写真は新藤さん撮影です。
ブログが停滞している。書くことについては停滞していない。せっせと書いているのだが、ラグビーで言えば、ボールをスクラムから出さないでいる。
シンポジウムについて、その講演内容について書いているのだが、自分にとって最終講演のつもり、とも言っていて、考えることが多い。講演のあと、これを書いている時点で、もうすでにずいぶんと変化している。運営委員会で、報告書を出す時点についての議論があった。シンポジウムの前、シンポジウムの時点では、講演内容のPPだけをまとめて印刷し、その後、たとえば、今の時点でシンポジウム当日の模様も含めて報告書をつくるのがベターではないかという意見がある。それも一理、一利あると思う。そして、このブログ、シンポジウム報告後の報告を作っていて、時間がかかっている。しかし、そろそろリリースしないと次の段階に移れない。
それに、「ダイビングの歴史」も尻に火がついている。
2月3日 シンポジウム無事終了。ダイビングフェスティバルと重なるので、来てくれる方が少ないのではないかと苦労した。例年70名ぐらいなので、50名は来て頂きたいと考えた。
幸か不幸か、今回は発表が自分をはじめとして、海洋大学の千足教授も含めて身内だったので、聴衆が少なくて、講師に恥をかかせることもない。無理に誘えば、友達をなくすことにもなる。といって、ある程度は来ていただかないと形にならない。複雑な思いで、できるだけの努力をするほか無かった。
終わってみれば、81名、例年とおり。しかしずいぶん無理にお誘いした向きもないではない。自分個人として30名、来ていただくことを目標にした。25人来ていただけたので、形がついた。まずお礼もうしあげる。
反省点としては、会員募集を含めての戦略をもう少し、考慮する必要があるが、結果としては、OKで終わることができた。
もう、昨日シンポジウムが終わった今日から、企画を考え、準備の第一歩を踏み出さなければいけない。そして、来てくださった方が、これからのワークショップに、そして、次回のシンポジウムへの出席を予定してもらえるように努力をはじめよう。
幸い、事務局長の鈴木君が、次期は、会場、楽水会館を12月1日 日曜日で予約してくれている。
※ここまでは、当日、直後に書いている。
今回は、自分のテーマを三つ発表した。自分としては最終講演のつもりだったので、今関わっている三つ、全部だ。そのために、メンバーにずいぶん無理を言い、無理をきいてもらった。でもこの講演が次へのバトンになればスタートになる。また、スタートにするようにしなければ、意味がない。
自分にとって、シンポジウムで苦労することの意味、意義は、発表するために報告書をまとめ上げること。報告書と講演が有機的につながって、理解してもらえれば成功。
研究、研究というと大げさだが、活動したことも、公表して広く知ってもらえなくては意味がない。
報告書とは、発表の後で作るもの、という意見、考え方もある。道理であるが、学会の論文集は、発表の時点で製作されており、発表の全部を聞けなかった人は、これで内容を知ることができる。
自分についていうと、耳が不自由なので、他の講演会に行っても講演者の話す内容の三分の一程度しか聞き取ることができない。パンフレットなどに書いてあることと並行した話、のみ理解できる。その意味でパワーポイントは、とても助けになるのだが、講演者で、パワーポイントの字が小さい。というか、印刷物をそのまま貼りつけただけの方がいる。スマホで写して、あとで読み直しができるくらいのサイズにしてほしい。
自分の耳が遠くなり、それに伴って、人との会話も少なくなり、話されることの理解力も衰える。これは、自分の個人的な事情だから、仕方がないが、とにかく、来ていただいた方に自分たちの成果を十分につたえる努力は必須のことだと考える。
なお、いくらがんばって聞いてくださる方を集めても、自分たちの今の力では100人に満たない。印刷物に残し、ネットにあげることによって、公開のオーダーを上げることができるとともに、自分の考えの整理ができ、リファインされ、次のテーマにつながっていく、いわゆるPDCAのサイクルをまわすことができる。このブログを書くということも、アクトである。
発表というアクトで、内容が整理され向上するから、発表の後で報告を、論文集を作るというのもわるくはない。それが必ず実行されるという条件の下であれば、それでも良いとはおもう。ただし、講演者が、報告書に頼らずに、上手に講演ができると言うことが条件であり、僕には自信がなかった。
そして、今、ここで書いているのが、講演の後での報告である。
なお、日本水中科学協会の会員、地方の方が多いので、当日リリースした報告書のデジタル版をメール添付で送っている。
ここ(ブログ)にシンポジウムについてまとめるということは、同じことの繰り返し、念押し的なことになる。
