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Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
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1227 アルピニズムと死

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「アルピニズムと死:山野井泰史:ヤマケイ新書 2014」 
 「白夜の大岩壁に挑む クライマー山野井夫妻 NHK取材班 新潮文庫 2013」
 二冊とも、一度読了して、書棚に置いてあったものだ。書棚に置くということは、僕にとって機会があれば、もう一度、もう二度でも読む可能性があるという本である。今、ダイビングの事故史を書いていて、もう一度読む気持ちになった。
 これは、アルピニズム 岩壁登り、で世界的レベルに到達した登山家の話だ。
 岩を登ることに何の意味もない。ほとんどのスポーツには何の意味もないから、(健康とか、身体を鍛えるという意味はあるが)岩登りが何の意味もなくて別にかまわないが、山野井夫妻のやる岩登りは、生と死の間に自分を置いて、自分の力で、それを切り抜けなければ、満足できない。そして、その生と死の間にいて、安全のための道具を使ったりすると、それは一つの敗北なのだ。もちろん、命は大事にするから、敗北を躊躇く選択することもある。しかし、安全を選択することは敗北なのだ。専門ではないからよくわからないが、オールフリーでなくなってしまった、などと言って残念がったりする。
 たとえて言えば、フリーダイビングで、安全のためのラニヤードを使ったら、フリーではなくなると、そんな意味だろうか。岡本美鈴をつかまえて、おまえは安全に潜ろうとするから、卑怯だ、というようなものだ。

 山野井妙子、奥さんの方だが手足の指を18本、凍傷で切り取っている。泰史さんの方は、10本失っている。
 「アルピニズムと死」の方は、山野井泰史さんが自分はなぜ死ななかったについてを書こうとした本だ。僕も、自分が何で死ななかったかを事故史で書こうとしているので、これも再読したのだが、危険と言うことでは次元がちがう。、危険のグレードが段違いだ。ダイビングは死ぬかも知れな
いが安全だ。「アルピニズムと死」のあとがきで、書いている。 「生命体として、いつかはどこかで僕らも消滅する運命です。たまたま山で命を終えたことが悪いとは思えません。でも、夢半ばであったことが残念に思えるのです。いままで多くの友人を山で亡くしましたが、僕は幸いに現在も続けさせてもらっています。
 結局、なぜ僕は死ななかったのでしょうか。
 それは、若い頃から恐怖心が強く、常に注意深く、危険への感覚がマヒしてしまうことが一度もなかったことが理由の一つかもしれません。」 僕がこの本を読んだ感想としては、奥さんと二人で雪崩に埋まったときに、奥さんの方が埋まりかたが浅かったので、すぐに這い出せた。そして、ロープで結んでいたために場所がすぐにわかって、掘り出してもらうことができて、これは、奇跡だったなどと書いている。だから、運も良かったのだ。
 そして、「白夜の大岩壁」の解説を読んで、ああそうだった。これも書棚に残している沢木耕太郎の「凍」が、この山野井夫妻の話だった。この服部文祥の解説もよくわかる解説だった。
 「白夜の」も、テレビドキュメンタリーの取材記として優れている。これは、どちらかと言えば夫婦、夫妻の物語である。 ところで、この岩登りの世界では、すべて自己責任、ダイビングの方は、致死的な商品スポーツから。「死んではいけない」「事故ゼロ」まで、そして、人、ダイバーの死が、生きている人の責任になる可能性が高い。ならば、絶対に安全である方法を追求すれば良いのだけれど、それでは、やはり、おもしろくない。意味がない。その曖昧さが僕にとっての落とし穴だった。そんなことを事故史のラストで書こうとしていたので、この本を再読したのだった。 山登りは、ハイキングから、ヒマラヤトレッキング、アルパインスタイル、そして、岩登り、区別が明確にでき、原則として自己責任である。ダイビングは自己責任が、明確化されない。プロのダイビングが、徹底的安全管理の業務になり、原則として管理者が責任を負う。レジャーダイバーでも、場合によっては、上位者、先輩の責任が追求される。費用を支払って雇ったインストラクターやガイドダイバーが居れば、それは、彼らの責任になる。まあ、人の命には責任の持ちようがないから、お金(保険)で解決されるのだが。 事故の責任について、「アルピニズムと死」で、触れている部分がある。
 「夢を追いかけ死んでなにが悪いのかと考えていた若い頃。
 もしも遭難したら家族がとても悲しむよ・・・
 でも、事故や重い病気で亡くなることと、家族の心の痛め方に違いがあるのか。
 もしも遭難したら他の人に迷惑かけるよ・・
でも、世の中の人と人の繋がりというのはそんなもんだよ。」 もちろん、ずいぶん違うけど、おなじようなことを、ずっと僕も考えてきた。
 「陸の上に、船の上に這い上がって死ななくてはいけない・」とか
 それは、それで別の問題があるのだけど、それはまた別に書く。
 
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 やはり、沢木耕太郎、「凍」もう一度読みそうだ。もう読み始めている。 2018/12/27 08:43

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