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Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
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1226 海に行った時の日記

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 海に行ったときは、「海に行ったときの日記」とタイトルをつけよう。 海に行くと行ってもこの数ヶ月、月例のお台場だけだ。 6時に目覚める。8時には鈴木と待ち合わせ手居る。毎度だけれど、寝起きは気分が乗らない。エンジンが始動しないうちに走り始める気分だ。  寒い。雨も降りそうだ。鈴木君は、雪も降るかもしれないと言う。ドライに着替える。山本さんは、暖かそうなインナーを着ている。水没しても寒くならないのだという。僕が寒さに震えているのに、暑いくらいだとか。買おうかな、いくらぐらいか? 4万円くらいだとか。僕のインナーは、土木作業員の着るキルティングのつなぎ、長袖だ。ダイビング雑誌で見たことがある。キルティングは、ドライのインナーには不適だと。でも、僕はこれで、流氷に潜っていた。斜里の洋品店で買ったのが最初だったかな。一緒にいつも潜っていたのは、テレビのロケでは、いつも西沢邦昭君だった。余市にいて、夏はホッケの産卵を一緒に追った。最後に一緒に潜ったのが65歳の時だから、もう15年の時間が流れた。今でも年末に「たらこ」を送ってくれる。今年も送って頂いた。もう、僕が流氷に潜ることなど、無いだろうが。 そのキルテイングの長袖ツナギの上に薄手のナイロンのセーターを着る。 少し下着が増えたので、ウエイトを増やす。ウエイトジャケットは7キロで、きまりだから、ベルトを4キロから、6キロに増やす。これ以上は増やさない。なにしろ水深が、1m、深くて2mなのだから、ウエイトは重くなる。いつもはレッグにウエイトを巻くのだが、今日は、マンティスドライフィンにした。 スプリングのストラップが付いている。 波打ちぎわで、一人でフィンを履けた。後ずさりして、膝まで入り、膝立ちになって、マスクを着ける。マスクマウントにカメラはSJにした。手持ちカメラは、TG4にワイドアダプターを付けて、イノンのライトが二つ付いたステイに載せる。フィッシュアイのライトは修理に出してそのままだ。忘れられているらしいけど、催促しない。
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 スノーケルを咥えて腹這いになった。ドライの空気を抜きながら泳ぎ始める。弁付きではないダイブウエイズの黒いただの筒スノーケルだ。素通しだから、呼吸が軽い。水面でバランスが良いので、オリンパスで動画を廻して撮りながら泳ぐ。液晶を通してみる水中はきれいだ。何もいない。マガキが元気良さそうに生きている。水深は50cmぐらいで、カメラの位置は、水深30cmにある。親指の爪ほどもないヒライソガニが、ちょろっと動いて隠れる。気持ちよく泳ぐ。このまま、目的の杭まで、行ってしまおうかとも思ったが、沈むことにした。水深は1m。スノーケルをレギュレーターにくわえ直すと、少し抵抗がある。ダイブウエイズのセカンドで、最高に軽いのだが、素通しのスノーケルよりは抵抗がある。今更のように、なるほどと思ったりする。もちろん、苦しいというレベルではなくて、数回呼吸すればなれて、気持ちよく空気が流れてくる。そう、空気が流れてくるのだ。
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          イソガニが潜んでいる。

