人工魚礁のことを復習しよう。同じようなことを月刊ダイバーにも書いているし、このブログでも何回か書いているが。それがないと、これから書くことの意味がわかりにくい。
魚は海の中にどこにでも普遍的にいるものではない。何かの陰に隠れたり、何かの下、隙間にいたり、何かに触れるようにくっついて生きている。そのように魚がすむ場所を磯と呼ぶ、礁とも呼ぶ。しぜんの礁を天然礁といい、人工的に作られた礁を人工魚礁という。人工魚礁は、何でも良いのだ。瓶が落ちていれば、小さいタコが入ったり、ミジンベニハゼのホームになったりする。不法投棄の家電用品にも、ポリバケツでも、どんなゴミでも、形があり、材質が有毒でなければ、魚は住処にする。沈船は巨大な魚礁である。天然礁 も大きい山のようなものから、小さい岩まで、砂地にちょっと大きい岩が落ちているだけで魚礁になる。島も、天然礁 と言っても良い。
とにかく、魚は何かに取り付く。磯魚が磯につくのは自明のことだが、回遊する魚も、何かがあれば、そこに集まる。流木があれば、流木を中心にして半径1キロとか2キロが魚が集まる区域、魚礁域が形成される。木付の魚である。ジンベイザメについている魚は魚付きの群れである。だから、昔の漁師は、ジンベイ様と呼んで大事にした。魚を運んでくる魚なのだ。
回遊魚を集めるために、流木や、ジンベイを模したような、浮き魚礁も作られ、沖縄や四国の回遊魚漁は、この浮き魚礁に依存している。浮き魚礁のことは、月刊ダイバーの今度の号、続、ニッポン潜水グラフィティの最終回に書いた。
人工魚礁についての考え方は二通りある。一つは集めておいて一網打尽にしよう。一網打尽ではなくても、毎日通って獲ろう。これが漁具型の人工魚礁である。漁具型だけでは魚は増えない。魚を増やすための資源培養型の人工魚礁がある。これは、家を作れば人が集まる。生活の場ができる。人口の都市集中のようなものだ。都市ができれば、人口も増える。集まれば漁獲されるから、2つの型を完全に分けることはできない。漁具であると同時に培養の役割を果たしている魚礁もある。
その効果は、漁具型のほうがわかりやすい。
波左間にあるような定置網も魚の目からは魚礁のようなものだ。浮き魚礁に魚が付くのと同じ雰囲気だ。魚が巨大な垣網に沿って泳いでいる内に、袋網に入り、出られなくなってぐるぐる回って居るうちに更に其の奥の金庫網にはいってしまう。
定置網も人工魚礁ならば、人工魚礁を垣網の延長のように並べたらどうだろうか。波左間の人工魚礁は、まさに其のように並べられている。沖を通るブリの群れが、ふと、人工魚礁に惹かれる。回っているうちに次の魚礁が見つかる。そしてそのまた次と泳いでいる内に垣網に気づく。あ!網だ危ないというようなリーダー魚がいれば、魚は反転して逃げるが、網と認識しないで、魚礁の連続だと考えてしまうのが、運のつきだ。
波左間の人工魚礁に潜り始めてから、これまで、どちらかと言えば、どれだけ魚が付いているか、資源培養型の調査をしていた。同時期に全部の魚礁にカメラを入れれば、どの魚礁に一番群れが大きいか。とか、その魚種、その大きさに着目していた。
今回の調査は、図の菱型マーク、9番の魚礁をねらった。沖を通る魚群が人工魚礁に惹かれてくる、二番目の位置だ。
インターバルカメラは、垂直ウイングに取り付けられて前を向いていて、1.5mの高さに、底に2キロのウエイトを結んで、取り付けている。頂部に小さい浮きを付けて、倒れないようにして、3mmの細い雑索(トワイン)で水面の浮きに結び付けられている。流れの影響をできるだけ少なくするために、索は細くしている。浮きは、ウエイトが着底した位置で結び付けられ、できるだけ斜めにならないようにした。このために錘が軽く、海底で引きづられているところも撮影された。
6基のインターバルカメラを無作為に人工魚礁の上から、爆弾投下のように落とした。上に乗るのもあるだろう、少し離れた周囲に落ちても、もしかしたら魚群を捉えるかもしれない。いい加減に落としたが、浮きの並び方を見ると、適当にまとまっていた。
カメラの種類は、AEEが二基、SJ4000が二基、GoPro2が二基、合計6基だった。
AEEの一台が、魚礁の中に落ちていたので、魚礁を観察する意味で、このカメラの撮影結果を軸にして、記述する。ダイバーのマスクマウントで撮影したものとしては、増井武氏のものが、魚礁をよく捉えていたので、この動画から切り出した静止画をこの項では使わせてもらう。
観察した魚礁の図 水深33mに置かれ。高さは9mである。
1123(11時23分)カゴカキダイの群れイシガキダイ
1126 イサキ、イサキは魚礁に多いのに、ここでは群れていなかった。
