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Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
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0522 人工魚礁研究会 波佐間

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5月22日 
 第24回 人工魚礁研究会  
 参加メンバーは 須賀 寺内羊子 鶴町雅子 山本徹 高野道夫さんと、東大海洋調査探検部 田村陸(3年) 實藤未来(2年女子) 内田大河(2年)
 須賀、寺内は事務所に0700集合、山本徹の車で館山 波左間に向かう。
 不連続線の通過で、21日は大雨、海上は嵐だった。ピンポイント予報のアプリでは、不連続線通過後 快晴になり、館山湾の波高は、1,5m、次第におさまって、12時には0,5mの凪になる。予報を信じて出発。
 波左間着は0920 波左間海中公園のオーナー、親友の荒川さんは、ウエットスーツ姿になって、ウエットスーツも塗れている。朝、定置網にジンベイザメが入り、マンボウランド(マンボウを飼って、収容している囲い)に連れて行ったところだという。朝、一仕事したわけだ。
 ジンベイが定置網に入るのは、例年8月なのに、今年は5月、ずいぶん早い。と言うけれど、2年前に、超珍しいメガマウスシャークが入ったのも、5月22日だった。(これは、フェイスブックの2年前の今日、でわかったのだが)
 探検部の3人の到着が、10時20分頃という連絡が入った。山本さんは、その前に、ジンベイに会いに行こうと準備をしはじめた。僕は学生にも見せてやりたいと思ったのだが。10時半からジンベイを見て、それから人工魚礁2回では、ちょっと無理かもしれない。
 高野さんも到着したので、ジンベイを見に向かう。
 僕は迷ったけれど、タンクを背負ってのエントリー・エキジットが労働なので、スキンダイビングで、水面から見るだけにした。
 水温が20℃になっていないので、僕はまだドライスーツだ。ドライスーツでのスキンダイビングはやったことがない。
 このごろドライスーツでの水面での泳ぎ、バランスが良くない。良く泳げないのだ。ドライスーツで水面での泳ぎの練習も、必要だし、今日のダイビングのウォーミンングアップにもなる。スキンダイビングとした。
 身体のバランスをとるために、4キロのウエイトベルトだけを着けた。これでは潜ることはできない。水面に浮いているだけだ。
 それで良い。
 ウエアラブルカメラを回して、現れるのを待つ。
 やはり、ドライで水面に浮いているのはバランスが悪い。足が浮いてしまって身体が水平になる。今のダイビングは水平になってトリムをとるのだが、僕は身体が水平になると不安になってしまう。腹筋のトレーニングは、しているのだが、腹筋が弱い。背筋が弱いのかもしれない。バランスが悪いからこそ、練習が必要と自分に言い聞かせて、我慢して泳ぎ回る。
透視度は、濁ってはいないけれど、きれいでもない。浅いところでは、底がかすかに見えるから、透視度8mか?
 なんとか転げないようにバランスをとって泳ぐ。だいぶなれてきた。
 白い魚が下を通った。大きなマンボウだ。マンボウランドなので、マンボウも4尾入っている。潜ればマンボウと遊べるのだ。
 ジンベイは大きいけれど鯨と違う。魚だから、水面に浮いて息をすることもない。水面で動画を回しておいても意味ないのではないかと、撮影を止めた。バッテリーがもったいないので電源も切ろうかと思ったが、なっぜかそのまま電源は切らなかった。
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 突然、大きな頭が現れた。水面近くを泳いでいたのだ。とっさにシャッターを押したが、背中のあたりから回ったのではないか。(結果、頭から撮れていた。さすが、もとカメラマン)後を追ったが、ジンベイはのろいようで速い。ドライの泳ぎでは追い越せない。尾の動きを撮るだけだ。マンボウランドの囲い網は、25mプールぐらいだろうか。もう少し大きいかもしれない。先回りすれば、頭から撮れるかなと思ったら、どん!と頭がボートにぶつかった。下を見て泳いでいたのでわからなかったのだ。そろそろ上がれと言うことなのだな、とあがることにした。
 なんとか梯子を上がると、荒川さんが戻ってきて、エンジンをかけ、空転させた。上がれという合図だ。
 それぞれ、ジンベイを見て撮影したという。僕も曲がりなりに撮影した。大きさ6m、ジンベイとしては小さいのだが、それでも水の中で見ると巨大だ。8mは、あるのではないか?まあ、6mなのだろうけど。


