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0614 館山

 それにしても、昨日(14日)の波左間の海では、寒さに震えた。
 13日の東京港クリーンアップが天気も良くて、水中もウエットスーツで、ほぼ快適だったので、お台場よりも、館山の方が温かいという先入観があるから、迷わずにウエットスーツにした。ウエットスーツの方が身体が動くし、ウエイトも少なくて済む、ドライスーツで11キロ付けているのが昨日のウエットスーツは4キロだ。
 
 ところが、僕の着ているウエットスーツが、ヤクザなものだ。もう30年は前のことだろう。大西に、ユースリーダイビングコミニュケーションというダイビングショップをやらせていたころ、ダイビング用品価格破壊の「ハリサン」、今はもうやっていないのだが、そのハリサンの安売りウエットスーツをレンタル用に、男性用5着、女性用5着を買った。その後、自分用に軟らかい両面スキンとか6.5だとか、何着かウエットスーツを作ってが、すべて、破れるか縮んでしまったりして、着られない。このレンタルスーツだけが生き残っている。みっともなく、ボロにはなっているが、自分にフィットしている。それにフードジャケットを重ね着しているのだが、それで、土曜日のお台場は寒くなく快適だった。

ソシテ、昨日の館山、カメラの設置を終えると、二箇所、どこかに潜ることにしている。水温は15℃から18℃だという。水面近くは18℃だが底は15℃。自分のダイブコンピューターで15.8℃だった。やや高めにでるのだから、15℃だろう。ソシテ、透視度は6-8mと悪い。
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 水に飛び込んだ時から寒かった。いや、船の上で飛び込む前にすでに寒かった。小雨もふっている。
 飛び込んだ時から寒くて、正常ではない。山本くんと寺内さんがバディで進むので、それについて入った。山本さんが消えた。視界が悪いので見失ったのだ。後ろから寺内さんがついてきている。彼女はスキンダイビングの弟子だから、上手だが、スクーバダイバーとしては、まだ20本ぐらいだろう。とにかく海底まで行き振り返りつつ進む。砂地だ。見つけてもらえるようにカメラのライトを点けた。寺内さんも点灯している。上を見ると、誰かのライトが見えた。その方向に進行すると、ドリーム魚礁の黒い陰が見えた。
 透視度がよければ、何事もなく見通せる距離だ。
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   黒い陰のように見える。ドリーム魚礁
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    寒くて撮影にならないタイヤ魚礁のイセエビ
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 寒いので、撮影する形にならない。タイヤ魚礁に到着して、横断する。そろそろ寒さが限界に近くなったが、未だ、震えは来ない。先まで行って引き返す。途中でマアジの群れがいたが、明るいライトの光束の外ににげてしまう。
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 ドリームを横切って浮上にかかるころには、呼吸抵抗が増えたように感じる。寒さで息がはずんでいるのだろう。安全停止の3分が長かった。
 それでも、自力で梯子を登った。ドライスーツでは登れない。
 とにかく、風呂に入った。風呂がすごく熱いようだが、ウエットスーツの上からでよくわからない。それでも熱いらしいので、シャワーにして、ウエットスーツのなかにシャワーを突っ込んで次第に人間らしくなってきた。
 ウエットスーツを新調するか、もうしばらくはドライで、夏はこのままのウエットスーツにするか。次回は7月だから、さすがにウエットスーツでもいいだろう。その前のお台場は、これはウエットスーツでもいい。



0617 いり江

 日曜日14日には、ヤクザなウエットスーツで、海の冷たさに、震えていたのだが、翌日、月曜日の15日には、暑くない夏の感じ、火曜日の間を置いてしまったけれど、一日遅れ。
 15日、頭が煮詰まったので、散歩に出た。
 日曜の館山で胸焼けがする和風パフェをたべたものだから、みつ豆が食べたくなった。みつ豆と言えば、門前仲町では「いり江」だ。そのうちにみんなで行こうという話もある。
 しかし、甘味道楽もこの両三年、もしかしたらもう5年はご無沙汰になっている。「いり江」の味は変わっていないだろうか。心配になった。もし、皆様と一緒に行って、評判倒れだったら、恥をかく。散歩がてら下見(下食)に行こう。
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 甘味処については、うるさいという程でもないが、いつも行くところはきまっていた。
門前仲町では「いり江」人形町では「初音」大手町地下鉄改札の前の「立田野」、甘味処では、お雑煮とかうどんだとか、軽食もだす。ちょっと筋違いだけど、「立田野」のランチタイムだけのカレーライスも好きだったのだが、店じまいをして、その後、メキシコ料理とか、何軒かが代替わりして、スターバックになってしまった。このことは少し前にブログに書いたが、なぜ、なくなったのか?大手町の地下鉄、丸ノ内線の改札、の真ん前という立地なのに。甘味処には家賃が高かったのだろうか。立田野はチェーンなので、銀座他、いくつかは、名店でのこっている。
やはり、甘味処というのは、それぞれ歴史が古い。初音などは天保8年1837年の創業だという。こういうことがすぐにネットでわかってしまう。調べてみたら「いり江」は昭和45年、1970年だからずいぶん新しい。40年しか経っていない。意外だった。僕が門中に事務所を構えたのとあまりかわらない。

そして、いり江のあんみつは?
「駄目だった。」なぜ?どこが変わったのか。僕の味覚が変わったのかもしれない。相変わらず繁盛している。
何がかわったのか、なぜ?を探求するツアーでもやるか。そして、そのまま人形町の「初音」に廻って、食べ比べてみる。
もしかしたら、15日だけ駄目だったのかもしれないから、もう一度、いり江をたべてみよう。その後、ツアーをしよう。

0619 潜水士

  一つのことに集中していると他のことがまるでできない。集中しているといっても常に進行しているわけではなくて、頭のなかにいつもそのことが詰まって考えていて、考えるだけで、キーボードを打つ手には伝わらなくて、行ったり来たりしている。
 潜水士の受験本の書き直しで、その状態にある。後3日で締め切りで、あと四分の一で、一回目の見直し終了、三回見直すつもりだったけれど、二回で終わるだろう。
 本を書くという作業そのことを考えるということだ。
 
 潜水士の減圧表を作成する理論式が今度の改正で規則になった。改正前は減圧表そのものが規則になっていて、50年の間、変えられないでいた。50年前から今日までの間、ずいぶん多くのダイバーがこの表のために減圧症にならないで済んだ、と思うことにしているが、本当にそうだろうか。この減圧表で潜ったことがあるだろうか?受験準備の講師をしていたから、ずいぶんと説明した。受験本も書いた。しかし、これを使って潜った記憶がない。

 理論式になった方が自由度があるということもできる。今度採用されたビュールマンの式は、ダイブコンピューターにも多く採用されているから、ダイブコンピューターを使えば良いわけだ。
 ところが、そのダイブコンピューターについての潜水士テキストの立場は、ダイブコンピューターというものは結果の記録の道具であり、計画には役立たない。だから、参考程度であり、減圧表による計画を作らなくてはいけない。計画書を作り、その結果も書き込んで、その記録を5年間残しておかなくてはいけないことになっている。この規則にレジャーダイビングのインストラクターもガイドダイバーも縛られるのだ。計画が全てだ。無計画にダイブコンピューターに頼ることの結果が、減圧症多発につながる、ということも言えないこともない。事故が起これば、必ず計画書不在が問われる。まあ、一般お客もログをつけるのだから、インストラクターも報告書を必ず作っておくということも、悪いことではない。否定はできない。各指導団体も、インストラクター用のログを作って利益を上げることもできないこともない。一段落したら、工藤くんとそんなログのひな形でもつくろうか。彼は、こういうの作る趣味があるようだから。
 
 
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 この計算式で計算できなくてもよいから、いくつかある計算式の相関関係だけでも図にしてもらえると、形になるのだが。

 ダイバーは全員、国家試験ということは、全員ということなのだが、一般ダイバーのほぼ全員が、この式について、わからない。テキストが説明しなくてもよいということは、試験にもでない。つまり、全員がわからなくても良いということだろうが、参考書を書く方は、そうは行かない。多分、買って呼んでくれる人は、テキストでわからない、テキストで説明が充分ではないので、参考書を買うのだろうから、わからせなくてはいけないのだが、僕よりもはるかに多忙な工藤くんの尻をたたいている。
 最終的には、潜水士テキストと同じように、この部分の説明をすっぱり諦めることになるのだろうか。
 他の部分もあるので、この部分で停滞しているわけにも行かない。

