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0331 お台場

3月31日、毎月、最終日曜日がお台場潜水の日だ。
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     イノンのマクロ魚眼で撮ったアカクラゲ

これで、そろそろ100回に近づくはず。なぜ、お台場の潜水をプロデュースするか?これは、僕にとっての理由であり、一緒にやっている東邦大学の風呂田先生は、またちがうだろう。先生は東京湾の海の学術的な事柄の第一人者で、あるから、そっち方面のこと、環境などについては全部お任せしている。
僕にとってのお台場潜水の理由は、100回近くのうちにずいぶんくるくると変わったきている。もちろん学術の時もあった。全部話すと長いからやめるが、とにかく変転している。
 現在の僕にとってのお台場潜水の理由は、まず、自分のトレーニングだ。海でフル装備で潜るトレーニングを一カ月に一度は必ずやる。プールでのスキンダイビングとはまた違う。例えば今日だが、ドライスーツで10リットルのタンクを背負い、ウエイトを合計12キロつけると、立ち上がるのがやっとだ。30mほど歩いて、エントリーする。今日は手助けしてもらわないでフィンを履いた。重い装備で体をかがめてフィンを履くのは、死ぬかと思うストレッチングだ。
 自分のトレーニングだけではなくて、学生たちのトレーニングに絶対だ。東大農学部の今度、ようやく?博士になった、杉原君は、お台場潜水だけで、研究のためのダイビングには不自由しない程度まできている。フィリッピンで魚の研究をしている佐藤君も、ここでそだった。科学未来館の三ツ橋さんも、そうだ。今は海洋大学の地見君がきている。かれは、今日はじめてドライスーツを着る。ドライスーツの講習をというから、ドライスーツを着て、その辺の2mぐらいのところを転がっていればバランスを覚える。
 この海は学生の練習に最適である。何度も繰り返すのだが、まず濁っているのが良い。濁りになれる。そして、浅い.。だいたい3m以下で潜る。減圧症の心配は絶対にないし、空気が長持ちする。トレーニングと言っても、どこかでC-カードを取ってきても良いし、もちろんそのほうが面倒でないからいい。C-カードを取るお金がないならばとらなくても良い。プールでスキンダイビングと、スクーバでの水平姿勢が決まれば、もうお台場にこられる。学科は潜水士を受けて合格すれば合格、それであとはお台場でころがっていればいい。もちろんその間に撮影もできるし、研究のための採集もする。往復に時間もかからず、費用もかからない。いいことずくめだが、学生はあんまり来ない、上記の4-5人だけだ。人数が少なければ少ないほど安全だから、これで良い。
もう一つの僕の目的は機材のテストだ。新しい潜水機材のテスト、撮影機材のテスト、2012年はGoProのテストで終始した。
今日は、イノンの、マイクロ魚眼のテストだ。GoProはいつも持っ行くから、GoProとの比較ができる。
3月だからまだ冷たい。水温は14度だった。魚も蟹も見えない。何もいない,死の海か。とんでもない、春の濁りのような濁りは、魚の稚魚のスープだ。あまりにも小さいから、撮影は不可能である。濁りをよく見ると、小さい小さい魚がつんつんと動いている。しょうがないな。マガキとか、ムラサキイガイとか、梅干しイソギンチャクとか、そんなものでも撮るかと思って岸に接近すると、水深50cmの石が連なっているその合間、隙間に2-3cmのメバルの稚魚が群れていた。恥ずかしい話、この大きさのメバル、僕はここで見たことが無かった。テスト的な魚礁は3月で撤去してしまったが、この魚礁に4月になると4-5mで群れている。そうか、2-3cmサイズは、ここでは、岸に近く群れているのか。撤去した魚礁があれば、魚礁についたかどうか確認できたのに、残念。
とにかく撮影しよう。1000ルーメンのライトで照らして、マクロ魚眼で撮る。
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      マクロ魚眼メバル稚魚、グッピーくらいの大きさ。

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      一眼レフのメバル稚魚

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       GoProのメバル「


 GoPro「はマスクマウントしているので、顔を突き出して撮る。それだけでは足りないので、マスクからGoProを外して液晶を見ながら撮る。
 
  比べて見ると、どうだろう、マクロ魚眼も使える。
  しかし、中に入っているデジカメがペンタックスのWG- だから画質は知れている。調査には使えそうだ。

メバルから離れて帰ろうとしたとき、目の前に衝突しそうな赤クラ.ゲ、透視度1mだから、遠くからは確認できない。撮影に来ていた尾崎さんの助手の井出君が、口の周りをやられた。強い人だから良いけど、女の子だったら、騒ぎだ。これもマクロ魚眼とGoProはマスクについているからこれでも撮れた。
 
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     GoProアカクラゲ

午後からは、一眼レフでもメバルを狙ってみよう、もしかしたら、使える(売れる)写真が撮れるかもしれない。キャノンを持って行くことにした、キャノンのハウジングの上にGoProも付けている。泳ぎだしてすぐに、GoProのバッテリーアウトに気付く、しっかり水に入る前に確認しなかった。よくある残念。
潮が引いでしまったので、午前中に撮影したロックを干上がってしまっている。さらに先まで泳いで、木造の桟橋跡のような杭の陰で見つけた。何枚も落ち着いて撮ったが、一眼レフだがマクロでもなく、超ワイドでもないから、特によくはない。マクロ魚眼の方が、同じかちょっといい。
さて、どれが良いだろうか。ほぼ同等ならば、GoProが良いだろう。マクロ魚眼も結構使える。

0401 キャノン

 たしかにマクロ魚眼は面白いし、使える。しかし、一眼レフと比べてどうだろうか。もう一度調べてみた。グッピーほどのメバルの稚魚を写したスチルを、魚いっぱいまでトリミングして比べて見た。やはり、一眼レフの方が良い。それに一眼レフで撮った写真を僕はささやかだけれど売っている。
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   キャノン一眼レフ

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   マクロ魚眼

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 フェイスブックに書いた。 「豊かな海」の表紙、沿岸漁業の雑誌なので、原則として食べられる魚を出している。これが結構難しくて、ついに食べられないけれど造礁サンゴをだした。造礁サンゴも豊かな海の象徴だから、良いだろうと思ったのだが、なかなか決まらない。ダメか、取り替える写真も用意したのだが、使ってくれて、表紙としてはかなり良い。
 GoProは目下のところ使っていない。次号あたりで冒険してみようか
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 やはり、一眼レフが、さあ写真を撮ろうとする時のスタンダードだ。僕のスタンダードシステムを紹介する。
 ハウジングに入っているカメラは、Canon EOS Kiss Digital X ファインダーも液晶がついていない、もうずいぶん古くなったが、取り替える予定も資金もない。これで今しばらく行こう。レンズは18-55の一応ワイドズームで、常にワイド側18mmで撮っている。これでは、画角が狭いので、GoProを上にマウントした。ハウジングはフィッシュアイで、とにかくコンパクトであることを買った。
  Digital Xは、良いカメラだが、フォーカスが完全にオートだ。陸上ならばマニュアルフォーカスも使えるが、このハウジングでは、マニュアルフォーカスのリングがない。だから、水中では常にオートだ。光が足りないとオートフォーカスが動かない。フォーカスが合わないとシャッターが切れない。暗いとシャッターが切れない。イノンのストロボについているターゲットランプでは光がたりない。フィッシュアイの1000ルーメンを付けて、右からライト、左からストロボにした。とりあえず、これでなんでも撮れる。
 ストロボ連射もできないし、プロの機材としては古すぎるが、今後スチルの大きな仕事が来ることも無いし、今の仕事ならばこれで十分だ。もう一台 シー&シーのG-1と、ワイドコンバータを持っているが、キャノンとGoProのセットで十分ならばの、G-1 の出番が無くなりそうだ。

0304 報告書

 この2月までやっていた調査の報告書を書かなくてはいけない。期限は3月10日の週だ。あと何日もない。
 そんなことでブログを書く時間がない。月刊ダイバーの日本潜水グラフィティの原稿も間近が締め切りだ。本当に連載をさせてもらっていると、一ヶ月が瞬きする間しかない。

 報告書に話をもどすと、この2年、報告書を書いていない。最新ダイビング用語事典をやっていた。フォーマットを忘れてしまっている。その上、僕はフォーマットを壊してしまおうと思っている。水産関係の海の調査を始めたのは、昭和40年のころからだから、長い。しかも、その長い間、フォーマットは変わっていない。
 僕は昔、研究者になろうとしていたこともあるが、遠い昔であり、研究者にはならなかった。研究的な調査は研究者自身がやるべきだと僕は思っている。僕たちのやることは、研究者の為のデータ集めなのだろうか。そうでもない。では何だ。基本的には、研究者も僕のようなダイバーも海の中で起こっていることを記録し、分析して、何らかのサジェッションをすること、もしくは自分で行動することだろう。大学の後輩でもあり、最近、仲良くできるようになった新井さんなどは、それを貫いて長い。もちろん、人の考えはそれぞれ、生き方もそれぞれだから、視点もちがう。
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 僕のスタンスは、調査でもダイビングでもその実施の方法論、機材の開発とその使い方の改善だ。機材の方はスガマリンメカニックという会社を作り、1980年代の後半まではトップを走っていたが、その後、その機械を使って撮影したりするこことに軸足を移してしまった。一人の人間は、一つのことしかできない。
 テレビ番組のカメラマンになってしまった。カメラのオペレーターもやるけれど、どちらかといえば撮影監督を志した。最後は大型映像のカメラの製作とオペレーターそして水中撮影監督で終わった。
 そのキャリアを生かして、調査の仕事をしたいと、いろいろともがいている。公共予算での調査は、小さい仕事でも入札できまる。その内容の優劣ではない。これが、日本の海の調査の発展を妨げている。妨げていると文句を言ってもはじまらない。突破口をつくりたいと思っている。日本水中科学協会もその一つなのだが、もはや高齢者であり、思うようにできない。
 しかし、せっかくもらった仕事だから、何とか新しい手法を考えて実施してみたい。しかしながら発注者は新しい手法など望んでいるわけではない。連続していること継続が求められる。そこが研究者と請負調査会社の差である。研究者ならば新しいことでなければ認められない。請負調査は、新しいことはもとめられていない。フォーマット通りである。と議論が一巡した。
 報告書にもどらないと、終わらない。

