お台場のモクズガニについても、もう少し書きたいが、減圧表の話をあんまり長く休んでしまうと、前回と繋がらなくなってしまう。
減圧表にもどって、
それでは、RNPLで終始していたかというと、ちがう。1993年から、DCIEMの減圧表を推奨し、全日本潜水連盟では、そのスレートを作るライセンスも取得した。ライセンス料はいくらだったか忘れたが、かなり高価だった。
DCIEMスポーツダイビング減圧表の紹介を見ると、「DCIEMスポーツダイビング減圧表は、カナダ国防省防衛民間環境医学研究所(Dsfence and Civil Institute of Enviromental Medecine) のロン・ニシ(Ron Nishi)によって開発されたカナダ国防軍のための空気潜水減圧表をもとに、スポーツダイバー用に作成された減圧表であり、その安全性については専門家からも高い評価を受けている。」
DCIEMのスレート
なぜ、DCIEMを使うようになったかというと、当時の全日本潜水連盟の理事長は石黒信夫で、石黒さんは、潜水艦乗りで、日本アクアラング社に入社して名古屋出張所長が長く、その頃から、僕の親しい友人になった。やがて、日本アクアラングから帝国酸素に移った。あった。帝国酸素・テイサンでは、混合ガスの業務を担当し、日本での混合ガス潜水の元締め的な役割(ガス供給)を果たしていて、日本高気圧環境・潜水医学会の裏方も取り仕切っていて、小田原セミナーも彼が生みの親である。自分のことを言えば、僕のほうが先任ではあるが、僕の面倒をよく見てくれて、理事長という役職が嫌いな僕に代わって、全日本潜水連盟の理事長を引き受けてくれていて、僕の60歳100m潜水の総指揮もとってくれ、彼の方向に足を向けて寝てはいけない人である。筋肉的には超強靭であったが、野菜を一切食べないという超偏食のためか、健康を害されて、僕を助けてくれることができなくなってしまっている。もしも、石黒さんが助けてくれたならば、日本水中科学協会も別の姿になっていたと思う。
その石黒さんがDCIEMにしようという。そして、DCIEMの特色はマルチレベル潜水に対応していることであった。
減圧表は、その潜水の最高深度で、表を引かなくてはならない。30mに潜るとして、30mに5分居て、すぐに20mに浮上して、そこで25分経過したとしても、合計の30分を30mにいた事として減圧表を使わなければならない。
マルチレベルとは、30mに5分いたとして、20mに来ると、30mでの5分の窒素ガス蓄積量が、20mでの何分に相当するかを換算した時間数を表で見ることができる、30mに5分が20mで10分に相当すれば、20mでは30分が無減圧の限界だから、後30-10=20分は潜水できる。30mでの無減圧限界は15分だから、これまでの減圧表では、20mでは、後10分しか潜水できない。減圧停止が必要になってしまう。このことを表で見ることができる。
注意しなければいけないのは、30mで5分、居て、20mに上がったら、再び30mに戻る事はできない。30mに戻ったとすれば、全部の時間を30mで過ごしたこととして表を引かなくてはいけない。
DCIEMは、非常に優れた減圧表であり、これを忠実に守っていれば、マルチレベルでの時間を使うことができる。しかし、現場では、マルチレベルなどやめんどうだ。よって、マルチレベルは使わないで、普通の減圧表としてつかっていた。それでもRNPL程度の安全率で使える。そして、どうしてもマルチレベルで無減圧の時間を長くしようとするときにマルチレベルをつかう。
一方で、1987年には、ダイブコンピューターが使われ始めていて、1987年のトラック島での深い沈没船潜水では、アラジンを使い始めている。
ダイブコンピューターはマルチレベルを自動的に計算してくれる。しかも、深いところから浅いところに戻って、空気の消費を節約し、また深くに戻っても、大丈夫だ。
しかし、この大丈夫が、きわどいことであり、ダイブコンピューターが普及して、減圧症が増える事にもなっている。
マルチレベルといい、ダイブコンピューターといい、どうしたら、深く、長く、無減圧で潜れるかを追求することになっていて、減圧症にかからないようにという第一義が弱くなっているように思える。無減圧を原則にして、減圧停止を避けて、デコがでてしまったなどと、潜水事故を起こしてしまったように言うダイバーがいるが、マルチレベルをやらない。ダイブコンピューターも使わないで、一番最初のスタイルで、停止するべきはきちんと停止したほうが減圧症対策としては、良いようにも思える。そこで、無減圧範囲でもなんでも、とにかく、3mで3分停止する安全停止が義務付けられるようになった。