 ただ、この仕事が勉強になっていることは確かだ。たしかだけど、80歳になって、勉強を続けることは効率が悪い。

0621 潜水士一発合格

工藤くんと共著の「一発合格!よくわかる潜水士試験 完全攻略テキスト&問題集」の改訂版、ようやく、製作会社に送った。「一発合格」とか、こんなド派手なタイトルは僕ではとうてい考えつかない。合格本のプロフェッショナルの仕事だ。
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 初版は、これまでの過去問を中心にした。こんな試験は潜水士テキストなど読まなくても、過去問だけ見れば、そして試験の洗礼を受けて来た人ならば軽く合格する。その過去問と解説を中心とした。しかし、せっかく試験勉強をしてくれるのだから、これを機会に潜水の基本的知識を物理的なことから、生理学的なことまで、理解してもらいたい。そして、雑学的な知識も盛り込んで、読んでおもしろい本にしようとした。二人共自信満々だったのだが、思わぬ落とし穴があった。出版元の割付をするデザイナーが、減圧表の計算尺部分を縦横比を替えて、ページに収めてしまった。これでは正しい答えはでない。一番大事な部分だから、すぐに改定した正誤表を入れてもらおうとしたが、そんなことはできない。出版社のホーム・ページで訂正するだけということだった。
 運良く、法令が改正になり、チョンボをして部分は削除となった。折もよく、最初の版は売り切れて、書き直おしと、規則改訂がかさなった。工藤くんはきちんとした対応をしようというが、僕は拙速で書きなおしてとにかく出そうということで、強引に進めた。工藤くんは、ダイビングシーズン前でほんとうに忙しいのに、僕のいい加減路線ではなく、真摯に書きなおしてくれた。足りない部分を僕が書き足して、監修、大雑把なはめ込みをやり、約束に間に合わせた。
 改訂で読みなおしてみて、ぼくらのねらい、「潜水の基本的知識を物理的なことから、生理学的なことまで、理解してもらいたい。機材のこと、潜水の方法、危険の回避、雑学的な歴史まで網羅していて、規則的な部分を読み飛ばせば読んで面白い。今度の改訂でますます面白くなったと思う。潜水士テキストと意見のちがうところは、かなり僕たちの意見で補正している、試験に受かれば良いのだ。意見のちがっているところは、ちがうように、僕たちが正しいのだが、つまり現場的にはこちらが正しいのだという立場で書いたが、潜水士の方も、改定で、かなり補正されて、僕たちに近くなった。そして改正で、リブリーザーもダイブコンピューターも、飽和潜水も、取り込まれたので、本当に潜水のすべての局面がわかる。少なくとも、潜水士の受験本ではこれがベスト、と胸を張ることにした。
 レクリエーションダイビングは、冷遇していながら、覆いかぶさっているというところは、こちら側としては許しがたいが、厚遇すなわち指導だから、冷遇の方が良いのかもしれない。作業潜水のことも一応わかるから、それも意味のないことではない。
 そして、美術工芸品的な伝統技術になりつつあるヘルメット式についてもそれなりに詳しくわかるし、今度は日本の誇る?軽便マスク式が削除されてしまったので、僕は削除しようと思ったが、工藤くんが歴史的意味で残しましょうという。もっともで、僕が力を入れて書いた部分でもあるので、残すことにした。
 減圧表が完全に消えて、理論式が規則になった。潜水士テキストの説明では、まるでわからない。わからせようとする努力もしていないので、一旦は憤ったが、そうか、これは分かる人だけが分かれば良いので、試験には難しい部分はだしません、というメッセージだと解釈することにした。テキストを読んだだけでは99%の人が理解できないとして、大学の入試ならばともかくとして、労働安全のための国家資格の試験問題が99%が答えられないと予測できる問題が出題されたら、その時怒ればいい。パブコメもある。潜水士、100人も集めて、問題の不適を訴えれば面白い。しかし、出題されないだろう。全部カットとおもったが、出版社の意向としては、全部載せておくということなので、ある程度解説して収録した。
 この本は頭の体操にもなるし、面白い。ぜひ、遠い昔に試験に合格したひとも、今!をしるために、そして未だ受験していない人も遊び半分で国家試験が受けられるのだから、ぜひこの本を読んで、スポー的気分で受験してもらいたい。持っていてじゃまになる資格ではない。現在、この受験を受ける100人のうちで90人はスポーツ&科学で港湾作業を目指すひとは10%だろう。しかし、受験する人が多ければ多いほど、厚生労働省的には成功だし、先に述べたように冷遇は別に問わない、かまってほしくない気持ちになれば、なんともない。ちょっとちがうだけの他の世界の勉強をすることは、おもしろい。
 そして、ちょっとだけでも、アルバイトに近いことをやったり、また学生の研究活動で潜水する場合でもこの資格は必須になっているのだ。

0624 スキンダイビング・セーフティ 完成

 「スキンダイビング・セーフティ」出来上り、応援して買ってくださる方へのメール連絡に昨夜より専念本を作る苦労は、書くことよりも、売ることなのだと痛感する。
若いころ、スクーバダイビングの草分け時代には、僕の書いた「アクアラング潜水」とか「スポーツダイビング入門」の他には適当な入門書がなかったので、自分では販売活動などせずに、版を重ねていて、そんなものだと思っていた。
 今は、売るのにたいへんだ。ご協力ください。
お買い上げいただける方は、冊数と送り先を takashi.ono@seizando.co.jp.   takashi.ono@seizando.co.jp から買っていただかないと、僕の販売ノルマが達成されない。次の本がでないということになります。
ぜひ、応援してください。
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それにしても、この歳、80歳になって、自分の本を売るために苦労するとは想像もしていなかった。でも、そのことが友達を増やす、輪を広げることになるのだから、頑張る。
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0626 スキンダイビング・セーフティ

 スキンダイビング・セーフティ、図書館からの注文が予想の倍入ったと知らせがきました。図書館が良書と認めてくれたわけです。これまで、ダイビングの技術について日本で書かれた本の中で、ベストスリーに入ると自負しています。しかし、そういう本こそが売れないのだとも知っているのです。知っていながら、あえて、背水の陣で、きびしい売上ノルマも引き受けました。この本を売るということで、ダイビングの安全、セーフティについて呼びかけて行きたい。だから、先の長いことです。

 この本は、まず、スキンダイビングもフリーダイビングも危険であるというところからスタートしています。危険をどうやって克服するかがセーフティで、子どもたち、僕の場合には親と子のバディから、僕のような高齢者まで、どうやって素潜りを楽しむか。
教育としてのスキンダイビングという側面もあり、調査の道具、スポーツとしてのチャレンジまでを書いています。

 共著者である、美鈴、千足先生、藤本くん、僕, 分担を決めて原稿を書いて、集めたら、全く、同じ方向で、良いアンサンブルができたとおもっています。

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 しかし、この本は未完成です。カバーに掲げた、禁忌の文言からして、議論があります。危険の項目として「自分の限界を知りたい。」と挙げているのですが、自分の限界を知りたいのはだれでも、当然持つ、チェレンジなので、禁忌ではないのではないか?「充分な準備と結果を自分の責任で受け止める覚悟なしに、自分の限界に挑んではいけない」が本当だろうと思います。しかし、それでは長くなってしまう。「自分の限界を知りたい。」で、議論を喚起、考える。

終わってみれば、ちがう見方が、ちがう表現があったのではないか、と思うところが多々あります。とにかく、僕としては問題提起の本です。スノーケリング、スキンダイビングの区別を明確にしようとしたことも、問題提起です。この議論を、広くやったことがない。なお、お約束していただいた友人達、次々と約束部数の注文をしていただけています。ありがとうございました。この仲間で、読者で、ダイビングのセーフティを議論できたらと考えています。その議論から、フローティングベストを着けないでどんなことを、どんな場所で、どんなフオーメーションならできるか。
僕の設定したキーワードは、「ローカルルール」です。
議論のために、この本のフェイスブックを立ち上げることもできるのかと。当初の販売の一段落がついたら、はじめる予定でいます。
 当たり前といえば当たり前ですが、スキンダイビングの安全を追求して行くことで、スクーバもプロのダイビングもすべてのダイビングの危険と安全がわかりやすく見えてきます。
未だ、未完です。

 ぜひ、お買い求めください。
版元の成山堂書店のtakashi.ono@seizando.co.jp
宛 冊数とご住所を発信していただければと願います。代引きの発送になりますがご容赦ください。

0628 お台場

 東京港一帯は、赤潮がでている。多分ひどい濁りだろうと予想した。赤潮の下は暗黒で、でも、わりと澄んでいて、ライトを付けると50cmぐらいは見える。そんな状態なのかなと予想した。しかし、それほどのことではなくて、濁っていて、50cmほどしか見えないけれど、赤潮の暗黒ではない。
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水中科学協会の中心になりつつある、山本さんが初めてのお台場参加。初めてなのに、この濁りとは、わかっている人だからいいけれど。
大阪の消防潜水連盟の安田さんが見に来てくれて、消防士の潜水士講習をやらなくてはならないので勉強しているというので、M値のこと、ソシテ、消防の潜水の特異性など話し合った。お目にかかれてよかった。



まず先端の杭に向かって行く。カメラは、スチルがCOOLPIX、ウエアラブルカメラがSJ4000改、右のライトがFIX, 左のタイトがイノンの700 いつものシステム、ウエットスーツ(5mmの骨董品)でフードジャケット、ウエイトは4キロ。