0310 マクロ魚眼

報告書に追われて、まだ終わらないのだが、ブログを書いている時間がない。書くことはたくさんあるので、気持ちばかりあせってしまう。
 なぜ、報告書にてこずっているかといえば、ウエアラブルカメラを主体として、動画をとり、静止画を切り出して報告するという手法を全面的に取り上げたら、情報量がめちゃ多くなって整理に手間取ることになった。つまり不慣れ、実験的なことをやっているからだ。


 これも実験的な撮影で、3月5日に浦安海豚倶楽部の練習で習志野プールに行った時の撮影。イノンのマクロ魚眼レンズを買った。
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 マクロといえるほど近づいて、しかも魚眼だから、周囲の状況も撮影できるというレンズだ。
 ペンタックスのW90とそのハウジングがあまり使うチャンスもなく遊んでいるので、このマクロ魚眼の専用にしようとおもっている。
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 魚眼としても、一応写るが使えるものではない。もしかするとW90がぼけているのかもしれないが、
 接写で撮影する対象を持って行くのをわすれたので、GoPro3の液晶ファインダーを接写して、その外側にプールが写っている画を考えた。まあまあだけど、被写体のGoProがあまりシャープに見えない。液晶の中のプールのタイル線は一応わかるが。
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 やはり海で使って見なければ、わからない。

 その時撮影した、GoPro3の絵がとてもよくて、PCの壁紙にしている。
 これを見ると、3型が良いように思う。
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0312 GoPro

ようやく報告書の原稿を送った。これ
で一段落、少し落ち着いてブログが書ける。
 
 一段落だけど、次に15日の漁場施設研究会での研究発表がある。この研究会には何回かでたことがあるが、まだ発表はしたことがない。一度くらいはと思って、発表を申し込んだ。テーマは、今やっているウエアラブルカメラのことだ。
 ウエアラブルカメラといえばFBともだちでありJAUSの会員でもある萩原先生が、ビデオカメラを壊してしまいパラオに行くので買い換えるので、次の機種という相談がFBに書かれていたので、GoProを勧めた。いろいろGoProについてのやりとりがあり、先生は、届いたGoProをみて、これは、単なる記録装置ではないかという。
 人の言葉で目が覚めることは普段のことだが、そう、カメラは、記録装置なのだ。GoProは高画質、超小型の記録装置なのだ。そして水中120度余の超広角レンズがついている。記録装置として最高である。萩原先生は、カメラに、記録装置以上のものを求めている。それは、多分カメラをいじる楽しみ、そしてそのカメラで撮る楽しみを追求する趣味なのだろう。

 物心ついて以来というと大げさだが、サラリーマンと言っても、アクアランク作りと販売の職人兼ダイバーだが、給料をもらっている時代を終わり、給料を支払う方に回って以来、カメラは趣味でいじるものではなくなった。まず、カメラは、一人では持ち上げられないほどの重量があり、これに乗って、呪文(企画書)を唱えれば、世界のどこにでも飛んで行かれる魔法のじゅうたんになった。
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       フィルムの3Dカメラ、多分このカメラとほぼ同じことがGoProでもできてしまう。

 やがて、魔法の呪文の効験がなくなり、調査潜水の仕事にもどると、カメラは記録装置に他ならなくなった。
もちろん新しいカメラを買って、これで、どうやった何を撮ろうと考えることはたのしいけれど、それが目標ではない。どんなふうに記録されるかが大事で、仕事である。
 アマチュアが。両手でようやく持ち上げるようなカメラに蟹の鋏のようなステイにストロボあるいはライトをつけて撮影する。お金も大変だ。何なのだこれは、と思うが、これが、趣味なのだ。
 ダイビングは、その危険性については、趣味も仕事も区別がない。老若男女の区別もないし、上手下手の区別もない。一律に危険である。だから一緒のものと考えてしまうのだが、感性のちがう世界なのだ。
 ただ、幸いにもFBをやったりするおことで、違う世界、違う人種の世界を価値あるものとして理解できるようになってきた。
 そして、良い方向に解釈すれば、僕の考えは、違う人種の言ったり書いたりすることなので、おもしろいと思ってもらえているのかもしれない。
 しかし、自分、としては、違いを理解していないといけない。

 萩原先生には、とにかく、メインのカメラの上に乗せて、潜水のはじめから終わりまで回してくださいといったら、そうしてくれるらしいが、それでは、車につけている、事故記録カメラと同じではないかという。まさしくその通りなのだ。ダイビングにも事故記録カメラが必要だが、事故記録カメラは受け身であって、意志がない。ただ、その事故記録カメラの画像の質が良いならば、カメラの画像を編集、細工して自分の主張を切り出す。その時に明確な意志がある。あとからPCの上で、画像をきりとり、作り出す時に創造の意図を明確にする。
 もう一つ、オンボードカメラ、板付きの設置カメラの映像に意志があるかということになるが、これは、そこにおいて、撮れるものを想像するという意志がある。
 よく話すのだが、カメラを三脚に載せて、じっとシャッターチャンスを待っているカメラマンもいる。カメラを手にして、踊り狂う湯にして撮るカメラマンもいる。そのスタイルによって選択するカメラもちがってくる。
 同じFBで、このごろ売出しの鈴木あやのさんは、GoProをマスクに着けて、御蔵島でイルカを、そして、南極で何を撮るのか知らないが、撮りまくるという。彼女は170度の超広角の意味するところと、そしてアクション、動きの力強さを知っているのだろう。彼女は自分が踊るカメラマンだ。
まあ、萩原先生については、結果待ちだ。彼のスタイルの中で、その感性にこたえられるものがあり、喜んでもらえると良いのだが。

0313 遅れてしまったが、0120の新年会のレシピ由来

前に書いてそのままになっていた。石川宅でのJAUS新年会の鍋の由来。
 いま、遅ればせながら載せる。
 なお、写真は、1月20日のブログと同じものを使っている。
 1月20日、石川宅での新年会レシピの続きである。書いて、あまり長くなるのでそのままにしていた。このあたりで出さないと忘れられてしまう。
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さて、おかげさまで、1月20日の鍋は好評で、終了したあと、これは自分の家のレシピにしようと言ってくれたメンバーもいるし、来年の企画まで提案された。腕が抜けるほど、大根おろしをすらなければ、ならない。今回は、石川さんの奥さんと、広田さん(アルバトロスメンバー)の二人で、4本の大根を摺りおろした。大根おろしは、食べる寸前にすらなければいけない。作り置きはできないのだ。宴が始まる前に、大根おろし擂り競技をやろうという提案もなされた。大根を計っておいて、等量にして、誰が早く摺りおろすかというタイムレースである。このように、大根おろしが大量に必要であり、秘訣であるということは徹底できた。
とおろで、スガ鍋と呼ばれることにはやぶさかではないが、須賀がこの鍋を考案したわけではない。アメリカンフットボールの合宿でであった。アメフトをやっていたのですか、聞かれる。高校の体育の時間にやった。それで、ルールと見方、評論家になれる程度の知識を得た。
そして、それは、今からおよそ45年前のことだった。まだ東亜潜水機にいた1968年頃のことだ。そのころは、まだアメリカのNFLなどは海の向こうの話だし、社会人リーグもまだ始動中。アメフトと言えば学生リーグであり、その学生リーグは、赤の軍団とよばれた日大フェニックスが全盛であり、毎年正月のライスボールでも、西の青の軍団、関西学院大学を寄せ付けず、東の日大が連勝していた。赤の軍団を率いるのが、日大フットボール部、篠竹幹夫監督だった。
 その篠竹監督がある日、東亜潜水機にやってきた。金に糸目をつけない(監督は金持ちなのか?)から、僕にアクアラングを教えろと言う。フットボールフアンとしてはあこがれの人だから、心の中では、チャンスと思いつつ、冷静に受け答えをした。こういう人が一番危ない。身体が大きく、自分は不死身だと思っている。日大フェニックス、つまり不死鳥だ。水中では不死身だと思っている人から順に死ぬことになっている?。そのことを説明し、もし、アクアラングをやるならば、あなたは水の中ではこれからよちよち歩きの幼児になる。僕の言うことを絶対に聞くと言うならば、教えると言った。それを了承して僕の弟子となった。と同時に、その言葉と僕は気に入られて、日大フットボール部の客分となった。
 彼らは毎夏、房総の岩井に家を一軒借りて、選手たちともども夏合宿のあとでの保養休暇を過ごす。そこでアクアラングで遊ぼうというわけだ。
 師匠と弟子である。東京にあるフットボール部の合宿所にもよく遊びに行くようになった。監督の部屋に行くと虎の皮が敷き詰められている。三頭分ぐらいだろうか、さらに、ベッドには豹と虎、ソファーにも二頭。合計七頭だ。まだワシントン条約など遠い先の話だ。監督は言う。虎は夢魔を追い払う。だから虎の上でねるのだという。「須賀さん、君は幽霊を見ることがあるかね?」「いや、ありませんけど」「そうかね、君は残念ながら金持ちにはならないね。」「はあ?」「幽霊は金気、お金のにおいのするところに憑くんだ。幽霊が来るときには、「ちーーっ」と言う音がするんでわかる。そして身体が寒くなる。冷気っていうんだろうな。それで、虎の皮を敷いている。」
 僕はこの言葉が気に入って、会うダイバーみんなに聞く。「幽霊って見たことある?」ほとんどのダイバーが見たことないと言う。
 さらに監督の部屋にはすさまじい日本画が鴨居に掛けてある。戦国時代、武将が一騎打ちして、勝った方が相手の首を落とすのだが、首を落としただけでなくて、その首を足で踏みつけて、刀を逆手に持って突き刺している。常勝の監督が重んじているのは闘争心である。「スコアは100対ゼロを理想とする。ただ勝てば良いのではない。立ち上がれないほどたたきのめさなければいけない。」という。
 後のことだが、監督も年老いて、糖尿になり、グラウンドに出ても昔の精気が無くなった。日大も常勝ではなくなり、関西学院の時代になった。そして、監督も亡くなり、日大は相変わらず赤の軍団だが、東の王者にも時たまにしかなれなくなった。専門的なことを言うと、今では本場のアメリカでも多くのチームで使われているショットガンというパスホーメーションは篠竹監督の日大が作り上げたものである。ただのバンカラではない。監督の自伝、もちろん自分で書いたものではなくて誰かに書かせたものだが何冊もある。しかし書かせたと言って、文章が書けないわけではなくて、彼は詩人でもあった。演歌歌手のだれかに歌わせたという。そういう詩人だ。

