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Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
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0814 シャークアタックについて

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 茨城のサメ出現による海水浴場の閉鎖の時、下田に神子元のハンマーヘッドが来たら、どうするのだろうと思っていたら、やはり出現して、烏帽子岩に現れたら、湘南も閉鎖するところが出てきたようだ。

 ハンマーならどうするかという議論を以前、美ら海水族館の内田名誉館長と話し合ったことがある。当時、僕は与那国のハンマーを追っていて、その話になった。
 内田さんの意見では、それは僕が自分の責任でサメを追い回すのは自由だけれど、危険がないとは言い切れない。文献的にはアタッカーに入れられている。

 日本の「サメの自然史」などでは、危険なのは、ホオジロ、イタチ、オオメジロザメ となっているが、手元にある、Dictionary of sharks では、ハンマーヘッドはアタッカーになっている。このパンフレットでは、ほとんどのサメがアタッカーになっている。今、手元にないが、英文のサメの本にも同様な事が出ていた記憶がある。

 内田さんとの話では、ハンマーもシロワニもダイバーを襲うことはまず考えられない。ホオジロだって、ダイバーにアタックしない場合もある。しかし、水面を泳いでいる海水浴客、サーファーなどを襲わないというギャランティはない。だから、自分でも意見を求められれば、襲わない、とは断言しない。文献で危険だとされていれば、襲う可能性があるという他ない。研究者が襲う可能性があるといえば、役所としては、例えば海保でもクロースするように指導する他ないのだと思う。

 いうまでおなく、ダイバーが、自己責任でサメと遊んだり、追い回したりするのは、目下のところ自由だ。
 でもスピアフィッシング時代、サメに追い回された経験のあるダイバーは多い。サメが来ると背中に獲物をかくすのだ。そして、サメを蹴飛ばす。ホオジロ、イタチ、オオメジロザメ 以外はOKというのがダイバーの常識だった。でも、伊豆大島で、3mぐらいのハンマーが自分に向かってまっしぐらに来た時には、びびって逃げた。

 僕が意見を聞かれたとして、1.5mのハンマーの群れ、そんなものは無視していい。3mの群れが海水浴場に接近してきたら、これはクローズにしたほうが良いというと思う。サメが襲わなくても、パニックで事故を起こす人がいるかもしれない。海水浴客はダイバーではないのだから。


0817 スノーケリング

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 今、シュノーケリングの事故が多発とかで、問題になっているが、問題にされているシュノーケリング事故のほとんどは海水浴であり、危険と相対する活動であるダイビングとは異なるものだ。

 どうも、ダイビング関係者は、シュノーケリング事故をダイビングの世界の出来事と思いがち、思いたいのかもしれない。
 ともあれ、ここでは、シュノーケリング事故の大部分は海水浴中のできごとと捉えて考える。
考えがあってのことか、あるいは慣習なのか、海の安全を司る、海上保安部は、シューノーケリング事故をダイビング事故とはカウントしていないようだ。個人的には、シュノーケリング事故をダイビング側に引き込まない方がすっきりすると考えている。
 意図して、海水浴の分野に切り込んで行こうというのであれば、それなりの覚悟と準備、そしてシステムが必要だろう。
 
 ひところ、ずいぶんとスノーケリングに熱中した。シンポジウムも企画し、開催したし、提案もした。その時は、ダイビングの側としてのスノーケリングだった。
まだ、船の科学館が全盛時代で、流れるプールは、毎夏、毎日多い日で3000人、少ない日で都心で唯一の海水浴場?として賑わっていた。そこでのスノーケリング体験講習会を企画した。100着のフローティングジャケットを買ってもらった。女性職員2名に、スノーケリング指導ができるように、浦安運動公園での講習の助手をしてもらって、仕込んだ。
諸般の事情があり、実習は、日中に申し込みを受けて、実施は17時から18時とした。夏の18時はまだ充分に昼間だ。
1日100人は無理だとしても、80人ぐらいの日もあるだろう。少なくとも、10人は来てくれるのではないだろうか。なにしろ1500-3000人の人が来るのだから。 


    2004年、8月1日 撮影、船の科学館流れるプール
 

 
     緑は、たちまちフローティングベストを脱いだ。もちろん、怒られた。

 今ならば、これを読んでいて、それは無理だと分かる人が多いと思う。でも、登り坂の時だったから、無理だとは思わなかった。海水浴をする人の多くがフローティングジャケットを着ければ、海水浴客の事故は激減する。これこそ、僕の使命であり、当時常務理事をつとめていた、社会スポーツセンターの使命だと思った。
真夏の一ヶ月で延べ人数が120人程度だった。延べというのは、リピーターもかなりいたからだ。そのリピーターの一人が、今も一緒に海に行く、大学生に貼った村上緑ちゃんだった。当時、小学校3年制。その緑ちゃんは、たちまち、フローティングジャケットを脱ぎ捨てて遊びはじめた。積極果敢な子、つまりスノーケリングをやろうとするような子は、フローティングジャケットなど性に合わないのだ。
社会スポーツセンターでは、日本スノーケリング協会を作り、つくば大学の吉田先生の書いたテキストができた。テキストも船の科学館で売ろうとしたが、1冊1000円で、緑ちゃんのお父さんが買ってくれただけだった。
体育の方の言葉で、レディネス、が出来ていなければ、むりなのだ。フローティングジャケットは、未だ、海水浴には受け入れられない、スノーケリングをやりたいと思うような子は、スキンダイビングがやりたい。と、その時に思った。

それから、10年の月日が流れて、海水浴にスノーケリングが拡大した。
今、海水浴場で、スノーケルとマスクを付けている人がどのくらいの割合をしめているのだろうか、そして、その中でフローティングベストを着けているのは、どのくらい。相当いい加減でも良いから、%を知りたい。僕のホームである慶良間の古座間味では、スノーケルを持っている人が、70%は、越えているだろう。ジャケットは、20%だろうか。湘南はどうなのだろう。千葉は?茨城は?
誰か、調べた数字があるかな。とても重要なことなので、海洋大学の千足先生に頼んで、学生の卒論にしてもらおうか。今度あったらお願いしてみよう。

海水浴の安全については、10年前に結論をだしている。
だれでも考えることで、海水浴はすべてフローティングベストを着けて、海水浴場の枠の中で行う。枠の外でのスノーケリングは、必ず、リーダー(グループの責任を持つ人)が居て、必要があれば、ガイドに手伝ってもらって、ベストを着けるかどうかは、その時の状況に応じてとする。

海水浴としてシュノーケリングは、僕達のダイビングとはまるで違うものだ。たとえば、海水浴でシュノーケリングをする人たちは、ダイビング雑誌などは買って読むことはない。ましてや、スキンダイビング・セーフティなど手に取ることなどないだろう。安全ということについて、危険のイメージは持っていない。まあ、スキンダイバーでもスクーバダイバーでもそんな人はたくさんいる。辰巳のスキンダイビング練習会に来る人も、僕達のスキンダイビング・セーフティを待ち構えて買ってくれる人と、嫌な顔をする人がいる。とても我田引水だが、嫌な顔をする人は、要注意だと思う。

60年前、水産大学でダイビングを始めた時、ダイビングとは、知的な活動なのだと教えられた。スキンダイビングでも、もちろんフリーダイビングでもスクーバダイビングでも、フィジカルであると同時にメンタルな活動だととらえる人は、余程の馬鹿(自分)でも、生き延びられる。行動するときに考えることがまず大事で安全につながる。


0820 スノーケリング

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シュノーケリング事故が、今夏、22件で多いと思われ、小さなシュモクザメの群れが、岸に接近して、海水浴場が軒並みに閉鎖になって、夏が過ぎて行く。自分に後いくつの夏があるのだろうかと思う。

 シャークアタックの死者は、今年についてはゼロだ。
 22という数字が多いのかすくないのか?

 1950年代に書かれ、1971年に翻訳された、スタンリー・マイルズの潜水医学入門は、僕が珍しく、原文で全部150年代に読了した本で、僕の潜水医学の知識の根っこになった本だが、その中で、溺水の章、これも僕の溺水についての基本知識、特に、肺に水を吸い込むことによっておこる二次的溺死に強い、印象を受けている。現在の状況、生理学的に、スタンリー・マイルズとどのように変わっているのか、スキンダイビング・セーフティの共著者である、藤本浩一先生に投げて見ようと思っている。受け取ってくれるかどうかは不明、うまく行けば、12月13日のシンポジウムの目玉になると思う。

 その潜水医学入門で、これは、何時の統計なのか明記していないが、多分1950年代初頭の統計だろう。
 日本は、一年間の溺死者数が8000人、人口100000人あたりが9人で世界最高、
次がオーストラリアで10万人あたりが、5.5,三位がアメリカで、4.6人、古いし、全く頼りにならない統計だが、それにしても、8000人だから、22人なんて吹けば飛ぶような数字である。僕も小学生時代、二子玉川によく泳ぎに行き、筵を被されて、白い足がはみ出ている溺死者を数回見た。今、手元にないのだが、8月の第一日曜の溺死者数が50人を超えたという新聞を見た記憶がある。これも調べてもらおう。何が何でも。一日に50人は多いが、年間8000人ならば、おかしくない。その後に、やはり8月の第一日曜、一日で、18人という新聞をみて、これも大問題として書かれていたのだが、ずいぶんと少なくなったものだと思った、これは確実な記憶がある。
 
 溺水は日常的な事柄なのだが、これを少なくする手段として、唯一有効なのは、フローティングベストを着けさせることだ。社会スポーツセンターの常務理事時代、海水浴全部にフローティングベストを着けさせる運動を展開しようとして、できなかった。これは、できない相談なのだが、溺水の原因をシュノーケリングとしないで、「ベストを着用させなかったから」とすれば、良いのにと思う。しかし、ベストを絶対に着なければいけないというのでは、スキンダイビングができなくなってしまう。場所、監視、トレーニングなど、スキンダイビングができる条件を決めておこう、という提案もスキンダイビング・セーフティでしている。波も流れもない、透明度の良い水域で水深は5m以内、必ず、リーダーが居て、バディシステムを遵守している、というようなことを書いた。
 1990年代に社会スポーツセンターで開催したスノーケリングシンポジウムでも同じような結論を出している。どこかに、その時撮ったテープがあるはずだから、あとで事務所に行って、確認して置こう。確認しても結論は同じだが。

    まだ、モイヤーさんが生きておられた時の、三宅島、長太郎池、
    モイヤーさんもわすれさられようとしている。
    彼のことも、ブログに書こう。そのうちに。

 ベストを着用しないといけないという禁止条項だけでは、人はこれを守りにくい。ベストを脱いで良い条件をまもらせる事のほうが良いように思う。
 しかし、それでもパーフェクトはあり得ない。年間の海水浴客溺死者数を、10人以下にしようという標語があって、でも22人のフローティングベスト不着用の人が居たというような報道がいいのだが、やはり、「ゼロを目指す」と言わないと、世間的には、亡くなる10人を認めてしまうので、まずいのかな。
 