一回目の潜水は、まず大型のFP(6mの立方体ブロック2段重ね)から。
 学生がいるので、きちんとブリーフィングをした。この魚礁は範囲が小さいので心配していない。僕の動きは、まず下の段、一階に入ってあまり動かないで観察する。次に、上の段、2階と下の段の接点のすきまに伊勢エビが居るか、観察する。そのあたりがこの魚礁の芯で、メバルも多いはず。注意は、2階に上がったら、1階に戻らないこと。学生の3人は、まとまっていること。
 僕のバディは、寺内羊子、僕からあまり離れないで、僕の面倒を見てくれれば良い。ということだ。
 鶴町は何時も僕と一緒だから、3人のチームになる。
 一回目の潜水
 ①目的:タイトル 人工魚礁研究会
 ③場所 波左間
 ④スポット 6m 10個
 ⑤天候 晴れ 不連続線が抜けて 南の風 微弱、快晴 波高1。2m
 ⑥風  南
 ⑦水温 17 ℃
 ⑧透視度 20m
 ⑨潜水開始1137
   潜水時間29分 ターンプレッシャー 80
 ⑩最大水深25,8 m
 ⑪潜水終了 1206
 ⑫インターバル プラン
 ⑬チーム 須賀 寺内 鶴町 山本徹 高野 東大探検部 田村陸 實藤未来 内田大河 そして荒川さんが総体を見てくれている。
 ⑭バディ 寺内 鶴町
 ⑮残圧  50
 
 水面での身体の動きは、何時もよりも良かった。ジンベイザメとつきあって、スキンダイビングで泳いだ効果があったのだろう。
 高齢になるということ、年一年と平衡感覚が衰え、筋力が低下する。フィジカルがどんどん悪くなっていく。スポーツの身体の技能、技術とはフィジカルだから、年を追って、へたくそになっていく。トレーニングで挽回は可能だが、挽回よりも老化進行の方が速いから。老化の速度にブレーキを幾分かけられると言う程度だ。これが、すべての動作に絡んでくる。
 ドライスーツの空気をぬいて、潜降ロープまで泳いでいく。潜降しようとするときにバランスが崩れてひっくり返りそうになる。レッグウエイトをやめにしているので、足の浮きを戻すのにちょっと労作が必要。このごろ耳抜きをしないと耳がぬけなくなった。

 降りていくと、良い型、30ー40cmのイサキの群が魚礁から抜け出して行こうとしている、潜降、接近したダイバーから逃げだそうとしているのだ。昔、対馬だったけれど、ダイバーが接近するとイサキは魚礁に逃げ込んだ。中に逃げ込む魚礁と、中から逃げ出す魚礁があるのだろうか。対馬も同じ型の魚礁だった。とするとイサキの性向が違う?とにかく逃げ出してしまった。その数は500ぐらいだろうか。
 下から入り込むような接近が間違いで、上から制圧するような接近ならば、もう少し良い写真が撮れたかもしれない。
 水温はドライでも冷たく感じた。ダイブコンピューターの数値は17度だ。
 前回4月に比べてメバルが多くなっている。代わりにオオモンハタは、目には付くが、多くはない。メバルが5尾群れているのに接近して撮影した。隣にはゴンズイ玉。
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 芯の部分、イセエビが入っているところに行ったがイセエビは見えない。隙間の場所を何カ所か見るが、見えない。荒川さんは底の魚礁と砂の隙間で2尾みたという。
 メバルは群れていて、これも4月よりは多い。
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 探検部はどうしているかな? 魚礁の外側に3人でラインを引いていた。ラインは細いリールラインで、實藤君(女の子)がリールを巻いていた。この狭い魚礁では、リールの用はないが、リールを使うと言うことは、僕のスタイルだ。そして、三人一組のユニットも、僕が教えたのではないが、僕のスタイルだ。
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 東大は2007年の研究員の事故の際、事故処理、事故の再発防止の委員に呼ばれなかった。僕は探検部のアドバイザーを40年やっているのに、そして、ダイビングのスタイル、考え方がまったく正反対のNさんが、ダイビングについてのアドバイザーになった。Nさんの処理は遺族の激怒をかったりしただけだったが、今振り返ると、僕がその役に付いていたとすれば、この探検部と今こうして一緒に潜ることも無かったかもしれない。