1128 イシガキダイ AEEには、イシガキダイが複数撮影されているのに、ダイバーのGoProには写っていない。ダイバーが特に探していないことと、どこかの隙間にかくれたのであろう。
1136 ダイバーが接近してきた。この時、ダイバーがカメラを移動させた。
カメラが動いてしまって、端に押し付けられた。
1311 カメラは戻ったり、振れている。
1341 濁った水が押し寄せてきた。
SJ4000の一基が、魚礁の縁に落とされた。この一基は少し離れたところにあったのだが。ズレ移動して、縁に着いた。このようにカメラは移動するが、移動しても良しとしている。移動してシーンが変わるし、より良い位置に移動する場合も、その逆もある。
1128 魚礁の全景に近い姿を写していた。
1212 魚礁に接近した ウマヅラハギの群れ
1216 イシダイも写っていた。
1259 魚礁全体をを覆うように群れているイワシの類の群れ
この他の、AEE,,SJ そして2台のGoPro2の3台は、めぼしい魚をうつしていない。最後のGoProの一つに、ブリの群れが写った。 12時27分42秒から 2分の間である。このカメラの正確な位置と向きはわからない。分かる必要もないとおもう。とにかく、かなり大きなブリの群れが通りすぎた。
これだけでは、断言できないが、定置網に魚群を誘導し、網に至る道筋をこの魚礁群が作っていることが推定できる。
今後の調査では、このような魚群を捉えやすいようなカメラの投入、すなわち今回のようなやり方を続けて行きたい。調査対象は、図のA B CDE の鋼製魚礁としたい。
6-8基のカメラを魚礁周辺に投入する、はなれているものがあってもよい。ダイバーが潜って、魚礁内部及び周辺を撮影調査する。撮影結果を綜合まとめれば、魚礁の撮影調査としては、程度の高いものが得られる。
次回は、最先端の で水深は50mのAである。ダイビングによる潜水調査は30m以内までとする。8台のインターバルカメラを適当に入れる。ROV を使って、魚礁の中、周辺、そしてインターバルカメラの散らばり状態を見る。インターバルカメラとROVの共同は、初めてのことである。ぶりの群れの通過撮影が狙いである。
この人工魚礁群は、定置網への魚の誘導が目的であり、漁獲高は確かに設置して以来増えたという。しかし、狙い通りに魚が通り過ぎて行ったのとの確認はできていない。全国の人工魚礁でもこれが撮影目視で確認された例はない。
魚は海の中にどこにでも普遍的にいるものではない。何かの陰に隠れたり、何かの下、隙間にいたり、何かに触れるようにくっついて生きている。そのように魚がすむ場所を磯と呼ぶ、礁とも呼ぶ。しぜんの礁を天然礁といい、人工的に作られた礁を人工魚礁という。人工魚礁は、何でも良いのだ。瓶が落ちていれば、小さいタコが入ったり、ミジンベニハゼのホームになったりする。不法投棄の家電用品にも、ポリバケツでも、どんなゴミでも、形があり、材質が有毒でなければ、魚は住処にする。沈船は巨大な魚礁である。天然礁 も大きい山のようなものから、小さい岩まで、砂地にちょっと大きい岩が落ちているだけで魚礁になる。島も、天然礁 と言っても良い。
とにかく、魚は何かに取り付く。磯魚が磯につくのは自明のことだが、回遊する魚も、何かがあれば、そこに集まる。流木があれば、流木を中心にして半径1キロとか2キロが魚が集まる区域、魚礁域が形成される。木付の魚である。ジンベイザメについている魚は魚付きの群れである。だから、昔の漁師は、ジンベイ様と呼んで大事にした。魚を運んでくる魚なのだ。
回遊魚を集めるために、流木や、ジンベイを模したような、浮き魚礁も作られ、沖縄や四国の回遊魚漁は、この浮き魚礁に依存している。浮き魚礁のことは、月刊ダイバーの今度の号、続、ニッポン潜水グラフィティの最終回に書いた。
人工魚礁についての考え方は二通りある。一つは集めておいて一網打尽にしよう。一網打尽ではなくても、毎日通って獲ろう。これが漁具型の人工魚礁である。漁具型だけでは魚は増えない。魚を増やすための資源培養型の人工魚礁がある。これは、家を作れば人が集まる。生活の場ができる。人口の都市集中のようなものだ。都市ができれば、人口も増える。集まれば漁獲されるから、2つの型を完全に分けることはできない。漁具であると同時に培養の役割を果たしている魚礁もある。
その効果は、漁具型のほうがわかりやすい。
波左間にあるような定置網も魚の目からは魚礁のようなものだ。浮き魚礁に魚が付くのと同じ雰囲気だ。魚が巨大な垣網に沿って泳いでいる内に、袋網に入り、出られなくなってぐるぐる回って居るうちに更に其の奥の金庫網にはいってしまう。