0822

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 毎年、夏の終わりになると、やってくる風邪をひいてしまった。クーラーを切り忘れて、寝落ちしてしまったことが原因である。熱はないが、なんとなく元気が無くて、時々咳がでる。けっこうしつこい風邪で、いつのまにか治っているけれど、ああ、治ったという印がない。そんな風邪だ。付き合うしかない。
 風邪のためにあんまり頑張れない。つまり積極的になれない。やらなくても良いことはなるべくやらないで、過ごしたい。でも、こういう時に、まとめてブログを書いておこうという意欲はある。意欲はあるが頑張れない。

 書こう、と思っていたブログのテーマをメモしてある。
☆ナタリア
不世出の女性フリーダイバーの事故死だ。

☆サメと私
サメを恐れての海水浴場閉鎖が続いている。だれでも、水中でプロのカメラマンとして過ごした者は、「サメと私」というタイトルでちょっとした本が書ける。僕は、このまえ月刊ダイバーに「ハワイアンシャークハンター」というタイトルで1回書いた。同じような話がいくつも書ける。 ちょっと長くなるので、無理なテーマかもしれない。

☆イルカと海に還る日
 ジャックマイヨールが書いたことになっているが、訳者の関邦博博士が事実上書いたのだろう。関さんは、マッドサイエンティストに近い。毀誉褒貶がある人で、ある方面では彼の名前を口にしただけで、会話が止まるというくらいだが、面白い人だ。行方がしれなかったのだが、10年以上前のメールアドレスにメールを入れてみたら、地球の裏側から返事が来た。

☆マイヨール、モイヤーさんの死
前にもジャックマイヨールはなぜ死んだというテーマで書いたことがあるが、それから10年、僕もそろそろ死の準備をしなくてはいけない。その視点で、モイヤーさんのことも書きたい。

☆もう一度M値
もう一度M値について書いて置かなくてはいけない。勘違いの質問を今村さんにして、僕の勘違いを心配しているらしい。M値は原理としてはそれほど難しいことではないのだが、文字による表現で、勘違いをしてしまう。そのことを書いておきたい。

☆お台場にイシイルカが来た日
お台場にイルカがきたことがある。一週間ほどの滞在でどこかに戻ったが、そのイルカは、御蔵島などにいるハンドウイルカではなく、食用として追い回されているイシイルカであった。イシイルカのことを書きたい。

☆8月28日に茨城の海洋高校で高校の先生であるダイビング指導者二2時間ほどお話をする。そのレジュメを作らなければならない。「

書きたいけれど、書けないこともあるし、どうなるかわからないけれど、頭のなかにあることをリストアップした。

0823 海洋高校講演レジュメ下書き

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 8月の末に、茨城海洋高校で行われている、海洋高校の先生たちの指導者講習に、一コマだけ話しを頼まれている。修了式的な講演のように思う。しかし、それだからこそ、きちんとレジュメを作って、筋道の通った話にしなければならない。
 そこで、例によって、ブログで考えて、レジュメを作って行こう。

タイトルは
「ダイビングの安全についてのアプローチ」

 ☆前提
①ダイビングは、人間が生存を続けられない環境への侵入だから、危険である。
②事故とは、人間の死亡原因の、ベストファイブには入っているはずだ。(手元に資料がないが)日常的なことであって、水中で仕事をするダイバーが水中事故で生命を落とすことは、当然のことであり、珍しいことではない。

事故を防ぐ、ただひとつの確実性のある手段は、船上、もしくは岸辺、と生命維持のアンビリカルで結合しておくことである。アンビリカルとは生命維持のための連結であり、空気、通信、保温などの手段を供給する有線手段である。
わかりやすく言えば送気式潜水器に通信線などを束ねたものである。
そして、この線が切断されても、空気供給が絶たれないように浮上脱出用の空気供給装置を別に持っている。

1980年代のテレビ番組の撮影は、ほとんどが、ケーブルで映像信号を船上に送っていた。
これによって、相当に危ないことでも、難なく安全に切り抜ける事ができた。
それを一般のダイビングにも応用普及させようとして、ケーブルダイビングシステムという命綱兼用の有線通話システムを作って売りだしたが、紐付きダイビングはスクーバダイバーは嫌う。生命よりも自由に泳ぎまわることがだいじなのだ。自分としても、命がけでも自由に泳ぎたいと思ってしまう。ある条件の下でしかケーブルシステムは使えない。

  初心者を多人数連れて行く体験ダイビング

ケーブルのような連携があっても事故が起こるが、それは不慮の事故であって、想定外ということができる。
この連携がないスキンダイビング、スクーバダイビングの事故は、想定できる事故であり、不慮の事故ではない。

  物理的な連携は、自分の潜水では常に追求してきたし、現在も追求しつつあるが、それは、一般のスキン、スクーバダイビングでは、除外されている。生命よりも自由に泳ぐことが大事なのだ。だから、スキンダイビングもスクーバダイビングも安全第一では決してない。安全第二としてうえで、どうしたら生き延びられるか。
 想定される事故について、防止手段として、何が考えられるか。

 事故防止のために頼るものは、一つはフィジカルな能力であり、一つはメンタルな能力である。
フィジカルについては、ここでは触れないが、一言で片付けてしまえば、正しいトレーニングの継続である。トレーニングの量と質によって、自分の活動範囲を定める。
ここではメンタルな部分について述べる。

☆ ダイビングとはメンタルな活動である。
 フィジカルなトレーニングについても、メンタルによって制御されるから、ほとんどすべてがメンタルが中心になるといってもいい。

 ダイビング事故のほとんどすべては、運用の失敗、欠落によって起こる。運用とは、やり方であり、5W1Hで表現できる。

では、如何にして、運用の失敗、欠落を起こさないようにするか。

 事故の防止について、言語化、図式化できる形式知と、身体、五感によって獲得する暗黙知に分けて考える。
 形式知は、マニュアル、スペックなどで獲得する理論的な知識であり、暗黙知は、経験によってたくわえられ、想像で呼び起こされるイメージである。
 言うまでもなく、形式知と暗黙知は入れ混ざり合って不可分になってはいるが、大きく2つにわけて、そのどちらも重要であると考える。どちらかだけでは事故は防げないと思うべきである。

自分について振り返れば、いくつかの入門書を書き、マニュアル、テキストを書いた。これらは形式知である。暗黙知について、イメージコントロールなどについては触れてきたが、明確に分けて考え表現してきたことは無かった。

 2010年、安全な水中活動を目指して、日本水中科学協会を設立した。具体的な指導活動を行う余地は、ダイビング界にはすでにない。文化としての安全の追求を活動の中心に置いて、科学的な調査活動の追求、本を次々と制作刊行して行くことを活動の中心に置いている。

 2010年は、安全のためのマニュアル策定シンポジウムを開催して、小冊子を作った。これは自己責任を中心理念としてのマニュアル策定を志したものだった。

 2012年には最新ダイビング用語事典を編纂した。これは広義のマニュアル、テキストであり、その完成を目指した。
2014年には、潜水士の受験対策本を制作した。日本の潜水では、潜水士の資格は高気圧作業安全衛生規則は、重要なポイントを占めている。

さらに1014年のシンポジウムでは、関東学生潜水連盟を中心とした、学生のダイビング活動について、マニュアルを集めた。いま、高校の潜水教育を考えるにあたって、各大学の練習方法、マニュアルは必ず参考になると思う。

2015年、スキンダイビング・セーフティで、初めて、ダイビングの安全についての総括をして形式知、暗黙知のことと、ローカルルールの重視を書いている。ローカルルールの重視とは、ダイビングの安全に最も深く関わっている運用についての決まりの徹底、文書化であり、これによって、形式知についての徹底が行われる。

 例えば現今では、スノーケリング事故が相次いだと問題にされているが、これは、スノーケリングベストを着けていれば、防げたとかんがえられる。スノーケリングベストを着用することと決めているのは、ローカルルールである。なぜ、ローカルルールがまもられないかを考えなくてはいけない。

 ローカルルールは文書化されるとマニュアルになる。
 これで、輪が閉じられた。安全のためのマニュアルとは、ローカルルールを系統だって集めたもの、まもられなければ、事故が発生した場合に、まもらなかった者の責任になる。

 次には、暗黙知による予想、推定と判断である。
 よく、ヒヤリ・ハットという。ヒヤリ・ハットとは、ダイバーの頭のなかで感じることであり、身体で感じたら、つまり、目に見えてしまったら、すでに事故である。とすると、ヒヤリハットを感じるのはダイバーそれぞれの感性である。
 ダイバーは恐怖心、想像力を大事にしなければいけないと教えている。恐怖心の鋭い人は、微妙なことでも、感じるし、鈍い人は、事故が起こるまで、感じることがない。ハインリッヒの法則は統計であり、個々のケースではない。
次に大事なことは恐怖心の制御と、処理解決である。パニックで、論理的に考える意識を失ってしまうと危ない。生物が死をおそれる感覚は、大事だが、判断力を失ってはいけない。論理的に因果関係を考えなくてはならない。しかし、考えている時間がない場合もある。原因と結果について、どれだけのイメージをもっているか、の勝負になる。

まとめると、
「ダイビングのセーフティとは、フィジカルなトレーニングが常にあり、その結果、状況を常に知っていて、その状況に応じて、形式知に照らし合わせて、暗黙知で判断して行く。」
そして、昔から言っていることなのだが、ダイビング事故の原因は、「病気、下手くそ、思いあがり」であり、病気、下手くそはフィジカルの状況であり、思いあがりは、判断の論理的なプロセスを省略してしまうことである。

さて、これは、下書きであり、これからPPをつくり、発表の準備をしなければならない。

0827 日記

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 いつものことなのだが、夏の終わりの風邪をひいてしまって、普通通りの仕事をしているが、ブログまで、頭がまわらない。
 
 昨夜は石川さん宅で、M値の勉強会があった。情報量の多い集まりだったと思う。

 減圧症、減圧表と私、というタイトルで、減圧表と付き合い始めた大学3年の昔、60年前、から、今までのことを書くと、皆様のためになると思うのだが、今は手がつけられない。いずれ、、、そういうことをかんがえさせられた。
 
