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Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
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0210 生涯スポーツ

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 またまた、スポーツの話、潜水医学の小田原セミナーの帰りの電車の中で、札幌の工藤くんと、スポーツのことを話し合った。競技スポーツのことを話したのだが、スポーツには、もう一つ重要な生涯スポーツというコンセプトがある。英語で言えば、ライフタイムスポーツだ。このことを話さなかった。
僕は1988年、文部省の財団法人社会スポーツセンターの常務理事隣、文科省、当時は文部省が定めた、生涯スポーツの指導資格である社会体育指導者の資格をスクーバダイビングに導入した。スポーツといえば、力と技を競い合う競技スポーツがまず第一に考えられる。オリンピックは、競技スポーツの頂点にある。
技も力も競い合わない、ただ楽しみ遊ぶだけのレクリエーションスポーツというのがある。これら競技もレクリエーションも生涯続ければ、生涯スポーツになるから、線引はなかなか難しい。しかし、日本は、2010年ごろから高齢化社会を迎える。高齢者が人口の40%になり、しかもなかなか死なないで、介護を受け、医療を受けるのでは、大変なことになる。この世の地獄とも言える。死ぬまでスポーツを楽しんで、身体を動かし、病むこと無く、ぽっくり死んでもらえば、国が助かる。そんな言い回しはできないから、生涯健康で幸せな生活をおくってもらうための生涯スポーツであり、国はその振興策に力を入れた。文部省のスポーツ課を二つに分けて、競技スポーツ課と、生涯スポーツ課とした。スポーツを振興させるためには、競技場、施設を作る。そして、指導者を作る。競技スポーツの指導者は、すでに日本体育協会がスポーツ指導者資格を作っている。これとは別の指導者資格として、社会体育指導者を作ったのだ。生涯体育とは言いにくいので社会体育指導者としたのだろう。
ちょっと考えれば、この二つに分けるコンセプトにかなり無理があることがわかるだろう。競技スポーツを高齢になっても、しぬまでやれば、生涯スポーツになる。例えば、水泳にはシニアのレースがある。高齢者の指導だけを別に分けるのも難しい。柔道だって剣道だって、高齢者のための特別な段位がある。すでに名前の通った、社会的に市民権がある普通のスポーツは、全部そっぽをむいてしまった。我がダイビングは、日体協にも入っていない。社会的にもスポーツと認めてもらっていない。公的な指導者資格も無い。この社会体育指導者をスクーバダイビングに取り入れることにして、これがダイビングスポーツの公的指導資格とした。
外国の指導者組織からクレームが入った。日本がそんな資格を作ったら、例えばハワイの潜水指導者は日本人に指導をして認定をすることができなくなる。これは貿易摩擦である。確かに、ハワイのアメリカ人が日本の社会体育指導者の資格を取らなければ行けないことになると、営業ができなくなる。しかし、粗悪なハワイの指導のために、事故を起こし散々な目にあっている人だっている。それに、ダイビングの指導は、輸入、輸出できるような形のあるものではない。
いろいろな交渉の結果、社会体育指導者という資格はダイビングに導入してもよい。しかし、全員がこれを受けなければ指導できないというようなことにはしない。また、これは指導者資格なのだから、その指導者が販売するC-カードのようなものは作ってはいけない。そんなことになった。
それはそれとして、生涯スポーツのコンセプトは、高齢者社会を迎える日本にとってとても大事であり、その普及と実施に力を入れなければならない。そこで、僕は死ぬまで現役で、ダイビングをやりぬくことにして、お酒も絶ち、努力を続けることになった。

        浦安海豚倶楽部でのダッシュトレーニング

        辰巳での宙返り フリスビー

生涯スポーツはどうなったかというと、日体協と別に指導者を作るというところに無理があり、やがて、日体協の資格に吸収され、スクーバダイビング指導者も日体協の資格と一緒になった。つまり、現在の状況である。
一方で、日本の社会は本格的に高齢化社会を迎える時となった。
文科省は、スポーツ基本法の中で、生涯スポーツを重視する戦略を打ち立ているなどというニュースを聞くが、抽象的な議論に終始しているように思う。でなければ、僕の80歳80m計画など、もっと評価されても良いと思うのだが、週刊朝日とか朝日新聞の天声人語など、口には出しているのだが、なんともならない。

まず、生涯スポーツで大事なこと、重要なポイントは、トレーニングを欠かさないようにするということだろう。トレーニングを重ねた上で、チャレンジする。
もう一つ、高齢者の事故が増えるということで、高齢者のスポーツ活動にブレーキをかけないでもらいたい。高齢な者から死んでゆくのは、自然の理であり、許されなければ、永遠に生き続けなければならなくなる。高齢者のスポーツフィールドでの死は、事故ではなく、もちろん当然の結果であってはいけないから、事故を避ける努力は最大限にしなければならないが、それでも、若い人の事故と同一視はしてもらいたくない。もちろん、どこで、どのような形で死を迎えたとしても、全て自分の責任であり、他に責任を転嫁してはならない。
生涯スポーツは、楽しくやらなければならないし、スポーツによるリフレッシュで、老化をゆるくする効果もある。しかし、ある部分はかなりストイックに自分に努力を課するものでもある。
80歳、ここまで来ると、そんなに遠くに目標を設定することはできない。60歳の時に、後20年、80歳までと目標を定めやってきたが、此処から先20年は無理だ。5年刻みで目標を定めることにしようか。
まだ、後5年は死なないで、生涯スポーツとしてのダイビングライフを送る。

とにかく、生涯スポーツという視点は、此処から先、ますます重要になってくる。
ダイビングは生涯スポーツだといえるようにしてゆきたい。海豚倶楽部は決して高齢者の倶楽部ではなくて、若い人も迎え入れたいが、やはり平均年齢は高い。みんな生きてスキンダイビングを楽しんでいれば、ますます平均年齢は高くなる。それは喜ばしいことと、社会に認めて貰いたい。

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