 透視度はやはり50cm程度、泳ぐのに支障はないけれど、25CMまでよらなければシャープには写らない。25cmでもどうかな?マクロの世界だが、TG-2でトライしようかな。
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杭に行く道すがら、プランクトンが多数。静止して、プランクトンを狙おうか?午後にしよう。濁っていた杭の列が見当たらない。そんなバカなと思いながら、5分はさまよってしまった。イシガニが潜んでいたので、ニコンでスチルを撮る。SJは、右脇でサブでまわしている。SJ の方がCOOLPIXのスチルよりもシャープに見える。しかし、右脇だから、イシガニがセンターに来ない。
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    SJ4000 動画からのイシガニ
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    ニコンCOOLPIXのイシガニ

いつも思う。ウエアラブルカメラをセンターにして動画を専らにして、スチルはその動画から切り出せば良い。4Kで撮って動画オンリーにしたほうが良いのだが、4Kを扱うコンピューターシステムを持っていない。でも、やがてはそうしなくてはと思っている。

午後、遠くまで行かないで、プランクトンを撮ろう。スチルはTG2にしよう。
しかし、エントリーしてみると、お昼休みに暑い直射日光にさらしていたものだから、カメラのレンズが2台とも露結で曇っている。回すだけは廻しておこう。近くの岩でイシガニが見つかったので、長いカットで追う。スチルも取ろうとTGを見るとおかしい。シャッターが切れない。浸水のため、ご臨終だった。
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多分、二つある蓋の一つ、おそらく、SDカードを出し入れする蓋のロックが確実ではなかったのだろう。フィジカルで充分な余裕が無く、慌ただしい、撮影現場でカメラの交換をして、確認が出来ていなかったのだろう。自分が悪いけれど、TGの防水機構は、かなり微妙だ。COOLPIXの方が、耐圧30mということも合って、操作性が良い。TGでのマクロ撮影もできなくなった。
 TG2の寿命は、昨年の6月に中古を買ってからだから、およそ1年、しかし、現在はTG3を通り越して、4だから、余裕があれば、買い替えの時期だ。残念なことに、スキンダイビング・セーフティを出して、売上ノルマが達成できず、50000円の持ち出しになるだろうから、カメラの余裕はない。しかし、カメラをTG4 にすることよりも、スキンダイビング・セーフティを出す事のほうが、有意義なことであり、COOLPIXでまにあっているのだから、これが水没するまで、COOLPIXとSJ4000のシステムで行こう。ちなみに、午後は、二つあるSJの一台のバッテリー切れで、代わりにGoPro2を持った。それが露結でボケている。
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0630 M値 -1

 北海道・札幌の工藤くんと共著で潜水士合格のための受験本を書いている。去年2014年に初版がでた。
 2014年4月に高気圧作業安全衛生規則 が改定になった。折もよく、僕たちの受験本も売り切れて、増刷できることになった。もちろん、規則改定に合わせて、こちらも改訂しなくてはならない。元々は過去問の解説を中心とした本なのだが、規則改定以来の過去問がない。
 しかし、なんとか改訂して増刷しなければ、終わってしまう。
 今回の改正の中心は、①潜水計画の方、そしてその記録を5年間保存しておかなくてはならないこと、②減圧表が規則から削除されて、代わりに減圧理論が規則に載せられた。

 改訂する本の一部の原稿を中心にしてこの問題を考えて、みよう。「   」は、本文の原稿、(未定稿) である。

「 高圧則に掲載されている 減圧理論とは、計算式である。
M値の計算式
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 M値の算出は、①の16半飽和組織分、浮上停止予定の水深ごとに
 算出します。

 ・M M値
 ・Pa 大気圧 100kPa ※水蒸気圧5.67kPaを考慮し、差し引いた94.33kPaが望ましいです。
 ・Pc 圧変化後の環境圧力(ゲージ圧、kPa)※現在水深からの浮上先水深または水面のゲージ圧です。
 ・A ①の窒素a値
 ・B ①の窒素b値」

 人間を理系と文系に分類するのはまちがい、という説もあるけれど、計算式を見ただけで、「もうダメ」という人類は確実に存在している。
 僕もその一人である。ダイバーの多くは、計算式ダメ人間だろうと思う。そのダメ人間にこの式が示す意味を、文系的に説明しなければならない。いや、説明の前に文系的に理解しなければならない。
 計算式とは、素晴らしいもので、これから、延々と書こうとすることを、上の式だけで表している。だから、規則に載せるのは、計算式だけで良い。のだが、ダイビング関係者で理解ができているのは、理系の研究者は別として、数えるほどだろう。
 理解できる人に説明してもらっても、その説明が僕に容易に理解できないということだ。何処がわからないのかわからないわけだから、困る。しかし、なんとか、文系的表現で理解できる限界まで理解してみよう。

 少し長くなるので、何回かに分けるかもしれない。結論は、できれば、400字くらいにまとめなくてはいけないのだが。自分の思考過程を確認しておく作業である。
 知的な文章を書こうとする時、言い訳の文章を書いてはいけないというが、それは本にする、論文にするような時のことで、ブログは自由と決めている。
 
 まず、人間、ダイバーが次第に深く潜って行くと、身体にかかる水圧(環境圧)が増加する。呼吸する気体の圧力も環境圧と等しいからこれも増加する。呼吸するカス圧が高くなると、血流に溶け込むガスの圧も高くなる。気体と液体が接すると、気体の圧に比例して、液体の中にガスが溶けこんで行く。これをヘンリーの法則という。此処から先が文系人間には理解し難い。僕も危ない。比例してガスの量が増えると言ってもそのガスの量の単位は何で表現されるのか?重さ、キログラムだろうか、長さ、cmだろうか、長さとか重さは人間が見たり、持ち上げたりすることで感覚的に受け止めることができる。溶け込むガスの量は重さでも長さ(大きさ)でもなく、圧力で示される。圧力は感じることはできるけれど、見ることはできない。
 それも、身体にかかる重さとしての圧力は感じることができるが、身体の中に溶け込むガスの圧力を物理的に感じることができない。その変化による生理学的な影響、変化は感じることができる。ダイバーならば、窒素酔いがそれに当たることを知っている。
 身体の中に溶け込む気体の量は、圧力で測られ、示される。ダイバーに対する生理的な影響として、ここで考えるのは、まず空気の80%を占めている窒素である。空気中の窒素の量は、窒素だけの圧力、分圧で表される。大気圧、1気圧の中での窒素はその80%だから、0.8気圧である。これがドルトンの分圧の法則であり、ダイバーが知らなくてはならない、3番目ぐらいの法則である。ボイルの圧力の法則、ヘンリーの溶解の法則、そしてドルトンの分圧の法則、何れも圧力に関係する法則である。潜るということは、圧力との対決だから、この三つは知らないとC-カードもあげられない。潜水士にもなれない。今使われている圧力単位は、パスカルで、大気圧、1atm. は、100kPa(キロパスカル)である。
 まず問題にしているのは窒素で、窒素は不活性ガスだから、身体に溶け込んだ窒素の量は不活性ガス分圧で、示される。水深40mに潜ったとすると、身体にかかる圧力(絶対圧)は、5気圧であり、500kPaである。その内で、窒素、不活性ガス分圧は、400kPaである。今度の規則改正で窒素の分圧、400kPaを越えて潜ってはいけないことになった。空気を呼吸して40m以上潜ってはいけないのだ。どうするかというと、無害で、軽いヘリウムという不活性ガスを混合させて、窒素400kPaを維持する。60m潜ると、全圧は700kPa、酸素を20%として、140kPa、窒素は400kPaで留めるから、残りの160kPaをヘリウムにしなければならない。なお、酸素も酸素中毒を起こすので、160kPaを超えてはいけないと、これも高圧則で定められている。酸素20%では、70mで限界に達するから、70m以上もぐるのであれば、例えば、酸素10%で、80kPa。窒素を400kPa、ヘリウムが320kPaの混合ガス、三種混合だからトライミクスで呼吸する事になる。このくらいまでは暗算でできることが潜水士としては要求される。僕でもできる?ちょっと電卓を持ってこないと心配。

 とりあえず、40m潜ることにして、呼吸するガスの窒素分圧は400kPaである。普通に暮らしている大気圧での窒素分圧は80kPa、酸素が20kPaで、合計は100kPaである。
窒素分圧で400:80だが、潜った瞬間に体の中の窒素が400になるわけではなくて、80から時間経過とともに次第に400に近づいて行く。体の中が400になると、もうそれ以上は溶けこんで行かない。これを飽和という。
 高圧則で採用している理論式、ビュールマン教授の理論では、この溶け込み方、および浮上の時の溶け出し方について、指数関数的としている。指数関数的とは、階段を上がるように、下るようにということで、例えば飽和の半分、半飽和までが10分とする。すなわち、10分経過で50%溶け込む。次の10分で残りの50%が溶け込んで100%になる。そうは行かないというのが指数関数で、次の10分では残りの50%の半分25%が溶け込んで、75%が溶け込む事になる。その次の10分では25%の半分だから12.5%、87.5%が溶け込んだことになる。半分の半分をくりかえすと無限の時間がかかるから、とりあえず、6回の繰り返しで、ほぼ100%が溶け込む、窒素については、400kPaで飽和する、10分で半分だったから、60分で飽和に達することになる。