 夏が終わる。あともう少しあるけれど、部屋の中で、クーラーを使うこともないし、長袖のシャツを着るようになった。

  7月末の豊潮丸の航海は、奄美大島まで行く予定だったが、台風に進路を阻まれて、瀬戸内海の島、そして豊後水道の宇和海、四国の宿毛まで行って引き返したが、移動距離が少なかっただけ、密度の濃いダイビングができた。元来、この航海の主目的は学生の実習であり教育なのだから。学生にとって、良い航海だった。波が高く、船酔いしたのは一日だけだったが、もう少し揺れてもよかったとおもうほどの航海だった。
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 それにしても、早稲田の中尾先生、北大の酒井先生は、良い先生だ、といつも思う。僕も学生時代、二人のような先生で、一緒にこんな航海ができたならば、生涯の思い出になり、ニッポン潜水グラフィティにどんなふうに書いただろう。僕の大学時代のダイビングも忘れ難いものでグラフィティに書いたけれど。

 7月末、豊潮丸航海直前、浦安海豚倶楽部の年に一度の遠足、海洋実習は伊豆大島のトオシキに行った。トオシキは、僕の大学時代の海で、思い出が染みついている。昨年も計画したのだが、台風で中止になってしまった。

 学生時代、そして卒業してから、テレビや映画のロケに使ったころよりも、流れが速くなったのかな、と感じた。でも、全体としてはあまり変化がなく、学生のころに見て、感動したサンゴイソギンチャクの群落と、クマノミ、それ以後クマノミは日常の魚になったけれど、ここで見たのが最初だった。

 大至急制作、発行のスキンダイビング・セーフティの出版記念会も8月5日に、「シャロン木魂」で、6月末の発売だったので、一か月空けてしまってどうかな、と心配したが、とても良い雰囲気の気持ちのよいパーティができた。
 その眼で見ると、スキンダイビングとスノーケリングは、ブームを迎えそうで、本の発行としては、いいタイミングだった。このタイミングを逃したら、このような本はできなかったと思う。共著者の岡本美鈴、千足耕一、藤本浩一、そして僕の4人はいいバランスだった。もう今後、このような息こらえ潜水の本は出ないと思う。売れ行きもよくて、記念会のときには、早くも重版した。

 さて、このような良い夏が去り、前を向くと、そびえたつ壁、とても乗り越えられない壁が前に立ちはだかっている。ように感じる。言わなくても良いことを言ったり書いたりすると、より人間関係が難しくなり、壁は険しくなる。
 この夏は、四面楚歌の日常、波の高い航路で、ちょっとだけ島影の入り江に入ったということだろう。9月には入江からでなければならない。

 たちまち、昨日は、これで2年越し計画していたお台場人工魚礁計画が頓挫した。港湾局が、お台場は弄りたくないのだ。許可は出そうにない。それについて、思うことは沢山あるが、とりあえずは、考える他ない。

明日28日は朝、5時に起きて、茨城県那珂市の海洋高校に短い講義をしにゆく。

ネットの状態が悪くて画像をアップできない。 これでおわりにする。おやすみなさい。「

0829 海洋高校

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 茨城県立海洋高校での海洋高校教員の潜水講習の講義、というよりも講演かな、に行ってきた。内容は数日前にこのブログで、レジュメの下書きを見てもらった。10時から12時までの2時間で、僕の用意したのは、安全へのアプローチだったが、プログラムでは、調査潜水と器材についであることが、現地でわかった。
 演題はなんでも良い、僕がお話をすることが、テーマなのだということで、勝手にこちらで、決めたのだが、現場としては、無題では困るので、リサーチと決めたのだろう。
 教材として、2011年と、2014年の水中科学協会のシンポジウム報告書を用意していた。其のどちらにも、調査潜水のことが載っている。で、2時間の前半でPPを用意した安全についてのアプローチを話し、間に休みを入れて、後半にウエアラブルカメラの話をした。
 話としては、うまくできたと思う。

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 講義が終わってから、潜水訓練用プールで泳いだ。水深が、10m,5m,3m,1,5m、四つのエリアに分けた25mプールで屋内、温水プールである。プールサイドも広く、ダイビング用としては、日本最高のプールである。同じようなプールが東京の海洋大学品川キャンパスにあれば、と、このプールに来るたびにいつも思う。「水中写真の撮影」の共著者である小池康之先生もずいぶん努力をされたが、文部省の教科として、潜水は高校での職業教育の分野に入り、大学には入らないということで実現しなかった。海洋大学には、世界に誇る練習調査船の海鷹丸があり、その他にも、神鷹丸など2隻の船がある。そのうちの一隻を減らしても、と願ったが、だめだった。潜水は街場のダイビングショップや、サービスが扱う商品スポーツのカテゴリーで充分ということなのだろう。
 まあ、過ぎた日々の愚痴を言ってもはじまらない。個人的には、その高校のダイビングの指導を司ることができたのだから、文句も言えない。
 
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     2005年の講習
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 このプールが出発点となって、海洋高校、当時の水産高校の潜水教育がはじまったのは。1991年だった。文部省の教科審議官(確かそんな名前の)中谷先生のリードで僕がテキストを書き、先生の教育を始めた。僕が担当していた最後は、2005年だった。その後、10年の時が経ち、先生たちも転勤とか偉くなったりとかで、現場の人数がたりなくなって、今回の講習が行われることになった。もはや、僕はその担当ではない。しかし、立ちあげの功を労ってだろう、講習の終わりの日、おまけ、というかまとめの講演をさせてもらった。自分としてはまとめ、頼んだ側としてはおまけだろう。とにかく、話をさせてもらえることは、義理堅いことで、感謝しなければいけない。

 僕が泳ぐ必要などは全くなく、すべての実技講習が終了して、先生たちの道具が送り返すためにまとめられている無人のプールで、僕だけが泳いだ。水温は、夏は加熱しないで27℃ある。ラッシュガードで十分に泳げる。担当の宮城先生が、プールサイドでみていてはくれたが、一人だ。スキンダイビング・セーフティでは、この人ならば大丈夫というところで、事故が起こる。一人で泳いではいけない。その話をしたばかり、舌の根が乾かないうちに一人で泳いでいる。まあ、一人で泳ぐときには、何があろうとも、絶対的に本人の責任だとも、話したから、良しとしよう。良しとした。
 実は、水中科学協会を作るとき、「SOLO!」というカードをつくろうとした。このカードを示せば、どこでも一人で泳げる、もぐれる。しかし、戻ってこなくても、捜索、救急などしなくてもいい。そのうちに遺体が上がることもあるだろう。いまでもそんなカードの願いはあるけれど、実現は、なかなか難しい。捜索、救難は必須だからだ。それに、水中科学協会のポリシーとしては、業界の邪魔はしないこと、だから。
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 とにかく、水面の見張りで一人で泳いだ。
 久しぶりで見る、10mの深さは、「深かった」「深く見えた」
 水面を100mウォーミングアップで泳ぎ、次に5mを1本、10mプールで7mまで潜り、耳抜きの調子を見て、10mにトライした。楽に10m行けそうだったが、9mで止めた。理由は一人だからだ。
 時間にして10分程度泳いだ。

0831 お台場

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 8月31日(日曜)お台場潜水
 あいにくの雨、風邪だとか言いながら、連日泳いでいる。例年のことで、少しずつ良くなる。石川さんも同じような風邪をやったし

 雨で、ダイブコンピューターの水温は25.8 度、相変わらずのボロのウエットスーツにフードジャケットで、水に入った時にはちょっと冷たいけれども、20分ぐらいは快適、30分を過ぎると戻りたくなる。
 しかし、これでもうお台場は、次回からはドライスーツだろう。今日も、一回目の潜水から上って、雨足が強くなっていたので、ウエットスーツは脱いだらもう寒い。2回めの潜水をどうしようか迷った。
 が、行くことにした。
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 カメラはライトのステイに、GoProとSJをならべて、どちらも動画で回す。SJは、最初から上がるまで、回したままの記録、GoProの方は、ここだと思うときに回す。つまり通常のビデ動画撮影として、ニコンのAWは、手首に着けて、動画のライトでシャッターを押す。お台場では、これで決まりのシステムだとおもう。センターのカメラがGoPro2なので、これが4K になれば、完璧だ。

 水中は、水深30cmから、水深2mぐらいまでの水底は、ハゼで敷き詰めたようだ。
こんな数は、1995年以来、見たことがない。一生見るハゼの全部を今日見てしまったのではないかと思う。一生分のハゼを見た。
 マハゼも多いし、チチブ、アカオビシマハゼ、ウロハゼの混生群もいる。

※画像は、ニコンのスチル、GoPro動画からの静止画、SJ4000の静止画を比較している。
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    ニコンAW  マハゼ

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    GoPro 

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   SJ4000



 これまで、春先からマハゼの群れは見てきた。次第に大きくなり、9月、10月が10cmほどになる。これが2月には、ヘドロの4m-6mに下って、2-3mの穴を掘って産卵するのだが、この数が他のところに行かずに、お台場で産卵するだろうか。産卵の多いのは、行徳沖、羽田沖だが、あっちへ移動するのだろうか、そのままお台場に居るだろうか。昔、お台場でもマハゼの産卵調査をしたことがあるから、産卵するのは確実だけれど、それが、ちょうど海浜公園の真ん中であるだろうか。そして、その数は?2月にはみんなで一斉調査をやろう。
 8月の終わり、9月のはじめに風向きで青潮がやってくると、お台場のマハゼは全滅する。よくしたもので、マハゼは、江戸川、荒川、隅田川の汽水の部分の上まで登っている。永代橋など、橋の上からマハゼを釣っているのが、風物詩だった。上って、青潮や無酸素を避けて、秋に下ってくる。とにかく、産卵はヘドロのような柔らかくて、巣穴の掘れる、水底に産卵する。
 ヘドロというと汚いもののように思う。それは、汚いヘドロもあるが、軟泥という意味ならば、汚くはない。マハゼが産卵していれば、あまり汚くはないということだろう。


0903 宿毛

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 宿毛、パシフィックマリンの森田君の店の裏庭のような、岸壁からボートを出す。
クルーは、よく身体が動く女性だ。昔、奥さんかと思って挨拶したら、違う、といわれた。もう20年前のことだ。
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 エンジン全開で飛んで行く。何馬力なのか聞いてみた。440馬力、二基掛けだから、480馬力だ。一基が1000万するそうだ。この前の代のボートは、居眠り運転で座礁させたと言っていた。開業40周年のtシャツをもらったが、ちょうど良い代替わりの時の座礁だったのかもしれない。

 目的ポイントは沖の島の外頭だ。先日の豊潮丸の航海で潜って、よい海綿を採ったのだが、広島大学の竹野の実験所で生かして研究するつもりだったのが、死んでしまったために、再度同じ場所に採りに来た。

 マスクマウントのマスクがない。お台場で使って、そのまま、手持ちで持ってくるつもりが忘れたのだ。忘れたときのために、別のマスクをもってきているが、そのマスクではマスクマウントになっていない。仕方がない。GoProは、手持ちで撮ろう。BC.のポケットに入れる。