 さて話が脱線した。いよいよ夏の合宿、が終わると、千葉県の岩井に家を借りて海水浴をする。選手、OB関係者がそろって遊びの海水浴である。
 監督は水中銃を持って魚突きをする。そのためのアクアラングである。一緒についていって、魚突きも教える。その頃の岩井は良いところで、海に向かって右手の岩礁地帯に行くと、海に入ってすぐのところでも魚が突けた。
 昼の部のアクアラングが終わると、麻雀が始まる。これもつきあう。ほとんど徹夜、朝になるとこれから投網を打ちに行くという。監督は投網も練習中なのだ。投網が終了し、朝の食事を食べると、そのままアクアラングになだれ込む。こちらは師匠だし、僕もまだ若い。ギブアップするわけには行かない。監督が倒れるか僕が倒れるかの勝負だ。
 そんな合宿での昼食だ。二年生だか三年生の部員が、ただひたすら大根おろしを摺る。そんなにたくさんおろしてどうするの、というくらい摺る。食堂に大きい鍋をいくつか置き、夏だから高いだろうに、白菜が山に切られていて、豚肉が山になっていて沸いた鍋の中にぶち込む。安い豚肉だから、しゃぶしゃぶにはならない。ある程度煮る。どんぶりに大根おろしを山と入れて、七味唐辛子を好きなだけ入れて醤油をかけ、白菜と豚肉をどっぷり漬けて食べる。食べたことが無かったしおいしかったから、監督に聞いた「何という鍋ですか?」たぶん名前など無かったのだろう。少し考えて「フットボール鍋」と答えた。これが、僕の鍋のルーツである。

0316 人が動く月

  
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 大横川の桜の蕾が膨らんだ。3月は人が動く、教授は退官される人が何人か、移動も栄転もある。
 風呂田先生の退官記念はこのまえやった。
お酒を飲めれば幸せな人だから、何回でも退官したいだろう。
 社会スポーツセンターの遠矢君が、4月から、名桜大学(名護市)准教授になる。祝辞を述べることになっている。
 遠矢君と入れ替わりに、おなじ吉田章先生門下の高野君が就任する。
 祝辞で何を話そう。

 僕自身が社会スポーツセンターの常務理事の時代に前任の今木君と交代し、遠矢君が来て、やがて僕が常務理事を退任して、僕の後任には筑波大学教授で、遠矢君、高野君の恩師である吉田章先生が着任しました。遠矢君は、僕が1968年から、全日本潜水連盟で26回続け、社会スポーツセンターに受け継いでもらって、19回になる水中スポーツ室内選手権大会を直接に担当してもらい、僕は何もしないで挨拶だけをさせていただくという良い身分になりました。現在のこの大会は、現場的には遠矢君が育て、築いてきたもので、彼の成長の軌跡でもあったと思います。その途中で、そのころ内にこもって、自分たちだけで自己完結し、社会的には評価されていない競技会をやっているだけの関東学生潜水連盟のめんどうを見ようと、遠いOBである僕が思い立ち、その具体的な策の一つとして室内選手権大会の運営をてつだってもらおうと考えました。すべて、このような大会は学生が仕切ってやるのが理想です。遠矢君はおぼえているかどうかわからないけれど、僕は彼に言いました。学生を大事にしてください。君の言うことを、本当の兄貴分のように学生潜水連盟が学生たちが聞いてくれるようになれば、一生の宝になるはず。そして彼は、やり遂げました。この経験も彼の今後の学生たちとの接触に大きな財産になると思います。現在のこの大会は関東学生潜水連盟がなければできません。彼らもそれによって、社会的な体験と勉強をしています。
 他の分野での活動は、僕が直接にはタッチしていないので論究できませんが、彼の力が大きいことと思います。
 遠矢君の人柄は、当初、まじめすぎてお尻を蹴飛ばしたかったのですが、そのまじめさを失うことなく、効率よく仕事を回転させる術を覚えて行きました。彼の良いところは、さわやかなルックスとともに、説明がとても明瞭でわかりやすいことです。耳の遠い僕にもはっきりと伝わります。僕が意味がはっきりとれるのは、ニュースのアナウンサーぐらいですが、ほぼそれと同等です。これらのことは、多分教壇に立つことだろう彼の今後に大きな武器になるはずです。
 ここまでは助走距離で、ここからジャンプする年齢です。どうか高く遠く飛ばれることを願います。

 こんな原稿を書いて居たが、吉田先生から出席者の名簿が送られてきて、焦った。関東学生潜水連盟からだれもでていない。聞けば、業界の集まりにだけ通知を出していて、学生連盟には出していない。18日の祝賀会だが、15日と迫っている、締め切りは11日だった。手元に副委員長の筑紫君のアドレスがあった。5000円と費用は高いけれど、だれか代表できてくれるとうれしいとメールした。それからの対応がきちんとしていて素早かった、今日、16日に、筑紫君は行きたいけど別の予定があってゆかれない。代表して委員長の高澤裕太(明治大学)君が来てくれると返事があった。本当に良かった。わかってくれていたのだ。それに、この競技会の運営に携わって、組織として社会的に成長している。後任の高野君も素晴らしい人なので、引継ぎができれば、さらに共に成長してゆくことができるはず。 

0317 白井祥平兄訪問

千葉県、大網白里の白井祥平さんを訪ねた。この前ここに来たのは2006年、天文学博士の小久保君と来た。そのときはまだ白井さんが南太平洋で集めたコレクション、世界の貝のコレクションが陳列されていて、小久保君は感動していた。その前に来た時は2003年で僕一人で来た。陳列コレクションには、首狩り族の戦で殺された干し首がおかれていて、故郷の島に戻りたいと訴えてその辺にいるらしい。「背筋が寒くならないかね。」そういわれれば気のせいで首筋が寒い。2006年には小久保君にこのオカルト現象を確かめさせたかったが陳列されていなくて、故郷の島に帰したか、どこかのコレクターに売ったかしたのだろう。これはナンマタールの話ではなくてニューギニアの話だ。
 白井さんを訪ねると、いつでも助手の人が記念写真を撮る。写真には日付が入っているので、何時きたのかがわかる。
 僕が来るというので、昨夜、これまでの写真を全部見て、集めてCDにしておいてくれた。それを見ながら話をしたのだが、1956年の分は、僕がすでに、当時にアルバムにしていて、その写真を使って月刊ダイバーに書いた。その月刊ダイバーを見せ、コピーをあげた。
 
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        1956年
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        2013年 今

 僕と白井さんのスタンスは、僕が初めてアクアラングを背負わせてもらった1956年の時も、その後も、そして今日も全く変わらない。親切で優しくて、話していると本当の兄のようだ。僕は兄弟がいないから、理想の兄を思い描いているのだが、その兄だ。白井さんのところは、昔も今も、必要なだけのお金はどこからか沸いてでてきているらしい。僕のところはいつでも使うだけでてゆく。そんな話。そして ナンマタールの話もした。僕が行った時、様子を聞こうと電話したのに、いつもすべてを教えてくれる、白井さんが、なにも教えてくれなかった。そのことを言うと、意外そうな顔をした。僕にすべての資料を渡したと思っている。次に真顔になって、ちょうど、呪いのたたり最中でいくつものトラブルがあったときだったのだろうという。
 そうかもしれない。
 白井さんとは、ニューギニアの湖にすむ、「ルイ」という怪獣を探検に行く計画を本気で打ち合わせたことがある。ネス湖の怪獣はイギリス人のことだからジョークだと考えられる。ニューギニア人はまじめだからジョークは言わない。そんなことで装備の相談までしたのだが、実らず。後にこの「ルイ」はTBSかどこかで放映されてしまった。もちろん「ルイ」はでてこない。 白井祥平探検全集には「ルイ」の話もでてくる。この全集は、全10巻で、第一巻のナンマタール編がでただけで、スポンサーグループが全員死んでしまったという。だから、ニューギニア編はないが、別に「秘境ニューギニアの旅:三修社1977」を出している。僕と白井さんが死なないのは、不思議だ。
 楽しい時間を過ごした。もう一度次にくるときは、僕は80歳で80mの潜水をやり、その潜水も含めた、僕の全潜水、白井さんにアクアラングを習った(背負わせてくれただけだが)時から80歳までの技術論も含めたノンフィクションを出版してもってくる。たった2年だけれど、二人とも元気でいられるだろうか。

