑩最大水深   7。8m アベレージ m
 ⑪潜水終了 1617
 ⑫インターバル プラン
 ⑬チーム 須賀 中尾 久保 町田 西岡
  ユニット
 ⑭バディ 須賀:中尾
 ⑮残圧  30 ⑯適要

 ボートに上がるときにウエイト落とす。ウエイトなしで4m潜り拾うのに命がけ状態だったが、拾い上げた。しばらくは、息が弾んでいたが、不整脈はでなかった。 予定では川内さんが豊潮丸に来てくれるのをゴムボートで迎えにいく手はずだったが、川内さんが自分のボートできてくれることになった。
 結局は、そのボートもゴムボートには着けず、すれ違い手を振っての挨拶にとどまった。テンガロンハットをかぶった姿は武田さんそっくり。会うのを楽しみにしていたのに、記念写真も撮れなかった。残念。


7月17日
 
 上五島
 五島も研究の為とは言え、勝手に潜水、採集できるものでもない。地元でのお世話を2007年にも手伝ってもらった、ナイスバディというショップ、今田さんにおねがいした。今田さんは代々の漁家であり、話が通る。
 今田さんは、久保君がPADIの役員だったときに、20年前にPADIのインストラクターになって、よく知っていたとか、互いに再会を喜ぶことになった。
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 通算4回目の潜水
 ①目的:タイトル 豊潮丸
 ③場所 五島
 ④スポット 上五島 祝言島 ナイス;バディの船
 ⑤天候  曇り 一時雨
 ⑥風   
 ⑦水温  21℃
 ⑧透視度 10ー15 m
 ⑨潜水開始  1046
   潜水時間 46  分 ターンプレッシャー 50
 ⑩最大水深 12・7m アベレージ m
 ⑪潜水終了  1112
 ⑫インターバル 18時間42分
 ⑬チーム 須賀 中尾 久保 町田 西岡 ナイスバディ 今田さんのガイド2名
  ユニット
 ⑭バディ 須賀・中尾 町田・西岡 久保総括 ガイドがそれぞれのバディに着く
 ⑮残圧 30
 ⑯適要
 
 対馬からほんの少し南下しただけなのだが、梅雨前線の縁に入り、天気が悪くなった。朝は雨だったが、幸い、潜水する時には上がり、迎えにきた今田さんのボートでポイントに向かう。
 
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 透視度も悪くなり、水温も低くなり寒くなったが、採集には良い場所だった。今田さんのところの、よく身体の動く、若い衆、ガイドダイバーが中尾先生のサポートをしてくれたので、須賀は何もする事がなくなり、撮影に専心。あがりやすい梯子で、やはり、、ダイビングボートは、ダイビングがやりやすい。 次の潜水まで1時間と少し、その間に豊潮丸で昼食をとる、ウエットスーツを脱いだら、喜るのが難儀だ。久保君がシチューとおにぎりを作って持ってきてくれた。今田さんと昔話をすこしする。
 月刊ダイバーで、潮美が訪ねていたとか。
 AKASO braveのバッテリー交換なのだが、部屋でチャージしていたので、ウエットスーツでは、取りに入れなかった。ゲージを見たらまだ半分以上残っている。大丈夫とした。
 そのために、次の潜水では、痛恨のバッテリーアウトをする事になる。 

 17日2回目潜水通算5回目の潜水
 ①目的:タイトル 豊潮丸
 ③場所 五島
 ④スポット 上五島 祝言島 ナイス;バディの船
 ⑤天候  曇り
 ⑥風   
 ⑦水温  21℃
 ⑧透視度 10ー15 m
 ⑨潜水開始 1315
   潜水時間 46分 ターンプレッシャー 50
 ⑩最大水深 13。1   m アベレージ m
 ⑪潜水終了 1401
 ⑫インターバル 1時間42分
 ⑬チーム 須賀 中尾 久保 町田 西岡 ナイスバディの2名
  ユニット
 ⑭バディ a 須賀 中尾 b 町田 西岡 総合的ウオッチ久保
      現地 ナイスバディ のガイド
 ⑮残圧  20
 ⑯適要 
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 この旅で一番 良いSPOTで、(ダイビングスポットの意味ではない)採集に良いスポット)で中尾先生も、もう一度来たい場所だと言っていた。
 その良いポイントというのに、動画がバッテリーアウトしてしまった。スチルしか撮っていない。まあ、記録としては問題ないけど。


