今回のターゲット オオモンハタ
12月8日 羽左間
ようやく、穏やかな海で、天気もまずまずの晴れで潜ることができた。メンバーは、須賀、山本徹、早崎、小俣、高野、東大海洋調査探検部、石原、田村
一回目の潜水は、田村君が遅刻。
ポイントは、定番のドリームと、その対照区としての大型FP10個二段積(魚礁 NO21)とした。この二つは水深もほぼ同じ。距離の離れ具合も適切で、効果の比較になる。
一回目がFP、二回目をドリームとした。
ログ
2018
1208
①目的:タイトル 人工魚礁研究会
③場所 波左間
④スポット :] FP 魚礁NO21 公称6m角ブロック10個、二段乱積み
⑤天候 晴れ 薄曇り
⑥風 微風
⑦水温 22℃
⑧透視度 20m
⑨潜水開始 11:05 潜水時間33分 ターンプレッシャー 80
人工魚礁の場合ターンプレッシャー即、直上へ浮上だから、余裕はある。
⑩最大水深26,5m
⑪潜水終了 11:38
⑬ユニット 須賀 山本徹 早崎 高野 小俣 ガイド荒川
東大探検部 石原
⑭バディ 山本徹
ターゲット魚種を、オオモンハタとした、
その回のターゲットを決める。
オオモンハタは、中型のハタで、60ー70cmぐらいが最大であろう。ハタ科の魚であるから高級魚である。釣りの魚としても人気がある。
この魚、10年前頃には、このあたり(千葉県内房)で、レア、稀とまでは言えないが、少なかった。
今は、この水域の人工魚礁に集まるハタの類としては、これが一番多くみられ、前に多かったマハタ、キジハタなどが、見られなくなってきている。なお、オオモンハタのことをキジハタと呼ぶ地域もあるが、標準和名では、別の種である。キジハタは、キジハタであり、これも人気のあるハタの類であるから、ややこしい。
マハタは、超大型になるクエとの区別がこれもややこしいが、昔はその小型時代(成長過程)のものが、ここらあたりの魚礁でよく見られたが、今では、レアになってしまっている。見つけたら報告してほしい。
オオモンハタの特徴は、尾鰭の最後部が白いフチドリになっていること。メンバーは、オオモンハタの尾数大きさを数える。
安全についてのブリーフィングは、高齢である(仕方ない)自分の安全策をいう。僕をフォローしていれば、全員、安全、間違いない。(仕方ない)僕は、ショートのタンクで、ターンプレッシャーは、80。
公称6m角、本当は3m角?の大型コンクリートブロック(商品名FPブロック)10個の2段重ね。
ダイビングプランとして、僕は、まず25mの海底に降りて、下の段(一階)の魚礁内部に入り込んでいく、良いところを見つけたら、座り込んでしばらく撮影観察をしている。それから、二段重ねの中段、2階にあがる。多分2階にはウマヅラハギがいる。メバルも2階に群れている。注意は、2階にあがったら、1階には降りないこと。これは、減圧症予防のためである。最後に屋上にあがり、ボートと結んでいるロープに伝わって浮上。これも、屋上に上がったら、2階には、原則として降りない。浮上速度はゆっくり、減圧停止 バーでの3分停止。
自分については、舟に上がるとき、タンクを脱いで、タンクを引き上げてもらってから、上がる。格好をつけて、タンクを背負ったまま上がろう。などとは考えないこと、これで、何度も足を傷めているので、怒られた。(仕方ない)
この魚礁は、ブロックは大型だが、全体の容積は小さい、誰がどこにいるかは感覚として、つかめる。バディ編成は、須賀は、いつも通り山本さんに確保をお願いする。東大探検部は、早崎さん。今日が初参加の高野さんは古いダイバーでトライアスロンにもでているが、スクーバについては、ブランクではないが、ケアが必要で、小俣社長にバディをお願いする。キャリアの長さも大事だが、今、今年現在の潜水日数、時間数が重要、そして、この場(今日は波佐間)に慣れていること。メンバーの間では、自然とローカルルールが生まれていて、これが安全のために大事。