0320 AUVの浦教授退官講演

 東大の浦 環教授の退官記念講演があり、探検部のOBで、浦先生の弟子である岩上君からお誘いの通知をもらった。教授のご専門は、AUV 自律型海洋探査ロボットで、海洋探査の最先端である。興味深いので行くことにした。場所は、駒場東大前の東大生産技術研究所である。自分たちJAUSで、シンポジウムをやり、幾つかの研究集会をやるようになって、このような講演会、にはなるべく見て、聴くようにしている。浦教授は、この秋に柏の海洋研に聴きに行った定期的な研究集会の主催もされていて、研究会展開のプロ中のプロである。僕は、この展開をこの歳になって学んでいる。
 退官教授の講演会は浦先生一人ではなく、5人ぐらいが合同だ。
 もっとこじんまりとした会かと思ったが、大きな講堂が満員で立ち見がでている。
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 いわゆる海洋ロボット、無人探査機は、ケーブルでつながっていて、船の上から遠隔操縦するROVは、すでに完成された技術であり、小はビデオレイ、大は「かいこう」まで数かぎりない。水深60m以上の調査作業はほとんどROVがやるようになっている。数日前の漁場施設研究会でもROVの撮影が発表に使用される映像の主流になっている。
 ROVは、水深150mぐらいまでならば、使いやすいし、頼りになるが、1000メートルとか、深くなると1000mのケーブルが必要になる。これを積み、海に下ろしてケーブルを巻き上げるウインチなどを船に据え付けると、100トン以上の船が必要になる。線のないAUVならば1000m以上の深さでも小さい船で使える。それに、ケーブルによる遠隔操縦は、厳密な意味で、いや、厳密でなくてもロボットとは呼べない。別にロボットと呼ばなければよいだけなのだし、7000mまで探査するJAMSTECの「かいこう7000」をはじめとして、最近の探査機は、小型潜水艇であり、ロボットと呼ぶことに無理がある。
最新ダイビング用語事典のくくりでは、ビークルと呼んでいる。ビークルは、動くものの総称ともいえる。そして、浦先生が、力をいれて話していたのは、複数のロボットを同時に運用することであった。3台を同時につかっていた映像が見せられた。素早く水の中に入れ、すばやく回収できることが問題点といっていた。確かにその通りで、これは実際にオペレーションをやった人でないとわからない。後でこの問題についてはさらに触れる。
 AUVに似ているが、推進用の電源などは内蔵していて、細いグラスファイバーで信号を送受する UROV(細径ケーブル無人探査機)もあり、JAMSTECの「うらしま」は、これで「うらしま」も無人潜水艇であるが、これも浦教授の息がかかっている。
 UROVは、数千メートルの遠隔操縦ができるのだが、それでも移動範囲には限外があり、複数、を同時展開できるのは、やはり、AUVロボットである。10台も同時運用できれば、絶対的なアドバンテージになる。今、自分が目指しているインターバルオンボードカメラの複数使用も、規模は小さく原始的であるが、ロボットである。手が使えず、採集ができなければロボットとは言えない、ただのカメラであるが、この考え方のながれである。
 浦教授は、とにかくこのAUVの日本での一番の権威者であり、東大を退官してからの行き先もJAMSTECの特別主任研究員をはじめとして、九州の大学、もう一つどこかがあって、すべて彼がヘッドのポジションだ。
 せめて、挨拶ぐらいして帰ろうと、酒飲み大会の席に岩上君に案内してもらって行ったが、挨拶の行列が長い。この後、遠矢君の送別会があった。目下のところ直接の関係はないし、何かのおりに紹介されるようなことがあれば、退官講演におじゃましたが、行列が長くてあきらめたといえば形がつくだろう。岩上さんには名刺だけ託した。
 いずれにせよ、JAMSTECをはじめとして、海の科学の世界の檜舞台から人間が海に潜るダイビングは退場させられてしまった。アメリカのウズホール海洋研究所は、AUVのメッカでもあれば、人間が潜水して研究するサイエンスダイビングのメッカでもある。水深40mまでの浅い海での詳しい調査も研究者の潜水が必須であるし、海についての基本的教養、リテラシーのためにも、人間が自ら潜る潜水のトレーニングが必須である。浦教授の最終講義のPPも最初のカットは、自分がスキンダイビングで潜って、顔を水面に出す動画だった。JAUSは、その間を埋めるべく発足したのだが、壁は高く、自分の時間は切迫していて、力もなく、自分的には絶望している。一生を懸けるべきだった仕事だが、JAUSが発足してたった3年である。せめて、種だけを蒔いてからこの世から去りたいが、

0322 桜が咲く

 社会スポーツセンターの理事会、評議員会議は、セントラルスポーツの本社、茅場町ビルで行われる。少し考えてから、ネクタイを締め、ブレザーを着て行く。いつもの形だとプレッシャーに負ける。
永代橋をわたって歩いて行く。永代橋のたもとで、桃色の桜が花を開いている。桜が咲いた、と喜ぶ気持ちはない。少なくとも5年前ぐらいまでは、春が待ち遠しく、これで冬が越せたと嬉しかった。ダイビングの季節、夏が近くなる。今年は桜が咲いても心が弾まない。
 桃色の桜を見上げると、真っ青な空に雲一つない。今日のコンデジはカシオ、位置情報がついている。桃色の桜の種類は知らない。東京で普通に多いソメイヨシノに比べてずいぶん早く花が開く。
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 永代橋をわたりながら、佃島の方を見た。摩天楼だ。そして島の両側に隅田川が分かれて、島だということがはっきりわかる。川岸の桜はまだつぼみなのだろうが、白くかすんだように見える。

 会議が始まる。補聴器を耳にするが、電池が少なくなっているようで、ボリュームがあがらない。スペアの電池はコートのポケットだ。会議が始まるのに、立ち上がって電池を取りに行くのは失礼だ。少しは聞こえるので、配られた資料を見て、だいたい理解する。いずれにせよ、セレモニーだ。区切りごとに拍手して承認する。
 
 会議が終了して、隣が真野先生だったので挨拶をして、潜水士の規則改正について話す。現在潜水士を受験する人の大半がレクリエーショナル・ダイビングのインストラクターやガイドダイバー、そして学生であるのに、その声が全然反映されないのは困ると話す。この規則そのものは、アメリカでもヨーロッパでも存在がうらやましがられている。であるならば、名実ともに世界に誇れるものにしなければいけない。厚労省のお役人は、現在、100人の受講者で、作業ダイバーは5人もいないという現実をしらない。声を上げなければお役人にはわからない。声を上げることにしたと先生に伝えた。先生と僕が生きているうちに、規則とテキストの内容が、学ぶに値するものにしましょうと話した。今年はまだできない。来年2014年はそのことに全力投球をはじめよう。その助走として、工藤君と二人で潜水士の受験本を書いている。受験の参考書だが、同時にこれから潜水をはじめようとする人への基本知識のテキストになることを目指そう。本物の潜水士テキストがそうであるべきなのだが、残念ながらだいぶちがう。文句を言っていても仕方がないのだから、自分たちでめざそう。今手をつけている物理学の部分、潜水士の受験でもないと、何の必要もないことなのかもしれないから。例えば、パスカルの定理を知らなくても潜ることはできる。試験、それも国家試験だから勉強してもらうチャンスなのだ。

0323 パスカルの法則

お願い。
 前にもフェイスブック、そしてこのブログでも書いてお願いしたのですが、長野県でのダイビング応用の小学生の水泳練習やっておられるとのこと、今年の夏は絶対に見学に行きたいと思っていて、その企画書を持って居てなくしてしまいました。同時に、住所とお名前の書かれている封筒をなくしてしまって、まだ見つかりません。再度連絡いただけるようお願いいたします。

北海道、札幌、ポセイドンの工藤和由君と、潜水士の受験テキストを書いている。
 受験参考書であるから、国家試験の問題、その解答が重要で、売り物でもあるが、よりわかりやすく、そして、せっかくの受験だから、この機会に、潜水についての基本的な知識をしっかりと覚えてもらえるようなテキストにもしたいと思っている。
 実は、受験の頭に出てくる物理学などは、実際の潜水では直接にはかかわりなく、受験にだけ必要な知識なのかもしれない。しかし、知っておかなくてはいけないことであることはまちがいない。
 これからしばらく、潜水士の問題とか回答についてこのブログでも書いてゆく。
出版する本の下書き部分の転用でもある。

 ブログのコメントに、「パスカルの定理ではなくて、パスカルの原則です」と、指摘された。どこかでパスカルの定理と書いたらしい。もしかして、最新ダイビング用語事典ではないかと、焦って見直した。パスカルの法則としている。これは潜水士テキストの表現にならったものだ。定理、公式というと数学になってしまう。僕たちに身近な定理としては、ピタゴラスの定理ぐらいだが、定まったことという意味で使いがちだし、僕も使ったかもしれない。
 ウィキでは、パスカルの原理である。
 コメントをしてくれた方、ありがとうごございました。これで今後不用意に定理と言わなくなるでしょう。
 さてそのパスカルの法則だが、最新ダイビング用語事典(日本水中科学協会編)では、
パスカルの法則 流体内の圧力の伝達
「気体は圧縮されるが液体は圧縮されない。圧縮されないから容積は変えずに、加えられた圧力と同じ圧力になる。密閉した容器内の静止流体の任意の一点に圧力を加えると、容器内の液体のすべての部分が、加えられた圧力と等しくなる。つまり、容器内の液体すべてにその圧力が伝達される。」
ちょっと固い。今度の潜水士参考書の囲み記事で、
「地球上にあるものは、形のあるもの(固体)と形のないもの(流体)に分けられます。さらに流体は液体と気体に分けられます。形のあるものは形が壊れますが、形のない流体は壊れません。流体は形がありませんから、容器に入れなければ手にすることも扱うこともできません。水はバケツに入れて運びますし、空気は高圧容器、ボンベに入れて運びます。気体は圧力をかけると小さくなります。小さな容器の中に圧縮して大量の空気を詰め込むことができます。圧力を取り去ると元の大きさに膨張します。一方、液体は圧縮することができません。圧しても元の大きさのままです。圧縮されないので、圧している力と同じ圧力になります。これがパスカルの法則です。水面近くの水は、どこをとっても、大気圧と同じですし、水深10mの水は、どこでも、すべて2気圧(水の重さ+大気の重さ)になっています。水深計がどちらを向けても同じ水深を示すのはこのためです。
 ビニール袋の中に水を入れて、100mに沈めます。袋の大きさは変わらないで、袋の中の水は、11気圧になっています。人間の体を液体の入った袋だと考えると、100m潜ったダイバーの体の中の液体、つまり人間そのものが11気圧になっています。」
 
