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Channel: スガジロウのダイビング 「どこまでも潜る 」
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0412 潜水士受験参考書ー1

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 北海道、札幌、ポセイドンの工藤君と潜水士の参考書を書きはじめた。ポセイドンは、潜水屋としては、かなりの大会社だが、その始まりの頃から、ささやかなつきあいはある。
 そして、工藤君は北海道一円の専門学校、大学、漁業組合などで潜水士の受験講習をやっている。ダイビングについてはNAUIのコースディレクターだ。
 僕は、東京で20年近く潜水士講習の講師をやっていたが、辞める羽目になった。悔しいので、研究して、別の講習会を立ち上げようかとも思っている。
 さて、そういうことで、このテキストを書き進めながら、余分なことをブログに書いてゆこうと思う。
 潜水士の国家試験は、それほど難しくない。数日間の勉強でだいたいの人が受かる。
 だから、要領と、過去問の回答を中心にしたテキストを作れば、この本を読めば受かるということになる。そういう、簡単なテキストを企画して書き始めた。しかし、考えてみるとせっかく受験勉強をするのだから、合格するだけではつまらない。合格するとともに、潜水全般について必要な知識を習得したい。知識の習得には試験が一番良い。
 大体において、潜水についての物理学、生理学、化学、潜水全般の広い知識などは、実際の潜水には不要である。だから、初心者講習での講義内容などは、たちまち忘れてしまう。
 

       アクアリフター 浮き袋で人工魚礁を持ち上げる。
       スクーバダイバーによる作業


 今、ダイビングを始めるために必要な知識は、Cカード講習で得られることになっている。ならば、Cカードを持っていれば潜水士の試験も受かるはずだが、全然そんなことはない。潜水士の潜水とレクリエーショナルダイビングの世界はまったく別のせかいである。では、まったく別の世界として互いに触れなくて良いならば、結構なことだけれど、潜水士の資格を必要とする業務とは、法令の定義として、業務の分野や作業の種類などは特定していない。レジャー業務でも、警察、消防などがおこなう捜索や救難潜水、軍事潜水、水産・漁業の潜水などすべてが、業務である条件を満たせば、業務とされる。つまり、潜水業務にはレクリエーショナルダイビングも含まれるのだ。一般のレクリエーショナルダイビングでは、お金を払うお客様であり、業務にはならない。ところで、そのお金をいただく方は、業務になる可能性が高い。ダイビングリゾートやショップでスタッフをすれば、それはもう完全な業務になる。最近、レクリエーショナルダイビングでもプロの資格というのがあって、人気があるらしい。仕事にしなくても、プロと言われたり、名乗ったりできることはカッコいい。このレクリエーショナルダイビングのプロが、作業潜水をするとは思えないが、それでもどこかのスタッフとかお手伝いをする可能性は少なくない。また、本職のプロでもレクリエーショナルダイビングから入って行った人も少なくない。クロスオーバーしてしまっている。
 このことは悪いことではないと思うし、悪いと言ったところで、日本の法律がこのクロスオーバーに網をかけてしまっている。ところで、ダイビングの実態の方はクロスオーバーしていても、規則の方はまったく別、その運用については、旧態依然としたままだ。
 この受験テキストを書くことで、この溝が埋められないだろうか、と志を立ててみたが、スタートしてみると、限られたスペースの受験本の中ではとても無理、とわかった。しかしながら、その志の視点から書いた本ということはできる。またこの溝を本の中で、幾分なりとも明らかにすることもできる。そこにある溝が理解できれば、受験も合格するのではないだろうか。今回は、たぶんここまでだろう。そして、溝を明らかにできれば、埋めるための努力もできるようになる。それは、僕たちのやっている日本水中科学協会の仕事として取り上げてゆくつもりだ。

 
 ここからしばらく、受験本を書きながら、派生的に考えたこと、本の下書き、あるいは本に書けなかったことなどをこのブログに書いてゆこう。

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