 学生レンタルの破れたようなワンピース5mmにフードジャケットを重ね着する。ウエットスーツは、とっくに買わなければいけない状態。最近、岡本美鈴が世話になっているデルフィーノの後藤君に作ってもらおうかとも考えたが、あと何回、作ってもらったウエットスーツを着られるのだろうと思うと、現在のこれで、別に差し支えなく潜れるのだから、これで良いや、となってしまう。

 ウエイトはいつもスチールタンクで5キロで潜っている。アルミタンクだから、2キロプラスか、でも、7キロは何とも重い。6キロにして、水に入った。
 やはり軽かった。強引に4mまで潜り込めば、バランスするだろうと潜ったのだが、どうしても軽い。中尾先生と町田君はどんどん先に行ってしまう。森田が余分なウエイトを持っていないか、手信号で聞いてみる。鈴木なら必ず持っているのだが、森田君は持っていない。石を2個持ってきてくれた。片手に2個の石を持ち、片手でニコンで撮影し、GoProを手持ちで撮影する他ない。どうしても1本手が足りない。それに、スペアのマスクは水が入ってくる。
 なんとか、BC.のポケットの石をいれ、だましだまし、撮影を始める。撮影そのものは、マスクマウントよりも手持ちの方が安定している。
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 場所もわかっているし、難しいところでもない。最近では、良い海綿があるところが、だいぶ理解して来た。岩の陰で、少しは日照があり、潮通しのよいところだ。ここはまさしくそういう場所である。
 しかし、僕には、付着性の無脊椎動物の大別もできない。海綿なのか、珊瑚の仲間なのか、ホヤの仲間、群体ボヤなのか、コケムシなのか、はたまた植物なのかもわからない。
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 岩の陰で、ストロボを光らせると、深紅に写る。水面にあげると、深紅ではない。本当はどんな色なのだ。写真を見せて、中尾先生にきいたら、これは珊瑚の類で、海綿ではないのでは、と言われた。それにしても、本当の色は、どういう色なのか。
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 無事潜水終了して、店で森田君と話す。珊瑚の話をする。100m潜水で世話になったコルシカのアランは、沖の島で森田君のサポートで潜った。60歳の時の潜水だから、もう20年の昔だ。森田君の40周年の半ばだ。アランは元気だろうか。たぶん、というか、まさか、もう潜っていることはないだろう。(アランのことは月刊ダイバーに書いた。)

 
 アランが潜って珊瑚を採ったところは、沖の島で、僕たちが潜ったポイントから、はるかにかすんで見える。離れ小島のような根のそばで、頂上が水深60mの離れ根がある。60mの頂上から水深が落ちていて、86mから100mのところに宝石珊瑚がある。そのところは、一面のポリプの広がりだが、どのポリプが宝石珊瑚なのかは、アランのような専門家でないとわからない。
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 でも、僕の80m潜水、86mに宝石珊瑚を求めて潜る。ついでによい珊瑚が見つかれば、費用の足しにもなるのだが、と、考えてしまう。しかし、珊瑚の採補許可が難しいだろうと言う。
 そして、このポイントでは、流れがある。でも、、、、、、

 





0904 ブログコンセプト

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 僕のブログをよく読んでくださる方がいる。現在のヒット数が毎日500ー1000、2014年の中頃には、3000ぐらいまで上がったこともあるのだが、現在のところ500ぐらい。ときどき、1000になる。あの3000というのはどういう現象だったのだろう。
 わからない。たぶん、イタリアで、潜水したからだろうと思う。そのイタリアで書いていたときには、それほど高くなかったのだが、2014年いっぱい、高い数字がつづいた。やはりわからない。

 500から1000だとしても、タレントでも政治家でもないのだから、高い数字だと思う。何をどういうふうに書くのか、定見がなくてやってきたのだが、次第に固まって来た。自分なりにコードを決めて、時々確認する。

 ① まず、ダイビングのことを書く。他の話題だとしても、必ず、どこかにダイビングのことを入れ込む。
 ②失敗談や、間違ったことも書く。間違ったことを書いたら、調べて訂正する。その間違いのプロセスから、読者の理解が進むのではないかときたいする。ただし、まちがったとわかったら、その項は削除しておく。ネットで自分の知りたいダイビングのことを検索すると、自分のブログに行き着くことが多い。間違いは削除しておかないと、それが定説になってしまう。殆どのダイビングで、どこか失敗する。それを書いておくと、同じ失敗を読者がしない助けになると思って隠さずに書く。
 筆が弾んで行きすぎてしまうこともあり、それも削除する。人間、間違いはある。
 ③批判したい、批評したいこともたくさんある。自分の意見はいうが、他を悪く言うことは、つらくても我慢する。前にひどい失敗をしたことがある。
 ④同じテーマ、同じことを何度でも書く。書く度に変わっているだろうし、同じ意見を繰り返すことは、強調する事にもなる。
 ⑤注意はしていても、知らずと、人を傷つけてしまうことがある。そのときは、消去して謝るしかない。それが、さらに誤解で傷つけてしまうこともあるかもしれない。恐ろしい。
 ⑥
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何とかして、3日に一度は更新したい。日記、記録を兼ねている。
 

0906 マスクについて

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今度の宿毛での潜水、失敗が二つあった。一つは忘れ物で、今度の忘れ物はマスクだった。
 マスクは忘れてはいけないものだと、心に命じている。30日の日曜日、お台場で潜水した。今のお台場での僕のカメラシステムは、ウエアラブルカメラをライトステイに付け、手首にニコンAWだから、マスクマウントはつかっていない。だから、宿毛に他の機材と一緒にマスクマウントのマスクを送ってもよかった。宿毛では、マスクマウントを使うと決めていた。宿毛ではウエアラブルカメラをマスクマウントにして、ハンズフリーにするよていだった。ニコンは手首に巻き付けるが、その手は普通に使える。

 お台場で使って、31日は手持ちでマスクだけはもって行こうと決めていた。それで、忘れた。
 忘れることもあるので、送った機材にもマスクをいれておいた。この送ったマスクがいいかげんだったのだ。どうせスペアだからと、適当な、その辺にあったものをバッグに放り込んだ。
  現在、僕が使っているマスク、すなわち、水が入ってこないマスクは、ダイブウエイズのラクーン、これが一番信頼できるのだが、マスクの上縁の構造が脆弱でマスクマウントにできない。新型のダイブウエイズのマスク(アイアイ)は、マスクを顔に合わせたサイズを選択できるので、まず大丈夫でこれをトップに使っている。スペアがマンティスで、これは、まずまず、大丈夫でマスクマウントがついている。実はこのマンティスをスペアを送ったつもりになっていたのだ。マスクを忘れたのも、スペアのマンティスがあるから大丈夫とおもっていた心の緩みか。そして、ボートの上でトランクを開けてみれば、入っていたのがマンティスではなかった。

 
 仕方がないから、GoProは左手に持ち、右手手首をニコン、にした。これは、これでよい。中尾先生が珍しく動画をリクエストしたから、マスクマウントでも、撮るときはマスクからはずして手で撮るのだから、手持ちでしっかり撮ろう。

 もう一つの失敗は、ウエイト調整だ。これもいつものしっぱい。ウエットスーツでお台場では5キロで潜っている。水深1mで水平でバランスする。3m潜るとBC.にツータッチする。森田のところは、アルミタンクだからプラス2キロするのが常識だ。しかし、目指す平均水深は8mだから、プラス1キロの6キロでよいのではないか。と6キロにした。
 やはり1キロ軽かった。水深5mで静止できない。中尾先生も町田も潜っていってしまう。後の森田にSOSをした。多分1キロの予備をもっているだろう。ガイドの常識だ。
 持っていない。初心者を相手にしているつもりではない。
石を2個拾ってきてくれた。片手に持つと何とか行ける。石をもっている片手にGoProを持ち、右手にニコン。
 マスクに水が入ってきた。手が1本足りない。マスクの水を抜きながら、BC.に石を移す余裕が無く、そのまま中尾先生を追って、撮影する。
 僕がこんなことをしているなんて、と、いつも思う。
 流れがあったら、危ない。初心者の事故は、こんなパターンで起きる。その場所、そのサービスでの第一回目のダイビングはいつも要注意だ。
 
 森田が撮影している僕の横に来て、BC.のポケットに石を入れてくれた。
 
 マスクの浸水だが、よく、顔に当てて、鼻から息を吸い込んで、顔に吸いつけば良いなどという。僕もそのように教えられ、1980年代までは、自分の本にそんなことを書いていた。本当に、そのころまでは、この程度のテストで大丈夫だった。今では、こんなことではだめだ。マスクが変わったのだろうか、自分の顔が変形したのだろうか、とにかく、だめだ。プールで使ってみて決める他ない。

 中尾先生と知り合うきっかけになった。若い研究者、山下君の事故は、買ったばかりのマスクが顔に合わなくての浸水が引き金になった。
 彼は、マスククリアーができなかったようなことも言われたが、そんなことはない。その時にあわてて浮上するか、とにかく着底して、マスクの縁を調べ、なんとか顔に合わせて水の浸入を止めるかだが、彼は浮上してしまった。

 ついせんだっての館山で、すでに使い込んだ、自分のマスクなのに、浸水がとまらず、ダイビングの前半、10分ほど、水抜きをしながら、撮影していた。やがて、何とか落ち着いて浸水も止まる。そんなものだ。
 ダイバーにとって、フィンは、足がはいればなんとかなる。レギュレーターは、吸って空気がくればいい。BC.もなんとかだませる。マスクが一番困る。だから、大事にしなければいけないと、50年前から書いたり言ったりしている。

 ウエイトのバランスも同じことで、60年前からおなじようなことをしている。
 毎日潜っているか、その場所、そのスタイルの潜水の2回目になれば、問題はすべてクリアーしている。その機材、その場所、その水深での初回には少し重くして、2回目で減らしていく。
 ブランクダイバーなどと言われるが、昨日お台場で潜っていて、今日、宿毛で機材を替えて潜れば、場所と道具が変わっていれば、立派なブランクダイバーだ。
 外見だけは繕って、やるべきこと、やるべき仕事はするけれど、外見の内側は、だれでもそんなものではないだろうか。初心者、タンクの本数で50本以内のダイバー、本当のブランク、一年に一度程度のダイバーであれば、そんなとき、小さい事故になるだろう。そして、小さいトラブルは重なれば、大きな事故の引き金になる。その時に急流だったとか。
 もっとも、流れは怖いから早く沈んでしまおうと、さらに1キロ加えるが。流れの或るときに最短で沈むとバディがついてこられないで、後で問題になる。潜降索がなく、流れの速いところでは潜らないようにする。