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 バディは二人であるべきで、3人は犯罪的と言う人もいる。ガイドダイバーが二人のお客と潜っていて、一人が不都合になりそれを救助している間に、もう一人が死亡事故を起こした例を二例知っている。しかし、それは三人が離ればなれになったからで、三人の密接なチーム、ユニットができるならば二人よりは三人がいい。しかし、三人をルールにしてしまうと二人しか居ないときに行動できなくなってしまう。
 有機的な連携がある3人、5人のユニットが作れるグループである学生クラブならば、3人の行動方式を作っておくことは望ましいことである。実はそのようなことを話し合う機会を探検部と5月に持とうと予定したのだったが、果たさないうちに5月が過ぎて行ってしまう。でも、こうして、探検部現役と一緒に潜ることができて、実際の姿を見ることができて、ラッキーだった。
 このような行動様式、運用のローカルルールが、ダイビングの安全のキー(要諦)だと考えていて、母校の潜水部でも6月15日にその話をする予定になっている。6月には日本水中科学協会の年次総会もある。僕は乗り切れるだろうか。必殺のスケヂュールは、得意な筈、と気合いを入れよう。
 
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 お昼を食べる前に、インターバルを1時間とって、二回目の潜水をしようということになった。インターバルの間に實藤さんがログをつけていた。探検部のフオームで、これも議論の対象になるが、良いフォームだと思う。
 東大海洋調査探検部は、今日来ている3年生田村君の代が一人だけになってしまった。探検部は、博士コースの7年生まで部活をしているので、だれも居なくなることはないが、ピンチだった。それが、今の二年生の代が8人入り、そして、今年は1年生が11人入った。逆に、だからこそ心配になる。自分もいつまで生きられるかわからないが、母校海洋大学の泉水部、そしてこの探検部の安全の方程式をアドバイスして形にしたい。探検部は一つのスタイルができていることが感じられる。それが書類になって残っているだろうか。10年分ぐらいの記録はデジタル化されていて閲覧可能らしい。僕が見ていない年月の間に成長している。


 二回目の潜水
 ①目的:タイトル 人工魚礁研究会
 ③場所 波左間
 ④スポット ドリーム
 ⑤天候 快晴
 ⑥風  
 ⑦水温 19度℃
 ⑧透視度 15m
  インターバル 1時間29分
 ⑨潜水開始 1335
 潜水時間 32 分 ターンプレッシャー 80
 ⑩最大水深 22、5   m
 ⑪潜水終了 1305
 ⑫インターバル プラン
 ⑬チーム ⑬チーム 須賀 寺内 鶴町 山本徹 高野 東大探検部 田村 實藤、内田 荒川さん
 ⑭バディ 寺内が僕をフォローしてくれている。鶴町は眼の手術をした後なので、離れずにくるだけ。
 FPでは、魚礁の外側に群れていたイサキの群をミスしてしまった。ドリームでは、降りて行くときに群を探しながら、おさえて、それから、いつものコース、下段を縦に見ていく、そして2段に上がり、上段を見て、屋上に上がって浮上、これが僕のコース
 チーム総体を荒川さんが見てくれている。荒川さんは総体と僕をケアしてくれている。東大は、僕もケアしているが、みんながケアしている。ケアというのはどのあたりに居るのか見当をつけておくと言う意味である。
 人工魚礁だから、波左間だから、学生と一緒に、このチームで安心して潜れる。同じところに何時も、何回も繰り返して潜る。年老いてからの僕のダイビングのスタイルだ。
 隣の西川名は、大学潜水部の後輩で日本水中科学協会の会員にもなってくれている石川君がオーナーだ。西川名も僕は熟知しているから行きたい。天燃魚礁(西川名)と人工魚礁の同時期比較もしたい。ただ、西川名の流れが、そして、エントリーのロープからポイントのv字谷までのわずかな距離がドライスーツでは、今の自分ではためらわせるものがある。くやしいけれど、フィジカルは、海では絶対的な条件なのだ。でも、天然礁との比較は、水産工学研究所の佐藤君のリクエストもあるので、ウエットスーツのシーズンになったら計画しなくては。
 
