使用する器材は、①アルミタンク、10リットル3本セットを二組用意した。実はこの二組を接合して、6本組のガスバンクを沈めるよていである。とりあえず、3本セット、二組で使用する。②三本それぞれにバルブがついているので、その開閉でガス交換ができる。③ハルシオンのバックフロートのBCを付けて、このBCで浮力調整をする。 やや、大きさが足りないが、あったものを使っている。特別のものを設計して、取り付けられれば、良いのだが、予算が無い。★
④アルミタンクは空になると浮く、フルに充填した状態で、およそ水中重量はおよそ2キロ、?3本だから、6キロ、それが空になると浮いてしまうのだから、2-4キロのウエイトを付けるつもり。これも計算すれば正確にでるのだが、現場での試行錯誤で、運用を決めて行く。計算したところで、机上の計算は現場で修正する。⑤タンクユニットには、およそ8.5mのホースが付いていて、その先に、ダイブウエイズ社のフルフェイスマスクを付けている。このフルフェイスマスクと有線通話は、1990年代のニュース・ステーションで使っていたもので、実績がある。世界的にも、BBCの番組、映画サンクタムなどで使用されていて、性能は保証付きである。しかし、どんなに優れたフルフェイスマスクであっても、マウスピースには及ばないと思っている。60歳の100m潜水実験では、100mの最終段階では、マウスピースで呼吸した。フルフェイスマスクが怖かったのだ。一緒に潜ってくれた田島雅彦(モヤは故人)は、愛用していたカービーのバンドマスクで終始した。使い慣れなければいけない。プールではできるだけ練習したが、それでも慣熟していない。しかし、明瞭な通話のためには、フルフェイスマスクが必須であり、また、窒素酔いなどで、システム潜水では、意識を失う可能性がある深度では、フルフェイスマスクの使用が常識である。フルフェイスマスクの試用、改善もこの潜水のテーマである。
(5)実験の目指すところ①スクーバであるテクニカルダイビングとの優劣を云々するものではない。テクニカルダイビングは、すでに歴史を持っており、多数の死亡事故の上で、器材、技術の改善が行われてきている。しかし、一箇所にとどまって、半径50m以内で作業するような状況であれば、ハイブリッド方式が通用する隙間があるように考えている。②潜水機としては、オープンサーキットだけでなく、セミクローズもCCRも考えて、費用の見積もりもしてもらった。特にセミクローズは、ガスバンクを別に持つことで、最高だと考えたが、器材の大幅な変更が必要であり、その時間も費用も無い。また、使用の練度を考えると、使用不可能であり、次の段階のテーマであると考えた。自分に次の段階があるとは思えないので、だれかがより進んだ形で、有線、無線通話とSCCRの結合を考え、実行してくれるかもしれない。それは、このオープンサーキットでの実験が成功した上でのことである。③この実験潜水のめざすところは、80歳の自分が潜水しても、スムースに、安全が確保されて、潜水ができるならば、この潜水のサポートをする誰でもが、同じような潜水をより上手に効率良くできるはずであり、さらにプロフェッショナルなダイバーであれば、楽に使いこなせて、潜水作業をより安全に行うことが可能になる。作業条件は、船が直上にあり、流れは1.5ノット以下、エアバンクを下ろす、あるいは浮かしている状態で、立体的な半径が20m以内、熟達すれば、エアーバンクを曳いて動かすこともできるので範囲は大きくなるが、水深100mを考えると、作業時間は、半径20mで十分であると考える。50m以深で、水中サポート2名、船上2名で、ダイバーを1-2名潜水させることができる。2名の場合は、エアバンクから2本のホースをだす。このシミュレーション実験もしてみる予定である。④この給気源を水中に持ち込む方法は、1964年、1963年のフルフェイスマスク実験の次の年にコンセプトをかんがえたものであり、以後、だれでも考え付いてていたことだとおもう。しかし、本気になって運用を考え、実験した記録はない。少なくとも報告書として発表されたことはない。第一、日本で潜水運用の報告が論文の形で発表されたことがない。ブログはその報告書のための記録 である。
潜水の場所 このところ、人工魚礁の調査でお世話になっている波佐間海中公園の荒川さんの全面的なお世話になる。 荒川さんとは20代は、僕が主催した水中銃でのスピアフィッシングコンテストで彼が入賞して、親しく
はなったが、若い頃はすれちがいが多かった。最近、彼が沈没船の宝探し、に取り憑かれていた若い頃のことをブログにまとめた文集を読んでいるが、これは、すごい。久里浜沖の早丸で宝探しをした話など、正式な記録として、出版しておくべきだとも思っている。今度、相談してみよう。 そして、一度だけだが水深80mの玄界灘での人工魚礁調査を手伝ってもらった。深い潜水では、実質的に日本の第一人者であり、普通に70mを潜っていた。規則が改正され、空気で40m以上潜れなくなり、一番迷惑しているのは彼だろう。過去形で語らざるを得ない。今も僕とは3歳違いだが、潜水能力では、桁がちがう。サポートで一番頼りにしている。 撮影の中川も、最近、荒川さんを主人公にしたバラエティ番組を撮影していて、この頃は親しくさせてもらっている。 9月14日 メンバーは、須賀 山本 杉山 そして、中川隆 0900波左間着 機材の組立を何時も使わせてもらっている倉庫で行う。 (2)第一回目潜水 須賀、杉山が潜水、山本は通話とケーブルの出し入れを行う船上のかかり、(これをシステム潜水の例に習って、トップと呼ぶことにする。)カメラ中川 サポート荒川 萩原くんもきてくれた。 潜水する場所は、水深35mの鉄骨漁礁、仮にC魚礁とよんでいる。何度も潜って調査しているので、おなじみの場所、位置である。 潜水するときは何時でも不安だ。不安の質が年齢によって違ってきている。勿論、年齢に比例する。70歳以降は恐怖心を大事にしている。大事にする気持ちで耐えられる。 今度の潜水は、フルフェイスマスクでタンクをせおっていない。BCも着けていない、浮力調整はドライに空気を入れてする。そんな、初めての装備、形で、35mに潜る。35mは浅くない。空気で潜って良い潜水の限界にちかい。 タンクを背負っていないことがこの潜水の良いところだ。身軽なことだ。と考えていた。ドライスーツで、ウエイトは、7キロのベスト、4キロのベルト、2キロのレッグ、これは、お台場の浅瀬でもバランスが取れている。タンクを背負わなければ、船上では楽だ。 タンクを背負わないで飛び込む。ドライの空気を抜いても全然沈まない。タンクの重さがないからだ。フルフェイスマスクで不安になっているから、ウエイトを増やすことしか考えない。梯子につかまってあと4キロを要求した。4キロのウエイトベルトを別に腰に巻く。これで、完全なオーバーウエイトになった。腰からベルトがずり落ちそうだがこれは海底に着いてからなおそう。ハイブリッドタンクは、杉山さんが持っていて、5mほど下で、潜降索につかまって待っていてくれる。僕はそのまま潜降する。潜降だが、ドライスーツの中に空気を入れても、身体が浮かないのだ。ドライスーツが自動弁になっていて、服をふくらませることができないのかもしれない。この期に及んでそんなことを考えても仕方がない。オーバーウエイトで沈降して行く。タンクは杉山さんがキープしているから、彼の目からは、落下にみえただろう。昔から僕の潜降速度ははやい。潜水時間とは、潜降を開始してから浮上をかいしするまでだから、潜降時間は短いほうが良いと考えていた。急潜降による事故も報告されているが、止まれないから仕方がない。潜降索を別に用意すればよかったかなと、かんがえる。