 「圧力が伝達される」という表現と、「同じ圧力」になってしまうという表現のちがい、圧力は伝達されるものだから、これで良いのだろうが、こういう表現をしている資料はないので、これでよいのか、ちょっと心配になった。ダイバーは水中にいるから、すなわち圧力の中にいて、耳などに圧力を生で感じているから、伝達されるという表現よりも、同じ圧力になったという表現の方が親しみやすい。
 これとは別に、重いものを持ち上げる油圧ジャッキなどで、油圧ポンプを動かしていると、液体も圧縮されているように感じてしまう。
 ところでウィキを見たら、「パスカルの原理(英語:Pascal's principle)は、ブレーズ・パスカルによる「密閉容器中の流体は、その容器の形に関係なく、ある一点に受けた単位面積当りの圧力[1]をそのままの強さで、流体の他のすべての部分に伝える。」[出典 1]という流体静力学における基本原理である。」

0327 正論

 今、一番関心の高いこと。これは全国民ほぼ同じだろう。放射能汚染、中国との争い、日本経済はどうなるのか、単純にデフレ政策で蘇るのか。僕にとっては、スポーツと体罰 

雑誌、「正論」産経新聞社 を少し前にかった。中国との争い、スポーツと体罰について書いている。タイトルを見ただけで、僕とは対極にあることがわかる。だからこそ買った。☆総力特集「日中開戦に備えよ」勝算我にあり:石原慎太郎、田母神俊雄 織田邦男 ☆「子供は体罰を受ける権利がある」戸塚宏
 雑誌として、売れそうなテーマであり商売として賢い。しかし、産経新聞、フジサンケイグループが本気にこんなことをかんがえているのだろうか。読んでみた。戦争について、僕が知りたかったことは、日本の沿岸各地に並んでいる原発のことだ。
 昨日だったか、沼津から大瀬崎に向かう道路の脇の海で小型の潜水艦が浮上するのを見た。沼津の港に入港するのだろうか、舳先が水を突き破るようにでてきて、やがて水平に浮き、中から乗組員が次々にでてきた。どこの潜水艦だろうと思った。小さい、50トンぐらいの潜水艦だった。明け方の夢で見た潜水艦だ。
 あの潜水艦がミサイルを撃ちそれが原発にあたれば、それを防御する術があるのか、それでも大丈夫なように原発は作られているのだろうか。そのことについて、なにも書いていなかった。書いていないと言うことは想定外なのだろう。想定外のことを心配しては、戦争はできない。
 戦争についての正論の記事は、ポーカーゲームのような考えで、こちらはスリーカードを持っている。中国はツーペアーで、こちらがスリーカードと知っているから、オープンしないだろう。向こうがスリーカードになると危ないから、それまでにストレートを作っておこうということだった。ストレートを作るためにはお金が掛かるが、それは、軍需産業として、中小企業にも仕事が回ってくるから景気がよくなるという。
 アジアの国々と日本とのかかわりも問題である。50年後には、日本はアジア諸国と経済的に肩を並べる、あるいは下につく。歴史について考えれば、日本は朝鮮半島、中国の一部を満州国として植民地化した。アジアの国々の国土の上で戦い、あるところでは残虐と言われる殺人をやった。人数の大小ではない、その国の歴史として教えられるようなことをやった。その国の国土の上で戦った。日本の国土の上での戦い、本土決戦は無かった。沖縄については、戦争中の軍隊が本土と同じ意識をもっていたかどうか疑わしい。歴史的必然といえばいえるだろうが、それは日本の歴史であり、植民地化された国の歴史では必然ではありえない。もしも、日本が人間が棲めない国になったならば、その可能性はあるのだが、日本民族は、アジアに拡散して行かなくてはならない。少なくとも戦争している場合ではない。国を守ることは否定しない。国防軍は必要であり、精鋭であってほしい。こちらからは攻撃せず、攻撃されて死んでゆく覚悟ができた精鋭であってほしい。それで、日本が世界の国から称賛されるならば、日本は勝ちだ。
 戸塚さんについて、昔の彼の書いたこと、人間、12歳までに死ぬ思いのシュミレーションが必要という意見には賛成だった。彼は正しかったがアシスタントが暴走したのだと僕は思っていた。しかし、これを読むと、やはり、彼も暴走していたのだとわかった。年をとり、穏やかな顔になるかとおもったが、前よりも人相が悪くなっていた。
 野口健という人も体罰賛成の論陣を張っている。この人、子供たちのキャンプをやっていて、スノーケリングだがスキンダイビングもやっていたと思う。
 しごき、体罰について、このごろ考え続けている。日体協から、指導員のための機関紙、スポーツジャパンが送られてきて、当然だけど、体罰禁止のキャンペーンのようだ。

 

0402 原始的なマスク式潜水機

フェイスブックに書いた。
テープの取り込みをやっていて、インドネシアの宝探しのテープをみていた。simple is best というけど 、これは僕が一緒に潜った潜水機で最もシンプル。マスクにホースがついているだけだ。現地ダイバーはこれで30mまで来る。
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その反応
「まさかの鼻呼吸、ある意味興味ある~」
実は潜水は鼻から呼吸が多かった。一世を風靡した大串式のマスクは口の歯で弁を噛んで開き、マスクの中に噴出する空気を鼻から呼吸した。伏龍特攻の潜水機も鼻から吸って口から排気管に息をはいた。口から吸って口に吐くのはスノーケルの使用以来のこと
「Simple is the best.という言葉もありますが...怖いと思うのは私だけでしょうか...?」
 機械は複雑になり部品点数が増えるほど、故障の確立も高くなり、メンテナンスも時間とお金がかかる。マスクとホースだけの潜水機は壊れるところがない。もっとも安全な潜水機かもしれない。インドネシアは広大な海洋国家で、島々にすんでいる漁師は本格的なウミンチューである。主にナマコを獲るのだが、小さな漁船に乗って、島から島へ、漁場を変えて漁をする。一か月くらいもどらない。魔水とお米だけを積んで、獲った魚とごった煮の雑炊をたべてすごす。
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「つまらん突込みで恐縮ですが、ひょっとして 自転車の空気入れか、
足踏みポンプとか、使ってそうな匂いを感じますが、実際には 如何なのですか?」
漁船はディーゼルで走るから、コンプレッサーも廻して、大きな貯気タンクから、4本も5本もホースを出して潜る。マスクにホースだけの潜水機はフリーフローの潜水機だから、手押しポンプではむしろ無理。空気袋が付いた日本のマスク式(旭式)は、自転車の空気入れの兄貴分ぐらいのポンプで潜れるように工夫をこらしたせんすいきだった。
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ところで、宝、この場合は陶磁器だが、ジェットで砂を吸い上げて掘る。インドネシアのマスク式ダイバーは、オーバオールを着て、ビニールの靴を履いて潜る。陸でもこのかっこうだ。しかし、彼らはマンディ、水浴びが好きで、真水の水浴びができないと反乱がおきる。重いタンクを背負ったスクーバダイバーよりも、動きが軽く効率がよい。かれらは、スクーバタンクは使おうとしない。
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ちなみに、サルベージボートは400トン、タンクの充填はコックをひねればできる。再圧室も積んでいるが、ちょっとした減圧症に日本人のチーフがかかったが、再圧室がめんどう、水もあたたかいので、ステージを降ろして、3時間ぐらいのふかしをやって直した。

 2001年 インドネシアでの宝探しの撮影をしたテープだ。ディスカバリーチャンネルに売り込んで、テストテープを撮りに行った。その時、僕の預金通帳はゼロに限りなく近く、これが起死回生だった。しかし、現地に到着した時、プロデューサーから断りの通知がきた。東京のこちらのマネージャーが、僕は実費がでれば、あとにつながるのなら、サンプルテープは高く売らなくても良いといっておいたのに、しっかり請求してキャンセルになったものらしい。相手は、僕が言っていた金額と大幅に違ったので、不信感をもったらしい。だから、実費もでなかった。しかし、今このテープを見ると、迫力がある。これを見てNHKが特番にしたいと言ってくれた。宝探しに賭ける男、宇野澤徳太郎のヒューマンドキュメンタリーで売り込んだ。これならば、宝がでなくても成立する。しかし、その企画が進行している時に、宇野澤がガンにたおれて死んでしまった。今はもう、テープは夢のかけらだ。
 ディスカバリーチャンネルで、潰れたサンプルテープのディレクターは、羽仁進さんの娘で、羽仁未央さんだった。彼女は今どうしているだろう。そして、すごいダイバーだった宇野澤の息子さんも、この話は、HP須賀次郎の潜水にも書いている。

