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Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
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0801 夏が過ぎていく。豊潮丸航海記 おわり

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 石川さんの花火が終わった。石川さんが打ち上げている花火ではないけれど、石川さんのイベントだ。 豊潮丸の航海は7月に終わり、7月末の花火が終わると、8月、吹く風は秋の香りがする。昔だったら、セミの鳴き声が変わり、夏休みの宿題を諦めると秋だ。はるかな国遠い昔、いまは、未来は一年一年刻みだ。東京オリンピック、そのトライアスロンを夏のお台場でやるなんて、狂気の沙汰だなどと思っていても、その2020年は、自分には来ないかもしれないのだ。
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さて、今度の、2016年豊潮丸航海をまとめよう。 今度の航海は、呉をでて周防灘を北上して、関門海峡を抜けて、壱岐に向かった。壱岐で潜水して、壱岐・郷ノ浦入港、 五島列島に向かい、北端の宇久島で潜り、下五島・福江に入港 福江で潜水し、南に降りて牛深の先端、下須島で潜水、南下して枕崎沖、番所鼻で潜水し、山川港に入り、最後に佐多岬で潜水して、北上して、呉にもどった。すなわち、九州沿岸を一回りしたことになる。 好天に恵まれて、雨も降らず、海も時化なかった。すべての潜水を予定通りに終えた。
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 この時期、台風が南方洋上にあることが毎年の常であるとすれば、幸運というか、毎年、同じくらいの数の台風が来るとすれば、今後が心配になる。ともあれ、幸運で、僕がマスクのストラップを外してしまったこと、中尾先生がフィンのストラップを切ってしまったことを除いては、何事もなく潜水できた。 豊潮丸からのダイビングの型、システムが決まって、全員の潜水能力が高く、熟練度も安定したことが、この結果だと思う。北大の酒井先生のグループと一緒に潜っている。酒井先生は、体力抜群、運動能力も抜群、だから恐ろしいのだ。石川さんを、ガードに付けて、苦労させたこともある。しかし、年を重ねて、ようやく、僕の考えがわかってもらえたような気がする。ブリーフィングは大事だけれど、ブリーフィングは実は想定外のことが起こった時に、縛りになることが多いのだ。打ち合わせなくても、わかっている。そんなことを言いながら、マスクストラップが外れて、あとから追った僕が自分たち、中尾先生とは合えずに、酒井先生がそばに居た。流れがなくて良かった。いや、流れがあれば追わなかっただろうが。  一般のレクリエーショナルダイビングとは全く違うので、参考にならないかも知れないが、同じような研究者のフィールドワークの潜水としては、僕たちのゴムボートで、ラインを引くシステムが、ベストに近いパターンだと思われる。もちろん、メンバーの差、地形、海況の差によって変形しなければならないが、現地のガイドなどを雇わないで、未知のポイントに潜る方法としては、良い方法だと思う。  そして、自分のことだが、やはり81歳、身体能力は、がんばってトレーニングしているとはいえ、哀れなものである。中尾先生、酒井先生、平山先生、そして学生たちも本当に良く歩く。僕がこの旅を終えると、体調が良くなるのは、歩かされるかも知れない。と感謝はするが、付き合いきれない。一般に学者、研究者というと、研究室に閉じこもっている虚弱な人をイメージするかも知れないが、大きな間違いである。  実は、今度の航海で僕は卒業しようと思っていた。旅の途中で倒れるようなことがあれば、迷惑をかける。しかし、若い子だって倒れる可能性はある。同じことだ。今回もし、旅で調子が悪くなれば、潜水もやらないで、これで終わりにしようと思っていた。しかし、いつもと同じように尻上がりに体調がよくなって帰ってきた。 中尾先生も、次回は対馬周航だから、一緒にといってくれるし、酒井先生も、再見を約して握手してきた。平山先生も、また一緒に旅をしたいと言ってくれる。次回を目指すつもりになった。  ダイバーは潜り続けなくてはいけない。少なくとも、潜り続ける姿勢、ファイティングポーズはとり続けよう。
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 学生もみんな良い子で、僕をカバーしてくれる。学生にとってこの航海は、海を身体で知る良い機会だ。そして、多分、この航海のことを終生忘れないだろう。僕も大学時代の実習航海(東京水産大学)は忘れていない。この航海と違い、先輩にしごかれ、24時間定点観測では、船酔いで死ぬ思いをした。酔い止めの薬、なんて、軟弱なものは許されない。吐くものが無くなったら、吐いたものを口に戻せ、そんなことは出来るわけはないが、表現として、そういう雰囲気だった。 僕の役割は、スーパバイザーとしての安全管理責任だが、学生ともっとコミニュケーションをとり、海のことを話すことも役割としてあるのではないかとおもう。耳が遠いから、一緒に笑い転げることはできない。来年があるとすれば、映像などを見せて、お話をする時間が少し欲しい。お台場の生き物の動画などを見せて、話ができればと思う。 お台場の水中生物は、その種の極限状態で生きている。その意味で、とても貴重なのだ。

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