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Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
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0217 シンポジウム4 高圧則

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  三つ目のテーマが 高気圧作業安全衛生規則についてである。  その高気圧作業安全衛生規則について三つのテーマがある。 Ⅰ 高気圧作業安全衛生規則とはなにか? Ⅱ 高気圧作業安全衛生規則の歴史 沿革 Ⅲ 潜水士テキストの研究(規則の研究)  高気圧作業安全衛生規則の歴史については、12月19日にワークショップをやって発表した。 1962年にこの規則での最初の試験が小田原であり僕はそれを受けて、見事?合格した。僕の潜水士番号は71である。100人以内ということだ。
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 それから、指定講習の講師をやり、1973年に指定講習がなくなり、国家試験になり準備講習になりその準備講習の講師を2010年まで続け、 2012年には、工藤君と共著で「一発合格シリーズ」の受験本を書き、これは版を重ねている つまり、僕は、高気圧作業安全衛生規則ができたときから今日まで、密接なつきあい、関係を持っている。 この規則を取り上げて、話題にしていくことが、スクーバダイビング業界にとって、吉となるか凶とでるかわからない。難しい問題なのだが、無視しては通り過ぎられない。ならば、この辺で、問題提起だけしておこうと発表に臨んだわけだが。  高気圧作業安全衛生規則とは何か、どんな規則なのか、レクリェーションダイビングとどのような関わりを持つのかということを取り上げた。この続きをワークショップでさらに取り上げ、「潜水士テキストの研究(規則の研究)」まで踏み込んでいくかどうか、まだ考慮中である。 何でこんなにチャレンジというと格好良いが良い年齢をして、問題になるようなことばかりするのだろう。そして今、自分は心身物金ともにピンチといえる。そのように感じるのだ。後期高齢者の僻みならば良いのだけれど。 とにかく高圧則って何だ。 高圧則は労働安全衛生法に基づいている。  労働安全衛生法とは、 職場における労働者の安全と健康を確保することを目的とする法律だ。 労働者の味方、事業者の敵なのだ。 労働安全衛生法ワールドには、労働者と事業者、二種類の人間がいる。労働者とは、事業者に雇われて仕事をして賃金をもらう人、事業者とは労働者を雇い、仕事をさせて、賃金を払う人だ。 仕事、とは業務のことだ。 業務とは「継続して行われる職業・事業・商業上の仕事」  潜水業務とは「潜水機を用いて加圧された呼吸期待を呼吸して水中で行う業務」をいう。 素潜り スキンダイビング、フリーダイビングは潜水業務にならない。 潜水業務は危険な業務であるので、安全について必要な知識を持つ潜水士でなければ、従事できない。  高気圧作業安全衛生規則は、労働安全衛生法に基づき、事業者は、労働者の危険、高気圧障害、その他健康阻害を防止するため作業方法を確立、作業環境の整備、その他必要な措置 すなわち、事業者は労働者を危険な目に遭わせてはいけないのだ。ところで潜水は危険な業務だから、その危険についての知識を労働者は身につけて、その証拠として潜水士になる。潜水士の知識は、事業者が危ないことをさせた場合にそれを拒否する。危ないか安全かを見極めるための知識ということになる。 減圧表とは、事業者が無理な潜水を命令した場合、それでは潜水病になりますからだめですと拒否するための表なのだ。  レジャーダイバーは業務ではないが、ガイドダイバー、インストラクター スタッフは、報酬 賃金をうけるので業務になる。人工魚礁のところで述べたが、レジャーダイバーは、業務ではないから、自己責任で何でもできる。業務を行うインストラクターやガイドダイバーの健康と生き死には、労働安全衛生法では事業者が責任をもたなくてはならない。だから自己責任ではない。 インストラクターやガイドダイバーが命がけでお客を守ることなど、労働安全衛生法ではあり得ない。引き留めて、言うことを聞かなければ、勝手にさせて良いのだ。 良い言葉で言えば、自分の安全=お客の安全と考える。シンポジウム報告の第一回に安全について少し述べた。経営者、事業者はスタッフ、労働者の意見を聞き、取り入れなければならない。ただし、その労働者が信頼できる人でなければだめだけれど。 この原則だけきちんと守るだけで、ずいぶん事故は減ると思う。減圧症も減ると思うのだ。一般的に作業ダイバーは一日2回以上は潜らない。三回になったら割り増し賃金をもらう。 ダイブコンピューター頼りになるべく長く潜ろうなどとは考えない。減圧表に従ってなるべく早く仕事(潜水)を切り上げて、パチンコに行こうとおもっているのだ。それが安全に繋がる。ただし、作業員が正しい知識を持っている。すなわち潜水士で泣けr場ならない。 もう一度業務の定義にもどって、 業務とは「継続して行われる職業・事業・商業上の仕事」継続してという文言が入っている。ちょっと手伝ってもらったアルバイトは継続になるのだろうか。 アルバイトは業務か?継続的であるか否かの判定にかかる。 これは、次に述べる労災保険と関係があるから、おろそかにはできない。 このように迷う場合、作業ダイバーならば、あんまり悩まないですむが、レクリェーション都下、研究者の潜水の場合には、迷うことが多いだろう。それを決めるのはこの規則を司る労働基準局である。それに不服があれば、裁判で決めてもらうほかない。  シンポジウムで取り上げた話題のひとつは、東京大学で、2006年、潜水して標本採集中の研究者が亡くなった。 