0405 今年のフォーラムについて

2013年のJAUSは、9月の前半に60名ほどを集めるフォーラム、と年を越して1月の後半に150名を目標にするシンポジュウムを開催する。その2回とも、発表の内容を研究会報告書にまとめたものを発行する。これには、遠方とか多忙とか諸般の事情で発表ができなかった投稿も掲載した論文集とする。
 印刷物は、お金もかかるし郵送の手間がかかるので、メール便による電送だけで終わらせようかと考えたが、やはり紙にしなければだめという意見が強く、電送と郵送の二本立てになった。研究会の内容として、次のような案をだした。
 ☆ 9月 7日もしくは8日(日曜)
今回のメインテーマ「スキンダイビングによる水中活動」
 1.水圏環境リテラシー実習 
   東京海洋大学が一年次海洋実習として行っている、カヤック&スキンダイビングについて
 2. スキンダイビングの安全 
  ①ブレスホールドの安全について
   長く、深く潜ることについての生理学
  ②耳の障害について 
外リンパ瘻(内耳の障害)について

☆「なぜ、どうして事故が起こったのか、実例とその後について」について
今後のこのテーマの展開について、の実例発表
  各テーマ1時間ずつ、合計4時間を予定

 しかし、理事会で、これだけではだめだと言われた。会員のそれぞれが発表したい意見、研究成果、写真などを持っているはずだ。それを広く発表し、世に出すことがJAUSの役割だ。という。発表は短い時間であっても報告書がきちんと作られるならば、いい。場合によっては、ポスター展示だけでも良い。これこそ、学会のスタイルだ。残念ながら、ダイビング界には、そのような文化がない。だれも発表してくれないのではないかと反論した。しかし、それだからこそ、それをやらなくてはいけない。と言われた。早稲田大学教授の中尾先生の意見である。
 そこで、もう一つ加えた。

 自由研究発表 公募  
 EX.
メーカーの発表であっても良いし
 ツアーの発表 遊び方の発表
 ちょっとした工夫
 撮影の結果、スライドショウでも可
 ただし、事故例の発表は、次の「なぜ、どうして事故が起こったのか、実例とその後について」に吸収する。

 考えてみれば、2013年の研究会で並べたテーマは、僕が発表したかったテーマであり、僕が知りたいテーマである。他の会員のだれもが、自分の視点からのテーマを持っているとすれば、「今の若い人は、みんな驚くほどプレゼンテーションが上手です。」と中尾教授はいう。とりあえずは、フォーラム、シンポジュウムの時間の三分の一を公募する発表で埋めようと思う。もしも、集ま等ないとすれば、三分の二の部分を少し膨らませれば大丈夫だ。
 とにかく、公募して、研究発表をしてくれる人を捜さなくてはならない。そして、研究会の運用も、若い人たちにまかせてしまいたい。と言う結論で、4月23日 1900から吉田さんのレクチャールームで発表してくれそうな人、この発表をうまく司ってくれそうなメンバーを集めて、ミーティングをやります。何かテーマを持っている人、持っていなくても、運営と発表に興味を持っている人、ぜひ、集まってください。おいでください。
 発表テーマのある方、jaus2010@gmail.com にメールしてください。

0405

2013年のJAUSは、9月の前半に60名ほどを集めるフォーラム、と年を越して1月の後半に150名を目標にするシンポジュウムを開催する。その2回とも、発表の内容を研究会報告書にまとめたものを発行する。これには、遠方とか多忙とか諸般の事情で発表ができなかった投稿も掲載した論文集とする。
 印刷物は、お金もかかるし郵送の手間がかかるので、メール便による電送だけで終わらせようかと考えたが、やはり紙にしなければだめという意見が強く、電送と郵送の二本立てになった。研究会の内容として、次のような案をだした。
 ☆ 9月 7日もしくは8日(日曜)
今回のメインテーマ「スキンダイビングによる水中活動」
 1.水圏環境リテラシー実習 
   東京海洋大学が一年次海洋実習として行っている、カヤック&スキンダイビングについて
 2. スキンダイビングの安全 
  ①ブレスホールドの安全について
   長く、深く潜ることについての生理学
  ②耳の障害について 
外リンパ瘻(内耳の障害)について

☆「なぜ、どうして事故が起こったのか、実例とその後について」について
今後のこのテーマの展開について、の実例発表
  各テーマ1時間ずつ、合計4時間を予定

 しかし、理事会で、これだけではだめだと言われた。会員のそれぞれが発表したい意見、研究成果、写真などを持っているはずだ。それを広く発表し、世に出すことがJAUSの役割だ。という。発表は短い時間であっても報告書がきちんと作られるならば、いい。場合によっては、ポスター展示だけでも良い。これこそ、学会のスタイルだ。残念ながら、ダイビング界には、そのような文化がない。だれも発表してくれないのではないかと反論した。しかし、それだからこそ、それをやらなくてはいけない。と言われた。早稲田大学教授の中尾先生の意見である。
 そこで、もう一つ加えた。

 自由研究発表 公募  
 EX.
メーカーの発表であっても良いし
 ツアーの発表 遊び方の発表
 ちょっとした工夫
 撮影の結果、スライドショウでも可
 ただし、事故例の発表は、次の「なぜ、どうして事故が起こったのか、実例とその後について」に吸収する。

 考えてみれば、2013年の研究会で並べたテーマは、僕が発表したかったテーマであり、僕が知りたいテーマである。他の会員のだれもが、自分の視点からのテーマを持っているとすれば、「今の若い人は、みんな驚くほどプレゼンテーションが上手です。」と中尾教授はいう。とりあえずは、フォーラム、シンポジュウムの時間の三分の一を公募する発表で埋めようと思う。もしも、集ま等ないとすれば、三分の二の部分を少し膨らませれば大丈夫だ。
 とにかく、公募して、研究発表をしてくれる人を捜さなくてはならない。そして、研究会の運用も、若い人たちにまかせてしまいたい。と言う結論で、4月23日 1900から吉田さんのレクチャールームで発表してくれそうな人、この発表をうまく司ってくれそうなメンバーを集めて、ミーティングをやります。何かテーマを持っている人、持っていなくても、運営と発表に興味を持っている人、ぜひ、集まってください。おいでください。
 発表テーマのある方、jaus2010@gmail.com にメールしてください。


マリンダイビングフェアー1

 4月のマリンダイビングフェア2013年は5-6-7で、自分では人の多いところに行くのは、とちょっと抵抗があるのだが、そんなことを言いながら、出かけてゆく。
 5日はパスして行かなかったが行くべきだったとおもっている。沖縄から井上慎也君が出て来ていて,逢うとすれば5日の初西しかなかったのに、やや風邪気味で、やめてしまった。6日と7日は、彼が会場でトークをする時間帯に行かれず会えなかった。
 6日は、石川さんと同行、10時少し過ぎに到着したら、人が並んでいるので、帰りたくなったが石川さんに「ここまで来て」とあきれられて、パスをもらってきていただいて、並んでいない上の階から入ることにした。
上の階は、世界のダイビングポイントの並び、フェイスブックで友達にさせてもらっているブルーコーラルのヒロさんのところにたちより、高齢のダイビングについて、ひとくさり。タオ島の増子さんに挨拶、最初の出会いがテレビ朝日のディレクター時代で、次が千葉のビッグドック、そしてタオ島、三段跳び人生について少しだけ語る。僕はまだ、タオ島にいっていない。残り少ない潜水人生のうちに行けるかどうか、行ける方向をさぐることにしよう。
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 ブルーコーラル
     
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 増子さん

フィリッピンのブルーコーラルにしても行かれることの検討にとどまる。ブルーコーラルは、およそ20年前に創業で、老舗だけれど、僕が水曜スペシャルの川口探検隊でフィリッピンに何回か行ったのは、それよりももっと前だったかもしれない。
 他のところも同様で、行ったところはたくさんあるが、すべて時の移り変わりを感じる。
ダイビングフェスティバルの時代に、チュークのキムオさんとチェニーが来ていたのは何年前だろうか。
 下に降りて、やはりカメラのゾーン、オリンパスが一番入口に近く人が多い。次にフィッシュアイのコーナーで、大きな一眼のハウジング、こんなものを持って水に入るやつの気がしれないとおもっていたのですが、昔僕が振り回していた70キロ級のビデオカメラに比べれば、ごくごく小さい。それでいて、動画も、昔のビデオカメラよりもよく撮れるというのであれば、やはり魅力がある。仕事があれば買うだろうなと思った。
 
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 社長の大村さんと話をする。大村さんに、何をお使いですかと聞かれて、フィッシュアイのハウジングで、キャノンのデジタルXにフィッシュアイの1000ルーメン、イノンのストロボのセット、二つもフィッシュアイを使っている。毎度ありがとうございますと言われても、このシステムで僕の撮影には足りているので、新たに買い予定はない。
 回っていって、マリンダイビングの
 舘石さんの写真展のコーナー、僕と一緒に潜って100mの写真があった。あまりにも大きい写真だから目につかないで通り過ぎたのだが、山之端さんに教えてもらって見に行った。つい数か月前、舘石さんが亡くなってから、月刊ダイバーに同じ写真を載せた。
もう一度ぐらい、しみじみと話をしてみたかったと思っている。
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 午後は、お茶の水の医科歯科大学に日体協の指導員資格の更新のための講習に行く予定になっている。大阪の山本進さんと同行することになった。なにか食べて行かないとおなかがすいた。通り道のケンタッキーで食べる。
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 研修会は、わかりやすい話だったが、それにしても、今頃の研修会は、講演のスライドのPPをレジュメで配るくらいのことは、どこでもやるのに、資料がお粗末だった。お粗末というよりも無い。
 7日は、フェイスブックで親しくなった岐阜の井筒さん夫妻と会食の予定、会食まで、30分ほどあるので、またカメラのコーナー、またまたフィッシュアイに行き、池田さんからライトの説明をしてもらう。
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 FIX neo とてもいいライトだ。最新ダイビング用語事典にも書いたけれど、人工光は、ライトの時代になりつつある。しかし、これも、今の僕のシステムでとりあえずは、いいから、故障しなければ買い換えられない。
僕が撮影機材を水洗いしない理由。あまり長もちされると、時代遅れになった博物館行きになってしまう。しかし、ライトだけは、何時までも、壊れるまで使うから、水洗いしよう。ストロボは束になってころがっている。フィルムのニコノスのときの105が4台、使える状態で転がっている。ライトならば、今でも使えているはず。
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井筒さんとの会食は、サンシャインの59会、初対面なのに、親しい友達のような気がする。フェイスブックの友達だからだろう。80-80プロジェクト、僕が80歳で80m潜る計画について、話し、そのコンセプトの参考の動画を渡した。長話をして、岐阜に戻る新幹線がぎりぎりになってしまった。