いつも言っていること、書いていることなのだが、その繰り返し書くこと、話すことがとても大事なことなのだ。
一番良い例が、念仏でありお経だろう。繰り返し唱えているうちに、信念になってしまう。念仏は、極端な例だが、僕が顔を出せば、ああ人工魚礁のことだな、と思ってもらえれば、それは成功なのだ。
今回の三つのテーマ、人工魚礁、お台場、そして高気圧作業安全衛生規則 ああ、またその話か、で良い。そして、話を繰り返す度に、実は同じではない。少しずつだが違っている。進歩、進化しているはず、そのつもりであって、その違いを知ってもらえれば、さらに大成功。事実、報告書よりも、今ここに書いているブログの方が進化していると思う。ここから先、またワークショップで、同じテーマを繰り返すと思うし、その予定である。そのような考え方で進んで行こう。
なお、ここに書くのは、シンポジウムでの自分の発表による、自分についてのサイクルであり、他の発表者は、それぞれの意見がある。だから、ここで書くのはシンポジウム全体の話ではなくて、自分の発表に限定したことである。
さて、三つのテーマについての、講演後の報告であるが、まずその一「人工魚礁」から始める。
人工魚礁そのものについての議論は、日本の海、特にダイバーの海にとっては、重要なテーマであるが,今回の発表は、ダイビングの運用方法研究という視点からの発表とした。人工魚礁そのものの研究は、ねらう目標ではあるが、ここでは、的に向ける弓の引き方について述べることにする。すなわち、人工魚礁という場でどのようにダイビングするか、について考え、そして、その手法が汎用のダイビングに役立つことについて述べる。
たとえば、2m角型160個を整然と並べたドリーム魚礁とその近くにある6m角型10個との比較は、人工魚礁研究のテーマであって、ダイビング運用研究のテーマではない。どんな風に潜水するか、運用が今回の発表でのテーマである。
その意味で、タイトルは、「人工魚礁におけるダイビング活動、ダイビングの運用方法の研究」としたほうが、適切であったかもしれない。その活動で何がわかるのか、何ができるのか、ということも重要であるから、末尾で若干述べることにするが。
ダイビングの運用とは、どのようにダイビングを行うか、ダイビングをするか、であり、ダイビングの安全、危険は、どのようにダイビングをするか、つまり運用にかかっている。
ついでだから、現時点、2019年2月現在のダイビング運用、つまりダイビングにおける安全確保についての私見を述べよう。
運用とはPDCAである。海事、海の仕事では、その中でP、プラン、段取りが成否の80%を決める、といわれている。
そして、私見であるが、成功(安全)の鍵は「要領」である。「要領」の悪い人のダイビングでは危ない。大学卒業2年目のダイバーが危ないというジンクスがある。自分の会社での事故も、その2年目だった。
まだ「要領」を覚えず、逃げ方を知らない。危ない仕事でも、不服を唱えず、まじめに全力を尽くす。それが危ない。といって要領よくしろとは指導できない。自分で体得するほかないのだ。
「あいつは、要領のいい奴だ」というと貶し言葉のように聞こえてしまうが、良い言葉を使うと、「バランス感覚が大事」ということになろうか。
「要領」を論理的に考えると、まずプラン、段取りが成否をきめる。
仕事で、フリーランサーの作業ダイバーと多数つき合ってきたが、使えるダイバーは、要領が良い。無理なことをやらせようとしたらうまく逃げて、うまくこなしてくれる。こちらが無理をしようとすると、うまくとめてくれる。「要領」すなわち「バランス感覚」「経験」が安全には重要なポイントになる。
計画、段取りには、明確な目標が必須である。目標を明確にしないと、計画が具体的なものにならない。抽象的な「安全宣言」なども意味のあることではあるが、かけ声だけではどうにもならない。
ダイビング事故が起こり、その反省をすると、だいたい、計画が不備、計画が具体的でなかったということになる。「安全には注意していました。」では、いいわけにもならない。
振り返って、自分は良い(上手な)ダイバーではなかった。それでも、生き残ってこられたのは、幸運と、もう一つは仕事、目的、目標が常にあって、それが、明確、わかりやすかったからだ、と思う。人工魚礁を中心とする水産関連の調査、ニュース・ステーションを中心にしたテレビ番組の撮影、それぞれ、仕様書、台本があり目標が明確であった。
危険と思われる大深度実験潜水が安全なのは、目標が明確であるからであろう。ダイビングの上達というのも明確な目標のひとつであるが、どの部分の上達なのか、具体的になればさらに効率が良くなり安全になる。
レジャーとか、レクリェーションとか、楽しみ、とか冒険、みんな抽象的でわかりにくい。具体的、明確にわかりやすくすることが、安全の第一歩である。
