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Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
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0529 減圧表とダイブコンピューター 3

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減圧表とダイブコンピューターについて 「ダイブコンピューターが示す無減圧潜水時間の危険性」、この前ワークショップでお話いただいた今村昭彦さんの書かれたものであり、赤線がたくさん引いてある。つまり、為になったということだ。まず、タイトルについて、ダイブコンピューターの無減圧指示は、使い方によっては危険でありそのために減圧事故が起こっていると言うこと、道具である以上、使い方、運用によっては危ないのは当然である。その使い方のマニュアルであろうタバタの「減圧症の予防方法を知ろう」が、さらに詳しい。もちろん、これも参考になる。  自分としては、ダイブコンピューターがでるまで、減圧表の通りに潜水すれば、その罹患率は生物学的な誤差範囲であり、もしも罹患しても海外、離島、自分にとってはトラック島あたりでは、「ふかし」で何とかなる程度の軽度なもので済むのだろうと考え、そのように実行し、3%(自分の想定する罹患率)の中にも入らずに、1956年から、1986年まで、30年間軽度の減圧症にもかからず潜水を続けてきた。その中には、1980年の釜石での60mシステム潜水も、1982年の竜泉洞の70m潜水も、1963年の90m潜水も含まれている。高気圧作業安全衛生規則の別表2が、米国海軍の空気減圧表とイーブンであったとすれば、これも使っていたことになる。RNPLをよく使っていたが、これは、安全率が高く単純で使いやすかったからだ。  使い始めた頃、ダイブコンピューターとは、ダイビングテーブルを内蔵していて、水圧センサーと時計を組み合わせて、テーブルと比べて、その時のテーブルの読みを表示してくれるものだと思っていたが、理論はテーブルとおなじだが、M値だとか、体の中の出来事を計算して、できるだけ無減圧で潜れる時間を増やそうとして来たように見えてしまう。一番いけないのは、無減圧範囲なのだが、そのことは別にする。  1980年代までは、何分潜ったら、何分の減圧停止をして空気量が足りるだろうかという潜水を普通にしていて、その根拠としていたのが、減圧表だった。 その減圧表も最初のうちは、潜水して到達する最大水深と潜水時間から、減圧停止時間を引き出すものだった。
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 平坦な海底で作業するならば良いのだが、スクーバ潜水では最大水深にいる時間はわずかであり、大部分の時間はそれよりも浅いところで終始する。マルチレベルという考え方で、たとえば27mに15分、15mに上がって20分、6mで20分潜水するとして、最大水深だったら、27mで35分になってしまって6mで5分3mで10分の、2 段の減圧停止が必要になってしまう。これを15、20、20にわけて、表を引く。最後の6m20分は事実上の減圧停止だが、これで上がれる。言うのは簡単だが、じっさいにやってみたら面倒だ。多くのダイバーもマルチレベルなどつかわなかった。最大深度のテーブルを使った。だから、減圧症にならなかったのだろう。 マルチレベルのの面倒な計算を全部引き受けてくれるのがダイブコンピューターだ。と思った。それが、マルチレベルの減圧表を計算してくれるだけではなく、無減圧限界を長くするように使われれてしまった。  マルチレベルの減圧表というものは、必ず深いところから計算をはじめて、階段を登るように計算を重ねていく。階段を下りる計算はできない。つまり、今のダイブコンピューターを使ってもそうしなさいという理想のパターンなのだ。 無減圧を常に求めてくれるダイブコンピューターになったら、上がり下がりも自由である。 今村さんの書いたものは、要するにマルチレベル減圧表の潜水をしなさいということだ。潜水士テキストも減圧表を主に計画をたて、ダイブコンピューターは記録と潜水中のチェックにに止めなさいということなのだ。 確かにダイブコンピューターでは、マルチレベルの計画は立てにくい。 では、潜水士テキストにマルチレベルの例が載っているかというと、そうではない。規則のアルゴリズムでマルチレベルの表を計算するのは、僕にはできない。
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 マルチレベルの減圧表の例はDCIEMで、1995年の全日本潜水連盟のテキストから撮ったもので、このテキストは僕が書いた。自慢させてもらえば、1995年当時は、このテキストが日本人の書いたものとしてはベストだったろ思う。  潜水士テキストでは、減圧表を使ってマルチレベルの減圧停止をすることはできない。DCIEM を紹介しているが、「日本潜水協会で用意しているから必要であればといあわせられたい。」とある。これは、国家試験に減圧表がようやくでなくなったと喜ぶべきなのか、ほんの数ページで済むことなのだから掲載すべきだと言うべきかどちらなのだろう? 私見としては、テキストにDCIEMでなくてもよいからマルチレベルの減圧表を掲載して、マルチレベルで計画をたてて、ダイブコンピューターでチェックする。チェックは任意であるとし、さらにダイブコンピューターでの潜水はマルチレベルのパターンにするべき、とすれば、1995年の僕の書いたテキスト並になる。1995年から20年の月日が流れた今の大改革である。少しばかり、情けない思いをせざるをえない。作業潜水の分野がレクリエーショナルダイビングよりも遥かに遅れているのは、この高気圧作業安全衛生規則のおかげだと言わざるをえなかったこと、を踏まえての改正であるならば、もう少しなんとかして欲しかった。外国、主にアメリカの指導団体の人に馬鹿にされるのは日本人としてかなり辛い。 アメリカにはこの規則はない。日本にはこの規則があるから、末端レベルのダイバーのレベルが高いと言われたい。なお、レベルを高くすると、末端のダイバーが受験に合格しなくなる、というのであれば、お得意の甲種、乙種 二つ程度に分けたら良い。日本人の特性として、みんな甲種をとりたくなり、レベルが上がる。しかし、そんなことをしたら、レクリエーショナルダイビングの甲種が多くなってしまう。実はそれは、レクリエーショナルダイビングの思い上がりだろう。作業ダイバーの知的レベルは本来高い。でなければ、生き残っていない。その知的レベルの発現を妨げているのが、潜水士テキストなのだ。甲種と乙種に分けることが、望まれる。しかし、甲種の資格の%は、レクリエーショナルダイビングの方が高くなるだろう。人数に差があるのだ。そうなれば、レクリエーショナルダイビングを無視することもできなくなるだろう。とはいうものの、全く期待できない?いや、そんなことはない。どうすれば? そんな先の話はあとにして、今、ダイブコンピューターとテーブルの問題をどうするか?マルチレベルのテーブルを何時も手元に持っている。計画を立てる時には何時も、そのテーブルで、大体のところを考える。大体で良いのだ。そしてダイブコンピューターを使う。ところで、自分のDCIEMのスレートはどこにある。この前までカメラバッグに入っていたのだが、最近見ていない。ダイブコンピューターにだけ頼って使っていないのだ。たしか車の中に小さいアイスボックスの入っていたはず。捜さなくては。

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