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そのまま、石川さん宅に行き、高野さんの歓迎、杉原の博士合格、海洋研への所属決定、倉田君の年齢、三つの祝賀会をまとめた。出席者、メインゲストの高野さん、芝浦工大の足立先生、米沢君、倉田君、鉄人鈴木(石川さんの付けたニックネームで、僕の水中での生命維持装置の人)、博士になり、本来の元気をとりもどしたのだろう杉原奈保子とその旦那、アロハのマークを付けた斎藤真由美、あとから東大の小久保博士、吉田理事、吉田さんがC-カードを発行したVカードダイバーの三宅さん、が参加、
足立先生に僕の80-80の計画を話して、協力を依頼した。80まで生きられるかどうか微妙だが、とにかく布石はしておかなくてはいけない。
宴終了ご、米沢、倉田、石川、小久保で今年のプライマリーコース実施計画について相談。
石川さんのおかげで、このような宴、話し合いが持て居ることにお礼。

0412 潜水士受験参考書ー1

 
 北海道、札幌、ポセイドンの工藤君と潜水士の参考書を書きはじめた。ポセイドンは、潜水屋としては、かなりの大会社だが、その始まりの頃から、ささやかなつきあいはある。
 そして、工藤君は北海道一円の専門学校、大学、漁業組合などで潜水士の受験講習をやっている。ダイビングについてはNAUIのコースディレクターだ。
 僕は、東京で20年近く潜水士講習の講師をやっていたが、辞める羽目になった。悔しいので、研究して、別の講習会を立ち上げようかとも思っている。
 さて、そういうことで、このテキストを書き進めながら、余分なことをブログに書いてゆこうと思う。
 潜水士の国家試験は、それほど難しくない。数日間の勉強でだいたいの人が受かる。
 だから、要領と、過去問の回答を中心にしたテキストを作れば、この本を読めば受かるということになる。そういう、簡単なテキストを企画して書き始めた。しかし、考えてみるとせっかく受験勉強をするのだから、合格するだけではつまらない。合格するとともに、潜水全般について必要な知識を習得したい。知識の習得には試験が一番良い。
 大体において、潜水についての物理学、生理学、化学、潜水全般の広い知識などは、実際の潜水には不要である。だから、初心者講習での講義内容などは、たちまち忘れてしまう。
 
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       アクアリフター 浮き袋で人工魚礁を持ち上げる。
       スクーバダイバーによる作業


 今、ダイビングを始めるために必要な知識は、Cカード講習で得られることになっている。ならば、Cカードを持っていれば潜水士の試験も受かるはずだが、全然そんなことはない。潜水士の潜水とレクリエーショナルダイビングの世界はまったく別のせかいである。では、まったく別の世界として互いに触れなくて良いならば、結構なことだけれど、潜水士の資格を必要とする業務とは、法令の定義として、業務の分野や作業の種類などは特定していない。レジャー業務でも、警察、消防などがおこなう捜索や救難潜水、軍事潜水、水産・漁業の潜水などすべてが、業務である条件を満たせば、業務とされる。つまり、潜水業務にはレクリエーショナルダイビングも含まれるのだ。一般のレクリエーショナルダイビングでは、お金を払うお客様であり、業務にはならない。ところで、そのお金をいただく方は、業務になる可能性が高い。ダイビングリゾートやショップでスタッフをすれば、それはもう完全な業務になる。最近、レクリエーショナルダイビングでもプロの資格というのがあって、人気があるらしい。仕事にしなくても、プロと言われたり、名乗ったりできることはカッコいい。このレクリエーショナルダイビングのプロが、作業潜水をするとは思えないが、それでもどこかのスタッフとかお手伝いをする可能性は少なくない。また、本職のプロでもレクリエーショナルダイビングから入って行った人も少なくない。クロスオーバーしてしまっている。
 このことは悪いことではないと思うし、悪いと言ったところで、日本の法律がこのクロスオーバーに網をかけてしまっている。ところで、ダイビングの実態の方はクロスオーバーしていても、規則の方はまったく別、その運用については、旧態依然としたままだ。
 この受験テキストを書くことで、この溝が埋められないだろうか、と志を立ててみたが、スタートしてみると、限られたスペースの受験本の中ではとても無理、とわかった。しかしながら、その志の視点から書いた本ということはできる。またこの溝を本の中で、幾分なりとも明らかにすることもできる。そこにある溝が理解できれば、受験も合格するのではないだろうか。今回は、たぶんここまでだろう。そして、溝を明らかにできれば、埋めるための努力もできるようになる。それは、僕たちのやっている日本水中科学協会の仕事として取り上げてゆくつもりだ。

 
 ここからしばらく、受験本を書きながら、派生的に考えたこと、本の下書き、あるいは本に書けなかったことなどをこのブログに書いてゆこう。

0413 潜水業務

 桜が散り、若葉になりかけたと思ったら、牡丹が満開になった。
 江東区牡丹町の牡丹園だ。


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 牡丹とは全然関係ないが、このところ読んだり書いたりしている潜水士のこと。
潜水業務について 
 潜水士を持っていないとできない潜水とはどんな潜水なのだろうか。自分はレジャーでダイビングを楽しんでいるのだから労働業務ではないと思っている人が多いだろう。もちろんそれで良いのだが、最近ではレジャー、ダイビングとプロのダイビングの境界がぼやけてきている。レジャーの終点、レジャーダイバーの目指すところはプロらしい。それはそれで悪いことではなくて、僕の目指しているところと、少し違うが、方向としては一致する。僕はダイビングを本気でやるならば、それはすべてプロであり、ただ、お金をもらう業務なのか遊びなのかという点での差があるだけだと思っている。そして、遊びだろうが仕事だろうが、ダイビングは同じように危険である。また、遊びでやっているつもりであっても、いつの間にか業務に足を踏み入れていることもあるし、副業として業務を行う場合もある。では業務とはなんだろう?
 まず、業務とは、報酬を受けて継続的に行う作業のことと定義される。そして、潜水業務とは、「潜水機を用い、かつ、空気圧縮機もしくは手押しポンプによる送気またはボンベからの給気を受けて水中で行う業務」と定義されている。
 報酬を受けて、というが、報酬とは何なのだろう。謝礼は報酬だろう。お車代、交通費は報酬だろうか、ご飯を食べさせてもらうのは?この辺りは微妙だが、時給いくら、とか日給いくらとか決めて支払われれば、アルバイトであっても報酬だろう。継続してというのはどうだろう。毎週一回とか、月に一回でも数か月に渡れば継続とみなされるだろう。
 ダイビング業界で一番問題になるのは、ショップとか、現地ダイビングサービスでのスタッフだろう。レジャーダイバーもプロコースを受講してプロになると、ガイドダイバーを任せられたり、ツアーの引率をしたりする。これもケースバイケースではあろうが、プロの業務だとみなされても、違うとは言い切れない。労働基準監督署に聞きに行ったら、藪蛇になるのではないかという恐れがある。しかし、だいぶ前の事例になるが、スイミングスクールの水泳のコーチが、ダイビングのアシスタントをしていて、ダイビング事故で亡くなったことがある。スイミングのコーチだったから潜水士の資格は持っていなかったし、たまたまやったことであり継続的ではないからと申し開きをしたが、受け付けられずに書類送検された。
 業務であったとして、潜水士を持っていたらそれで良いかというとそうではない。レクリエーショナルダイビングの場合、もしも、事故が起こって循環器障害がその人にあったとすれば、お客様であれば、ダイビングショップ、サービス側の責任ではないということで、一安心する。しかし、それが業務であれば、逆転する。なぜ、そのような人に危険な業務である潜水に従事させていたかということになる。事業者は、一年に一度の定期健康診断と、それとは別に半年に一度の潜水士の特別健康診断を受けさせておかなくてはならない。健康診断の結果が悪くて、医師の注意を受けていたとする。50歳以上の人ならば、たいてい医師が注意する事項が一つや二つはある。それでもプロの場合は、潜水しなければ収入が得られないから、あえて潜水作業をおこなう。その場合、本人が知っていてあえて仕事をさせてもらっていたとすれば、事業主は、労災保険とか、法律に定められている保険以外の責任は負わなくても良いと考えている。高齢化社会を迎えて、例えばヘルメット式の作業ダイバーなどは、60歳を超えた人が多くなり、仕事ができなくなってしまう。土木建設業には、一人親方という制度があり、自分が事業主であり、かつ雇用されている労働者である場合の取り決めがある。自分が訴える側であり、かつ、訴えられる側になる。

 かなりハードな話になってしまったが、高気圧作業安全衛生規則は、労働者の健康と安全を守る労働安全衛生法に基づいているものであるから、ただ潜水士の資格を持っていれば業務に就けるというものではない。健康診断とか労災保険とか、もろもろの手続きを経て、業務に従事できる資格である。だから、業務に従事するためには必須の資格であるが、業務に従事しなくても一向にかまわない。ただ、自分のダイビング活動が業務であるかないかは、明確に認識していないといけない。