 身体の中の組織は一様ではない。血液、皮膚、筋肉、内蔵、脳、脊椎、骨、等様々である。
それをビュールマン教授の理論では、16通りに分けることにしている。飽和の半分、半飽和時間を5分から635分までの16通りである。これはあくまでも計算のための分類であり、肝臓は何分、胃は何分という指定はない。概して言えば、血流の多いガスの入れ替わりの速い、筋肉などは短く、脊椎など身体の芯で脂肪分が多く血流に少ない部分は長くなる。
 例えば半飽和時間が最短の5分の組織では、5分の6回、30分で飽和に達することになる。この組織の呼び名としては、半飽和時間5分の組織、略して5分の半飽和組織という事になる。
 潜水士のテキストでは、5分の半飽和組織を第一、635分を、第16半飽和組織とよんでいる。これを、英語ではコンパートメント(区切り)と呼んだりしている。635分のコンパートメントでは、635×6=3810分、63,5時間で飽和する。完全に溶け出すのも635時間かかることになる。

つづく


0701 M値-2

 ダイバーが潜水すると、16通りの組織がそれぞれ窒素を溶けこませていく、5分のコンパートメントは、5分、6回のくりかえし、30分で飽和に達する。浮上しはじめると圧力が下がる。圧力が下がると、飽和量も少なくなる。すなわち溶けこむことのできる分圧も下がる。この分圧の差を圧力勾配と呼び、この勾配に従って、ガスが排出されていく。この勾配は浮上速度であり、あまり急にするとブレーキが効かなくなり、終点の水面の壁に激突して、クラッシュしてしまう。ゆっくりゆっくりの勾配にするか、階段を降りるようにする。階段にするのがほとんどの減圧表であり、立ち止まって息をついで、ガスを放出して、次の段に進む。最近の米国海軍の減圧表は、階段をやめてしまって、転げ落ちない緩やかな勾配のスロープにしてしまった。車いすの登りの区間が長いように、楽にはなったが、時間が長くなった。長らく、米国海軍の減圧表は、僕たちの潜水の指標だったが、今度の改正で指標にならなくなった。今後の成り行きで、すべての減圧表が階段をやめて、スロープにするかどうかはわからない。
  
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       潜降索による浮上

 さて、いよいよ、M値なのだが、溶け込んだ不活性ガスの放出は、ある程度の過飽和、坂を登らないと、水面に上がれない。飽和は平坦で安定している。飽和量(分圧)以上に溶け込んでいる過飽和(上り坂)にしないと登って行かれない。過飽和になりすぎると、気泡化、すなわち減圧症になる。飽和状態を越して、減圧症にはならない許容量をM値 マキシマムバリュー 最大許容量(不活性ガスの分圧)と呼ぶ。
 M値とは、潜水病にならない程度に過飽和になっている最大許容量である。

 最新ダイビング用語事典では
「M値とは、それ以上窒素が溶け込んだら、減圧停止が必要になる限界値をいう。M値はそれぞれの組織の半飽和時間で決まる。
 M値を表す圧力数値は、無減圧潜水限界の窒素許容圧を潜水の相当深度で表している。
 組織半飽和時間が短いほど、M値は深くなり、組織半飽和時間が長いほど、M値は深くなる。例えば、組織半飽和時間が5分の組織のM値は27mであり、27mとは、27mで飽和する窒素圧を意味する。つまり、27mを越えなければ、組織半飽和時間5分の組織は減圧停止が必要な限界を越えることがない。M値が浅い、つまり半飽和時間が長い組織でM値が3mであったとすれば、5mでも窒素を吸収している、ただし、溶けこむのが遅いから、ある程度の時間を越えなければ、限度をこえない。しかし溶け出すのも遅いから、長い減圧停止が要求される。これまで水深10mを超えなければ減圧症にはならないとしていたが、M値が5mであれば、5mから減圧症が発生する可能性がある。」

[M値27mとは、27mで飽和する窒素圧を意味する。つまり、27mを越えなければ、組織半飽和時間5分の組織は減圧停止が必要な限界を越えることがない。」
潜水士テキストでは、「過飽和もある圧力以内では減圧症には罹患しない。その減圧症に罹患しない最大の不結成分圧をM値という」
M値27mとは、「27mまで潜れる」という認識になっていた。いま50mまで潜っていて、そのM値が27mまで潜れる、とはどういうことなのだ。しかし、そこにヒントがあった。「潜れる」とは潜降とは限らない。「27mまで浮上できる」といえば一切が理解できる。
潜水して時間が経過すると、すべての組織がそれぞれのM値、つまり、浮上できる水深、すなわち天井ができる。26の組織それぞれが天井の高さがちがうが、そのどの天井も突き抜けることができない。一番低い天井、M値で、浮上が制限される。その天井まで浮上して、しばらく停止していれば、天井が上がるので、そこまで浮上できる。ダイバーは、常に、天井を持っていて、それが時々刻々変化している。16通りの天井で、一番低い天井で浮上が止められる。

 これをまとめて、
・「M値 (Maximum allowable value)
潜水して、時間が経過すると溶け込んだ不活性ガスが、飽和状態になります。半飽和時間の短い組織は早く飽和に達します。
飽和状態はもはや溶けこむこともなく溶け出す(排出)こともなく安定した状態です。それが浮上して圧力が下がると不安定になり、溶け出すのですが、溶け出すのが間に合わないほど早く減圧(浮上)すると気泡化してしまうのです。気泡化しないで、徐々に溶け出している過飽和の限界の値がM値(最大許容値)です。エムチと呼びます。
 半飽和時間が短いほどM値は深くなり、半飽和時間が長いほどM値は浅くなります。例えば40mに潜水して、半飽和時間が5分の組織で、その時のM値が27mとすると、その組織は、27mが、その状態で浮上できる限界、つまり天井になるのです。半飽和時間が5分より長くなると、M値は27mより浅くなり、たとえば15mになります。M値を越えるまでの時間は長くなりますが(長く無減圧の範囲にある)溶け出すのも長い時間かかるのです。 
M値が27mならば、27mまで浮上して、天井(M値)が12mまで上がるのを待って12mに浮上して、次に9m,6m.最後に3m,そして水面へと浮上することになります。すべての組織のM値がゼロmになれば、浮上できるのです。0mであっても、減圧症にならない程度の余分な窒素は溶解しています。航空機に乗るまで14時間の間を置かなくてはならない理由は,浅い組織に限度を超えないM値0mの窒素を貯めこんでいて、それが飛行機で更に減圧されて、マイナスになることで許容限界を超えてしまうという理由です。」 未定稿です。

すなわち、16通りの組織がそれぞれ、天井、浮上できる限界の深度であるM値持っていて、それが時々刻々変化しているわけです。すべての組織のM値がゼロであれば、停止は必要ありません。M値が深い、半飽和時間が短い組織は、深く潜ると短い時間で、浮上できる限界(天井)であるM値が出現します。しかし、放出される時間も短いので、最下段で停止する時間も短く、次々とM値の階段を登って、最後の3mで半飽和時間の長い組織を長い時間をかけて解消して水面に戻ることができます。
半飽和時間の長い組織は、浅い水深で限界を超えてしまうのですが、越えるまでの時間は長く、溶け出すにも長い時間がかかるということです

0702 M値

 ブログに書いた、M値について、タバタのダイブコンピューターの専門家、今村さんに監修をお願いしたところ、根本的にまちがっている、とのこと。僕は、ダイブコンピューターの専門家の視点と、実際に今潜っている、水深40mに潜っている水の中にいるダイバーとの視点の違いだとおもうのです。これからディスカッションしたいと思っています。ディスカッションから、減圧理論の理解が進めば良いとねがっています。
 なお、僕の視点は、数式などほとんど理解しないダイバーの視点でもあります。もちろん僕が間違っている可能性大です。そのために意見を伺っているのですから。
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福田克之君撮影です。