だから、減圧表によってきちんと計画を立て、そのように潜水すれば安全停止は必要ない。ダイブコンピューターで、浮いたり沈んだりしているから、安全停止が必要になる。
個人的には、浅い水深で長いラインを引く調査潜水では、浮き沈みはほとんどしないので、無減圧の範囲であれば、安全停止をせずにそのまま浮上し、減圧停止が必要になれば、キッチリする。
今度の潜水士の規則改正では、減圧表を規則でさだめていない。しかし、潜水士テキストでは、なにか減圧表のサンプルを示さないと、減圧停止についての話ができない。そのサンプルとしては、DCIEMが使われそうである。
僕が使ってきた減圧表は4つで、潜水士の別表第二(潜水士の減圧表)そして、米国海軍の表、RNPL、,最後にDCIEMだ。それ以後は、だれでも使える表は発表されていない。PADIのホィールもいいが、これは、PADIが著作権を持っているものだから、一般にこぴーしては、使えない。潜水士テキストでも使えない。また、NAUIのテーブルは、ダイブコンピューターの潜水時間と同様に、潜水してから水面に戻るまでの合計を潜水時間としている。高気圧障害防止規則で言う、潜水時間とは、潜水を開始してから、浮上を開始するまでの時間を言い。浮上を開始してから減圧停止などをして水面見戻ってくる時間は浮上時間である。今度はダイブコンピューターを使っても良いことになるから、潜水時間の定義は、これまで通りだろうか、DCIEMでも、潜水時間は浮上を開始するまでの時間である。
テキストでは、消去法で、DCIEMになるだろうが、ダイブコンピューターについて、どういう記述をするのか楽しみにしている。
自分と減圧表の話も、此処から先は、60歳での100m潜水、混合ガスの潜水になる。
この潜水では、いま日本のテクニカルダイビングでの第一人者といえる、田中光嘉氏の師匠であるハミルトン博士に減圧表のデザインを依頼した。この事については、月刊ダイバーの4月号あたりから書くことに予定している。
混合ガス、システム潜水については、石黒さんが書いた「ダイビング・テクノロジー:2006」がある。これが、混合ガス潜水、主として、システム潜水について、書かれた日本で唯一の本である。システム潜水とは、送気ホース、電話線などで水面と直接に連携を保ち、安全確保を水面に頼っている生命維持システムで潜水する方式である。テクニカルダイビングとは、原則的にスクーバであり、水面からの直接連携を、断ち切って、全て、水中のダイバーだけで安全を確保する潜水のことを言う。
減圧表にもどって、
それでは、RNPLで終始していたかというと、ちがう。1993年から、DCIEMの減圧表を推奨し、全日本潜水連盟では、そのスレートを作るライセンスも取得した。ライセンス料はいくらだったか忘れたが、かなり高価だった。
DCIEMスポーツダイビング減圧表の紹介を見ると、「DCIEMスポーツダイビング減圧表は、カナダ国防省防衛民間環境医学研究所(Dsfence and Civil Institute of Enviromental Medecine) のロン・ニシ(Ron Nishi)によって開発されたカナダ国防軍のための空気潜水減圧表をもとに、スポーツダイバー用に作成された減圧表であり、その安全性については専門家からも高い評価を受けている。」
なぜ、DCIEMを使うようになったかというと、当時の全日本潜水連盟の理事長は石黒信夫で、石黒さんは、潜水艦乗りで、日本アクアラング社に入社して名古屋出張所長が長く、その頃から、僕の親しい友人になった。やがて、日本アクアラングから帝国酸素に移った。あった。帝国酸素・テイサンでは、混合ガスの業務を担当し、日本での混合ガス潜水の元締め的な役割(ガス供給)を果たしていて、日本高気圧環境・潜水医学会の裏方も取り仕切っていて、小田原セミナーも彼が生みの親である。自分のことを言えば、僕のほうが先任ではあるが、僕の面倒をよく見てくれて、理事長という役職が嫌いな僕に代わって、全日本潜水連盟の理事長を引き受けてくれていて、僕の60歳100m潜水の総指揮もとってくれ、彼の方向に足を向けて寝てはいけない人である。筋肉的には超強靭であったが、野菜を一切食べないという超偏食のためか、健康を害されて、僕を助けてくれることができなくなってしまっている。もしも、石黒さんが助けてくれたならば、日本水中科学協会も別の姿になっていたと思う。
その石黒さんがDCIEMにしようという。そして、DCIEMの特色はマルチレベル潜水に対応していることであった。
減圧表は、その潜水の最高深度で、表を引かなくてはならない。30mに潜るとして、30mに5分居て、すぐに20mに浮上して、そこで25分経過したとしても、合計の30分を30mにいた事として減圧表を使わなければならない。