0415 simple

機械、道具の類は、シンプルな方が良い。simple is best であると習った。ただし、その用途、目的を完全に果たすことができればであるが。シンプルな方が故障が少ないし、価格も安くできる。修理も容易であり運用の費用も少なくて済む。
 しかし、多くの機械、道具の進歩の方向は複雑化である。潜水機も同様で、エレクトロニクス、電子化、そして精密化である。そして、その安全保持といえば、精密化された道具が壊れた時に、予備的に使うシンプルな道具にたよる。つまり呼吸期供給を二つの経路から供給する、ツーウエイに頼る。現代のもっとも進んだ潜水機が安全である理由は、二つの方法で呼吸気体の供給を受けられるからである。
 機材は複雑化し、高価になり、複雑化しただけ故障の可能性が高くなり危険度が増す。そしてどんどん重くなる、複雑化と重量は正比例する。
 今、スポーツリブリーザーが注目を集めている。僕が手に取ってみたのは一種類だが、やがてもう一種類、さらに増えてゆくと思う。それぞれ高価であり、危険については、二つの給気原を持って行くから、安全性は低くないが、重くなり、高価である。例えば、今、40mにスポーツリブリーザーで潜ろうとする。機材とメンテナンス費用、手間、どのくらいかかるのだろう。機材の購入費まで含めれば、年間およそ100万をダイビングのために使える人でないと、できないだろう。僕が、今度のGWに大瀬崎に行くけれど多分、40mまで潜ると思う。普通の空気のスクーバで潜る。それと、スポーツリブリーザーで潜るのとの差は、多分、無減圧で潜れる時間の差だけだろう。僕のオープンサーキットでの40mは、タッチアンドゴーであり、それで良い。
 スポーツリブリーザーに反対しているのではない。複雑なシステム、複雑な機構を使いこなすことは、とても面白いし、それは、ダイビングの楽しみの重要な要素であるから、それで良い。つまり、遊びとして楽しく面白い。しかしプロのダイバーが、この機材を仕事に使うことは決してないだろう。だからスポーツリブリーザーなのだ。
 プロのダイバーがリブリーザーを使うとすれば、水深60m以上に潜ろうとする時、例えばオープンサーキットのタンクを5本抱えて行くよりは、軽くて、経済性も高いからだ。しかし、それにしても、60mより深く潜る仕事としても、リブリーザーが費用対比効果があるのは、やはり特別なさつえいとか、特別な仕事である。しかし、その特別な仕事でも今のリブリーザーの使い方は、やはりプロ(作業)向きではない。そのことについては、考えがあるので、そのうちに実験してみたいができるかどうか疑問?
 プロの潜水機としては、やはり、使用する目的が効率的に達成できて安全性が保たれるならば、シンプルな方が良い。
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 つい最近に紹介したが、インドネシアの海鼠採り漁師は、マスクにホースを突き刺しただけというこれ以上簡単な潜水機はないというくらいシンプルな潜水機を使っている。これで、小さなコンプレッサーと予備タンクで3人ぐらいのダイバーが水深20mぐらいまで潜る。もちろん熟練は必要だろうが、一般のC-カード講習よりも少ない時間数で習得できて、安全性はスクーバよりも高いように思える。フィジカルな熟練だけで、あとは何も考えなくても良いから、海鼠採りに集中できる。一人の熟練ダイバーよりも人海戦術のような漁をやっていた。6-7人が漁船に乗っていて、2-3人が交代で次々に潜る。もちろん暖かい海ならではだが。海鼠を採るにはこれが一番効率が良くて安全だろう。もちろん、安全とは比較の問題だから、事故はおこっているだろうが。

 旭式マスク、という軽便潜水機がある。浅利熊記という水産講習所(今の東京海洋大学の前身である東京水産大学のさらに前身)の先輩が、自転車の空気入れで潜れる潜水機を目指して開発したマスクである。
 
 今日の昼、このブログを書いたら消えてしまってがっくりきた、書き直しで疲れたので、ここから先は、続く

0427 マスク式ー2

 旭式マスク、という軽便潜水機がある。浅利熊記という水産講習所(今の東京海洋大学の前身である東京水産大学のさらに前身)の先輩が、自転車の空気入れで潜れる潜水機を目指して開発したマスクである。後に浅利さんと共同してこのマスクを作り上げた佐藤さんという方が旭潜研という会社を作ってこれを販売したので、浅利式が旭式になっていたた。
 自転車空気入れのポンプを少し大きくすれば、ダイバーの一回呼吸量を押し出すことは可能である。しかし、ダイバーが吸い込む時と、ポンプを押すタイミングが合わなければ、つまり、押している時にダイバーが吐いていれば、押し出した空気はそのまま流れ出てしまって呼吸できない。流れ出ないように、空気をためておく袋をマスクに取り付けることを考えついた。これによって、自転車空気入れよりも二回りくらい大きいが、とにかく小さなポンプで潜れるようになった。
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 旭式マスク、空気嚢の大きさもいろいろあった。
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 このポンプでどのくらい深く潜れるかと言うと、押す力さえ大きくすれば、かなり深くまで潜れる。ダイバーが肺に吸い込む量は、深くても浅くても変わらない。圧力が高くなるだけだ。圧力とは、押す力だから、ポンプを押す力が必要だ。ポンプが壊れない限り、この小さいポンプでも4人で押せば、30mくらいは潜れたはずだ。一人でのんびり押して、10mくらいだ。力のことを何馬力と表現するが、何人力ともいう。
 本格的に深く潜るためには、自転車ポンプでは無理で、大きな天秤型の手押しポンプを使う。手押しポンプの両側に丸太を付けて、片側6人、12人ぐらいで押せば、60mぐらいまで潜れるはずだ。
 しかし、ポンプを押すのは激しい労働だから、たちまち疲れる。疲れて押すのをやめれば、ダイバーは一巻の終わりになる。3交代、36人で押す。まるで、御輿担ぎのようにして押す。
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 コンプレッサーの時代になると人手は少なくて済むようになったが、やはり圧力の高いコンプレッサーは吐出量が小さい。深く潜るためには、高圧タンクに充填したものを使うようになる。
 ところで、旭式、空気嚢のついたマスクは深海用ではない。深くても、20mとまりだ。効率が良いのは10m前後である。
 この旭式がもっとも多く使われたのは、サケマス独航船漁業だった。今ではもうこの形でのサケマス北洋漁業は、日ソの関係で出来なくなったしまった。昭和63年を最後に中止されるが、最盛期はこれが北海道の花形だった。独航船は母船に付いて行く約30トンの小舟で船団を組んで函館の港をでて行く。漁期を迎えると、いくつもの船団、合計では1000隻をくだらない船が出港して漁場に向かう。長期間、漁期いっぱいの別れ、しかも生きて帰れる保証はない北洋の厳しい海だ。妻子、港の女が涙で手を振る。スピーカーのボリュームいっぱいに上げて、演歌を流して船はでて行く。漁師になりたいと思うのが出船と入船の時だ。
 その独航船は流し刺し網という漁法でサケマスを捕る。水面に長い長い網を流すのだ。その網が船のスクリューに絡む。漁師が潜水して、切りほどかなければ遭難だ。そのための潜水器として、旭式が指定されていた。冷たい北洋だから、ヘルメット式と同じような潜水服を着る。スクリューのある水深は5m以下だから、手押しポンプで十分だ。
 旭式は、伊豆七島、伊豆半島などの漁業にも使われている。テングサ採り、神津島でのタカベ建て切り網は、網を張り巡らして、潜水して魚を追い込む漁で、これにも旭式が使われた。
 旭式は、磯根の調査をする研究者の使う潜水機でもあった。
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         学生の実習

 1953年にアクアラングが紹介されるまで、東京水産大学の潜水実習は旭式で行われた。水産大学の小湊実習場の磯の岩の上に、潜水台と呼ばれるコンクリートの台地が作られていて、この上に手押しポンプを置いて潜水する。1954年に潜水の実習にアクアラングが採用されたとたんに事故が起こり、二人が日本最初のアクアラング死亡事故で亡くなった。マスク式だけのままであれば、死亡事故はおこらなかっただろう。僕は、その翌年1955年に水産大学に入学するが、以後の潜水実習がまたマスク式に逆戻りするのではないかと心配した。
 僕たちの実習も、まず最初はこの旭式マスクで始まる。ホースでつながれているから、どこかに行ってしまう心配がない。1954年の事故は、遠くへ泳ぎだしていってしまったことによる事故だった。
 旭式は、鼻をつまむことが出来ないから、唾を飲み込むというオーソドックスな耳抜きを覚えなければ潜れない。
 旭式は、顔にマスクをしっかりと締め付けておかないと、送られてきた空気が空気嚢に入らずに、圧力差で上に逃げてしまう。丸顔の人は良いが、とんがった顔の人は、マスクを思い切り強く縛り付けられるので、顔が変形するほど痛い。丸顔の、軽便マスクに合う顔のことをケイベンヅラと呼んだりした。
 やがて、小さい効率の良いコンプレッサーが普及すると、これが手押しポンプに取って代わる。空気の量が十分になり、呼吸嚢が不要になった。呼吸嚢を取り去り、顔のあたりを柔らかくして、排気弁も取り去り、意識的にマスクの縁から魚の鰓のように空気を逃がす、鰓式マスクともいうべき海王式(金王式)が出来て、人気を二分するようになった。そのころ(1960年代)伊豆の漁村に行くと、ここからここまでは旭式の部落、ここは海王式の部落と地図分けができた。
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         海王式 鰓型マスク


 海王式は、ホースの空気をマスクに入れるだけという意味で、最初に紹介したインドネシアのマスクに近づいている。
 旭式も海王式も深く潜る潜水器ではないが、マスク式はヘルメット式に比べて、空気を消費する内容積が小さいので、より深く潜れる。
 次は深く潜るマスクについて述べる。
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