 今後、マスクのスペアは、ダイブウエイズのラクーンにしておこう。
ウエイトは、たとえ立ち上がるのに難儀でも、その場所の初回は、2キロ重くしよう。
 
 マスクについて
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ラクーン、おそらく自分の周囲では一番良いマスクだが、フレームが、僕の乱暴な使い方に耐えられないで、割れてしまう。このマスクがマンティスのような堅牢なフレームに改良すればベストなのだが。このマスクを造った頃、僕はダイブウエイズの製品のネーミングをアドバイスしていた。このマスクは「マーリン:海鷲」とした。マーリンとマリンの違いが分かりにくいとかで、ラクーン (アライグマ)になってしまった。

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 マンティス、今はもう売っていない旧型でラバーのマスクだ。3回に1回程度、エントリーした直ぐに水が入る。両手でなおさなければならない。世界的なベストセラーで、これを造るときに鬼怒川のアドバイザーをしていた。要するに、こんなのではだめだとか、これは良いとか、ここをなおせとかアドバイスしていた。僕がアドバイザーで亡くなってから、改悪(高価化)の方向に進んでいる。自分のマンティスは古い型だ。


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 アイアイ、ダイブウエイズの新しいマスクで、僕のトップのマスクで、とてもいいが、今度こそ精悍なネーミングとおもっていたら、アイアイになった。これも熊の類か、猿の類だ。その人の顔に合わせて、何種類かのうちから選択できる。だから、選択を間違えると浸水する。どんな人の顔にでも、一つの型で合うのが理想だろう。ダイブウエイズの武田社長は、マスクデザインでは、他の追従を許さないのだから、ラクーンをもう少し精悍にして、ぶつかっても壊れなくして、名前も変えたらいいと思う。

 もうひとつ、スキンダイビング用に、スフェラを使っている。ガラスの曲面で目が回るが、あえて外観にこだわっているところが良い。

0909 お台場撮影調査 報国と展望

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お台場海浜公園 撮影調査 

 僕たちのお台場水中撮影調査は、1994年以来、130回ヲ迎えている。

 
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尾島さんの奥さん、生物の観察達人 浅い水深を滑って行く

 2014 7月から、2015 8月の1年間 お台場海浜公園の水中をマハゼを中心として見て、追っていく。
 撮影はウエアラブルカメラ、GoPro2とSJ4000 で動画を撮影して動画から静止画を切り出しているものがほとんどである。
 従って動画と静止画の両方を見ることができる。この撮影方法は、調査には絶好であり、この撮影方法の洗練、を目指している。

 お台場は東京港、東京湾の行き止まりであり、透視度は劣悪であるが、それでもウエアラブルカメラの超広角で撮影することで、必要十分な撮影をすることができる。
 透視度は3mもあることはまれで、1。5mも見えれば、透視度が良いと表現する。悪いときには50ー30cm以下になり、ライトでてらして、撮影距離15cmほどで撮影する。


 2014年7月 19日
 透視度が悪く、50cm程度だが、水底をライトで照らして撮影していくと、5cm程度のマハゼが見える。密度はそれほど高くはない。
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 2014年8月 24日
 7月と同様に透視度が50cm以下、マハゼの水底の密度も7月とあまり変わらない。
 水底は硫黄細菌が黴のように張り付いているのはこの時期いつものことだが、この年は、多い方で、また霞のように中層にたなびくのは、初めて撮影した。
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 2014年9月 28日
 一転して透視度が2mほどになり、きれいに見える。
 大型15cm程度のマハゼがそこここに見られる。8月のマハゼが急にこの大きさになったのだろうか。
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 2014年10月26日
 透視度は良い。マハゼの数はすくなくなった。ボラが多く見えたのは透視度がよかったためか。
重なっているカニは、イシガニかカザミか?
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 2014年11月 30日
 シマイサキの稚魚、アカオビシマハゼ、チチブなどはよく見えるが、マハゼは見られない。
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 2014年12月 28日
 状況は11月と変わらない。水底の牡蠣殻がきれいに見え、ヒメホウキムシが美しい。
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 2015年1月25日
 魚の類は、深みに降りているか、牡蠣殻の隙間に隠れているか、岩ノ下奥深くか、海底表面には全く見えない。
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    ショウジョウケノリ

 2015年2月22日
イシガニが見られただけ。イシガニは周年みられるが、昔に比べ数が減った。
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 2015年3月29日
 触手がちぎれていない、きれいなアカクラゲが、入ってきていた。クラゲにとっては、お台場は行き止まりなのだろう。
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 2015年4月26日
 透視度は1、5mとよく、メバルとシマイサキの稚魚がでてきた。ヒメホウキムシもまだ無くなっていない。
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 2015年5月31日
 ドロメの稚魚がわいたと表現できるほど出現した。
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 今年生まれたマハゼが集まりだした。
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 2015年6月28日
 透視度がひどく悪い。
 稚魚のようなプランクトンが一面に広がっている。
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 2015年7月19日
 マハゼは少し大きくなって全面に散らばっている。海底の牡蠣殻は茶色い付着生物に覆われている。
 イサザアミのようなプランクトンが大きな群になって調査する全域に広がっていて、おそらくはマハゼがこれを補食して育って行くのだろう。
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 2015年8月30日
 透視度が7月よりも少しよく、1mほど見えた。
 海底は一面のハゼで、これまで120回以上の潜水で、これほど多くのハゼをみたことがなかった。
 マハゼが大多数であったがチチブ、アカオビシマハゼも群れていて、ドロメも群れて浮いていた。
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 この2年間で、ようやく魚類、主としてハゼの類のこの水域での撮影調査の手法が見つかった。
 ①小型超広角のウエアラブルカメラを多数7ー10台使用すること。
 ②80mの撮影ラインを引きその1m巾でライン上を動画で移動撮影してマップを作り、5m間隔のゾーンを設けること。動画撮影で、ゾーンごとのハゼの消長を記録すること。
 ③ラインに近接して、大きな岩、コンクリート隗、沈木などを定点とすること。定点近くの適切な位置に5秒間隔でインターバル撮影をするカメラを設置して撮影すること。
 ④この撮影結果を月別にまとめて、周年記録して行く。

0910

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 今、ほとんどの下書きとメモのポメラをつかっている。
 ポメラはテキストだけを打ち出す道具で、膝の上でも打てるし、最近では横に寝て、左手で持ち、広げたキーボードを右手で打つようなことをしている。もちろん、PCのキーボードのように速くは打てないが、考えながら箇条書きを書くには充分で、やがてはもう少し速く打てるようになるだろう。
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長い間、ポメラを使っている。長い間だから、かなりむらがある。使わないでいるときもあった。

使い始めて少し経過したころ、テキストだけ打つ、というのは、どうなんだろう。コンピュータには、たくさんの機能がある。せめてエクセルの機能ぐらいは合っても良いのではないかと不満になった。PCが次第に小さくなり、タブレッドができたりするとその小さいPC を主に使っているときがあり、その間、ポメラはごぶさたになっていた。

 やがて、スマートフォンを使うようになると、PCの仕事のほとんどは、スマホでできてしまう。ただし、テキストを打つことを除いて。スマホを使いこなすとともに、また、ポメラを使い始めた。小さいPCを一台持つよりも、スマホとポメラを持った方が良い。
 今のポメラは、ブルースーツでアイホンなどと直結できるが、僕のは、一番古いタイプなので、直結ができない。買い換えを考えたが、PCを介してワードで編集しなければ使えないのだから、別に繋げなくてもかまわない。ポータブルハードディスクと同様に繋いで使っている。

 立ち上がりが、瞬間的だし、キーボードも、使いなれればミスタッチがないし、変換ミスもない。場合によっては、片手でもスマホよりも、速く打てる。
 しかし、繋げばメールもこれででいるし、とも思ったが、メールとフェイスブックはスマホでできるし、写真も使える。ポメラは写真は使えない。テキスト以外にはなにもできない。
 充電しなくても単4電池で動くことも、電池切れを心配しないので良い。

0913 水中撮影調査グループ 波左間

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 13日までに、何とかして、咳風邪をなおしたい。10、11、12と、あまり無理に体をうごかさないようにした。しかし、なおりつつあるという自覚もない。13日になったしまった。
 ROVの調査を一緒にやろうと話を進めて来た、宮内君は、この日の11時頃には強い風が吹いて、波が高くなると予想して中止をきめてしまった。僕の方は、同行する仲間が楽しみにしている。それに、人食いバクテリアにやられて、片足切断の可能性もあった小俣さんがダイビング復帰する。中止する訳には行かない。
 それに、海況もおだやか。この日にダイビングを中止するというようなレクリエーションダイバーは一人もいないだろう。
 朝起きて、当然調子が悪い。しかし、動き出してしまえば、なんとかなるだろう。
福田君にだしてもらった大型のバンに福田、石川、清水まみ、と僕が乗る。撮影機材の忘れ物がないようにしなければ、いけない。
 走りも順調で、館山湾にくると、波一つない。穏やかな凪だ。宮内予報ははずれていると思った。
 羽左間は、いい天気の日曜日、ほかのお客も多い。第一陣がでたあと、僕たちは、機材の準備を始める。投入するインターバルカメラの準備だ。今日は8基を用意する。目標は、水深33mにある鉄鋼製魚礁だ。いい形をしているのだが、まだ、この魚礁には潜っていない。この魚礁の目的は、定置網への魚の誘導だ。沖を通る魚が、魚礁に引かれて進路を岸に変える。次々と続くいくつかの魚礁にゆうどうされて、定置網の垣網にぶつかる。
 定置網とは、僕の考えでは巨大な人工魚礁なのだ。網だと認識すれば魚は逃げる。魚礁だと思うから、網の中にどんどん入っていくのだ。

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 第一陣が戻ってきて、僕たちが出る。例によって、荒川さんが一緒についてきてくれる。古い友人で、彼のことを書けば、本当に本の一冊がかける。本を一冊書ける友人はたくさん居る。そのうちに凝縮して書きたいのだが、凝縮する筆力が今はわずかしか残っていない。ニッポン潜水グラフィティ・友人編は、ブログでやろう。

 沖に出て投入の準備にかかると、風が吹いてきて、波が立ってきて、雨も降ってきた。宮内天気予報を尊敬する。今日やらなくてよかった。
 ソナーで確認しようとしたが、ブイが付いていて、場所はすでにわかっている。

 カメラを投入するが、着底しても、流されて動く用だ。ウエイトが1キロでは足りない。2キロにした。波もいやなので、投入を6基にした。このあたりが魚礁だというところをいい加減に投入している。それで良いとしている。どのカメラに魚が写るかあるいは写らないか、運任せだ。