0703 M値 -4

 M値についての結論

M値とは、減圧表を作るための考え方、減圧理論の数値である。
工藤くんの6月25日付の最終的な原稿は
「不活性ガスの排出とM値 (Maximum allowable value) 
エムチと呼びますが、日本語で言うと、(不活性ガスの)最大許容値と言うことになります。16通りの組織モデルがありますから、不活性ガスの溶け込みと排出も組織ごとに異なります。浮上中は、環境圧が下がり、呼吸する気体圧力も減少することで、組織モデル内の不活性ガスがある程度「過飽和」になり、環境圧との間に圧力差(圧力勾配差)が生じ、不活性ガスは排出に向きます。その時の勾配ですが、坂道の場合を例に、傾斜があると高い方から低い方へ物は転がり落ちます。ですが、極端に傾斜がきついと制御がきかず危ないですね?これと同様に、組織モデル内でも圧力差(圧力勾配差)に限度があるのです。その許容できる上限値を「M値」と言います。」
これで説明としては正解。
なぜ、僕が天井という言葉をもちだしたかというと、浮上停止をダイバーの視点からみて、天井と考えていたからで、M値はその天井を規定するもの、すなわち浮上を妨げているものととらえていた。工藤くんは、妨げではなくて、身体の中の不活性ガスを溶け出させるための差圧、ものを壊さずに転げ落とす傾斜ととらえていたわけで、これが正しい。

何故、僕がまちがえたか、M値とは圧力値であり、水深で表されることもある。何故水深で表されるのか、工藤くんの言う、勾配、差圧と許容限界の数値としての水深の限界が結びつかない。限界の水深、すなわちそこまで潜って減圧の必要がない水深、イコール、そこまで浮上しても良い水深ととらえた。浮上しても良い水深で停止して、適切な勾配になってから、次の水深まで滑り降りてゆくその停止する水深を意味すると考えてしまった。
 計算式を言葉で説明しようとすると、答えが無減圧限界の水深だと説明することによる誤解だった。では、なぜ水深なのか、その説明はまだできない。誰かに教えてもらうべく、議論をして、理解しなければ説明がかけない。とりあえず、誤解を訂正しておき、水深表示とその説明は、潜水士の受験本からはカットすることにした。

0705 減圧理論-1 減圧表の沿革

 減圧理論のことをもう少し。
 思い違いがないように、勉強しなおす。
 
 まず、前置きとして、減圧理論について、自分としての沿革から。

 はっきり言って減圧理論については無知である。無知であることを書くな!とも思うが、ブログは、論文ではないから、一緒に考えてみよう。

 60年潜水していて、減圧理論など知らなくても、水中で活動する(潜水する)ためには、差し支えない。つまり、どうでも良いと思っていた。
学生時代には、当時最先端だった米国海軍の標準減圧表を使った。今の前の前の前の前の、その前のくらいの表だった。繰り返し潜水は、一度目の潜水時間を2倍にするという方法だった。3回めは三倍か?。馬鹿でもわかる方法だった。
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その頃、1950年台の米国海軍の表で潜ると、3%ぐらいの確率で減圧症になると教えられた。しかし、なっても治療できるレベルだ、とも教えられた。ダイビングはロシアンルーレットのようなものだと考えていたから、100発中3発ならば別にかまわない。それも治療可能、命は取られない。多くの米国海軍のダイバーも同じように考えたのではないだろうか。
 やがて、1962年、日本に高気圧作業安全衛生規則
(その頃の呼び名はちがっていた)ができ、減圧表が規則に含まれた。理論とか何かはわからないから別として、使いにくいことを絵に書いて写真にとったような表だった。だから、この表は潜水士の試験専用とした。そのころから潜水士講習の講師をやっていたから、試験問題専用の減圧表だった。その試験問題というのも、まともな潜水実務家だったら、考えつかないようなひっかけ問題だった。しかし、その問題がこの制度がはじまった1962年から2014年まで、姿、形はかわったが、コンセプトは同じで出題され続けていた。一日についての潜水時間の制限が200分として、最初の潜水で130分潜ってしまった、次の潜水で何分潜れるか。という形の問題だ。200-130=70分、ではない。でも、出題内容によっては、70分のこともある。使いにくいことこの上ない計算図表から、修正時間を求めなければ正解はできない。講習の講師としては、文句を言っても始まらない。テキストがバイブルである。神の言葉には逆らえない。
 
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   使いにくい繰り返し潜水の計算図表。

 実務としては、使い慣れた米国海軍の表と潜水士の表と比べて、結果の数値、停止時間と停止深度はそれほど変わらないから、米国海軍で行った。その頃になると、米国海軍の表は繰り返し潜水が表から簡単にわかって使いやすかった。

 やがて、レクリエーションの潜水の指導をするようになると、米国海軍の表は、米国海軍の水兵さん対象だから、遊びの日本人女性ダイバーには当てはまらないのではないのか、という人が出てきた。実は、日本人女性の方が減圧症にはなりにくいのではないか?とかあとで考えたが、とにかく、もう少し、安全度の高い表が良いのではないかと、英国海軍のRNPLという表を使った。これは使いやすい表で、高気圧作業安全衛生規則とはかなり離れてしまうが安全な方向に離れるのならば、事故さえ起こさなければ良いのだろうと判断した。
 やがて、全日本潜水連盟の理事長をお願いしていた、石黒信雄さんが、RNPLよりもカナダ国防省の定めたDCIEMの方がよいのではないかと言い出して、当時、お金があった全日本潜水連盟がその使用権を買った。
 
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     DCIEM


 石黒さんは、僕の100m潜水(現在、月刊ダイバーに連載中)の総指揮をお願いした上に、ヘリウムまでテイサンから引っ張ってきてくれた。恩人である。彼は子会社の日本アクアラングから、親会社のテイサンに移ったという切れ者で、そして、減圧理論の大家でもあり、「ダイビング・テクノロジー」という本を著している。数式の多い難しい部分は読んでいないので、これから読もうかとおもっている。もしも、石黒さんがお元気であれば、理論はすべておまかせして、僕は運用だけを心がけていれば良いのだが、残念ながら、脳梗塞で倒れ、幸いにしてお元気ではあるが、なかなか東京には出ておいでになれない。
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 要するに減圧表は、高気圧作業安全衛生規則の表よりも使いやすく安全度の高いと定評のあるものを使えばよろしいわけで、減圧理論はブラックボックスに入れて、蓋をしておいた。
 2010年に日本水中科学協会をはじめて、2012年にはダイビングについてのすべてを網羅した最新ダイビング用語事典を製作した。これには減圧理論も書かなくてはいけないので、タバタでダイブコンピューターのことをやっておられ、ダイブコンピューターに関わる減圧理論の権威者である今村さんに監修をお願いした。その最新ダイビング用語事典にもここで話題にしていたM値が書かれている。これで十分であり、何かがあればこれを参照すれば良い、と片付けた。
 
 僕は潜水士の講習の講師が長かったことで、潜水士受験の対策本を書くことになり、若くて、潜水士講習をたくさん、北海道の大学とか専門学校のほとんどを担当している工藤和由くんを共著に誘い入れ、理論的なことは工藤くんに投げて、運用については自分と区分けして書いた。いろいろ不備はあったが幸いにして売れ行きが良く、増刷できることになった。

 一方で、高圧則が、1962年以来改定してこなかった減圧表を改訂することになった。使いにくさと、さらに時代遅れを絵に書いたものではさすがにまずいということで、亡くなってしまった、真野先生(医科歯科大学名誉教授で、潜水医学関連では、沢山お世話になり、最新ダイビング用語事典の監修もお願いした。)が、この表改定を最後の仕事にされていた。
 先生との雑談の折り、もう規則で減圧表を提示するのは、やめて、減圧理論を提示したら?などと話した。もちろん僕の意見などはどうでも良いわけだが、そのとおりになってしまった。評論家としては、的を得ていたのだろう。藪をつついて、蛇をだしてしまったかもしれない。

 そんなことで、減圧表に代わって減圧理論が登場した。
 減圧理論もさまざまであるが、潜水士の規則では、ビュールマンの理論式が採用された。この理論式も古く、クラシックであり、1963年頃に初登場している。つまり、高圧則の減圧表と登場時期がほぼ同じである。それまでは、ホールデーンの減圧理論、これも数式は理解不能であるが、言葉で説明すると、絶対圧力で、2分の1の減圧では気泡化がおこらないという理論でわかりやすい。40mに潜水しているならば、20mまで上がってきても良い。現在でも、基本的にはこの理論は基本的に使われているが、この延長線上にあるのがビュールマンの理論で、2分の1ルールの代わりに持ちだされたのがM値であった。
 自分的には、数式はすべてNGである。さらに、英語もノー、日本語で自分及び、一般ダイバーにわかるように説明したい。

0531 お台場

お台場潜水の日、良い天気で暑い。ウエットスーツにする。例によって、学生レンタル用だった古い5mmのワンピースにフードジャケットを上に重ねる。
これまで、これも学生用を貸していた三ツ橋さんがウエットスーツを買った。こワンピースで2万円?だとか聞いたけどなかなかいい。僕も買おうかと思うけれど、学生用で間に合ってしまっているから、これで今年は行こう。
真夏日のようで、全員がウエットスーツだ。僕のダイブコンピューターの温度はまるで頼りにならないが23℃になっている。これは間違いだろうが、20℃はあった。
 
