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Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
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1230 波佐間1228

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              岩棚の天井に張り付いたカサゴ

今年は、ダイビング、自分が潜ることについて、本当についていなかった。
例年乗せてもらっている広島大学の練習船、豊潮丸は、エンジントラブルで航海が中止になるし、台風は次々と、ちょうど自分がダイビングを予定している時をねらうようにして来襲、台風シーズンが去っても、人工魚礁研究会のスケジュールにあわせて、不連続線が発達したり、もう僕のダイビング人生も残り少ないのに、その残り少ない時間が貴重なその年、その時なのに。 人工魚礁研究会11月はどうやら潜ることができ、12月もできた。年末に海が良さそうなので、28日を今年最後、月例だから12月はもうできたので、これはエキストラ、自分一人だけでも行くつもりで、皆に声をかけたら、山本さん、増井さん、早崎さんが参加してくれることになった。
 ところが、またしても、僕が行こうとする28日は大時化だと、荒川さんが伝えてきた。
 いつも、自分は国際気象海洋の「航空波浪気象情報」で、週間天気図、48時間波浪予想をみている。むかし、この国際気象海洋が調査業務も行っている時、何回が仕事をさせてもらったよしみで、このアプリを使っている。これで見ると、西高東低ではあるが、低気圧は北にあり、等圧線はそれほど混んでいないように見える。確かに沖合は大時化だが、岸近くの、内房側の羽左間ならば、何とかいけるのではないか。 でも、僕の行く時をピンポイントでねらうように、風が吹き、波が立つ。
 考えてみれば、例年、元日は穏やかで、元日穏やかとして、逆算すると、28日頃が時化の周期になる。
 国際気象海洋の予報では、28日、朝は8mほどの西が吹いているが11時から12時には3mぐらいになり、午後はおさまりそうだ。とにかく、行くことにした。羽左間で現場待機で、朝はだめだったが、昼過ぎに凪いだことが2回ばかりある。今度は、3時までは待とうと覚悟を決めて出て行った。
 毎度のことだが、僕は海に行く前は、体調が悪くなっている。海に潜って体調を良くするのだ。これで、海にでて、体調が悪くなり、倒れたりすれば、それは病気だ。海に行く前の体調の悪さは、ストレスからくるものだろうと、自分で決めている。だから、体調が悪いときは潜水をやめる、などと常識的なことを言っていたら、潜れる日は無くなり、どんどん体調は悪くなって、やがて死ぬことになる。
 朝、冬型の気圧配置はばっちり決まって、北西の冷たい風が木の枝を揺らしている。
 やはり体調が悪くて、山本さんの車で、眠った。目を覚ましたら、館山だった。9時30分着
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 羽左間海中公園には、海中の神社がある。日本で、おそらく、ここだけの海中神社だ。海中にある神社というと、なにやら遺跡のようなイメージを持つ人がいると思うが、そうではないのだ。高根と呼ぶ、小高い根、小さい山の頂上に、ピカピカに磨き上げた神社がある。羽左間海中公園の荒川さんが磨き上げているのだ。月に何度か、日を決めて神事をしている。榊を換えたりして神社の手入れをする。その神事への出港が11時。一緒に行く、人工漁礁は二回目のダイビングになる。
 準備をする。タンクにBC.、レギュレーターを付け、ドライスーツを着て、タンクを舟に運ぶ。心臓の動悸がわかる。身体の調子はもちろん良くないが、それほど悪くはない。
 ウエイトを着けて、舟に乗り、フィンを履きタンクを背負う。背負えないので、荒川さんが手を貸してくれる。
 カメラ、TG4の上に、akasoをのせて、フィッシュアイのFX2500を着けている。
 早崎さんが飛び込み、僕はakasoの動画シャッターを押して、バックエントリーで飛び込む。身体を起こして、潜降索へ行こうとする。右腕にチクリと浸水を感じる。このまま続ければ、服の中は、水没状態になる。やはり、ピンホールではなかった。多分、ファスナーだろう。ファスナーの故障か?
 舟にもどれば、もう今日のダイビングは僕はできない。舟に上がることが僕にとっては、大変なのだ。このまま潜降して、水浸しになる覚悟をきめる。もしかしたら、浸水は少しで済むかもしれない。 この潜水のログは、下記
 