 さて、投入が終わって、ダイビングだ。僕と福田君がいつも通りバディになる。山本さんと小俣さんが第二バディ、石川さんと清水まみが第三、内山さん、増井さんが第四、合計8人、そして、ガイドしてくれる荒川さんだ。
 僕が撮影に使うカメラはGoProの4,これは4Kでも撮れる。次のメインカメラはこのhero4 だと話しているので、フクちゃんが貸してくれた。その4と、僕の常用の2とを並べてある。これで画質の検討ができる。両方共液晶のファインダーを付けている。ライトは、左に大光量のフィッシュアイ   と右に補助光のイノンの70ルーメンだ。これを構えて、動画を撮る。
 フクちゃんが撮影しているのは、最高級一眼レフのジャンルに入る、キャノンEOS 1Dだ。この3つのカメラでほぼ同じ被写体をとるので、これも比較できる。


 僕は最後のスタートだ。福田君が、先に入って、カメラを構えて待っていてくれる。
 機材を背負うのはいつもな難業になっているが、仕方がない。腰に2キロ、ジャケットが4キロで合計6キロ、2キロ重いが、早く沈む算段を考えている。バックエントリーで飛び込むとすぐに体を翻して、ボートと魚礁を結んでいるロープを掴んで、潜降する。3mほどのところで、ふりかえって福ちゃんを確認する。体がきついのはこのへんまでで、あとは、呼吸のリズム、乱れがないようにすればいいだけだ。
表層は濁っていたが15mほど下からは透明度が良く、魚礁もきれいに見えた。頂点にボートと結んでいるロープがある。魚礁の中にきれいに入り込んでいるインターバルカメラがあった。魚はイサキの群れなどは見られないで、カゴカキダイ、カワハギ、そしてネンブツダイ、チイサイキンギョハナダイなど、小魚だけだ。
 一番下の水底まで降りた。水深は33m
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    投入したインターバルカメラはいい位置に入っていた。

 ログは 潜水開始1121 潜水終了1141分 潜水時間は20分、水温は21.8度  最大水深33m 平均水深18.6m
 一応見るべきものを見て、撮るべきものも撮ったので、残圧が100で浮上を開始した。
 できるだけゆっくり浮上して5mぐらいから減圧のつもりで、3分かけた。33mの水深は、長居をする必要はない。
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    ボートに上がるのはたいへんだ。

 久しぶりの30m以上の魚礁潜水だが、同じような調査を賞味で20年はやっている。最深は60mだが、減圧症にならなかったのは、不要な時間を水底で過ごさなかったことだろうと思う。素人、レクリエーショナルダイビングのダイバーの減圧症多発は、不要な時間を、ダイビングを楽しんでいるためだと思う。最深部が30mを超えたら、さっさと上ってくるべきだろう。

 お弁当を食べてから、2回めの潜水3時頃からは、パスした。インターバルカメラの引き揚げのために、ウエットスーツは脱がずに、船にのった。流されてバラバラに散ってしまっていたのでは、と心配したが、割合まとまっていた。一つだけ、魚礁に入り込んでいたカメラだけは、ダイビングしていって外した。山本さんが外して水面まで持ってあがった。
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 透視度は、急に濁り潮が押し寄せたため、午前中とは比較にならない、写真にならない濁りで流れも速くなっている。僕が入らないと決めたのは正解だった。午前中は、魚礁の標識ブイとボートをロープで結んでいたのに、午後は、カメラの取り外しからダイビングを始めたのでロープをとっていなかった。
 内山さん、増井さんの第四バディは、魚礁に行き着かないで、ながされてしまった。ボートを操る先導が気泡を追ってくれたので、流された上に見張っていたが、ずいぶん遠くにはなれてしまった。その内に第三と第二バディも浮いたが、第四を置いて、行くことはできないので、待ってもらう他ない。ライトを付けたりして振っているが、僕場カメラを持ってきていないので、こちらにライトが無く、とにかく待ってもらうほかない。順次回収し、何事もなかったが、帰途に食事懇談したときに、その話題で盛り上がった。

 館山湾を通りぬけ、いつもの食事のCOCOの前の浜に落日をみた。四本マストの帆船、今、日本にあるのは海王丸Ⅱ世だが、館山湾に停泊していて、その向こうに赤い夕陽が沈む。すごいシーンになり、みんな撮影した。最近はみんなスマホでの撮影で、もちろん僕も撮った。一応カメラマンの肩書があるのだから、僕が一番いい写真を撮らなければ申し訳ない。枚数で勝負するのが、カメラマンだ。その一枚をフェイスブックに投稿して。好評を得ることができた。
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 これが日記的な報告で、撮影結果などについては、次回につづく。



0913 波左間撮影-2

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 今回、僕が使った、撮ったカメラシステムは、福田君にかりたGoPro  hero4 をメインに、僕のGoPro 2をサブにして、同時に動画を撮影した。
 液晶ファインダーでみている限りでは、4の方がいい。しかし、これはファインダーの性能もあるだろう。4型は、4Kも撮れるのだが、僕のPCでの処理は、どちらも同じに処理した。
 動画でみていると、4の方がきれいに見える。しかし、静止画を切り出してここに貼り付けても、明らかに4のほうがきれいだ。

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    上はGoPro4 下がGoPro2
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    上はGoPro4 下がGoPro2
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    イオス 1D


 福田君のイオス1D は、桁が違うから、動画も静止画もGoProとは比べられない。圧倒的に良いということだ。ただし、僕のPCの上での編集などの処理はJPEGに直して行うので、画質の点ではあまり差がなくなってしまう。
 
 4と2の差があっても、僕が撮影調査に使うカメラとしては、並べて比べなければ、GoPro2で間に合う。これを3台持っていて、2012年から使っている。そろそろ、壊れる可能性がある。
 その場合の福田君のおすすめは、3+だ。僕の持っている1台の3は、はずれ籤で、予備になっている。ときたま使うが、2に及ばない3だ。
3マイナスというところか。
 メインのカメラだけは、やはり無理をしても4にしたほうが良いか?

次に、インターバルカメラだが、インターバルは5秒間隔で撮影する。GoPro2が2台、AEEが2台、SJ4000が2台の6台を使った。ここでは、画質は二の次で操作性がよくて、バッテリーが長持ちするのが良い。バッテリーの長持ちではAEE,操作性はSJ4000が良いが、バッテリーが短い。GoPro2は、操作性もよく、バッテリーも中間的だが、タイマー、時間表示がでない。 しかしこれも、プロパティで見ることができるから、こだわらなくても良い。
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   AEE

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   SJ4000

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    このGoPro2の撮影した画が今回の収穫だったのだが、それは次の回に述べる。


 インターバルカメラの撮影結果分析に付いては次にする。


 

0917 what am i doing here

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月13日の人工魚礁撮影の事を書いている。予想外に良い撮影ができたので、まとめるのに時間がかかっている。

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 スノーケルフルフェイスマスクもほぼまとめてある。
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 小説と映画の「アビス」も、ほぼ書き終えている。
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what am i doing here 「どうして僕はこんなところに」
読むの、三回目だと思う。ほんの少しずつ読んでいる。読書している。
時間をかけて読み終わったら、同じ作者、 の「ソングライン」を読もう。ブルース・チャトウィン(Bruce Chatwin)1989年、48歳で夭折。「パタゴニア」も読もう。
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フェイスブックのタイムラインが自動的に過去を振り返るのを読んで、悪くないな、このまま消えてゆくのは、ちょっともったいないな、と思ったりしている。

time goes by
ひとことで言うと、そんなことだ。

 フェイスブックの友達申請に、ブログ読んでいますと書きそえてもらえたたら、端から承認してしまう。

0918 インターバル撮影

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人工魚礁のことを復習しよう。同じようなことを月刊ダイバーにも書いているし、このブログでも何回か書いているが。それがないと、これから書くことの意味がわかりにくい。

 魚は海の中にどこにでも普遍的にいるものではない。何かの陰に隠れたり、何かの下、隙間にいたり、何かに触れるようにくっついて生きている。そのように魚がすむ場所を磯と呼ぶ、礁とも呼ぶ。しぜんの礁を天然礁といい、人工的に作られた礁を人工魚礁という。人工魚礁は、何でも良いのだ。瓶が落ちていれば、小さいタコが入ったり、ミジンベニハゼのホームになったりする。不法投棄の家電用品にも、ポリバケツでも、どんなゴミでも、形があり、材質が有毒でなければ、魚は住処にする。沈船は巨大な魚礁である。天然礁 も大きい山のようなものから、小さい岩まで、砂地にちょっと大きい岩が落ちているだけで魚礁になる。島も、天然礁 と言っても良い。
 とにかく、魚は何かに取り付く。磯魚が磯につくのは自明のことだが、回遊する魚も、何かがあれば、そこに集まる。流木があれば、流木を中心にして半径1キロとか2キロが魚が集まる区域、魚礁域が形成される。木付の魚である。ジンベイザメについている魚は魚付きの群れである。だから、昔の漁師は、ジンベイ様と呼んで大事にした。魚を運んでくる魚なのだ。
 回遊魚を集めるために、流木や、ジンベイを模したような、浮き魚礁も作られ、沖縄や四国の回遊魚漁は、この浮き魚礁に依存している。浮き魚礁のことは、月刊ダイバーの今度の号、続、ニッポン潜水グラフィティの最終回に書いた。

 人工魚礁についての考え方は二通りある。一つは集めておいて一網打尽にしよう。一網打尽ではなくても、毎日通って獲ろう。これが漁具型の人工魚礁である。漁具型だけでは魚は増えない。魚を増やすための資源培養型の人工魚礁がある。これは、家を作れば人が集まる。生活の場ができる。人口の都市集中のようなものだ。都市ができれば、人口も増える。集まれば漁獲されるから、2つの型を完全に分けることはできない。漁具であると同時に培養の役割を果たしている魚礁もある。
 
 その効果は、漁具型のほうがわかりやすい。
 波左間にあるような定置網も魚の目からは魚礁のようなものだ。浮き魚礁に魚が付くのと同じ雰囲気だ。魚が巨大な垣網に沿って泳いでいる内に、袋網に入り、出られなくなってぐるぐる回って居るうちに更に其の奥の金庫網にはいってしまう。
定置網も人工魚礁ならば、人工魚礁を垣網の延長のように並べたらどうだろうか。波左間の人工魚礁は、まさに其のように並べられている。沖を通るブリの群れが、ふと、人工魚礁に惹かれる。回っているうちに次の魚礁が見つかる。そしてそのまた次と泳いでいる内に垣網に気づく。あ!網だ危ないというようなリーダー魚がいれば、魚は反転して逃げるが、網と認識しないで、魚礁の連続だと考えてしまうのが、運のつきだ。

 波左間の人工魚礁に潜り始めてから、これまで、どちらかと言えば、どれだけ魚が付いているか、資源培養型の調査をしていた。同時期に全部の魚礁にカメラを入れれば、どの魚礁に一番群れが大きいか。とか、その魚種、その大きさに着目していた。
 