 最初の潜水のエントリーで、砂浜に子供が砂遊びで掘ったのか、それとも貝を掘った穴に足を取られて転倒。左足の脹脛をのばしてしまった。ギックリ足だ。水中では泳げるが、フロッグキックは使えない。
 
透視度は前月に続いて、とても良く、2m、水温があがったので、魚が全部出てきている感じで、泳いでゆくと、底の牡蠣殻の隙間にアカオビシマハゼ、チチブ、などハゼが出入りしている密度が高い。
 先月、沢山見られたメバルの稚魚が群れていない。とにかく、先端の杭のあたりまで行って見る。

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 これは今日のタイトルバック 午後のイシガニ TG2

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   COOLPIX

 ほぼ全体に小さいハゼの類が浮いている。ウキゴリのようだけれど、ウキゴリは淡水のハゼだし、最近のお台場は汽水化が進んでいると聞くがその影響か。僕がウキゴリだと言ったら、魚には絶対的に詳しい東邦大学の多留さんがちがうと言わなかった。でも、サビハゼのヤングだろうか。
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  SJ4000


 カメラは、この頃よく使う。お台場に相性の良いSJ4000で動画をエントリーからエキジットまで回し。ニコンCOOLPIXでスチルを撮る。ライトは右にフィッシュアイの2500、左にイノンの700だ。
 
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 ハゼのygが一面にいる。これはCOOLPIX

メバルは、やはり見えない。シマイサキは1尾だけ。
[#IMAGE|b0075059_21453468.jpg|201505/31/59/mid|640|360#]
イシガニが隠れている。 SJ4000

ユウレイボヤの上、ヒバリガイの上にワレカラが一面に付いている。
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これはニコンで撮れた。

今年生まれたマハゼ、3-5cmのデキハゼが底に群れているが、ニコンではうまく撮れずに、群れている様子が見て取れない。
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  COOLPIX

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SJの方がはっきりの群れがわかる。

タンクを背負って歩くエキジットで脹脛が痛い。
午前中だけで、終わりにしようとも思ったが、こんなに条件の良い、生物の多いチャンスは今しかない。鈴木くんに汀まで、タンクを持ってきてもらって、水中で着けた。水中を泳ぐことは問題ない。

 ニコンがバッテリーが危ないので、今度はTG2 にした。動画はSJ4000である。
 水中に入って、SJの電源を入れると、メディアが入っていないと表示される。
 エントリー前に、バッテリーは確認したのだが、メディアは確認しなかった。TG2は、レンズ面を見ると露結している。暑い季節、僕のTG2 の持病のようなものだ。仕方がないから、水面をスノーケルでゆっくり泳いで、先端に向かう。そのうち露結が晴れるだろう。到着すること露結が晴れた。

 午前中、トサカギンポを見なかったので、杭の逆側を見る。TG2を水中のマクロモードにすると、ストロボが光る。
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 イシガニが2尾見られ、午前中の奴は隠れたままだったのだが、午後はハサミを広げて、ポーズをとってくれる。
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 そのころ、FXライトが残り5分になる。ストロボを光らせるとちょっとオーバーになるが、このマクロ距離なら粒子はあまり光らない。

睡眠不足、ギックリ足で、2回の潜水で、疲労困憊した。歩く速度は痛いので3分の1程度に落ちた。
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   三ツ橋植物学者が慎重に調べた結果、この木は榎だという。

0603 朝の光

 おはようございます。
 原稿を別に書かないで、ぶっつけでブログを書いています。
 こんなことは、この両三年やっていないのですが、例によってデスクワークに押しつぶされつつ、やる気が無く、捗らずなので。こういうのも息抜きに、。。

 6月2日 朝の浦安運動公園、屋内プールです。
 初めてこのプールに来た時、もう15年以上前か、なんとバブリーな無駄に贅沢な建物だと思いました。プールは美しい水が溜まっていればいい。そして、屋内で、温水で、空調があれば、贅沢。そんな時代を生きてきましたから、贅沢すぎると思ったものでした。 しかし、サンルームのような高い天井から光がプールに射しこむと、そんな中で泳げることだ、幸せで、嬉しくなります。
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お台場で写真を撮っている清水まみが、この光を見て、美しい人を泳がせて撮りたいと言います。
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美しくなくて申し訳ないね。
でも光と影が、写真だとすれば、カメラマンならばだれでもそんな風におもうでしょう。
この前も美しい光だったので、こんどは、この光で、みんなの記念写真を撮ろう。とおもったのに、そのことをころっと忘れている、自分が泳いでいます。
31日のお台場で、足の脹脛の筋をのばしてしまって、足を引きずっているので、わすれたのでしょうか。いや、ぼけているのでしょう。ぼけているとは、いつも言うのですが、併行して複数のことが考えられないことなのです。
 それはそれとして、辰巳でも浦安でも、一人だけで泳いでいる絵がとりたいといつも思っています。できれば、自分ではなくて、美しくみえる人が撮りたいのですが、いずれにしても、全員がプールから上って、終了までの数分間だけが一人になれます。ということは最後まで泳いでいなくてはならない。
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 あ、これも、今度みんなで相談して、一人ずつ泳いで、撮るカメラマンは、最近ではほとんど全員だから、撮影会をやれば良いのだ。そんな簡単なことを今頃気づくとは?

0606

 スキンダイビング・セーフティ、スノーケリングからフリーダイビングまで、最後の土壇場に来た。実はスポーツダイビング事故はスクーバダイビングよりも、スキンダイビングとフリーダイビングの息こらえ系の方が多いのです。そして、かんたんな注意事項をまもれば、スキンダイビングの事故は防げるのです。
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下のようなコメントをフェイスブックに掲げた。

スキンダイビング・セーフティ、スノーケリングからフリーダイビングまで、最後の土壇場に来ました。沢山の友達の応援でここまでこぎつけたのだが、この手の本は、作るのと、同様、もしくはそれ以上に売るのが仕事です。販売に10冊ていどご協力いただける方、フェイスブックでも、すでに何人かの方が協力を申し出ていただいて、巻末の協力者のお名前にリストアップしているのですが、気づかずにもれてしまった方の応援が得られないのではないかという心配です。「知らなかったー、知っていれば応援したのに、」とか、「ダイビングショップ、ダイビングリゾートをやっているのに、声をかけてくれなかった。」「長い付き合いなのに、・・・」などと、思われるかもしれない。ということです。スノーケリングからスキンダイビングに仕事が関わっている方、明日いっぱいにリストを締め切りますので、ご協力いただける方、ご連絡ください。フェイスブック、メッセージでも、コメントへの書きこみでも結構です。
 なお、フリーダイビングの関係者の方は、岡本美鈴さんの縄張りです。

 ブログの読者でも、応援してくださる方がおいでだったら。コメントにメッセージをおねがいします。

スノーケリングがかフリーダイビングまで連携していることでその安全性を向上させようということがターゲットです。

 

0707

潜水を60年やっているが知らないことが多い。いや、技術の進歩とともに、知らないことが増えてくる。
80歳になる。自分の知的能力は、身体能力の衰えと同様に、下降する。そんな衰えた人が、身体的活動、知的活動をしても良いのか?と自問自答する。身体活動、知的活動を終えることは、事実上の「死」だから、人が死を恐れる本能によって、身体活動、知的活動を停止することを恐れる。
潜水士の受験対策本を書くことによって、自分がこの方面で知らなかったことが、沢山、次々と出現してきて、それを知り、自分の能力の範囲でそれを人に伝えようとする。この本の共著者の工藤くんは、人生の夏の盛に居て、僕の知らないことを知っていて、分析的に書く能力がある。彼に全てを任せてしまえば良いのかもしれないが、自分の知らないことを彼に質問する。その答えがよく理解できない。自分で考えて理解しようと努力する。そのプロセスを書くことが、僕よりも理解能力の優れた、一般の人の理解が進むのではないかと、間違いの過程を書いてきた。つまり、一つずつ理解を進めてきた。ここしばらくはM値について考え、書いてきた。
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間違えの過程で、遠い北海道にいる工藤くんでは間に合わず、東京にいる今村さんに教えてもらったりした。今村さんは潜水器材メーカーのタバタに勤務していて、ダイブコンピューターの開発に携わっていると同時に、M値に沿って、言葉を変えればダイビングプロフィールにそって減圧症の発症についての研究をしている。M値の専門家である。彼にも質問をした。僕の考え方が根本的に違っていて、何故、そういう発想をするのか理解できないという答えをもらった。が、親切に教えてくれた。それでも僕は理解できなかった。そんなプロセスを書くことで、読者の理解が深まるのではないかとブログに書いてきた。
前置きだけで、このくらいだ。読むのに疲れると思われるので、区切ることにする。
つづく。

0709 M値

 M値のことを考えて、頭の回転が鈍くなっているため今ひとつ理解できなかった。
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    写真は浮上のイメージカット