 西高東低の気圧配置 朝は8mぐらいの風 12時頃にはおさまると判断して08時に出発
 メンバー 須賀 山本徹、増井 早崎 波佐間では、荒川、萩原 尾崎
 海底神社の神事があるとかで、11時に出港 高根に向かう。
 波は1。5mぐらいあったが、高根なら問題ない。 天候は薄曇り ①目的:タイトル 人工魚礁研究会
 ③場所 波左間
 ④スポット 高根
 ⑤天候 薄曇り
 ⑥風  北西 6ー8m
 ⑦水温 14℃
 ⑧透視度 20m
 ⑨潜水開始 1124 潜水時間31分 ターンプレッシャー 80
 ⑩最大水深 17。9   m
 ⑪潜水終了 1155

 一気に下まで沈み、少し耳に圧力をかんじたので、バルサルバで抜く。
 もう、右腕全部が浸水した。
 着底地点は、小型エアードームの横、今の僕は、ドライスーツでの潜降では、どうしても、一旦着底してしまう。ベルトを締め直し、ライトを点灯して、akasoのファインダーで動画が動いていることを確認、オリンパスの電源を入れる。
 荒川さんが、魚の餌箱をドームの脇のゲートに吊す。メジナが群がる。メジナが90%で、クロダイ、オオモンハタが10尾ぐらいづ混ざる。総数で200尾ほどか?
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 ここのところ、オオモンハタに着目しているので、何枚かシャッターを押す。しかし、ただ泳いでいるだけだから、なんにも絵にならない。オオモンハタが、クロダイと同じ様子で、メジナに混じるようになった。ほかにハタの類は見あたらない。
 この水域で、従来、オオモンハタは、珍しくはないが、数は少なく、マハタや、キジハタのほうが多かったはず。意識して調べていなかったが、羽左間の隣の西崎に試験枕設した丸一(メーカー名)魚礁を毎月、2年間調査した記録がある。その報告の表を見ると、キジハタが2尾、マハタが2尾、オオモンハタが2尾になっていた。今の羽左間ならばオオモンハタ6、他のハタはゼロだろ。つまり、キジハタ、ホウセキハタ、カンモンハタ、マハタは、オオモンハタに取って代わられた。
 オオモンハタは、他の種類のハタに勝るとも劣らない美味な魚で、確か、養殖も企てられている。
 
 ドームから高根を通り過ぎて、庇型で奥の深い岩棚の方に向かう。この岩棚の隙間に、いつもイシダイ、ハタの類が入り込んでいる。このような岩根が、二列になって100mほど続いている。高根を中心にしたこの根の連続が、人工魚礁がまだ無い時代、羽左間の売り物だった。もちろん今でも良い根で、珍しいウミウシの類、カエルアンコウ、カミソリウオなど、見るべき魚は多い。僕はその手の珍しいタイプの魚にはあまり興味がない。もちろん、目の前に現れれば、撮影するが、それをねらっていくということはない。
 斜め下に向かって深い溝になっているこの根の中をのぞき込む頃、ドライスーツの中の水は腰から足まで廻った。全身、ドライスーツの中で水浸しになっている、別に寒くはない。ウエットスーツと同じだ。体熱で、スーツの中の水は温められ、外の水とは循環しない。
 岩棚にオオモンハタは居なかった。アカハタが居たので撮影する、アカハタは逃げ出たが、その右手、棚の天井に逆さになってカサゴが張り付いている。良い構図になる。オリンパスTG-4のスチルを何枚もシャッターを切る。余り先には進まないようにして、高根神社の方に戻る。この神社の根も、きれいなヤギの類が生えていて、そのヤギに付くようにして、キンギョハナダイが群れている。ありふれているのだけれど、このごろ、このありふれた写真を撮影していないので、少しまじめに撮影する。まじめに、ということは、カメラを構えて、ファインダーをのぞいてシャッターを押すということだ。人工魚礁でラインを想定して撮っているときは、どうしても流し撮り、不真面目な撮影になり、一枚一枚の絵としては成立しないことがほとんどだ。
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 ※オリンパスTG4の上に、ウエアラブルカメラ、9000円のAKASO7000を付けているのだが、この安いカメラの動画から切り出した静止画がなかなか良くて、ブログに乗せる程度の使い方ならば、調査カメラとしてはこれで十分である。
 この写真もその動画からの静止画だが、左のアカハタの色もいいし、右上にオコゼがいる。左上に時間表示が出ている。これが、調査カメラとしては重要。ゴープロはなぜか、この表示がないので、調査カメラとしては使えない。