マルチレベルとは、30mに5分いたとして、20mに来ると、30mでの5分の窒素ガス蓄積量が、20mでの何分に相当するかを換算した時間数を表で見ることができる、30mに5分が20mで10分に相当すれば、20mでは30分が無減圧の限界だから、後30-10=20分は潜水できる。30mでの無減圧限界は15分だから、これまでの減圧表では、20mでは、後10分しか潜水できない。減圧停止が必要になってしまう。このことを表で見ることができる。
注意しなければいけないのは、30mで5分、居て、20mに上がったら、再び30mに戻る事はできない。30mに戻ったとすれば、全部の時間を30mで過ごしたこととして表を引かなくてはいけない。
DCIEMは、非常に優れた減圧表であり、これを忠実に守っていれば、マルチレベルでの時間を使うことができる。しかし、現場では、マルチレベルなどやめんどうだ。よって、マルチレベルは使わないで、普通の減圧表としてつかっていた。それでもRNPL程度の安全率で使える。そして、どうしてもマルチレベルで無減圧の時間を長くしようとするときにマルチレベルをつかう。
一方で、1987年には、ダイブコンピューターが使われ始めていて、1987年のトラック島での深い沈没船潜水では、アラジンを使い始めている。
ダイブコンピューターはマルチレベルを自動的に計算してくれる。しかも、深いところから浅いところに戻って、空気の消費を節約し、また深くに戻っても、大丈夫だ。
しかし、この大丈夫が、きわどいことであり、ダイブコンピューターが普及して、減圧症が増える事にもなっている。
マルチレベルといい、ダイブコンピューターといい、どうしたら、深く、長く、無減圧で潜れるかを追求することになっていて、減圧症にかからないようにという第一義が弱くなっているように思える。無減圧を原則にして、減圧停止を避けて、デコがでてしまったなどと、潜水事故を起こしてしまったように言うダイバーがいるが、マルチレベルをやらない。ダイブコンピューターも使わないで、一番最初のスタイルで、停止するべきはきちんと停止したほうが減圧症対策としては、良いようにも思える。そこで、無減圧範囲でもなんでも、とにかく、3mで3分停止する安全停止が義務付けられるようになった。
だから、減圧表によってきちんと計画を立て、そのように潜水すれば安全停止は必要ない。ダイブコンピューターで、浮いたり沈んだりしているから、安全停止が必要になる。
個人的には、浅い水深で長いラインを引く調査潜水では、浮き沈みはほとんどしないので、無減圧の範囲であれば、安全停止をせずにそのまま浮上し、減圧停止が必要になれば、キッチリする。
今度の潜水士の規則改正では、減圧表を規則でさだめていない。しかし、潜水士テキストでは、なにか減圧表のサンプルを示さないと、減圧停止についての話ができない。そのサンプルとしては、DCIEMが使われそうである。
僕が使ってきた減圧表は4つで、潜水士の別表第二(潜水士の減圧表)そして、米国海軍の表、RNPL、,最後にDCIEMだ。それ以後は、だれでも使える表は発表されていない。PADIのホィールもいいが、これは、PADIが著作権を持っているものだから、一般にこぴーしては、使えない。潜水士テキストでも使えない。また、NAUIのテーブルは、ダイブコンピューターの潜水時間と同様に、潜水してから水面に戻るまでの合計を潜水時間としている。高気圧障害防止規則で言う、潜水時間とは、潜水を開始してから、浮上を開始するまでの時間を言い。浮上を開始してから減圧停止などをして水面見戻ってくる時間は浮上時間である。今度はダイブコンピューターを使っても良いことになるから、潜水時間の定義は、これまで通りだろうか、DCIEMでも、潜水時間は浮上を開始するまでの時間である。
テキストでは、消去法で、DCIEMになるだろうが、ダイブコンピューターについて、どういう記述をするのか楽しみにしている。
自分と減圧表の話も、此処から先は、60歳での100m潜水、混合ガスの潜水になる。
この潜水では、いま日本のテクニカルダイビングでの第一人者といえる、田中光嘉氏の師匠であるハミルトン博士に減圧表のデザインを依頼した。この事については、月刊ダイバーの4月号あたりから書くことに予定している。
混合ガス、システム潜水については、石黒さんが書いた「ダイビング・テクノロジー:2006」がある。これが、混合ガス潜水、主として、システム潜水について、書かれた日本で唯一の本である。システム潜水とは、送気ホース、電話線などで水面と直接に連携を保ち、安全確保を水面に頼っている生命維持システムで潜水する方式である。テクニカルダイビングとは、原則的にスクーバであり、水面からの直接連携を、断ち切って、全て、水中のダイバーだけで安全を確保する潜水のことを言う。