 振り出しに戻って、減圧表の沿革を書いていて、感覚としてわかった。
潜水を始めた1950年代、ホールデンの2分の1の法則と言われていた浮上方法を教えられた。減圧が絶対圧で2分の1ならば、気泡化が起こらないで浮上できるということで、例えば30mでの絶対圧は400kPaからの浮上は、水深10m、200kPaまでは浮上できる。また、水深10mまでならば、大気圧との差が、2分の1にならないから、減圧症にはならない、と、おしえられた。今では、それは数字がちがうということがわかった。
その後の研究の結果、その2分の1という数字に代わるものがM値であり、M値を越さない様に浮上するということになった。だから、M値は浮上するときに越しては行けない数字、2分の1に代わる数字だ。
高圧則で採用したビュールマンのZH-L16 理論式では、組織を16通りに分けてそのそれぞれについて、M値、越してはいけない数字を計算する。16の組織の、どの組織もM値を越えないように浮上するスケジュールが、減圧表である。
このビュールマンの理論式も1960年代、の理論であり、すでにクラシックだが、まずまず世界的に定評があるということ、高圧則で採用したのだろう。
一般ダイバーは、ここまでで、十分なのだが、受験本を書く、すなわち潜水士の勉強をするとので、もう少し掘り下げる。
まず、人間、ダイバーが次第に深く潜って行くと、身体にかかる水圧(環境圧)が増加する。呼吸する気体の圧力も環境圧と等しいからこれも増加する。呼吸するカス圧が高くなると、血流に溶け込むガスの圧も高くなる。
気体(肺の中の空気)と液体(血液)が接すると、酸素が血液に溶けこんでいく、同時に不活性ガスの窒素も溶けこんでいく。酸素は消費されるが、窒素は残る。気体の圧に比例して、液体の中にガスが溶けこんで行く。これをヘンリーの法則というのだが、溶けこむ窒素は、水深の増加に比例して、増加する。

ここから先が文系人間には理解し難い。僕も危ない。比例してガスの量が増えると言ってもそのガスの量の単位は何で表現されるのか?重さ、キログラムだろうか、長さ、cmだろうか、長さとか重さは人間が見たり、持ち上げたりすることで感覚的に受け止めることができるのだが、溶け込むガスの量は、長さ(大きさ)ではない。気体に大きさはない。重さはある。気体の重さ、すなわち圧力である。圧力は見ることができない。
 そして、身体の中に溶け込むガスの圧力を物理的に感じることができないが、その変化による生理学的な影響、変化は感じることができる。ダイバーならば、窒素酔いがその変化に当たる。

 身体の中に溶け込む気体の量は、圧力で測られ、示される。ダイバーに対する生理的な影響として、まず考えるのは、空気の80%を占めている窒素である。空気中の窒素の量は、窒素だけの圧力、分圧で表される。大気圧、1気圧の中での窒素はその80%だから、0.8気圧である。これがドルトンの分圧の法則であり、ダイバーが知らなくてはならない、数少ない法則の一つである。ボイルの圧力の法則、ヘンリーの溶解の法則、そしてドルトンの分圧の法則、何れも圧力に関係する法則である。潜るということは、圧力との対決だから、この三つは知らないとC-カードもあげられない。潜水士にもなれない。

今、日本で公的に使われている圧力単位は、パスカルで、大気圧、一気圧:
1atm. は、100kPa(キロパスカル)である。僕はパスカルに抵抗していたが、そろそろ、無駄な抵抗になってきた。

 身体に溶け込んだ窒素の量は不活性ガス分圧で、示される。水深40mに潜ったとすると、身体にかかる圧力(絶対圧)は、5気圧であり、500kPaである。その内で、窒素、不活性ガス分圧は、80%だから、400kPaである。今度の規則改正で窒素の分圧、400kPaを越えて潜ってはいけないことになった。空気を呼吸して40m以上潜ってはいけないのだ。では、どうするかというと、無害で、軽いヘリウムという不活性ガスを混合させて、窒素400kPaを維持する。60m潜ると、全圧は700kPa、酸素を20%として、140kPa、窒素は400kPaで留めるから、残りの160kPaをヘリウムにしなければならない。なお、酸素も酸素中毒を起こすので、160kPaを超えてはいけないということもあり、、これも高圧則で定められている。酸素20%では、その8倍、70mで限界に達するから、70m以上もぐるのであれば、例えば、酸素10%にすると、80kPa。窒素を400kPa、ヘリウムが320kPaの混合ガスで潜る。
 三種混合だからトライミクスで呼吸する事になる。このくらいまでは暗算でできることが潜水士としては要求される。僕でもできる?電卓を持ってこないと心配ではあるが。

 とりあえず、40m潜ることにして、上記の計算で、呼吸するガスの窒素分圧は400kPaである。普通に暮らしている大気圧と、40mでのガス圧を比べてみる。大気圧での窒素分圧は80kPa、酸素が20kPaで、合計は100kPaである。
 40mの窒素分圧が400:大気圧で80である。
 しかし、潜った瞬間に体の中に溶け込む窒素が400になるわけではなくて、80から時間経過とともに次第に400に近づいて行く。体の中に溶けている窒素が400kPaになると、もうそれ以上は溶けこんで行かない。これを飽和という。

 高圧則で採用している理論式、ビュールマン教授の理論では、この溶け込み方、および浮上の時の溶け出し方について、指数関数的としている。指数関数的とは、例えば飽和の半分まで溶けこむに要する時間、すなわち半飽和までが例えば、10分とすると、10分経過で50%溶け込む。次の10分で残りの50%が溶け込んで100%になる。そうは行かないというのが指数関数的ということで、次の10分では残りの50%の半分25%が溶け込んで、75%が溶け込んでいる事になる。その次の10分では25%の半分だから12.5%、87.5%が溶け込んだことになる。半分の半分をくりかえすと無限の時間がかかるから、とりあえず、6回の繰り返しで、ほぼ100%が溶け込むことにしている。10分で半分だったから、10分の6回繰り返して、60分で飽和に達することになる。つまり、10分の半飽和組織は60分で飽和する。

 身体の中の組織は一様ではない。血液、皮膚、筋肉、内蔵、脳、脊椎、骨、等様々である。
 それをビュールマン教授の理論では、飽和の半分、半飽和時間を5分から635分までの16通りにわける。これはあくまでも計算のための分類であり、肝臓は何分、胃は何分という指定はない。概して言えば、血流の多いガスの入れ替わりの速い、筋肉などは短く、脊椎など身体の芯で脂肪分が多く血流に少ない部分は長くなる。
 例えば半飽和時間が最短の5分の組織では、5分の6回、30分で飽和に達することになる。この組織の呼び名としては、半飽和時間5分の組織、略して5分の半飽和組織という事になる。これを英語でコンパートメントと呼んだり、組織モデルとよんだりしているが、潜水士のテキストでは、半飽和組織という。635分半飽和組織は、635×6=3810分、63,5時間で飽和する。完全に溶け出すのも63時間かかることになる。

 ここまではM値の前提条件である。ここまでは、僕でも分かったし、説明もできた。
 しつこいけれど、ここまでせつめいしてきてしまったので、行き着くところまで行かなくては、気分が悪いので、つづく。

0710 M値

 とにかく、M値を完結させて、次に行かなくてはならない。
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     カットは福田克之撮影

 
前回示した前提条件でM値の計算式で計算する。

「M値の計算式
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 この式で、16の半飽和組織のそれぞれについて、M値を算出する。
式が出てくると、もうなんだかわからなくなるが、ある数値を計算するために、何が必要とされているのか、という視点でみる。
・Paは、大気圧 100kPa 
 ・Pcは圧変化後の環境圧力(ゲージ圧、kPa)、
要するに潜っている水深をわかりにくく表現している。
Pa+Pc は、潜っている水深の絶対圧のことで、このようにしてわかりにくくして混乱させようという下心のある式である。
潜水している絶対圧(すなわち水深)にB分の1 つまりBの逆数(定数)を×け、定数Aをくわえれば、M値がでる。
 水深に定数を乗じて、定数を加えるだけのことだ。Aとか、Bは、少年A、Bのようなもので、仮の呼び名だ。
水深を定数で割り(逆数を掛け)定数を足したのだから、出てきたM値も水深になる。AとBの正体は、a とかb とか言う、生まれ育ちで決まっている。そのa とかb とかは、別の表にしめされている。
空気の場合はA=a B=b だ。なぜこんなまわりくどい、面倒なことをするかというと、ヘリウムを混合した混合ガスでのM値を計算するためだ。

これがM値だ。水深に定数を✕け、定数を足したのだから、M値も水深である。

 ところでその水深とはなんだ。それがわからなかった。
ホールデンの2分の1ルールは2分の1の水深だった。30mに潜っていれば、とりあえず10mまでは浮上できる。30m潜っている時のホールデンのM値は10mだ。
 だからM値とは、ある水深に潜水している時に、そこまでは、浮上して良い水深なのだ。