 そろそろ、両足に水が溜まって、ドライスーツが水で膨れてきた。戻らないと、溜まった水で泳げなくなる。荒川さんに浮上のサインをして、エアードームに戻る。エアードームから、上に潜降索をたどれば、減圧バーがあり、その上に舟がある。
 高根から、エアードームまでは、20mも無いのだが、水で脚が膨れていて進まない。進まないと言っても進み方が脚の努力量に相当しないということだから、経験だと思えば良い。
 浮上も、ロープを掴まないと、なかなか浮けない。バーに捕まって減圧しているとバディの山本さんが上がってきてくれた。しかし、僕はこれを早崎さんだと思っている。早崎さんならまだ、下にいるはずだけれどどうしてかな。山本さんならば、一緒に上がるのだけれど、早崎さんだとすると、彼は僕を助ける約束ではないから上がれない。二人とも同じようなドライスーツで、体形がおなじなので、わからないのだ。
 脚に溜まった水が気になって居て、この脚で、舟に上がれるだろうかと心配している。水面で流れにあたったらやばい。それに、まだ朝の波は完全には収まってはいないので舟は大きく揺れている。今は水の中だから、寒くないが、水没状態で、舟に上がって風に吹かれたら寒いだろうな。皆が上がってくるのを待つか、と下を見るが、誰も上がってくる様子がない。
 ダイブコンピューターを見ると、とうに99になっている。残圧も50になった。
 梯子にとりつくと、山本さんがフィンを脱がしてくれる。しかし、その時点で僕は、彼を山本さんと認識していない。早崎さんだと思っている。タンクを脱いで、ウエイトだけで梯子を登ろうと、ドライのインフレーターホースを抜く。バックルもはずしかけて、早崎さんだったら僕の上がる手順を知らないだろう。自力でこのまま上がるつもりになった。両手で、体を引き上げるようにして、脚を梯子に懸けて踏ん張った。ここで膝から下の力が入らないでくじけてしまうのだが、なんとか上がり切れた。これは良かった。
 僕が早く上がったので、舟の上で寒い風に吹かれて待つことになる。ドライスーツの中は水である。しかし、寒くはなかった。たとえ沈没しても、体の熱で水は温められていて、そととの出入りは完全にシャットされているから、ウエットで、風に吹かれているよりも暖かい。
 皆が上がってきて、水没の話をする。早崎さんが、ファスナーの締め付け部分にほんのわずかな隙間を見つけた。
 このドライ、サンファンのもっともグレードの高いドライを提供してもらっている。春先から、夏も、お台場ではドライで過ごして慣らしている。ここまで何の問題もなく、動きやすかった。ファスナーも軽くて、軽く締めるときちんと閉まる。軽く、2回引いただけで、止まった。本当は引くだけでなく、ジワーッと力を入れて、引き込み、ぴったりはまりこんでいることを確認しなければいけなかった。はまりこんでしまえば、体の動きなどで、ファスナーがゆるむことはないから、完璧だ。
 僕も山本さんも良い経験をした。 上がってきて、次の潜水は、ウエットを借りて潜ろう。と思った。
 シャワーで借りたウエットを着たが、脚は入ったが上は着られない。見たらMサイズだ。Lに換えてもらって Mを脱ごうとしたが脱げない。苦闘しているうちに首筋が痛くなってきてしまった。ウエットスーツを脱ぐときは、心拍数が上がるのだ。考えた。これでL サイズを着ても、体に合うとは決まらない。水温は18℃だという。僕のダイブコンピューターでは14℃になっている。僕がウエットで耐えられるのは21℃が限界だと思い出した。一回目のダイビングで気分がハイになっていて、それにドライで寒くなかったので、寒さのことを考えに入れていない。1今日はこれであきらめることにした。もしも最初にLが用意されて、着られて、海に入ったらどうだっただろう。水中は何とか耐えただろうが、舟に上がってから凍えて、今、ちょうど読んでいた山野井泰史の「凍」状態になっただろう。Mで、着られなくて良かったのだ。
 
 Mのウエットスーツを脱ぐときに、変な力の入れ方をして、首筋が痛くて、首を立てられない。お昼は、荒川さんがすばらしいブリの刺身を用意してくれた。とてもおいしいのだが、首筋の痛さに気が行ってしまう。なんとか首筋を立てて、もみながら食べる。ようやく、痛みが収まって、ブリの味がわかってきた。
 午後からのダイビングはパスして、休むことにした。
 
 明後30日はお台場の月例調査潜水で、これが2018年のもぐりおさめになる。 本年中に30日のお台場もブログに載せたかったが、あまり長くなるので、来年にまわすことにした。
 

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