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Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
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0120 1967年 日本潜水会 2

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さて、寄り道をしたが、ここからがレポートになり、まず総論として、須賀が説明している。1967年、今、2017年から遡る60年前のことである。
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§ 水中で起こる事故の特質 水中で起こる事故のすべてにおいて、その最悪の結果は死である。 そして、その死の多くは最終的には溺死である。溺死そのものについては後に述べるが、ここで問題にしているのは、溺死がさけがたいものになってしまう状況に導く要因と環境である。 水中での事故は、その事故そのものが常に致命的であると言うわけではない。水中での事故の結果は、事故そのものの性格によるよりもあ、そのときに救助が直ちに実施しうるかどうかという点により多くかかっている。致命的ではない事故の場合に、陸上においては、傷害を受けた者を、救助の手が到着する間で、そこに横たえておくことができる。しかし、水中では、もし救助が直ちに得られなければ、事故者は溺れてしまうだろう。そこで、水中で起こるすべての事故は潜在的に致命的なものだと、最初からよそうしておかなくてはならない。 経験豊富なスキンダイバーであっても単独で行動することは望ましくない。 そこで事故を別の方法で分類してみた。1)経験不足による事故2)注意を怠った貯めに起こった事故 組織化された潜水において、個人を守るための多くの規制や勧告は面倒で退屈なものである。熟練者はそれを煩わしいものと見て、たまたまそれを無視する。これが事故のもとになる可能性が大きい。3)事故による事故4)他の病気による事故水中で意識を失わせるどんな病気、障害、事故も潜在的に致命的である。また水中で病状が悪化する可能性のある病気も危険である。 § 水中事故の調査 説明担当 須賀 生じた事故の細部にわたる調査検証を行っておくことにより、その事故を再び組み立ててみることができ、事故が再び生じるチャンスを少なくする知識を得られる。 潜水を科学的に探求することは、まだまだその幼少期にあたる状態にあり、資料となるどんな断片でも必要である。私達はあらゆる記録を、特に事故に関するものは、詳しい資料を残しておかなくてはならない。 クラブや協会等、潜水に関する組織は、そのメンバーを守るために、良く計画された安全規則等を持っている。しかし、水中事故の調査に関する一定の方式を持っているところは少ない。安全な潜水を目指す私達に必要な資料は、死因が溺死であるとか、心臓麻痺であるとかいう検屍官の判定よりもはるかに詳細な者が要求される。 事故の報告は死に到ったものだけでなく、すべて水中で起こったことは調査する価値がある。事故者が死んでしまった場合には、当人の説明や反省を聞くことは不可能であるが、死に至らない事故はそれができる。従って大事に至らない事故を詳しく調べることのほうが重要だとさえ言える。 私達の行った潜水の記録を一カ所に集めて分析し、重要な問題、大事になったかもしれない事故が生じた場合には、それを詳細に調べて報告書を出す(毎年一度)こうすることによって、守りにくい安全潜水の原則が守られて行くようになるだろう。 上記の目的のためにもなり、不幸にして事故が起こった時の調査資料にもなり、潜水技術上達の証拠にもなり、さらに個人的な興味の対象にもなるのは潜水日誌である。指導員、準指導員は義務として、その他の者は進級の判定資料として、一定の型式の簡単な潜水日誌を記入するようにさせたい。 ※、これがダイビングログの始まりである。不幸にして、提案者の自分がこのログを付ける習慣を持つことができなかった。 潜水日誌の最小限度含まれていなくてはならない内容は、潜水日時 潜水した場所、天候と海況状態、使用した潜水具、水深と潜水時間、潜水の目的 であり、もしもどんなにわずかなことでも事故に類することがあったならば、詳細に記録しておかなくてはならない。 また個人の訓練の記録、健康診断の記録は、必ず組織で保管しておかなくてはならない。 水中事故調査報告書の国際的に受け入れられる書式は定められていないが、以下のような内容は行うべきだろう。 調査は事件そのときだけの事柄に限らず、事故者の過去の履歴、潜水に関する経験、一般的な背景にまで及ぶべきである。 事故に関する回答は、以下の人から集める。1)もしも命をとりとめていれば、事故者本人から。2)事故者の友人、関係者から3)救助者、及び目撃者から4)救急処置を施した者から5)事故者を病院に運んだ救急車の乗員から6)事故者の処置をした病院の医師から7)死後検証を行った者便宜上 報告書は、事件の報告書と医学上の報告書に分けられる。 事件報告書 事故者の個人的な詳記(性別、年齢、職業、水泳、潜水の経験、健康状態をできるだけ詳しく) 事故の起こった、時間、場所、天候と海況、(真水か海水か、汽水か、水温、波浪、海流、潮流、潮の干満)事故前24時間の事故者に行動の要約、水に入る直前の行動、水に入ってからの彼の行動(できるだけ詳しく)予想される事故の原因、事故がどのようにして発見されたか、事故の合図があってから救助までの時間、救助の方法、救助の手が到達したときの状態。はっきりわかる傷害がそのときに見られなかったか、水中で人工呼吸を行ったか、救助作業中の状態、人工呼吸中の状態、一般的な外見、顔色、吐いたものがあれば、その質と量、意識があったかどうか、呼吸していたかどうか、もし呼吸していたならば、泡を吐いていたり雑音をたてていなかったかどうかに注意する。人工呼吸を続けている間の十分な詳細、人工呼吸を行った時間、その難易度、患者の反応。 潜水具の調査 潜水具を事故者からぬがせたならば、すべてのコックを閉じ封印しておく。 事故が起こった場合、その潜水具がだいじょうぶかどうか 第二のダイバーが使用して見る等、絶対にしてはならない。 ※この事故の調査方法等が、その後自分たち、日本潜水会から全日本潜水連盟にかけて行った事故調査の始まりであり、現在、まだボール箱一つほど残っている。またその記録からのまとめを、北島敏勝氏に依頼し、その統計が「1966年から1988年」として、真野喜洋先生の著書に掲げられている。

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