僕の装備だが、サンファンのドライスーツ、ウエイトは7キロのベスト、4キロのベルト、1、7キロのレッグ、合計12、7キロ、下着はラパサの普段着で、ダイビング用ではない。15mを越えたらオーバーになるだろうが、BC.でバランスはとれるはず。
タンクは背負ってから、ボートに乗る。乗り込むときに転んだら終わりだから、先に乗り込んでいた高野さんの肩を借りる。
エントリーは、いつも通り、ボートの上を這っていき、身体を乗り出すようにして、頭から突っ込む。身体が前転して、足が浮く。ドライの空気を抜いて身体を立てる。水面から見たらもがいているように見えるだろうが、仕方ない。幸い流れはない。先行した早崎さんバディが潜降索で降りている途中が見下ろせる。
僕は索に掴まらないで、自由降下、この前、これで失敗して流されたが、今日は流れもなく、下に魚礁が見える。15mをすぎるとオーバーウエイトになり、落下するがそのまま落ちて膝を突いてドライスーツに少し空気を入れ、BC.で調整して泳ぎ始める。
長らくダイビングをやっていると、身体の中の感覚センサーが、スタビライザーになっているのだが、今は、そのスタビライザーと身体の動きが同調しない。そのためか、いつも違和感があり、意識していないと身体の平衡が保てない。
魚礁の一階に入り込んでいく。
持っているカメラシステムは、オリンパスTG4を黄色の中国製カプセルsea frogに入れ、カプセルの上に、ウエアラブルカメラを乗せている。ウエアラブルカメラは、動画でダイビングの全時間をタイム表示入りで撮影し、オリンパスの方はスチルで、今度は「豊かな海」の表紙にできるようなオオモンハタを撮りたいと思っている。
しかし、オオモンハタが居ない。前回10月には5尾の群れがいたのに、そして、コンクリートブロックの下の海底との隙間に前回はイセエビが並んでいたのに、それも居ない。
イシダイの20ー30cmクラスの群が魚礁の中から外にでて、通り過ぎていく。魚礁の外側を、オオモンハタが1尾通り過ぎて行くので、カメラで追ったが、遠すぎる。オオモンハタは、この1尾だけだ。
きれいなゲンロクダイが居た。好きな魚なので、ねらって撮ったが、後で見ると、やはりちょこちょこと動きが早く、被写体ブレになっていた。
ストロボでないと止まらないのか。
二階に上がって、メバルが、をみたが、8尾ほど群れていたが、あとは、点々。いつもよりも少ない。スズメダイ、キンチャクダイ、ハコフグ、カワハギ、遠くにウマヅラハギ、80cmぐらいの大型カンダイ(コブダイ)が魚礁に入って来て通りすぎていった。
魚類の調査表は、後で、ウエアラブルカメラの動画を見てリストアップする。その方が確実で、間違いがない。
屋上に上がると、荒川さんが、さっきのカンダイと遊んでいた。このあたりのコブダイ、カンダイはみんな荒川さんに餌付けされている。
しばらく、荒川さんとコブダイをみてから、残圧は、90ぐらいだったが、浮上した。
先にボートに上がった荒川さんに背中のタンクを引き上げてもらって、フィンは山本さんに外してもらって、ハシゴを登った。だらしないと思ってはいけないのだ。ドライスーツを着ている時期は我慢だ。
岸で小俣さんが、オオモンハタは11尾居たという。エーッ、僕は1尾だけ、それも外に居たのだけだ。僕が魚礁の中に入ったので、外に逃げたのかも知れない。といいながら、「そうか」と思い当たった。
戻ってから、動画を再生して、静止画にして、拡大した。最初に魚礁の一階に入り込んで行ったとき、真ん中のあたりに5ー6尾の魚が群れていた。メジナかと思った。メジナも居たが、メジナよりも細い魚も居た。何だろうと思って、近寄ろうとしているうちに逃げて消えた。拡大して見ると、オオモンハタだ。オオモンハタは、ハタだから、静止しているか、縁の下に逃げ込むかだと、先入観を持っていた。メジナも混じった11尾の群だったのだ。
二本目の潜水
④スポット ドリーム
⑦水温 21℃