 今回の調査は、図の菱型マーク、9番の魚礁をねらった。沖を通る魚群が人工魚礁に惹かれてくる、二番目の位置だ。
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  インターバルカメラは、垂直ウイングに取り付けられて前を向いていて、1.5mの高さに、底に2キロのウエイトを結んで、取り付けている。頂部に小さい浮きを付けて、倒れないようにして、3mmの細い雑索(トワイン)で水面の浮きに結び付けられている。流れの影響をできるだけ少なくするために、索は細くしている。浮きは、ウエイトが着底した位置で結び付けられ、できるだけ斜めにならないようにした。このために錘が軽く、海底で引きづられているところも撮影された。
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 6基のインターバルカメラを無作為に人工魚礁の上から、爆弾投下のように落とした。上に乗るのもあるだろう、少し離れた周囲に落ちても、もしかしたら魚群を捉えるかもしれない。いい加減に落としたが、浮きの並び方を見ると、適当にまとまっていた。

 カメラの種類は、AEEが二基、SJ4000が二基、GoPro2が二基、合計6基だった。
 AEEの一台が、魚礁の中に落ちていたので、魚礁を観察する意味で、このカメラの撮影結果を軸にして、記述する。ダイバーのマスクマウントで撮影したものとしては、増井武氏のものが、魚礁をよく捉えていたので、この動画から切り出した静止画をこの項では使わせてもらう。
 観察した魚礁の図 水深33mに置かれ。高さは9mである。
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 1123(11時23分)カゴカキダイの群れイシガキダイ

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 1126 イサキ、イサキは魚礁に多いのに、ここでは群れていなかった。

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 1128 イシガキダイ AEEには、イシガキダイが複数撮影されているのに、ダイバーのGoProには写っていない。ダイバーが特に探していないことと、どこかの隙間にかくれたのであろう。

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1136 ダイバーが接近してきた。この時、ダイバーがカメラを移動させた。
カメラが動いてしまって、端に押し付けられた。

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1311 カメラは戻ったり、振れている。
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1341 濁った水が押し寄せてきた。

 SJ4000の一基が、魚礁の縁に落とされた。この一基は少し離れたところにあったのだが。ズレ移動して、縁に着いた。このようにカメラは移動するが、移動しても良しとしている。移動してシーンが変わるし、より良い位置に移動する場合も、その逆もある。
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1128 魚礁の全景に近い姿を写していた。
1212 魚礁に接近した ウマヅラハギの群れ
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1216 イシダイも写っていた。
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1259 魚礁全体をを覆うように群れているイワシの類の群れ
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この他の、AEE,,SJ そして2台のGoPro2の3台は、めぼしい魚をうつしていない。最後のGoProの一つに、ブリの群れが写った。 12時27分42秒から 2分の間である。このカメラの正確な位置と向きはわからない。分かる必要もないとおもう。とにかく、かなり大きなブリの群れが通りすぎた。
これだけでは、断言できないが、定置網に魚群を誘導し、網に至る道筋をこの魚礁群が作っていることが推定できる。
今後の調査では、このような魚群を捉えやすいようなカメラの投入、すなわち今回のようなやり方を続けて行きたい。調査対象は、図のA B CDE の鋼製魚礁としたい。
6-8基のカメラを魚礁周辺に投入する、はなれているものがあってもよい。ダイバーが潜って、魚礁内部及び周辺を撮影調査する。撮影結果を綜合まとめれば、魚礁の撮影調査としては、程度の高いものが得られる。

 次回は、最先端の  で水深は50mのAである。ダイビングによる潜水調査は30m以内までとする。8台のインターバルカメラを適当に入れる。ROV を使って、魚礁の中、周辺、そしてインターバルカメラの散らばり状態を見る。インターバルカメラとROVの共同は、初めてのことである。ぶりの群れの通過撮影が狙いである。

 この人工魚礁群は、定置網への魚の誘導が目的であり、漁獲高は確かに設置して以来増えたという。しかし、狙い通りに魚が通り過ぎて行ったのとの確認はできていない。全国の人工魚礁でもこれが撮影目視で確認された例はない。

0920 シュノーケリングマスク

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スノーケルが付いたフルフェイスマスクが今年の夏、売りだされた。


 この手のマスクは、1950年代の後半に売りだされて、いくつかのトラブルがあり、市場から消えた。それと、ほぼ同じコンセプトで、新しく作られたものだ。

 1960年台にNGになった理由の一つは呼吸死腔が大きいことであった。呼吸死腔とは人体の肺に直結していて、ガス交換に関係のない空所で、呼吸に役立たない死腔である。広く解釈すれば、気管もガスの通り道に過ぎないので死腔である。スノーケルも死腔である。
 ダイバーが吐き出した息がマスク、あるいはスノーケルの中に残っていて、この残っている空気を吸い込まないかぎり、新しい空気が入ってこない。長い長いスノーケルで、内容積が、一回の呼吸量と同じほどあるならば、新しい空気は殆ど来なくなり死んでしまう。長いホースで呼吸する送気式潜水は、ポンプで空気を送り込むから呼吸できる。潜水の原理だ。

スノーケルは細くて内容咳の小さいものの方が、個人的には好きだ。
もちろん、ある程度の容積はあって仕方が無いのだが、どのくらいまでならば許容されるのかとか、海女の磯笛のように、吐き出す空気に圧をかけると呼吸が楽なのか、とかそういうスノーケル回りの生理学的な問題を、スキンダイビング・セーフティの共著者である、藤本浩一に解説してもらうことをシンポジウムの大きな演題の一つに決めている。
 そんなこともあって、この新型スノーケルマスクには興味をもった。

 デマンドバルブ付きのフルフェイスマスクぃが、現在の作業潜水の潜水器の主力になっていることもあって、フルフェイスマスクのことについて、水中科学協会のワークショップの次のテーマにしようかとも話し合っている。
 とにかく、買って使ってみて、良いか悪いか、どのくらいつかえるのか、試してみよう。自分の呼吸で確認しよう、辰巳プールの練習会にきてくれるエキスパートのスキンダイバー、フリーダイバー、そして、浦安海豚倶楽部のみんなにも使ってみてもらって、意見を聞いてみようということで、購入した。
 アマゾンで買って9000円弱だった。



今度のフルフェイスマスクは、口と鼻だけを覆うマスクを使って、できるだけ死腔を小さくする工夫は見られる。
 海豚倶楽部のでは、興味を示したものの、みんなこれはダメとちょっと潜っただけで、投げ出した。
スキンダイビングに使えないことは最初からわかっている。スノーケリング用、水面呼吸用のマスクなのだ。

 そのことを念頭に置いて、辰巳の練習会で何人かにテストしてもらった。中心になってくれたのは、水中科学協会会員で水中でのフラダンスを研究していて、ドルフィンスイミングの達人でもある、自ら撮影もする斉藤真由美さんだ。喜んで引き受けてくれて、自分でも多くの動画をとってフェイスブックで発表した。
 彼女は、水深5mに潜って20mぐらいは泳いだ。他に2-3名試してもらって、短い時間ならば使える。危ないかどうかわからないが面白いということだった。

 まだ、結論を出せるほどのテストをしてないないが、辰巳では、みんなエキスパートだから、面白がってつかえる。水中パーティグッズにはなる。でも、このマスクで海で潜ろうと言う人はいない。プールでの物珍しい遊びのグッズである。世界中で、このレベルでの使用をした人は多いだろうから、充分に商売にはなったはずだ。しかし、継続的な販売が可能かといえば、ノーだろう。その意味では、コレクションとして、速く買っておかないと消えてしまうから、買ったことは正解だろう。

 自分で使って泳いでみて、このマスクを使って子どもたちが安全にスノーケリングができるだろうか?というとノーである。スノーケリングがフローティングジャケットを着て、水面で泳ぐことを厳格に守れば死亡事故は起こらないだろうが、子どもたちが海で、これで潜ったら危ない。

 その理由
 ①フルフェイスマスクへの水の浸水が多い。
スノーケルの先端が水没しても水が入ってこないメカニズムは良く出来ていて、その部分が売りなのだろうが、フルフェイスマスクの出来が良くなくて水が入ってくる。
フルフェイスマスクは、完璧でなければならない。出来は、普通のマスク程度に水が入ってくる。テストしたダイバーの三分の二が、口鼻インナーマスクの顎の部分に浸水している。この水抜きが重力によるだけなので、抜けにくい。何時も溜まっている。頭を下にしてヘッドファーストをやると、この水が全部鼻から入ってくる。

 ②子どもたちは、そして大人でも水に慣れていない人は、何かが起こると、水面に顔を出して、マウスピースを口から離して外の空気を吸おうとする。これが溺れなので、マウスピースを口から離さないように指導するのだが、このマスクでは、何かがあったときすぐに外の空気が吸えない。そしてインナーマスクの中には抜けきっていない水が入っている。たちまちパニックになる。

 ③何かがあった時、大声で助けを呼べない。声が中にこもってしまう。

 多分ちょっとやっただけで、これは使えないと捨ててしまえば事故にはならない。しかし、練習を続けて、少し岸から離れることができるようになったら、本当に危険になる。

 ④マスクの内側の曇がひどい。これはフルフェイスマスクの宿命なので、プロのマスクは空気を吹き付けて曇りをとるフラッシングができるようになっている。これは空気の無駄なので、曇り止め液が大量に必要になる。プロのマスクよりももっと曇りがひどい。

 ⑤最後にようやく呼吸死腔の問題だが、自分は、5分ぐらいで辛くなった。これについては、もっと試用が必要であるが、10分、20分と続けて呼吸は難しいだろう。苦しくなった時に、スノーケルのようにすぐに口から離して外の空気を吸うことができない。口鼻のインナーマスクを使っても、そのマスクとそれに繋がるスノーケルは死腔だし、インナーマスクの上にはマスクの中に空気を出す弁が付いているから、マスクの中全部に呼気が回る。
 

 なお、まだテストが終わったわけではない。直ぐに縁につかまることのできる、プールでならば、我慢できないこともない。多分数十人のダイバーが面白がって使ってみて、なにか良い解決法を探して、道具にすることができるかもしれないし。スキンダイビングのエキスパートならば、なんとかするだろう。しかし、其のエキスパートは、自分が購入するようなことはしない。無知な子供か素人が購入する。まさか、ダイビングショップが責任を持って売るようなことは無いだろうが。



0922 アビス

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 ダイバーは、自分の能力でできる範囲で出来るだけ深く潜りたい。昔、ダイビングは深く潜るのが目標ではないなどと言われたのだが、今はレクテク等と言って、レクリエーションでも安全に深く潜りたいダイバーが増えてきている。安全と深くは二律背反するのだけれど。

 今まで、映画で生身の人間が一番深く潜ったのは「アビス」。なんと5000mまで潜降する。

 「アビス:ABYSS」ダイバーなら誰でも知っているタイトルだが、映画をみなかった人もいるだろうか。アマゾンでみたら、中古のdvdが250円だったので、注文してしまった。ジェームス・キャメロン、1989年の作品である。見ていない人が至ら、是非見てほしい。