定置網も人工魚礁ならば、人工魚礁を垣網の延長のように並べたらどうだろうか。波左間の人工魚礁は、まさに其のように並べられている。沖を通るブリの群れが、ふと、人工魚礁に惹かれる。回っているうちに次の魚礁が見つかる。そしてそのまた次と泳いでいる内に垣網に気づく。あ!網だ危ないというようなリーダー魚がいれば、魚は反転して逃げるが、網と認識しないで、魚礁の連続だと考えてしまうのが、運のつきだ。
波左間の人工魚礁に潜り始めてから、これまで、どちらかと言えば、どれだけ魚が付いているか、資源培養型の調査をしていた。同時期に全部の魚礁にカメラを入れれば、どの魚礁に一番群れが大きいか。とか、その魚種、その大きさに着目していた。
今回の調査は、図の菱型マーク、9番の魚礁をねらった。沖を通る魚群が人工魚礁に惹かれてくる、二番目の位置だ。
インターバルカメラは、垂直ウイングに取り付けられて前を向いていて、1.5mの高さに、底に2キロのウエイトを結んで、取り付けている。頂部に小さい浮きを付けて、倒れないようにして、3mmの細い雑索(トワイン)で水面の浮きに結び付けられている。流れの影響をできるだけ少なくするために、索は細くしている。浮きは、ウエイトが着底した位置で結び付けられ、できるだけ斜めにならないようにした。このために錘が軽く、海底で引きづられているところも撮影された。
6基のインターバルカメラを無作為に人工魚礁の上から、爆弾投下のように落とした。上に乗るのもあるだろう、少し離れた周囲に落ちても、もしかしたら魚群を捉えるかもしれない。いい加減に落としたが、浮きの並び方を見ると、適当にまとまっていた。
カメラの種類は、AEEが二基、SJ4000が二基、GoPro2が二基、合計6基だった。
AEEの一台が、魚礁の中に落ちていたので、魚礁を観察する意味で、このカメラの撮影結果を軸にして、記述する。ダイバーのマスクマウントで撮影したものとしては、増井武氏のものが、魚礁をよく捉えていたので、この動画から切り出した静止画をこの項では使わせてもらう。
観察した魚礁の図 水深33mに置かれ。高さは9mである。
1123(11時23分)カゴカキダイの群れイシガキダイ
1126 イサキ、イサキは魚礁に多いのに、ここでは群れていなかった。
1128 イシガキダイ AEEには、イシガキダイが複数撮影されているのに、ダイバーのGoProには写っていない。ダイバーが特に探していないことと、どこかの隙間にかくれたのであろう。
1136 ダイバーが接近してきた。この時、ダイバーがカメラを移動させた。
カメラが動いてしまって、端に押し付けられた。
1341 濁った水が押し寄せてきた。
SJ4000の一基が、魚礁の縁に落とされた。この一基は少し離れたところにあったのだが。ズレ移動して、縁に着いた。このようにカメラは移動するが、移動しても良しとしている。移動してシーンが変わるし、より良い位置に移動する場合も、その逆もある。
1128 魚礁の全景に近い姿を写していた。
1212 魚礁に接近した ウマヅラハギの群れ
1216 イシダイも写っていた。
1259 魚礁全体をを覆うように群れているイワシの類の群れ
この他の、AEE,,SJ そして2台のGoPro2の3台は、めぼしい魚をうつしていない。最後のGoProの一つに、ブリの群れが写った。 12時27分42秒から 2分の間である。このカメラの正確な位置と向きはわからない。分かる必要もないとおもう。とにかく、かなり大きなブリの群れが通りすぎた。
これだけでは、断言できないが、定置網に魚群を誘導し、網に至る道筋をこの魚礁群が作っていることが推定できる。
今後の調査では、このような魚群を捉えやすいようなカメラの投入、すなわち今回のようなやり方を続けて行きたい。調査対象は、図のA B CDE の鋼製魚礁としたい。
6-8基のカメラを魚礁周辺に投入する、はなれているものがあってもよい。ダイバーが潜って、魚礁内部及び周辺を撮影調査する。撮影結果を綜合まとめれば、魚礁の撮影調査としては、程度の高いものが得られる。
次回は、最先端の で水深は50mのAである。ダイビングによる潜水調査は30m以内までとする。8台のインターバルカメラを適当に入れる。ROV を使って、魚礁の中、周辺、そしてインターバルカメラの散らばり状態を見る。インターバルカメラとROVの共同は、初めてのことである。ぶりの群れの通過撮影が狙いである。
この人工魚礁群は、定置網への魚の誘導が目的であり、漁獲高は確かに設置して以来増えたという。しかし、狙い通りに魚が通り過ぎて行ったのとの確認はできていない。全国の人工魚礁でもこれが撮影目視で確認された例はない。