ただ。僕がこんらんしたのは、潜水して時間が経過すると、M値が変動すると思ってしまったことで、いちいち計算するのだから、変動するのだろうと思ってしまった。
しかし、式を分析してみれば、変動するのは潜っている水深だけだ。潜っている水深と半飽和組織で、M値は決まっている。つまり、式の定数は半飽和組織で決まる定数だ。a とかb は、半飽和組織によってきまっていて、半飽和組織の表にでてくる。

16通りの各組織も飽和に達してしまえば、それ以上溶けることもない。同様に、最大許容値であるM値も16通りの組織で決まっていて変動はしない。変動するのは、最大許容値に達するまでの溶解分圧の時間経過による変化である。
 飽和に達しなければ、そして飽和よりも大きい溶解度であるM値にたっしなければ、その組織は減圧停止不要なのだ。
だからM値が、20mの組織は、20mを超えなければ、いくら時間が経過しても、減圧症にはならない。16通りの組織の中には、M値が9.8mという組織もある。これは、10mでも不活性ガスを貯めこんでゆく。しかし、9.8mの組織は、半飽和時間が長い。たとえば、635分の組織では、その6倍として、63時間も飽和に達するまでの時間が長い。飽和潜水で、完全に飽和するまで時間がかかるのはそのためだ。そして、遅い組織は不活性ガスが排出されるのも時間がかかる。
 一方で、たとえば半飽和時間が短い。5分の組織は30分で飽和する。
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    表は、中央労働災害防止協会の講習資料寄りの引用

 グラフに半飽和組織毎の、水深とM値の相関を示した。半飽和時間が短いほど、グラフは上の方、M値が深くなっている。半飽和時間が長い程、グラフは下の方、M値が浅くなっている事がわかる。繰り返して言うと、半飽和組織の時間が短いほど、グラフの線は、上の方M値は深くなっている。

 16通りの組織について、それぞれの減圧スケジュールができるわけで、それをくみあわせて、どの組織もM値を超えないようにしたスケジュールが減圧表である。
  
  半飽和時間が短い組織は浅いところではグラフの線に乗らない。M値に達しないから減圧不要である。長い組織は、浅い水深でも不活性ガスを貯めこんでいるが、なかなか飽和に達しない。M値にも達しない。
  そして、不活性ガスの排出は、飽和とM値の間で排出される。
不活性窒素の現在の溶解分圧をしらべて、M値と比較しなければならないから、
 溶解窒素の計算式がある。
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これも、当然理解不能である。当該(該当するという意味)つまり求める、その時点での不活性窒素の分圧がPn2であり
それを計算するのに必要な数値が下に示されている。
 大気圧は絶対圧にするため。
 潜水しているその時点のゲージ圧
その時の窒素濃度
 加圧または減圧の速度
時間
 半飽和時間

時間とか変化の速度、窒素濃度、半飽和時間が溶解している不活性ガスの分圧を計算するために必要である。
つまり、求める数値は、潜水しているその時間での不活性窒素分圧であり、もちろん一定ではない。この不活性窒素分圧と、M値を比較する。どちらも圧力の単位だから、大きい小さいを比較することができる。
変動している値であり、そのある時点での窒素分圧ががM値よりも小さいことを確認できる。こうして、窒素分圧が常に、すべての半飽和組織でM値を越えないようにして浮上する。

ここまでをまとめると、
M値
エムチと呼びますが、不活性ガスの最大許容値のことです。潜水して時間が経過すると、16通りの組織モデルそれぞれに、潜水する深さに応じて、一定の時間経過で不活性ガスが飽和します。浮上すると、環境圧が下がり、呼吸する気体圧力も減少することで、半飽和組織内の不活性ガスが過飽和になり、飽和していなくても浮上によって飽和になり、M値と飽和との間に圧力差(圧力勾配差)が生じ、不活性ガスは排出に向きます。過飽和になりすぎると気泡化します。どこまで浮上したら、気泡化が起こらないで排出されるか、その最大許容値がM値です。   飽和する値が、各半飽和組織毎に、水深によって異なるのと同様に、M値も水深によって定まります。飽和とM値の間で、ガスは排出されます。M値を越えないように浮上停止をして、ガスを排出しながら浮上するように計算された時間表が減圧表です。

0711

M値について、いつもいろいろ教えてもらっている Y氏から、誤りの指摘があった。
「M値20mのコンパートメントの許容深度は20mではありません。M値20mは 海水20m相当の窒素の絶対圧力ですから、水面では深度8m相当の窒素絶対圧力が、20mswaに達するのは 20m÷8m=2.5つまり水面の窒素圧力の2,5倍になる15mです。したがって20mを超さなければM値を越えることはないというのは誤りです。」

 自分は減圧理論の専門家ではない。溶解窒素分圧の計算もできない。
専門家の文章によって書いている

☆「M値を表す圧力数値は、無減圧潜水限界の窒素許容圧を海水の相当深度で表している。例えば組織半飽和時間が5分の組織のM値は27mである。M値27mとは、水深27mで飽和する窒素圧を意味する。つまり、水深27mを越えなければ、組織半飽和時間5分の組織では、減圧停止が必要な限界を越えることがない。」

☆「M値とは、ここを超えたら減圧停止をしないと浮上できないという
統計潜水医学的データに基づく無減圧潜水の限界体内不活性ガス分圧の最大値であらかじめ設定されているものです。
もちろん、アルゴリズムによって半飽和時間とコンパートメント数が異なるので、
設定値は異なりますし、ダイブコンピュータの場合はオリジナルのアルゴリズムを
更に厳しくする場合があります。
これが変動したら、ダイブコンピュータの計算式は成り立ちません。
水深、潜水時間によってめまぐるしく各組織の体内窒素圧は増えたり、減ったり変化して行きますが、どこかの組織がM値を超えたら、それを下回るまで減圧停止が必要となります。
M値を100%としたら、深く、長く潜れば200%でも300%でも超えて行きますので、
とにかく100%以下になるようにしなければ浮上できないという極めて簡単な論理です。
ダイブコンピュータの場合は減圧表という言い方は不適切ですが、関数計算によって出てくる体内窒素圧を常にM値以下にキープすることが、即ち無減圧潜水をするということになります。」

 計算の根拠とか正しさは、一般ダイバーである僕にはわからない。が、M値20mが20mまで無減圧というのがまちがいで、15mであったとすれば、M値は15mであるとしてもらはないと困る。それともM値というのが、実際の潜水での限界水深を計算するための窒素分圧の計算式上の数値であり、実際の潜水での限界水深ではない、のだろうか。

 なお、潜水士テキストでは、「減圧症に罹患しない最大の不活性ガス分圧をM値という。」であって、M値を水深(圧力)で表示することには触れていない。

 僕のまとめは、

M値
エムチと呼びますが、不活性ガスの最大許容値のことです。潜水して時間が経過すると、16通りの組織モデルそれぞれに、潜水する深さに応じて、一定の時間経過で不活性ガスが飽和します。浮上すると、環境圧が下がり、呼吸する気体圧力も減少することで、半飽和組織内の不活性ガスが過飽和になり、飽和していなくても浮上によって飽和になり、M値と飽和との間に圧力差(圧力勾配差)が生じ、不活性ガスは排出に向きます。過飽和になりすぎると気泡化します。どこまで浮上したら、気泡化が起こらないで排出されるか、その最大許容値がM値です。   飽和する値が、各半飽和組織毎に、水深によって異なるのと同様に、M値も水深によって定まります。飽和とM値の間で、ガスは排出されます。M値を越えないように浮上停止をして、ガスを排出しながら浮上するように計算された時間表が減圧表です。

M値は水深によって定まるとは、言っているが、越えてはいけない水深がM値であるとは、言っていないので、何れにしてもセーフだろう。もう少し勉強して、つまりよくわかっている人の意見を聞いて、再度M値について考えよう。

0715 スキンダイビング教師 浦安。

 毎週 火曜日、1900-2030,4日間の教室、2回、 昨夜で終了。
 また来年だけど、来年できるだろうか。

 細かいマニュアルとか、プログラムに縛られないで、楽しければ、それで充分。4日間の教室でできるようになることは、
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 バディシステムの意義が理解できること
 水の恐ろしさ、を知識として知ること。

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 水深2m(背のたたない)で10分間浮いて遊べること

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 フラッターキックとドルフィンキックのまね事ができること
 ダッシュで泳げること、足に翼が生えて、飛べるようになったこと

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 マスククリアーができること(水に慣れる)。子供の頃、お父さん、あるいはお母さんと、マスククリアーをやった想い出が残ること。
 
 80歳になり、この教室で、教えることよりも、教えられることが多いのです。

 21日から、イルカクラブで、伊豆大島のトウシキに行きます。
 この教室の子ら、おとうさん、おかあさん たちともツアーをやりたい。
 しかし、そんな時間もない。

 M値にはまだこだわっています。
 唐沢くん、ふるいふるい友人ですが、彼の書いたものをみて、なるほどとおもったりしています。
 数日中に時間ができたら、また、そのことを書きます。
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