 真牡蠣が一面に広がっている。生きている個体が多く見える。一年で交代するサイクルを繰り返して居る?のだから死に殻の方が多くて当然なのだが、勢いの良いときは生きている個体が多く目につく。勢いなのだ。牡蠣の勢いが強く、汚らしく見える付着生物が全く見えず、きれいだ。死に殻もきれいで、殻の中で動くものが。殻は、蟹や、ギンポの住まいになっている。ギンポの姿はない。小さなイソガニが隠れている。何とか殻を開けないで撮ろうと努力するが撮れない。 最終ターゲットの杭の列まで行くが、魚の姿も、イシガニの姿も見えない。 イソギンチャクがきれいだ。種類名は、チギレイソギンチャクと記憶しているけれど、記憶である。種類名はすべて記憶なのだ。本当のところは、採集して同定しなければわからない。同定は、専門家にならなければ、できない。イソギンチャクの類は、何種類もいないから、確実に覚えておけば良いのにとも思う。
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 きれいだな、と思えば、きれいに撮ろうと思う。何枚かシャッターを押す。 赤いのは猩々ケノリ、種名はカナが定めだが猩々と書くと、ああ、歌舞伎の猩々か、とわかる。しかし、これも、誰かに教えてもらった記憶だ。 イソギンチャクをきれいだな、と思うのと、公園の落ち葉のモミジをきれいだと思うのと、どうちがうのだろうと思う。潜水していることが違う。冷たい。身体のバランスをとって浮いていなくてはならない。そのことが、ものを見ることについての違いになる。のだろうか? ?マークが多くなる。 水温は水面で13度、2mの底で14度、寒くなってきた。せっせと泳いで帰ろう。 大きくて重い、マンティスドライフィンは気持ちの良いバランスだが、足を浮かしてのフロッグキックができない。できにくい。このフィンが設計された時は、フロッグキックは視界に入って居なかったのだろう。  今日は珍しく風呂田教授が来ている。正確には東邦大学元教授だ。東京湾の生き物研究に生涯を通して携わっている研究者だ。風呂田を前に出せば水戸黄門の印籠的効果がある。印籠を出しても、何も解決はしないけれど。このところ、江戸川河口の干潟に関心が移っているので、こちらにはあまり来ないが、風呂田と僕で、この潜水、東京湾水中生物研究会をはじめた。 東京湾潜水の来歴を話せば長い話になるが、 僕、須賀と、須賀潮美と、風呂田先生、三人が中心で東京湾潜水探検隊というグループを作った。風呂田が隊長で、潮美が副隊長僕が世話役となった。ニュース・ステーションの延長線上で作り、電通映画社の神領プロデューサーが応援してくれて、21世紀を前にして、東京湾の自然環境、もちろん、潜水して見る自然環境だが、それを探検しようということだった。 まず、富津岬に潜水した。東京内湾と、外湾の境目に当たる。 そして、その頃、千葉港にビッグドッグというダイビングポイントができた。千葉港駅に近い千葉港に、造船の不況だとかで造船場を止めたドッグがあった。ドッグに水を引き込んで、船が入り、水を抜いて船の修理をするドッグだ。そのドッグに水を張って、浄化装置で水を浄化して、魚も泳がせて、人工のダイビングポイントにしようという試みだった。まずまずの評判を集めていたので、とにかく行ってみようということになった。僕の記憶では、この潜水探検隊で、潮美が一緒に潜った、ただ一回のことだった。 そして、驚いたことに、その時、ついこの少し前まで、テレビ朝日のディレクターで、ニュース・ステーションにも関わりのあった増子さんが、テレビ朝日を辞めて、そのビッグドックでチーフダイバーをやっていたことだった。増子さんとは、今、タイのタオ島でダイビングサービス事業をやっていて、僕たちの間では、有名になっている人だ。 そのビッグドッグは、増子さんがいうには、水の浄化装置が予定通りに働かなくて、失敗したということだった。僕たちが行ってから半年もしないうちに閉鎖になった その時の写真を探しているのだが、どうしても見つけられない。 その東京湾潜水探検隊の行事として、お台場にも潜水して、そのまま風呂田先生と僕がお台場の潜水を続けることになり、やがて、東京港水中生物研究会になった。なぜ、唐突にそんなことを書いたかというと、つい先日、増子さんとその当時の話をしたのだった。
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 そして、僕が近くのコンビニでパンを買って、お昼を食べていると、なぜが、風呂田先生が、僕に肉まんをくれた。なぜだか分からない。あまり、最近、お台場に来ないので、そのエクスキュースだろうか。なんだかわからない。彼に食べる物を頂いた記憶もこれまでにない。がありがたく頂いた。その風呂田さんと、話し合う。「お台場もめっきり良いものが少なくなったね」「季節的にも少ないときだけれど、昔はこんなにシーンとした感じではなくて、何か賑わっていた。」「そうだね、東京湾潜水探検隊の時分よりも、ずいぶん少なくなった。江戸川の河口はどうですか」「東京湾全体で少なくなっているみたいだね。」「なぜだろう。」「わからないけれど」
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 朝、曇で雨、雪の心配をしていたのだが、日差しが射して来た。お日様がでると、嬉しくなる。ボンボンベッドを持ってきていれば、昼寝をするのだが、持ってきていない。ブルーシートの上に、カメラバッグを枕にして、横になった。何分ぐらい寝たのだろう。30分ぐらいか?仰向けの状態で目覚めて、目を開くと、雲一つない青空だ。本当に雲一つない。 朝方寒かったので、今日は一回だけの潜水と心に決めていたが、もう一回潜る気になった。海と言って、こんな海なのだが、僕が海に潜れる数少ない日なのだ。 尾島さんの奥さんが潜っている。あと、東邦大学の多留さんと海洋大学の依田くんが潜っている。時計を見ると、2時少し前だ。30分潜って上がってくれば、後片付けには間に合う。急に元気よく、潜り支度をした。今度は、フィンをドライフィンではなくて、いつものトライスターにしよう。ストラップが緩かったので、ワンノッチづつ短くした。持って入るカメラはGoPro2にした。動画を撮る。遠くまで行かないで、砂浜周りを見て回ろう。 波打ち際で、手助けなしでフィンを履いた。
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 砂地の近くにいるスジハゼを撮影する。スジハゼだけしか今日は魚が見当たらない。接近すると穴の中にパッと入る。かなりの数がいるので、撮った。ヘドロの上も撮ったが、水が濁ってしまっている。お台場は、浅い磯場は水がきれいだが、中心のヘドロ場は、何時も濁っている。濁ったヘドロの上も一周りして、上がった。 砂地に膝を突いて考える。フィンを脱いで、小脇に抱えてスックと立ち上がり、スタスタと歩いていこう。そんなイメージを頭に浮かべた。何時の昔のことなのだ。でも、やってみよう。歯を食いしばるようにして立ち上がり、よろけないように、して歩く。なんとか転ばないで、エキジットできた。

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