事業者とは 事業を行う者で労働者を雇用する者 労働者とは、事業(業務)を行うために雇用される者で継続的に労働の「賃金」を受ける者 この定義から、研究室の研究者が労働者であり、学校が事業者であるとは、ほとんどの研究者は考えつかなかったのだと思う。 でも、この場合、亡くなった研究者は労働者であり、大学、そして教室は事業者と認定されて、研究者も教授も書類送検された。 以来、研究は労働であり、学生が研究を手伝って潜水した場合、アルバイトの労働者と認定される可能性があるので、学生も教授も全員潜水士の資格をもつようになった。 ダイブマスターとか、マスターダイバーがちょっとお客とバディで潜って面倒を見た場合、労働になるだろうか、継続的か一時的かという問題がある。一日とか二日とかいう時間軸で考えて、一時的か継続か?とともに、プロダイバーと名乗ると、、プロといえば継続と思われても仕方がない。覆すには裁判が必要だ、とするとPADIなんていうネーミングは全部職業で継続的と思われる可能性がある。インストラクターの専門学校を卒業して潜水していたら、これはもう継続登と判断される、かもしれない。  ここでは問題提起、可能性を言っているので、信頼のおける解答ではない。念のため。  労働者と事業者の間で重要な問題に労災保険がある。  労災保険 事業者は、一人でも労働者がいれば、労災加入が義務づけられる。 この場合労働者は保険金を負担する必要はない。  事業者が労災保険に加盟していない場合、事業者は保険金を受けられないが、遺族が労災の請求をしてくる可能性があり、というか、必ず請求してくると予測できる。 適用される事業者が労災に加盟していない場合。 事業者が全額賠償義務があり、 労災からの給付はない。 訴訟に関わるのでケースバイケースもあろうとおもうが、ネガティブに考えておいた方が間違いない。  作業ダイビングでは、割り切れているが。レクリェーショナルダイビングでは、微妙な点が多い。さきほどのアルバイトの問題とか、継続の問題とか。 繰り返すけれど、ここでは問題提起であり、解答ではない。 弁護士さん(松村房弘弁護士 松村格先生)に質問状をだして解答してもらってはいる。 (2016年のシンポジウムでも、この議論をした。) それでは、一人で仕事をしている、たとえばフリーランサーのカメラマンは?、一人のバディ、一人のダイバーを雇って二人だけで仕事をするリサーチダイバーなどは、労災に加盟できないのか、彼らのために 特別加入制度 事業者(経営者)の加入というのがある。これは、俗にいう一人親方の制度で 自分の労災を自分が払う。 一人親方をまとめて扱ってくれる保険組合のような会社があり、それに加入する。特別加入制度だ。
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 二人、一人のアルバイトと親方の場合、二人がこの組合を通して労災に加盟することができる。親方は自分の労災保険を自分の費用で払い、アルバイトの分は、親方が払う。 多くのフリーランサーの水中カメラマンなどは、この制度を利用している場合が多いのではないだろうか。自分もこの保険に入っている。僕のような高齢者が、もしもの場合、スムースに労災保険が下りるかどうかわからないが、少なくとも、現役の証にはなるだろう。
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 ただし、この一人親方の親方は事業者だから労働基準法に言う労働者とは認められない。 一人だけだが、事業者側である。 事業者として、どこかに雇われれば下請けになる。 一人だけで、ダイビングショップをやっている。土日だけのショップオーナーも、一人親方だろう。不規則にアルバイトを雇った場合など、僕が加入している保険組合(会社)は、アルバイトについて、年間にまとめて、事後申請で加入できる。 これで、いちおう、労働者も、事業者のような労働者も労災にめでたく加入できる仕組みにはなっている。 労災保険というのは、国が強制しているものだから、料率が良い。得な保険である。 入っていると有利、入っていないで、労働者が事故を起こした場合大変なことになる。 中途半端にダイブマスターだとか、プロダイバーコースなどを受講して、ショップの手伝いなどをしていて、潜水士など、Cカードよりもレベルが低いなど(それについては別の問題があるが)バカにしていて、資格をとらないでいると、とんでもないことになる可能性がある。テキストの内容とか、試験の難易の問題は、また別として、とにかく資格は必要なのだ。  労働者(ガイドダイバー・インストラクターなど)に事故発生した場合の取り調べについて、 海上保安部は、安全配慮義務違反について、 警察 刑事事件になるかならないか。 労働基準監督署は、規則に違反していないかで、健康診断、一般健康診断が規定通りにおこなわれているかとか、計画書に不備はないか、器財の整備状況、その他の規則違反はないか、もちろん潜水士であることも重要である。 そのような取り調べの場合、潜水士テキストの記載事項は準規則になる。労働安全衛生法ワールドには、潜水については、潜水士テキスト以外に取り調べに際しての参考文献(証拠書類)はないのだから。その視点から潜水士テキストをみた場合、その製作課程からみても納得ができない。内容の適否はともかくとして、執筆者一人の意見、一人の考えが、事故発生の場合に潜水事業者の生殺与奪の力を持つのだ。潜水士テキストでは、レクリェーションダイビングについて、内容には、全く触れていないし、スクーバダイビングについての内容も、テキストの内容は、作業潜水向けのものだから、レクリェーションには適合しない部分がある。ガイドダイバー、インストラクターは作業潜水のルールで、お客はレクリェーションで潜る。その内容の研究は、今後のテーマである。  

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