 潜水終了後 下五島の福江島にまわり、入港した。
 今回の航海で初の寄港(岸壁着眼)である。
 福江は大きい町だが、やはりシャッター街、その代わりに、大きなスーパーがある。日本のローカルの定まりパターンだ。
 ホテルと見まがう福江城石田城跡(観光資料館)があり、大きなホテルも2軒ある。観光資料館は、閉館した後で入れなかった。残念。
 
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 五島は、うどんが五島うどんとして有名で、もちろん食べた。学生は地獄炊きという鍋から直接食べるのをとり、ぼくはふつうの「かけ」を食べた。

 船の生活をこのあたりで、

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  中尾教室では、学生のオモチャ?にドローンも買ったが、これが飛ぶ姿を見ることは無かった。


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  船が仮泊するときは、船員も学生も、釣に興じる。僕は釣はやらない主義。

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  食事、




 7月 18日
 夜のうちに走って、長崎へ。
 通算6回目の潜水
 ①目的:タイトル 豊潮丸
 ③場所 長崎 大蟇島 オオヒキジマ
 ④スポット 
 ⑤天候  雨  
 ⑥風   
 ⑦水温 23  ℃
 ⑧透視度 15ー20 m
 ⑨潜水開始 1248
   潜水時間 54  分 ターンプレッシャー 30
 ⑩最大水深 8。8  m 
 ⑪潜水終了 1342
 ⑫インターバル 22時間
 ⑬チーム 須賀 中尾 久保 町田 西岡
  ユニット
 ⑭バディ 須賀:中尾
 ⑮残圧  20
 摘要
 最後の潜水 雨だったが潜水中はひどくは降らず、全潜水 6回無事に終えることが出来た。
 この潜水での失敗は、水面でのタンク着で引っかかってしまって、久保さんに世話になり恥をかいた。練習していないためだ。そして、腕が回らなくなっている。
 場所は、想像していたよりも、良い場所だった。
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 長崎では昔、流れでひどい目にあったので、心配していたのだが、流れはなく、波もなくよかった。
 流れがあるところで、タンクを水面で着る失敗は、いけない。
 
 6回、すべての潜水を細かい反省事項は、ともかくとして、大きな失敗無く終了できた。


 長崎に入る予定が、変更になり、夕方、佐世保に入港 フェリーターミナルには、立派な食堂街があり、雨風が強くなっていたので、そこで食事した。しゃれた、イタリアンでおいしかった。
 
 19日 僕と中尾先生、久保君の3人は、一足先に、東京にもどった。
僕たちと入れ違うように北上していた台風が対馬と五島に大雨を降らせる。この台風とすれ違ったこと、ラッキーだった。

 第11回の航海を終えて、第1回はただ、飛び込んで潜水して、浮上して拾ってもらう。第2回から水面にゴムボートを浮かせて、ラインを使う潜水。第7回の瀬戸内海の流されそうな潜水も経験して、この手法を完成させてきた。それに、今回はDPVを使い、各自がウエアラブルカメラで動画を記録撮影する。はるばると道のりをたどってきたが、このような調査手法の確立でもあった。ポイントは、ライン調査のラインを、サーフェスコンタクト(ゴムボート)のマーカーとしても、使うところである。
 このマーカーがあれば、DPVで走り回っても、ゴムボートに間違いなく戻れる。
 全員がウエアラブルカメラを持っていて撮影する手法も、2012年以来、志して来たが、このチームで、実現しそうである。試しにやってみるというのと、道具になっている、ということの間には、飛び越えなくてはならない、溝がある。もう少し、がんばりたい気持ちになっている。どうなるかわからないが。
 日本で、実際の海で、調査の回数を重ねながら、潜水手法の発展も進めてきたチームは、私たちだけではないかと思う。
 久保君とそのことをまとめた本にしようという計画もあるのだが、この旅で、何となく、形が見えてきた。

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