 ドリーム上空にイサキの姿はなかった。メバルは魚礁の下段で群れている。中段にも群れていた。そして、カサゴの大きい個体がこのごろ。目立つ。オオモンハタは、やや減って、カサゴと同じくらいの数と言う印象だ。なぜかウツボがやたらと多いと思ったら、荒川さんが餌を撒いている。ウツボへの餌ではないと思うが、餌にウツボが群れてきている。

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かさご


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クダゴンベ


 きれいな、小さいクダゴンベが、トサカの上にいて、マクロは人工魚礁調査のターゲットではないのだが、撮影する。このクダゴンベは、外にはみ出したブロックに棲みついていて、そこから回り込んで魚礁の上段に入ると、そこは何時もキンギョハナダイが群れている。キンギョハナダイはどこにでも、そこにも、ここにも群れているのだが、この場所が特に多い。同じ位置で、4月に撮ったのが今一つだったので、腰を据えて狙おうかとカメラを構えたら、下の段を通り抜けた誰か、山本さん?の気泡が上がってきて、群を散らしてしまった。また集まるのを待つほどのことではない。
 そろそろ浮上する時間なので、探検部を探す。彼らはタバタの色鮮やかなプラスチックのフィンを履いているので、すぐにわかる。田村君に浮上のサインをする。魚礁から上へ浮上するロープは何本もあるので、荒川さんにどれで上がるか確認する。4月には間違えたので、5月は、いちおうわかってはいるのだけれど、確認する事が浮上の合図になる。
 浮上をはじめて、周囲を見ると、フオローしてくれている筈の寺内羊子が居ない。全周探しても居ない。下にも居ない。鶴町は、僕が寺内を捜しているのがわかっていたという。もう一周探して、少し不安になってきた。上を見上げると上に居た。ロープで上に上がったら降りてきてはいけないのが、ルールだから待っている他なかったのだ。このごろでは僕が先頭で上がるのが常になってしまって、上がブラインドになっていた。その間30秒か1分か?ロストしている。寺内は上から僕をキープしているわけだから、彼女を信じていればそれで、良いわけなのだが、彼女とは年に数回のチームなので、少し感覚がずれた。探検部のユニットの方が良いのでは、と反省した。ヒヤリハットの前段階に反省というのがある。
 3分の停止をして、僕が先頭でボートに上がる。梯子に膝を着くと、寺内がフィンを、これは、間髪を入れずに脱がしてくれる。タンクは背負ったまま何とか上がることができた。

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 昼食は大量のブリの刺身で、荒川さんのごちそうだ。久しぶり、といっても毎月ごちそうになっているのだが、魚を食べた。学生はよく食べるのだが、大量の刺身とご飯を平らげた。
 ログをつけている實藤と、田村に少しだけ講評をした。僕は自分の残圧で、ユニットの圧力を想定して、自分が80のターンプレッシャーで戻るが、探検部は、だれかが、120になったら戻る取り決めになっているという。彼らの方が、安全度が高いかも。
 
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              参加メンバー全員

 付記 波左間で、miho turuoka さん、大きなカメラを持って、すてきなマクロをとっている、カメラマンとご一緒して、フェイスブックの友人になった。 




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