スペシャルティコースなどというのは、レジャーにおける目標の明確化の一つである。マニュアルとは、台本であり、仕様書のようなものである。
ダイビングは、自然相手の勝負である。外なる環境の自然と、内なる自分の身体、自分の健康状態、生きているということも自然の一つ、とすれば、すべて自然相手である。自然というものの定義の一つは、人が思うように、計画通りには運ばないということだろう。
言っていることと矛盾するようだが、自分は細かい計画は、あんまり得意ではなかった。
目標を明確にして、計画を単純化することも、大事だと思う。チーム全体が計画を共有することが大事で、そのためには、単純化が必須である。
☆☆
今回のシンポジウムの発表を通じて、考え、考えをまとめたことの一つは、ダイビング活動とは、クラブ活動であるということの再確認だった。
範囲を広くすれば、人間の集まり、集まって行動することは、すべてクラブ活動であるが、もう少し、絞って、一般通念としてクラブ活動と呼べるようなものとして、日本水中科学協会も、今回発表の人工魚礁研究会も、お台場の東京港水中生物研究会もクラブ活動である。
1960年代、ダイビングは、クラブという名称のあるクラブ単位で行われた。そのころ自分のかかわったクラブ名をあげると、オールニッポンアクアラングクラブ、これは東京アクアラングサービスというショップのクラブとか、セブンシーズダイビングクラブ、これは、在日グループ中心の海賊くらぶとか、レッドフィンダイビングクラブ、これは自分のクラブ。まだあるけど、タンクの充填とか、魚突きにいくことも、クラブで行われることがおおかった。やがて、クラブはショップになり、ショップがクラブを運営するようになり、インストラクターが生まれて、指導団体になっていくわけだが、この変遷は、日本のダイビングの歴史を考えるとき、とても大事なことである。これは、後で述べる高気圧作業安全衛生規則につても、その歴史を考えるときに、重要なポイントになる。
ここでのダイビングクラブを定義すると、表向きは営利を目的としない、業務ではない(業務については後で高気圧作業安全衛生規則の説明で述べる)友人関係を基幹とする、ダイビングに関する集まり、とでもしようか。営利を目的にすると、ショップになる。その転換は、微妙であり、それぞれであったが。
大学の部活も、サークルもこれは、全くの純正クラブでった。それが、ショップと関わったとき、その関わり方が問題であるが。
ダイビングの安全にクラブは大きく関わってくる。
目的、目標が明確であり、メンバーが目標を共有しているとき、事故は起こりにくくなる。
人工魚礁研究会も、お台場で潜水する東京港水中生物研究会もクラブである。目標として人工魚礁があり、お台場潜水がある。目標別、地域別にこのようなクラブができると良い。日本水中科学協会は科学を基幹、目的としたクラブ活動の集まり、という方向に進んで行くと良いなと思っている。
安全という視点から見ると、そのクラブがどんなローカルルールで活動するかが、事故防止の要点になる。
ここで、シンポジウムのもう一つのテーマが発生している。報告書では、「ダイビングの安全な運用と調査活動(学生の部活動として)」いる。
時間の関係があり、このテーマは、シンポジウムでは、概略の紹介にとどまった。
このテーマにそったワークショップができれば、、次回のシンポジウムのテーマの一つになる。そのようにしたいと願っている。
これが、僕の最終講演からの出発になると良いのだが。
まずは、
学生クラブのローカルルール、フォーメーションの研究をワークショップのテーマにしたい。学生クラブとしては、東大の海洋調査探検部を想定した。彼らが人工魚礁研究会に参加したとき、クラブ活動で行うのならば、3人編成で行きたい、という申し出があった。このときは台風で中止になってしまったのだが、3人編成ということは、何らかのフォーメーションがあるのだろう。自分が指導していたときには、そのようなフォーメーションはなかったから、その後の工夫だろう。詳しく知り、議論したい。探検部が人工魚礁研究会に参加してくれたことが、この部分の発想に繋がったともいえる。
今度のシンポジウムにも来てもらう予定だったが、ちょうど期末試験と重なってしまった。
海洋大学の潜水部も期末試験、シンポジウムの翌日は試験だったのだが、僕は、潜水部の名誉会長なので、無理矢理に5人、引き出した。感謝。
海洋大もこのテーマに引き入れたいが、難しいだろう。大学のクラブは年間のスケジュールが固定していて、その中に組み込むのは本人たちの意志がないかぎり難しい。目下のところ見通しがたたない。
中央のクラブも、名称が海洋研究会だし、名誉顧問にさせてもらっている。学習院も親しいが、新しいことを加えるのは難しいとおもうが、声をかけてみたい。。
続く