 深海、アビスに潜むわけのわからない知生体、それまで、人類とは交渉なく長い歴史を過ごしてきたが、人類の海の汚染で、自分たちが絶滅のおそれがあり、コンタクトをとってくる。

 1990年に知性体の言うことを聞いて、原発をやめていれば、福島第二の事故はなかった。

 でも、僕の視点はそういうことではなくて、キャメロンが作った、潜水器や潜水作業のメカニズムとか、セット、撮影技術についてなのだ。もはや、ここまでのセットを作らずにアバターができてしまうのだから、今後はもう、無いかもしれない水中撮影の世界だ。

 僕は、この映画のメイキングのムック本ももっている。書棚から引き出してきた
 本は映画の原作か、と思ったら、ノベライゼーションだった。オースン・スコット・ガード著 
 角川文庫、上下 はアマゾンで1円である。

アビスの、ストーリーの概略を文庫のカバーから写し取って置こう。
「カリブ海に横たわるカイマン海溝は、18000フィート(およそ6000m弱)を越える深淵(アビス)だ。
 複数核弾頭ミサイルを満載した米軍の原潜モンタナが突然緊急発信を残して沈んだのは、そのアビスの入り口だった。ソ連が気づかないうちに、核弾頭や機密文書を回収しなければならない。たまたま近くで油田掘削試験中だったディープコアに協力が要請され、特殊部隊SEALが派遣された。折から史上最大級のハリケーンが現場海域に向かっている。時間はない。2000フィートを越える深海での作業は困難を極める。」

それはそれとして、 とんでもない記述を見つけた。
 「浅海潜水では、今でもふつう窒素をヘリウムに置換したトライミックスが使われる。おかげで水中にいるあいだ中、みんなアヒル声になってしまう。しばらくすれば慣れるか、少なくとも互いに笑ったりはしなくなるが、今度は本来の自分の声を忘れてしまわないかと心配になる。最近では、「テトラミックスを使うので事態は改善された。これはヘリウムのほとんどをアルゴンに置換したものだ。」 ええっ!と我が目をうたがった。アルゴンは窒素よりも重い。もちろんヘリウムよりはずっと重い。ガスの粘性も高いので、殆どをヘリウムと置換したら、呼吸などできるわけがない。ジェームスキャメロンが、そんなことを言うわけも、書くわけもない。だろう。
 前に読んだときには、これに気づかずに素通りしてしまった。 

 疑わしいところは置いておき、なぜ、今1990年の映画「アビス」なのか、いくつか理由があるが、まず、第一が、この映画で使っているマスクなのだ。
 僕が、ニュース・ステーションで、フルフェースマスクでの水中レポートシリーズを始めたのが1986年だから、1990年の映画に使われるフルフェースマスクには、最大の関心があった。
 アビスは多分、この映画のためにマスクを特別に作らせている。もしくは、大改造している。モーガンが作ったとあるから、現実の作業潜水に使われることが多かったカービー・モーガンのバンドマスクと親戚だろうか。

 写真を見るとわかるように、面ガラスの上の縁が幅広く折れ曲がって居て、上からのカメラが顔全部をとらえている。そして、ヘッドに着けたライトの光がライトの底に開いている窓から分光してマスクの中の顔を照らしている。カメラのライトの光を当てなくても顔がよく見えるのだ。
 僕たちのニュース・ステーションでは、外からの光をうまく当てないと顔が暗くなってしまうし、常にライトをあてているから、ライティングが単調になってしまう。
 そのことをダイブウエイズの武田さんに話した。
この映画のようなヘルメット型ではないので、上の窓は作れなかったが横の窓はつくってもらった。
 時は移り、ジェームス・キャメロンがサンクタムを作ったとき、このダイブウエイズのマスクをつかった。今、世界で映画に使えるフルフェースマスクは、これだけなのだ。

 もうひとつ、技術的な注目点は、舞台になっているディープコアは海底居住型の石油掘削基地なのだ。しかも、この巨大な基地は自力で移動、つまり動くことができる。

 1970年代、海洋開発といえば海底居住だったのだ。しかし、海底に居住してなにをする、何ができるのだ。その答えは無かった。水面の船を基地にしてダイバーはカプセルに入って降りていく。
 ダイバーの海底居住の夢は消えた。狭いタンクの中に押し込まれて、長い時間をすごす飽和潜水となった。
 1989年ジェームス・キャメロンは、すでに失われた海底居住の夢を追いかける。

 そして、もうひとつ、映画の深海ダイバーはフィンを着けていない。海底を歩いたり、走ったり、フィン無しで泳いだりする。1990年にこの映画を見た時は、どうしてフィンを履かないのだと疑問に思ったが、実際の飽和潜水作業のダイバーは、状況に応じて、フィンは着けたり、脱いだりする。水面に浮かない、浮いてはいけないのだから、泳ぐ必要がないのだ。

 使った写真、図は、The Abyss :角川書店 1990 より転写:

 続

0924 アビス2

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 キャメロンは、ハイスクール時代、17歳で免許(Cカードのことだろう)をとって以来ダイビング映画の決定版を作りたいと志す。そのころ、クストーの映画やテレビシリーズが公開されている。海底居住の始まりである、太陽のとどかぬ世界 もこの頃の映画だ。もちろんみているだろう。
 そして毎週行われている科学セミナーを聴講していて、プロのダイバーが、肺の中に液体を満たして呼吸する実験に参加したという話を聞き、液体呼吸でアビスに潜っていくという短編小説を書いた。それが原案ともいえて、映画でもクライマックスは、液体呼吸でアビスに降りて行く。

    ヘルメットの中は特殊な液体で満たされ、それを肺に吸い込む。

 液体呼吸は、犬の実験に成功したというところまでは発表されているが、人体での実験は行われたのだろうか?今ではその話はきかなくなっている。
 液体呼吸の実験を人間が行って実用になる。それがとんでもないことだと思うようになって、人間の、1970年代の人間、つまりダイバーによる海洋開発の夢は消えた。 海洋開発、イコール人体実験だから。 
海洋開発は人の手で行われるのではなく、機器、ロボットや潜水艇でおこなわれるべきものになり、1998年、日本でも海洋開発技術センターから、人体による潜水技術の開発という項目は消滅した。
 自分の身に置き換えて、肺に水を満たされる液体呼吸の実験に参加するだろうか、できるだろうか?
 微妙だけれど、命をかけるだけの夢がそこにはあった。


    潜水艇のぶつかり合い。

 ダイバーに取って代わる潜水艇もアビスでは活躍する。潜水艇どうしのぶつかり合いの格闘もある。1台は普通の潜水艇、1台は、フラットヘッドとよび、ダイバーは、トラックの荷台のような、ところに乗っていく。

 この映画を、キャメロンは、海(実海域)で水中撮影をするつもりは全くなかったという。セットで撮影するためには、巨大なプールが必要である。
 浄化も保温も必要である。世界中を探して、サウスキャロライナの未完の原子力発電所の貯水プールを使うことができた。直径61m深さ17mある。

 潜水艇も実寸で2台作った。先に述べたヘルメットも呼吸装置も新たにつくった。どんな呼吸装置か?リブリーザーの類のようだ。セミクローズかもしれない。映画では、ラフな使い方をしている。


 もうひとつ、注目したのは通信装置である。
1990年頃の映画で、ありふれた、例によってというようなストーリーだが、核弾頭がでてくる。この映画では大抵の場合ヒーローになるSEALS(特殊部隊)の隊長が、この映画では悪役だ。海猿が悪役になったようなものだ。
高圧神経症候群になって、自分を失い、アビスに棲む知的生命体を敵だと決めつけて、絶滅させるべく、時限装置をセットして核弾頭を沈めてしまう。これは人間の手でなければ解除できない。ヒローのダイバー作業主任が液体呼吸で、生身の体で5000mに単独潜降する。そのときの通信装置である。
 光ファイバー通信機で何ミクロンという細さで、コーヒーカップほどの容器にはいるファイバーをのばして、5000mの有線通信をしてしまう。
 ニュース・ステーションで有線通話でのレポートをやり、有線通話のケーブルを使うケーブルダイビングシステムを進めていた僕には、これこそが、ダイビングの未来の通信装置の姿だと思えたものだ。

 人類の、ダイバーの夢であった海底居住、ダイバーではなくて海底人(アクアノート)になるという夢は、1964年、クストーの「太陽のとどかぬ世界」から始まり、1989年の「アビス」で終わった。
 太陽の届かぬ世界はドキュメンタリーであり、アビスは絵空事、SFである。 1000mを越してダイバーが潜水することは、1989年の世界でも、すでに実現不可能なSFであった。

アビスに潜む、知的生命体は、エイリアンで一躍世界に認められたジェームス・キャメロンの世界である。素直に面白がるほかないのだが、エイリアンもゴジラも世界を破壊する悪役だが、ここでは、神に匹敵するものを作り上げた。もしも、こんな神がいるものならば、福島第一の事故は?と思ってしまう。
 
 技術的には、アルゴンを混入するテトラミクスは、調べた限りでは存在しないし、あり得ないとも思うが、1989年の時点で、ヘリウム酸素ではしゃべれないので、微量のアルゴンを混入した実験があったのかもしれない。と思ってしまう。60歳の100m潜水で、アルゴンをドライスーツの中に注入して保温を強化したのだが、そのとき、総指揮の石黒さんに、アルゴンは猛毒であると聞いた記憶がある。彼の著書「ダイビング・テクノロジー}を調べても、その記述はないし、空気にはかなり含まれている不活性ガスだから、そのものが猛毒ということはないだろう。

 映画に使われているヘルメットとドライスーツは、どこの商品だろう。さらなる昔、東亜潜水器で海底二万リーグのヘルメットを作ったように、どこかのメーカーが特別に作ったものだろうか。潜水器もCRのように見えるが、メイキングのムックには、そのような記述はない。なお、通話器と潜水器について、メイキングのムックには、とても引用しきれないほど長文の記述があるが、このあたりの記述は、訳者に深海潜水の知識は無いと思われるので、信用出来がたい。



 また、ヒロインのメアリイ・エリザベス・マストランニオ(好きな女優さんだが)を一旦溺水させて、また蘇生させるシーンがあるが、このとき、肺に水を吸い込ませるという記述がある。これもとんでもない話で、吸い込ませないようにして曳行しなければいけない。どうも、キャメロンは、生理学をいい加減に扱っているようだ。なぜだろう。この分野の良いアドバイザーがアメリカに居ないとは思えないのだが。もしかしたら、やはり訳文の問題か?

何れにせよ、ダイバーがダイバーらしく深海潜水をしたSF映画として、ぜひ、見てほしい。
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