⑧透視度 15ー20m
⑫インターバル 1:32
⑨潜水開始 1312 潜水時間32 分 ターンプレッシャー 80
⑩最大水深22.9 m
⑪潜水終了 13:44
⑬ユニット 須賀 山本徹 早崎 高野 小俣 ガイド荒川
東大探検部 石原 東大探検部 田村
⑭バディ 山本徹
ウエアラブルカメラ akasoのバッテリーは、入れ替えたのだが、バッテリーを節約しようとして、底に着いてからカメラをオンにする事にした。
そのウエアラブルカメラが、海底でオンにならない。オリンパスで動画も撮ろう。
ドリームでは、いつものコース、1階を左手から右へ縦断、2階を右から左へ、そして3階を左から右へ、最後に屋上にでて浮上。深くから、浅く、後戻りはしない。
1階を動画撮影で縦断した。メバルが群れているはずなのに少ない。
2階に入るとき、考えた。必ずオオモンハタがいる。そのスチルを撮りたい。動画を切って、スチルにして、それからでは、逃げられてしまうだろう。スチルの枚数を多くすれば動画でなくても、大丈夫だろう。スチルだけにすることにした。
柱に張り付いているのはカサゴ
2階には予想通りに、オオモンハタが、ハタらしく静止していた。何枚かスチルのシャッターを押した。数尾が群れている形も撮ったが、これは動きが早く、撮っただけ。2階を終わりまで行って、三階に上がった。オオモンハタは2階に居ることが多いのだが、今日は三階にも多い。昔の人工魚礁調査では、目視して、大きさと数をプレートに鉛筆で書いて居たのだが、今はウエアラブルカメラで記録する。
そうだ、ウエアラブルカメラがこの回は不調で、回っていない。小さいカメラなのだから、これからは予備のウエアラブルカメラを持っていなければいけないと思う。
戻ってから、見たのだが、残念ながらオオモンハタの良いショットは無かった。ただ、おさまって写っているだけ。これでは、豊かな海の表紙にはならない。
一階にはイシガキダイの20cmサイズが、必ずと言って良いほどいる。イシダイはダイバーを見ると、逃げるというほど素早くは無いが、スーッと通りすぎていく。イシガキダイは脅かさない限りそこにいる。魚種による、魚礁の内外でのダイバーに対する反応、振る舞いの差もおもしろい。
ツノダシとムレハタタテダイが舞っていてきれいだった。
屋上では相変わらず荒川さんがコブダイと遊んでいる。僕たちのことをウオッチ、見張りながら、コブダイを慣らしている。そして、浮上に際しては、僕を追い抜いて舟にあがり、僕のタンクを引き上げなくてはならないのだから、なるべく浅い水深にとどまらなくてはならない。
ターンプレッシャーは、ぎりぎりの80。少し上がって、山本徹さんを待って、浮上サイン。
安全停止もして、荒川さんにタンクを引き上げてもらう。実はそのこと、自分で自分のすべてができなくなっていることに、大きな心理的な抵抗がある。ウエットになったら、全部自分でできる。サンファンのドライは動き安さではウエットと全く変わらない感じなのだが、浮力だけはどうにもならない。浮力に対応するウエイトが必須なのだ。
今回のダイビングで、FPとドリームの違い、容積(魚礁の大きさを、空リューべで表現することが多い)だけではない内部形状の差による魚種と魚の振るまいのちがい。一階、二階、三階の差、ウエアラブルカメラによる記録方法の研究、とチームの役割分担など、考えるテーマが増え、見えてきた。
また、今回は常連の増井さんが欠席で、初島のダイワハウスにいったが、ここで研究した調査手法を他の地域の魚礁で応用してみるということ、これこそが目指していることであって、やがては議論ができるようになる。それを全国に広げる、となると、もはや、僕の限られた時間では、残念ながら不可能だが、糸口は作ることができるかも知れない。
ようやく、この研究会でなにをするのか、なにを報告して行くかの輪郭が浮かんできた。
そろそろ、これまでの成果とともにまとめる準備をして行きたい。